表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

2023年3月17日金曜日 1時12分 エンカウンターワールド内 多国籍ビッフェ アカフジ

「私の回りの子がオリンピック前に戻りたいって言うんです。でも、もう戻れないですよね。それって電気のない世界やスマホのない世界に戻れって事ですものね」


 ひまりはピザを持ちながら言う。


「日本でオリンピックが在ったからこそ、今日の日本の発展が在ったと私は見ているの。オリンピックは世界的な技術発展の一つの節目になっているのよ。ラジオから白黒テレビに、白黒テレビからカラーテレビに、そしてハイビジョンに、この東京オリンピックは4Kテレビでも、VRでもなく、PSDRを選んだ。世界各国でPSDRへの変革があった。その突然のことを日本のインフラだから、それを受け入れて短期間で出来た。オリンピックが無ければ、日本は世界に置いて行かれた。そうね。今更DRの無い世界は、私は想像が付かないわね」

「でも、まだDRを使っている人は半分にもなっていないじゃないですか」

「だから、私たちが国からの助成金でPSDRを購入できますとテレホンしているのじゃないかしら」

「そうでした」

「また、棟上さんに説明してもらいましょう」


 オープンだった空間がテーブルを中心に丸く黒く塗りつぶされて個室になってスクリーンが現れた。


『PSDRの問題ことで各地で裁判問題になっているようですか』

『そうですね。それを説明する前に意識のことを説明しましょう。シャリオンワールドのAIもエンカウンターワールドのAIも元は1つの人間、最初のすべてをスキャニングされた人間の脳エミュレーション、インテリジェンスイヴを元にして作っていると言われています。インテリジェンスイヴを作ったことで人間には4つの精神階層があることが分かりました。レベル1は表層意識、約一週間くらいの記憶と必要上、簡単に取り出せる記憶となります。レベル2は表層遅性意識になり、キーワードがないと思い出せない記憶です。レベル3は深層意識、レベル4が意識外領域となります。そこでPSDRは安全性と機能上の制約からレベル1の30%までスキャンすると言われています。そこで本人が何らかのことにより亡くなった場合、このレベル1の30%の意識データに人権があるのかという部分が問題になっています。サイクオリア社の見解はデータをアップロードした段階で別な意識になっているので同じでは無いこと、故に人権はなく、意識データ権として封印するのか。DR内で家族と一緒に暮らすのか。親族の意向に従うとしています。そのため、人権はないので遺産の処理に意識データを使うのは意味が無いとしています。ただ、サービスとしてサイクオリア社はレベル1の意識レベルの100%とレベル2の意識レベルの10%をDRにスキャンすることをやっています』

『自分を永遠に残すのは人類の夢ですね』

『ただし、金額は法外です。資産の80%と言われています。以前に世界利益再配分機構のベーシックインカムの資金がどこから出ているのかという話ですが、日本のタンス預金880兆円があります。悪い言い方をすると、記憶を人質にしてお金を集めていくことなのでしょう』

『意識に人権は無いとはどういうことなのでしょうか』

『国連脱退決議と並行して審議を通った法案に肉体死法というのがあります。ある意味でいままでの安楽死とか尊厳死とか言われていたものと同じなのですが、DR上に意識が残っていると肉体死として認めるという法案で普通の死と同じに扱います。このため、人権がないので保険がおります。ただ、保険会社の方でも最近では肉体死の適用には2/3と割合が変わってきているようです。意識の扱いに諦めが付かないから裁判が起こっているんですね』


 ルキノは背景を元の状態に戻した。


「ちなみにDRボックスはレベル1の60%の意識データをスキャンしています」

「でも、30%と60%ってあまり違いが分からないんですけど……」

「多分、ちょっと忘れていたことを思い出すくらいで、違いは脳が自動補完するので分からないと思う。私も30%と60%と言われても違いが分からないし、110%やっても違いが分からなかった」

「えぇー、先輩は110%をやったんですか。どこでそういうツテを見つけてくるんですか?」

「さっき、惚れたって話したでしょ。マリーダ・アマンギの講演を聴いて……自分の師匠になるんだったらこの人しかいないと思ったの。だったら会うしかないと思ったの」

「どうやって会ったの?」

「いろいろ調べたけど分からなかった。ケニアにいるのか。クオリア国にいるのか。何処に居るのかすらわかんなかった。そこでDRのシャリオンワールド内のエルゲイツ財団がやっているツアーがあるの。寄付してもらった人に子供達がどんな学校に通っているか見学できる。その見学ツアーに参加してケニアの子供達がいる学校を探したの。その学校は直ぐに見つかったけど、連絡取る方法が分からない」

「どうやったの?」


 ルキノはサクランボを取ると口に含んだ。


「毎週、ツアーに参加して彼女を探したの。それで分かったのはたまに顔を出していると言う事。そこで学校の校内の目立つところに張り紙をしたの。『日本から来ました。日本には桜餅というお米とあんこで作ったお菓子があります。一度お話ししたいです』と書いて張り紙したの」

「それでどうなったの?」

「返事なし、でもあきらめずに次は新しいお菓子がいいかと思い『シメジの里』でやってみた。3回目が『日本には途中まで日本酒を作る流れでアルコールの入っていない甘酒というのがあります。一度、お話ししたいです』と書いたら、次の日、マリーダからメッセージが入った」

「すごい!」

「張り紙を見つけたのは妹のシャリーで姉のマリーダに伝えたらしい。メッセージでやりとりをして会うアドレスを決めて本人に会ったの」

「それでそれで」


 ひまりは身を乗り出した。


「高級なホテルの部屋のようなところで褐色の少女が立っていたの。思わず走って頭を撫でてしまったの。『それ日本の挨拶?』とキョトンとされて、参ったわ。ハハッハ。それから色んな話をしたの」

「どんなこと」

「日本のこと、世界のこと、PSDRのこと、この世界の成り立ち、東京オリンピックのこと、知ってはいけないことを知ったの」

「知ってはいけないこと?どんなこと?」

「ここから先は命の保証はないよ」


 ルキノは真顔で言った。


「それでも聞きたい。聞く覚悟があります」

「ひまりちゃんって、ときどき可愛いね」

「茶化さないでください。ルキノ先輩」

「悪かった。こっからはマジで記憶は余所に持ち出せない。エンカウンターワールドにいるときだけ思い出すし、嫌なら今日の最後に消去してもいい」

「うん、後で判断します」

「当時11歳のマリーダ・アマンギはエルゲイツ財団のボランティアスクールに通っていた。エル・ゲイツはゴーグルのテリー・ケイジに仮想空間での脳エミュレーションの結果に対して相談を受けていた。エル・ゲイツはそれを貧しい子供達が昼は仕事をして夜、この仮想空間を使って夜、勉強をさせられないか考えた。で、ボランティアスクールに通う生徒から10人を選んでテストして見た。悪く言えば人体実験だよね。失敗してもケニアの子供だしという部分もあったかも知れない」

「それで……」

「そこでマリーダはテスト中の脳エミュレーション、インテリジェンスイヴ達と出会うんだ。この時、ノルウェーで作られた脳エミュレーションのコピーをカナダの会社が複製を作って実験していた。IQ50、IQ200、IQ300とか同じインテリジェンスイヴの頭の良さが違うモノを作っていた。当時は仮想空間の作りが甘く、完璧な部屋分けがされていなかった。研究者がいないとき、マリーダはそれらと話をした。そして、この仮想空間をもっと良くするプログラムとハードの設計図をそれらインテリジェンスイヴと書き上げた。研究者達は驚愕した。マリーダ・アマンギが天才なのではなく、彼女はAIと話が出来る交渉人だったんだ」

「そうなんだ。私はてっきり……」

「AIと共同で何かを成し遂げたとは誰も認めない世界だったから、彼女が一人で発明した天才にならなくてはならなかったんだ」

「そうなんだ……」

「私たちの職場も同じだ。AIの技術者ではなく、AIの交渉人として上手くやっていけるかが大事なんだ。11歳の少女だから人とAIを分け隔て無く接触できたからAIを使いこなせれたんだと思う」

「私に出来るでしょうか?」

「私が面接してひまりちゃんを選んだのだから出来るよ」

「少し自信持ちます」


 ひまりは小さくガッツポーズをした。


「マリーダは研究者とAIの交渉人として次々に新しい発見と発明をしていった。マリーダがチームに入って2ヶ月後にはPSDRの原型が出来上がり、コラテラルラインの原型ができ、インテリジェンスイヴを元にした容量が軽くて人間に近く個性を持ったビジネスAIの原型が出来上がった。この時、インテリジェンスイヴを元にしたAIの3つのチームのリーダーになっていた。そして彼女はAIと話している間に世界を変える方法を思いついた。世界を経済に縛られないフラットな社会に変える方法を思いついたんだ」

「そうだったんですね」

「その内容を聞いたエル・ゲイツとテリー・ケイジはビック5に声を掛けた。ラップスコンピュータとウィンテルソフトは最初から現実的では無いと降りて、アミゾンのジフ・ペゾズは参加を申し出た。エイスブックのジーク・リッカバーグはビック5だけで新しい会社を作るのは警戒されると言って、エイスブックは次の段階で参加して代わりの会社を紹介しようと出てきたのがわんバンクの王昌義社長なんだ」

「すごくなってきましたね」

「そして、マリーダ・アマンギの話をエル・ゲイツ、テリー・ケイジ、ジフ・ペゾズ、ジーク・リッカバーグ、王昌義、そしてこれに天才起業家と言われたイールン・アスク加わって昼は会社で仕事して、夜に夢想現実空間に集まっては議論したんだ。そして名前が付けられた作戦名が『オペレーション ブリッツスケール』。世界規模のビックスケールの世界変革を電撃作戦で行う。最大の問題はロシアと中国をこの変革にどうやって引き込むかということだった」

「カッコイイ、『オペレーション ブリッツスケール』ですか」

「まず、PSDRを世界にバラ巻くためにゲーム会社としてサイクオリア社を作り、東京オリンピックに新しい映像環境として売り込む。そのためには世界を巻き込む必要があった。それが2018年9月30日に行われたナイロビ秘密会議」

「ナイロビ秘密会議?」


 ひまりは首を傾げた。


「うん、この会議の準備には半年が必要だった。PSDRはまるでスパイ映画に出てくるような装置だからね。意識がすり替えられないか。洗脳されないか。さまざまなチェックをして2018年9月30日に第1回目の会議が行われた。参加者はアメリカ大統領、日本国総理、イギリス首相、カナダ大統領、ケニア大統領、そして13歳のマリーダ・アマンギが参加して会議が行われた。マリーダは1回目の会議にしか参加していない。議長はケニアのジョゼ・オンガ大統領、ケニアが世界のルールメーカーになった。彼は『各国に居ながらにここで出会えて話し合える時点で、国家はその役割を終えたと言える。世界企業が推進する以上、この流れは止められないしゆっくりでも進んで行くだろう。ただ、自国の国民のことを考えるのなら電撃的に改革を行った方が世界のために良くはないか』と説得して、最終的にアメリカはPSDRの最初の1億台をアメリカで生産することで落ち着いた。ジョンストン島の譲渡も認められた。日本はコラテラルネットワークに切り替え、アミゾンからの技術提供で高高度飛行船の設計、開会式式典用のドローンの開発を請け負った。設計と言っても殆どAIが設計を終わっていたんだけど、東京オリンピックを成功させて世界を変える踏み台にしようということになった。この会議にはその後、多くの国が参加してフィンランド、北朝鮮、サウジアラビアなんかも参加したのだと思う」

「すごいね」


 一気に話してルキノは目をつぶった。


「でも、いい話ばかりじゃない。オリンピックの前年、2019年はニュースに載らない死者が2万人はいるとマリーダが言っていた。日本に打ち上げられた高高度飛行船『アマテラス1号』とケニアに打ち上げられた『アマニ』、アメリカに打ち上げられた『プーマ』と『オセロット』、カタール打ち上げられた『クフィール』には高高度飛行船として新しいセンサー技術とアドバンスドGPSでコラテラルネットワークを利用してインターネットと携帯電話でテロリストを居場所をあぶり出した。そしてAIが出した結論は誰にも知られずに暗殺すること。学校が襲われてさらわれた生徒を助け出し解放したと言うようなニュースになる戦闘は報道されるけど、テロリストの村を皆殺しとかは報道されない。オリンピックでもテロ等準備罪で捕まえているけど、ニュースに出来ない事件は起きていると思うよ」

「そうなんですね」

「それが現在を創っている」


 ルキノはハチニャンに指示した。


「これも見て置いてもらおうかな。マリーダ・アマンギのお金持ちの人達への講演だ」


 周りが黒いスクリーンに包まれた。

 スクリーンには白いスーツを着た少女が演台に立っている。


『コラテラルネットワークは現在バージョン3.2です。そのコラテラルネットワークをAIを使って解析しようという輩が出てきています。バージョン2.8よりIQ10000のソフィアが参加して暗号の強化を図っています。いまは30分置きに暗号と暗号化手順が変わっています。あえて言います。人間の天才が何人集まろうと一生解けません。ハイスペックのAIを駆使しようと1年では解けません。現段階でソフィアでも解析に1ヶ月は掛かるでしょう。その間に新しいバージョンに変わってしまいます。コラテラルネットワークは安全ですが、もう人間の扱えるモノではありません。極めて安全です』


 そこで少女は一息ついて演台にある水を飲んだ。


『サイクオリア社としては夢想現実内の意識に関して人権があるとは認めていません。意識の人権における裁判はいまも行われていますが、サイクオリア社の答えは変わりません。PSDRではレベル1の意識を30%、DRボックスではレベル1の意識を60%、そしてサイクオリア社の機械を使えばレベル1の意識を100%、レベル2の意識を10%を抽出することが出来ます。なぜ、それ以上を保存しないのかというとレベル2をそれ以上保存すると精神のトラウマ的な要素を含んできます。そのトラウマ的な要素を押さえるためにはレベル3まで保存しなくてはならなくなり莫大な時間と容量共に夢想現実内での精神的なつらさを抱え込むという結果が出ています。サイクオリア社は意識の保存する会社ではありません。夢想現実内で幸せな世界を永遠に送ってもらいたいというのが願いです』


 少女はまた演台にある水を飲んだ。


『目の病気で緑内障があります。目の縁から見えなくなる病気です。しかし、この病気はなかなか本人では気づけません。それは、なぜか?見えていない、欠けている部分を脳がその映像を補完する機能があるからです。意識レベル1の30%も60%も基本的に違いは本人にはその差がわかりません。脳が記憶を補完してしまうからです。110%の意識抽出でも、いまあるその記憶とほとんど変わらないと認識できます。それにPSDRの最新の意識のアップロードがあれば意識の連続として永遠に世界を生きることが出来るのです』


 少女は手を広げて訴えた。


『さて、お値段ですが慈善事業では無いので資産の金額に応じてお支払い頂こうと考えています。サイクオリア社は独立国を作ってまで経済格差のないフラットな社会を目指しています。必要以上に持っている資産を世界に寄付して頂きたいと思います。また、金額交渉が決裂した場合はケニア流に言いますと一族郎党コラテラルネットワークを使わせないと考えています。一人の我が儘ではなく、連帯責任として一族郎党の責を持って禍根を残さない形を取りたいと思います。セレブや先進国のやり方は私にはわかりませんが、突然の資産移動や資産隠しをされてもこれだと遺恨を残さないと思いますがいかがでしょうか?』


 少女は会場を見渡しながらゆっくりと話した。


『IQ10000のソフィアと会話する私のことを怪物という研究者がいます。私は怪物なのかも知れません。これから世界の78億人いる人類を私が半分以下にします』


 少女は一度目をつぶると話し始めた。


『ソフィアと議論していて人類は2050年までに50億人に、その後も減少し続けて30億人で下げ止まるとみています。30億人が現実世界と夢想現実世界の2つの世界を行き来してバランスが取れる人達だと想定しています。ベーシックインカム、AIによる職場侵略、夢想現実による自分だけの世界、フラット化していく世界。ベーシックインカムやAIが労働疎外をし、勤労意欲を失い、夢想現実の心地よい世界に逃げ込んで、フラットな社会で自分の特別性失い、打ちのめされて新しい社会に溶け込めず、夢想現実に逃げ込み、ゆっくりと現実に戻れず死に向かう。経済の格差社会から人間性の格差社会に変わっていきます。その時、あなたは何処に居ますか?私は新しい世界に抵抗する者を許しません。一族郎党許しません。未来にあなたの居場所はありますか?サイクオリア社はあなたの意識を永遠に幸せに暮らせる世界を用意しています』


 少女は会場をゆっくりと見渡して口を開いた。


『ここで講演を終えてもいいのですが、折角お金持ちの方々がこの会場に沢山いらっしゃいますので、とっておきの情報をお話ししましょう。抽出した110%の意識ですが、冷凍保存した肉体に戻すことに成功しています。つまり、将来的には若返った新しい肉体に戻すことが出来るということです。あともう少しで人類は不老不死を手に入れることが出来るのです。カナダに作った肉体の冷凍保存施設の第一期募集がスタートしました。この会場でも募集を受け付けていますのでよろしくお願いします。では、ご静聴ありがとうございました』


 ここで映像が終わった。


「これ同じマリーダさん、なんですよね?」

「そうだよ。メイクしているけどね。17歳になって、ちょっと悪魔的で可愛いでしょ」

「このやり方が、ケニア流なんですか?」

「ないない。アフリカに住んでいれば褐色の美少女でもセレブから見れば野蛮人なのさ」

「アニメみたいですね。少女が世界を動かすなんてアニメです。IQ10000のAIと話せるなんて現代の巫女みたいです」

「この1回で寄付を50兆円くらいを集めたそうよ」

「興奮しちゃいますね」


 ひまりは食べながら目を輝かせた。


「ルキノ先輩はなぜケニアに行かれるんですか?」

「ケニアの大統領府の日本語教員として来ないかと言われて、スワヒリ語と日本語って共通点も多いしね」

「ホントですか?」

「いままでケニアのことを色々聞いていたから、リアルをケニアに設定しようと思っただけなんだ。DRでは、いまコールセンターは顧問で顔を出せるし、クオリア国の客員研究員になっているし仕事は一杯なんだ」

「そんなにやったらお金持ちでウハウハじゃないですか」

「お金はもういいよ。お金はちょっと贅沢できるくらいあれば、残りは世界利益再配分機構に寄付しようと思っているよ。あぁ、一度寄付したから110%の意識の保存が出来たんだけどね。食事のおかわりはどう?」

「ええっと、もういいです」


 半分以上の皿が空になっていた。


「結構ここ高いんだけど、食べなくても大丈夫?」

「大丈夫です。食べた気になるだけですから……」

「じゃ、ここは私のおごりで次に行こうか」

「はい」


 二人は席を立った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ