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神王と魔王  作者: りあす
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-精霊界から-

『スピリチュアルセンチュリー』の先にある動物や魔物が精霊に生まれ変わり過ごす場所“精霊界”


場所によって様々な環境の違いがある自然豊かな世界。


ここを統治するの2人の王は『スピリチュアルセンチュリー』の先の全ての世界を平和に導くため日々精進している。


そんな精霊界の王の1人である神王(シンオウ)は白で統一されている自分の書斎でパラパラと書類と格闘していた。


「今日1日の死者…人(人間・魔人・獣人・エルフ)が22万人、動物が3倍の66万匹、魔物が5倍の100万匹か。」


神王は呟くと何かを察知したのか、手早く書類を片付けて椅子から立ち上がり、机から離れた場所へと移動する。


すると閉まっていたはずの窓が自然に開き、そこから黒い鳥が飛び込んできた。


「魔王、何故毎日俺の机に止まる。」


神王は自分の机に止まっている黒い鳥(魔王)に溜め息をつきながら言う。


すると黒い鳥は輝き人型となり、神王と反する黒い翼を持つ女の姿となった。


「だってぇ、良い場所に机があるんだもん。」


机の位置は見事に窓から一直線上にある。


「はぁ…まぁ良い。ところで今日は問題無かったか?」


「あー!神王ったら私を疑ってるの?

バッチリ召喚作業をした人に合った精霊を送ったよ。

今日の最高はAランクの薔薇の精霊、ローズリップが呼び出されてたし。」


少し説明を挟むと、精霊にはランクがあり、低い順からE・D・C・B・A・AA・AAA・S・SSとなる。


まぁ、SSランクは神王と魔王のみ、Sランクはセラフィム・閻魔と後2人。


精霊達は神王と魔王の存在を知ってはいるが実際に会うことはないので本当の姿を知らない。


2人はAAAランク以下(属性王を除く)の精霊に会うときは必ず変化するからだ。


特に何かというわけも無いのだが、何となくそうしているらしい。


「ローズリップか…あいつを呼んだ人は苦労するだろうな。」


神王はその人を哀れむように言った。


「でも召喚されるって良いよなぁ。

私達レベルになると呼んでくれる人はいないからつまらないし………あ!」


話をしている途中で何か思いついたのか魔王は話を切る。


そして魔王の考えが読めた神王は恐る恐る声を出す。


「…まさかと思うが…地上に行こうとか言い出すんじゃないよな?」


「流石神、分かってるじゃないの。それじゃあ早速………」


「待て。」


魔王が床に手を付き何かしようとしたところを神王に止められる。


「なに?神は地上に行くのやなの?」


「嫌ではない。だが行く前に精霊界とスピリチュアルセンチュリーの事を。」


神王の言葉に魔王は「そっか」と胸の前でポンッと手を叩き、神王の言葉に納得する。


「スピリチュアルセンチュリーの審判はセフィラムと閻魔に。」


「精霊界は……木霊とロード?」


「あぁ。あいつらなら大丈夫だろう。」


神王は納得すると精霊同士で行うことの出来る念思で4人を呼び出した。


そして目の前に現れたのは、6本の白い翼とストレートの白く長い髪を持つ天界の統治者セフィラム…Sランク


その隣にいる強面(コワモテ)で体の大きな男、地獄の統治者閻魔…Sランク


後ろにいる大きな大木の姿をしている者、精霊界西の森の長で土の属性王でもある木霊(モクレイ)…AAAランク


そして木霊の隣にいるローブで身を覆う老婆、精霊界ウイッチロットの長で闇の属性王であるロード…AAAランクの4人。


4人は神王と魔王の前まで来ると片膝を付き(コウベ)を垂れる。


そんな4人を見ながら2人は話し始めた。


「良く来てくれた。」


「実は今日皆にお願いがあってここに来てもらったの。」


4人は頭に『?』を浮かべ顔を上げる。


「お2人が私どもにお願いですか?」


「デートか?」


「閻魔様、言葉がすぎますぞ。」


「儂の予想からすると神王様と魔王様は長期の休暇を取られると。」


4人はそれぞれ思い思いの言葉を発する。


「私と神がデート?あははっ、閻魔はおかしなこと言うねぇ。」


「……はぁ。」


魔王の隣で息を吐き出す神王に4人は気づき、哀れむような視線を送った。


「まぁ…ロードの言うとおり、少しの間俺達は地上に行く。

なのでセフィラムと閻魔には天界と地獄に加えスピリチュアルセンチュリーを見てもらい、木霊とロードには精霊界を頼みたい。」


「畏まりました。余りお休みされてないのではと心配しておりましたのでゆっくりとして来て下さい。」


「俺達に任せていれば大丈夫だ、安心しろ」


「私らではお2人の様には出来ないが精一杯やらせていただきます。」


「地上でウイッチロット出身者に出会われましたら宜しく伝えて下さい。」


4人は表面ではこう言うが内では『神王様ファイト!』と思っていた。


「何かあったら念思で直接伝えてね。それじゃあ………」


魔王は再び床に手を付くと、手を付いた場所が黒く染まりそこから扉が現れた。


「ささっ、行くよ神!」


「…あぁ」


そう言い2人は扉を開け中に入って行く。


その後扉は消え部屋には4人だけとなった。


「神王も不憫だな。」


「えぇ、周りから見れば嫌でもわかりますね。」


「魔王様は気付いてないようですし。」


「儂の占いでもあの2人の相性はバッチリじゃから何があろうとも大丈夫だと思うがな。」


そんな会話を少しした後、4人はそれぞれの場所へ戻って行った。











魔法の存在する世界『ヴァセッタ』には多くの種族が住み、大きく分け5つの国が存在している。


1つが北の国ーノースランドー


ノースランドには1年中雪が降り積もり銀世界が広がっている。


1年中雪に閉ざされているため農業には適さず、工業などで国の財政を保っている。


2つ目が南の国ーサウスランドー


ノースランドとは真逆で1年中温暖な気候。


リゾート地として多くの観光客で溢れている。


3つ目が東の国ーイーストランドー


イーストランドは独特な文化を持ち、農業や漁業が盛んな国である。


4つ目が西の国ーウエストランドー


他の国とは違い唯一王のいる国王政治の国。


上に立つ者がはっきりとしている故、一番繁栄している国だが脆くもある。


最後に中央の国ーミッドランドー


ここには『ヴァセッタ』最大の魔法学校と世界の平和を基に戦うギルドが存在する。


ギルドにはそれぞれランクがあり、低い順からE・D・C・B・A・AA・AAA・Sとなっている。


属性は主に火・水・雷・風・土・光・闇と7種類あり、1人1属性が基本だが中には2属性使用出来る者もいるらしい。


また『無属性』という属性もあるがこちらは学生ならば必ず初級から中級までは人間でも使用することは出来る。


だが上級から神級クラスの魔法は精霊の上位…神王と魔王だけしか使用できないと言う極端な魔法だ。


さて、説明はここまでにして本編に戻ろう。











神王と魔王のたどり着いた場所。


そこは『ヴァセッタ』の中央部でもあるミッドランドであった。


今の2人の姿は翼をしまい、人間に変化している。


見た目年齢は16・17歳くらいでこの国にいても全く違和感はない。


「地上の中央部、ミッドランド。」


「ここには学生の若い子ばかりだから翼を隠すだけの変化で良かったね………ってかなんか私達凄く見られてる気がするんだけど。」


「それはだな…」


神王は気が付いている。


何故周囲の人達が自分達を見ているのかを。


「あの人達新入生かな?」


「格好良いし美人……」


「同じクラスになれますように。」


などと言っていたから。


2人が立っている場所は巨大な魔法学校の校門前であった。


「えっ、何?教えて教えて。」


「だからな…「あなた達こんなところで何を?」…はぁ。」


シンが話をしようとすると途中で誰かが割り込んできた。


「今日はこの学園の大事な入学式です。

入学者なら書類を見せて、部外者なら帰りなさい。」


"魔法学校かぁ…神、私行ってみたい!"


"だが書類はないぞ。"


"無くしたって言えば良いじゃん!記憶は私の力で書き換てさ……"


"却下"


2人が念思で話していると女性が不振な目で見てくる。


「あなた達もしかして書類なくしちゃった?」


女の言葉に魔王は「ラッキー」と小声で言い、女に合わせるように話し出す。


「そうなんですよぉ。家を出るときまでは持ってたんだけどね。」


「……………。」


「それでだったら学園長に確認しに行きますので一緒に来て下さい。」


「はぁーい!」


「…………はぁ。」


女の言葉に魔王は元気良く返事をし、神王は只々ため息をつくばかりであった。


そして2人は女の後ろをついて行き、学園長室までやってきたのである。


「学園長、失礼いたします。」


女が扉の前で言うと、中から男の声で「どうぞ」と聞こえた。


ガチャリと開け中にはいるとそこには30代後半くらいの男が椅子に腰掛けている。


「クリス先生、どうしたんだい?」


「校門の前で不審人物を見かけ、その2人がこちらへ来る途中にで書類を無くしたようなので学校長に指示を仰ごうかと思いまして連れてきました。」


クリスと呼ばれたこの学校の教師は魔王と神王を前に押し出しながら言った。


しかし学校長は2人の顔を見て首を傾げる。


「ん?僕の頭の中には書類を送った人の顔が全て入ってるんだけど…。」


その言葉に魔王はわざとらしく「アチャー」と呟き、神王は黙っていた。


「お前ら嘘をついていたのか!?」


「だってぇ、この学校に入学したかったんだもん。」


「だから嘘を言って良いと思っているのか!?」


嘘に過剰反応したクリスは声を張り上げ怒鳴り出す。


すると神が一歩前に踏み出しキッとクリスを睨みつけながら話し始めた。


「噓を付いたことは悪いと思っている…が、俺達と同じくらいの年の子どもは皆学校へ行く。

同じ年なのに行けないと言う悔しい気持ちがわかりますか?

通いたくても通えない子どもにあんた達大人はそんなことを言うのだな。」


無表情のまま平然と嘘を吐き出す神王に魔王は目を輝かせていた。


「お前……!!」


「止めなさい。そんな事を言われては大人である僕達の面子が立たないからね。

2人の入学を許可しましょう。」


「学校長!」


「クリス先生、その子の言うとおり、大人が子どもの未来を壊してはいけない。

だから認めようじゃないか。」


笑顔の学校長の言葉に押され、クリスは渋々と了承した。


「じゃあコレが制服ね。

1時間後、入学式が始まるから着替えてホールに集合。

あっ、名前聞いてなかったね。」


「「名前……」」


2人は固まった。


2人には名前といった名前が無く、今までは神王と魔王で通っていたから。


慌てて即興で神王と魔王は、


「えーっと、私はマイ・ダークス。」


「俺はシン・ライトだ。」


と名乗り、名前でこれからの学校生活を満喫することになる。


「マイ君にシン君だね。

じゃあこれからの2人の学校生活が充実するように頑張ってね。」


それから2人は制服を受け取り、学校長室出て行った。


クリスに途中でクラスの発表をされ、2人は同じクラスの1年2組になり、今日この日から2人の学生ライフが始まるのであった。

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