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次の国まで(5)



洞窟の先は下に続いており、続いた空洞は人一人が通れる程度の穴だった。

穴の先は開けた場所に繋がっているようだ。


穴から開けた場所に降りてしまうと戻る時に登るのが大変ではあったが他に行く場所も無いので開けた空間に降りる。


開けた空間に降り立った時に異変に気が付いた。

リアは手のひらに火を灯して辺りを見渡した。



「この場所、もしかしてダンジョンの中?」



降りたその場所は明らかに人の手で造られたであろう石のレンガで装飾された床や壁でできた一本の通路の途中だった。足元にはこのダンジョンの天井や壁であっただろうレンガや土塊が散乱している。奥へと続くほの暗い通路からは僅かに感じるなにかの気配。


ダンジョン……百聞は一見に如かずというが、この空間がダンジョンと呼ばれる所ならば、ただならぬ雰囲気が感じられるこの場所は間違いなくそうであろう。

俺も手のひらに火を出し、辺りを警戒する。



「この穴が正規の通路って感じでは無いわね……どちらにしても、あまり休めてないこの身体でダンジョン攻略はしたくないわね」



「どうする?リア」



「……どうする?って言われても……ねぇ」



結論、わかっていた。俺達が降りた穴からは確かにまだ聞こえているのだ。あの声の主がただの牛だったらどんなによかっただろうか。……や、ただの牛でも怖いか。



「とりあえず、先へ進もう。危ないと思ったら引き返す事にしよう」



「確かにそれがいいわね、こっちから行きましょ」



無理はしないと決めて右側から進んだ。そりゃダンジョンなんてワクワクする場所、男だから冒険したいところではあるが野宿ばかりで俺達はろくに休めていないのだ。疲労感で注意を怠らないよう気をつけて先へ進む。




が、その冒険はすぐに終了した。


突き当たる、だがそれは行き止まりではない。

目の前には大きな扉、そしてその先からこの場所でも感じる異様な気配。そして、今いる場所は明らかなセーフティエリア。



「ボス部屋」



リアは扉を見てぽつりと話す。



「ボス部屋ってことはここは最深部?」



「そうなるわね、いきなり凄いところに着いたわ。ショートカットにも程があるわよ、それだけ長く放置されたダンジョンってことね。ボスを何とか倒して外に出られればいいんだけど」



「ボスを倒すと外に出られるのか?」



「こういった人工ダンジョンはボスを倒すと外に繋がる道ができるのよ」



ボスを何とかする……か。はっきり言ってこんな未発見のダンジョンのボス、倒せる自信は全くないけれど……せめて一目でも見てみたい!! ……覗いて大丈夫だろうか?



「中、覗いても大丈夫?」



「大丈夫よ。中に入らなければ戦闘にはならないから」



俺は少し扉を開けて中を覗く。その俺の頭に頭を乗せるようにしてリアも一緒に覗き見る。


戦う為にあるだろう広々とした空間、その真ん中にボスはいた。

巨大なレンガと同じ材質で出来たゴーレムだ。

顔と思わしき部分の真ん中に丸く赤いレンズの様な物があり、それが目の様にキラリとしていた。


それを見たリアは素早く俺の首根っこの服を引っ張りセーフティエリアに戻す。



「あれは私達が倒せる相手じゃないわよ!!」



「ゴーレム……だよな? そんな強いのか」



「……強いと言うより、パワーと頑丈さ。身体の何処かにある核を潰さないことには倒せないのよ」



「なるほどな」



「しかも、あのゴーレム。核が顔にあるから厄介よ。顔を狙うにも攻撃を避け隙を付かないと。ゴーレムの攻撃を喰らえば一発アウト」



「え……じゃあ、倒せるかもしれない」



「何言ってるのよ! 無理にっ!!」


その言葉を静止するように話しを続ける。


「喰らえば一発アウトなら喰らわないように動きを封じればいい」



「……まさか」



「時間を止める」



「……レージ。確かにそれは勝てる勝算があるわ。けどゴーレムの核が壊れるまで時間を止めなければならない。そこまで時間止められる?無理よ!!」



「いや、止められる。これがある」



そういって魔法袋からあるものを取り出す。それを見てリアはため息を付いた。



「……どうなるか分からないわよ」



「勝てたら外に出られるんだろ?」



「確実にね」



「ならやるしかない」



準備を整え扉を開ける。

勝負は一瞬だ、一瞬でおわる。



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