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第94話〜23不思議≒学校の怪談

 




「ねぇ恭也、アンタは私と一緒の方がいいわよね?」


「いや、彼はボクと一緒の方がいいと思ってるよ!」


「キョーヤは私と一緒の方がいいよね〜♪」


「……私と一緒の方がいいに決まってる…」




…まぁ、当然だと思うが今の会話だけで現在の状況がわかる人なんていないと思う。


だから俺が現在の状況を伝えるべきなんだろうが……



…実は俺もよくわかっていない…


だってさぁ、俺は部屋で寝てただけなんだよ?


それなのに目が覚めたらなぜか外にいて、悠希たちが俺を囲んでいて、そしていきなりあのセリフだよ?


理解なんかできるわけないじゃん!!


とりあえずわかる事は、今は真夜中で、現在地はおそらく校庭だということだけ…



…あれ?


よく考えたら、前にも同じように事無かったっけ…?




「…まずは状況を説明してくれないか?」


「後で説明するわ。だから早くアンタのパートナーを決定しなさい。」


「…パートナー?」


「これ以上はヒミツだよ。とりあえずキミはボクたち4人の中から1人を選ぶだけ。」


「……そう…好きな人を選ぶだけ…」


「好きな人!?もし私がキョーヤに選ばれたら…キャ〜♪」


「……そういう意味じゃない…」




…?


とりあえず、何をやるかはわからないが、パートナーを選べばいいんだな?


だとしたら俺が選ぶのは決まってる。












「…じゃ澪で。」


「……私…?」


「…やっぱりね。キミなら澪を選ぶと思ったよ。」


「何で〜!?キョーヤなら絶対私を選んでくれると思ったのに!!」


「…アンタ、根拠も無いのに何でそんなに自信タップリなのよ?」




俺が澪を選んだ理由…


それは、このメンバーの中で澪が一番俺に不幸を持ってくる確率が低いからだ!


何をやるかは知らないが、澪ならあまりヒドい事はしてこないだろう…




「…で、一体何のためのパートナーなんだ?」


「まだわかんないの?『23不思議』の解明に決まってるじゃない。」




またそれか!?


そういえば前に『23不思議』を調べた時も俺を誘拐してきてたよな…


まさか前と同じ展開になるとは思ってなかったよ…


唯一の違いは澪がいる事か?




「…お前ら怖いの嫌いなんだろ?確か前に調査に来た時に幽霊出なかったか?それなのに行くの?」


「当然よ!そのためにアンタを連れてきたんだから!」




『連れてきた』じゃなくて『拉致してきた』じゃない?




「それで2人のチームと3人のチームに分かれようって事になって、キミは男だから2人のチームに入ってもらって、そしてキミのパートナーはキミに決めてもらおうって話になったんだよ。」


「別に分かれなくてもみんなで一緒に行けばいいんじゃないか?」


「ボクもそう思うんだけどね。悠希とカゲリがどうしても二組に分けたいってうるさいからさぁ。」


「だってキョーヤと2人きりになりた…あ!いや、何でもないよ♪」


「ふ、二手に分かれた方が効率がいいじゃない!」


「……素直じゃないんだから…」




…?


とりあえず、首謀者は悠希とカゲリって事でいいんだな?



…後で幽霊のふりして驚かしてやる!!




「…てか、スイレンは大丈夫なのか?お前って相当怖がりだろ?」


「何?心配してくれるの?うれしいなぁ♪」


「いや、今すぐこの計画を中止にするのを手伝ってくれないかなって思って。」


「…少しくらい心配してくれてもいいのに…」




お前の心配してもからかわれるだけだもん。




「まぁ、もし怖くなったらまたキミの家に泊まるからいいよ♪」


「『また』!?アンタ、恭也の家に泊まった事あるの!?」


「え?言ってなかったっけ?」


「スイレンばっかりズルい〜!私もキョーヤの家に泊まる!!」


「……じゃ私も…」




泊めねぇよ!!


てか、これだけの人数だと寝る場所無いから!!




「…いいからさっさと行かないか?俺としては早く終わらせて帰って寝たいんだけど。」


「そうね。それじゃ、私たちはあっちの方から調べるから、アンタたちはこっち側から調べて行きなさい。」 


「……わかった…」


「終わったら先に帰ってもいいのか?」


「ダメに決まってるじゃない。解明できなくても、今から一時間後に下駄箱の所に集合よ。」




…少なくとも一時間は帰れないってこと?


どうせ解明なんかできないんだからもっと早くしてもいいんじゃない?


解明できないから不思議なんだよ?



…なぜか前回来た時には何個か解明できたけどな。




「それじゃ、一時間後にまた会いましょう。」


「キョーヤ、気をつけてね〜♪」


「怖くなったらキミのケータイに電話するからね。」




…お前らなら幽霊とも友だちになれそうだけどな…






「…さて、俺たちも行こうか。」


「……うん…その前に…ちょっとお願いがあるんだけど…」


「お願い?何だ?」


「……あのね…」






「……手、つないでもいい…?」


「はい!?」




何で!?


何のために!?




「え!?澪も怖いの苦手だっけ!?」


「……少しだけ…」




お前も怖いの苦手だったのかよ!?


何でみんな怖いの苦手なのにこんな事企画するの!?


今からでも遅くない!!


すぐに中止しようぜ!?






「……それに…私、恭也君のこと…好きだから…だから手をつなぎたいんだけど…」


「!!」




えっと…?


これは…断れないパターン?


こんな事を言われたら、『手つなぐのヤダ』なんて言えないよね?


…まぁ、別にイヤじゃないけど…


でも…恥ずかしいというか…


もし手をつないでる所を3バカに見られたら何を言われるかわからないし…



…どうしたらいいんだ…?






「……クスッ…」


「…ん?」


「……『好き』って言っただけで固まるなんて…かわいい…」




…あ、からかってただけだったの?


な〜んだ、悩んだ意味ないじゃん?


ははは……






…よし!


澪はおいていこう!




「とりあえず近い場所から順番に行くか。だとしたらまずはあそこかな?」


「……あ…おいていかないで…」




からかって俺を困らせないならおいていかないから安心しろ!















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【理科室】



「……ここは『人体模型と骸骨の標本が仲良くダンスしてる』って話だけど…」


「…ずいぶんユニークな怪談だな?」


「……怪談じゃなくて23不思議…」




どっちも変わんないと思うのは俺だけ?


実際どっちでもいいんじゃない?




「でも、踊ってないよな…」


「……そうだね…」


「…………。」


「…………。」


「…次の場所に行くか?」


「……うん…」




…23不思議の調査ってこんな感じでいいんだろうか…?


まぁ、一つ一つ細かく調べるよりは楽だから別にいいけど…




「……次は放送室の『深夜のラジオ放送』でも調べる…?」


「何それ!?それも23不思議なの!?」


「……うん…深夜に放送室に行くと、誰もいないはずなのにラジオ番組のような会話が聞こえてくるって…」




この学校にはユニークな幽霊しかいないのか!?


普通に怖がらせろよ!!




「何て言うか…もっと普通のは無いのか?」


「……普通の…?」


「そういう変な幽霊じゃなくて、怖い感じのヤツ。」


「……怖いのイヤ…」




いや、『イヤ』じゃなくて……


…もしかしてわざと怖くないのを調べてる?


だから変なのばかりなのか?




「まぁ、調べに行くかどうかは別として、あるのか?」


「……『1−F教室の女の子』とか…」




お?


一応普通の怪談もあるんだ?




「それってどんな話なんだ?1−Fなんて教室は無いはずだけど…」


「……昔はあったみたい…今は無くなっちゃったけど…少子化問題のせいで…」




…そういう話はいらないから。




「……今は無いはずのその教室…だけど、深夜になるとなぜかその教室が校内のどこかに現れる…そこには女の子の幽霊がいて、その子に見つかってしまったらそのクラスの一員にされてしまう…って話…」


「へぇ…」




驚いたな…


この学校にまともな怪談があったなんて…


あと、澪がこんなにたくさん話すなんて…


あ、こっちはどうでもいいか。




「そのクラスの一員になるって事は、そこから出られなくなるってことか?」


「……多分…」


「だったらその教室に入らなければいいだけの話じゃん。」


「……でも女の子の幽霊が引きずり込んでくるんじゃ…?」


「大丈夫だって。相手は女の子なんだろ?だったら負けないって。」


「……幽霊を甘く見てる…」




幽霊を甘く見てる…?


…違うな!



怖いからできるだけポジティブに考えようとしてるだけだ!!


だって捕まったら生きて帰れないんだよ!?


怖がるのが当たり前じゃん!?




「その教室ってどこに出るかわからないんだろ?」


「……うん…」


「残念だな…。どこに出るかわかってたら見に行ったのに…」




もちろんウソだ。


男ってのは見栄をはって生きなくちゃいけない生き物なんだよ…




「……恭也君、それは『フラグ』って言うんだよ…?」


「…フラグ?そんなのが現実にあるわけないだろ?そういうのは漫画やゲームの中だけの話なんだから。ほら、さっさと次に行くぞ。」


「……あ〜あ…」




だからフラグなんてありえないって。


てか、怖くなるからやめてくれない?


俺も言った後にちょっと後悔してるんだから。






「さぁ、次はどの教室を調べに行こうか?」




この理科室にもう用は無い。


俺たちは次の目的地に向かうため、理科室のドアを開けて廊下へ出た。













『1−F教室』



…あれぇ?


何で目の前にこんな教室があるの?


入る時には何も無かった場所なのに…




「……いきなりフラグ回収するなんて…さすが恭也君…」


「は…ははは……」




何が『さすが』なの!?


最悪じゃん!?


こんな奇跡はいらねぇよ!!



と、とりあえず幽霊に見つかるまではセーフなんだろ!?


だったら早く逃げないと…!?




「……よかったね…これで恭也君の希望通り、1−F教室を調べれるよ…」




いや、あれは本気じゃないから!!


こんな怖いのなんか調べるわけないじゃん!!




「調べるのはまた今度!ほら、さっさと次に行こう!」


「……あ、待って…」



《ガシッ》




掴むな!


お前も怖いの苦手なんだろ!?


だったらお前も早く逃げろよ!!




「いいか?お前もさっき言ったが、幽霊を甘く見てはいけないんだ。祟られる前に逃げるぞ。」


「……そんな事ないって…」


「そんな事あるから!いいから早く手を離せよ!」


「……手を離しても逃げない…?」


「あのなぁ、お前をおいて一人で逃げるわけ……」


「……恭也君、さっきから一人で何言ってるの…?」




…へ?


一人で何言ってるって…普通にお前と会話してたじゃん…?


……あれ?


何で澪が俺の前に立ってるの…?


お前は俺の後ろで俺の手を掴んで……



……………。



じゃ俺の手を掴んでるのは誰!!? 




「…えっと…澪じゃないなら俺の手を掴んでるのって…?」


「……?…誰もいないけど…?」


『……他の人に聞いてもムダ…私の声、そして姿はアナタにしか認識できない…』


「…!!?」




さっきより近くから声が聞こえる…!


よく聞いてみれば、確かに澪の声とは違うし…手が冷たい気がする…



…いや、まだそうと決まったわけじゃない!!


もしかしたら悠希たちの悪質なイタズラかもしれない!!


勇気を出して振り向くんだ!!


そこにはきっとバカ3人組が……!!













「…………。」


『…………。』




……………。




「ギャァァァァァァァァァァァァ!!!?透けてるぅぅぅぅぅぅ!!?」


「……!?…き、恭也君…!?」


『……あれ…?…アナタ…前にも会ったよね…?』




振り向いてみると、俺の手を掴んでいた人はやっぱり透けていた…!


しかも、この幽霊には見覚えがある!


一瞬、澪と見間違うような外見…


コイツ、前に夜の学校に来た時にも現れたあの幽霊だ!!



…でも、よく見たら澪とそっくりってわけじゃないんだな…


服装は今の制服と同じでメガネもかけてるけど、澪より少し髪は長いし、背も高い気がする…


それに無表情じゃなくて、笑みを浮かべてるし……


あ、それは少し不気味かも……


前に会った時はよく見る余裕なんか無かったけど、実際はけっこう違うんだな……



…ん?


じゃ今は余裕あるのかって?


そりゃあもちろん……




…あるわけないだろ!!


こうして現実から逃避しないと恐怖で気絶しそうなんだよ!!


俺の顔なんか蒼白だし、全身から冷や汗出てるんだからな!!


いつ倒れてもおかしくないんだぞ!!




『……ふふふ…また来てくれたんだ…?』


「い、いや…べ、別に幽霊に会うために来たわけじゃ…!?」


『……せっかくなんだから、ゆっくりお喋りしましょう…?…ほら、こっちに来てよ…』



《グイッ!》



「うわっ!?」




な、何だこの力!?


こんなの女の子の力じゃないぞ!?


これが幽霊の力…!?


もしかしたら悠希よりも…!?



…あ、別に悠希は女の子じゃないって言ってるわけじゃないからな?


アイツは別格ってだけだから。



…ってそんなどうでもいい事言ってる場合じゃねぇ!!




「れ、澪!!助けてくれ!!このままじゃ引きずり込まれ…!!」


「……わかった…今すぐ悠希さんたちを呼んでくる…」




わかってねぇ!!


今からアイツらを呼んでも間に合わないから!!


無駄な抵抗でも、少しは助けてくれようとしてくれてもいいじゃん!?




『……ほら、あと少し…』


「ちょ…!?マ、マジで助けてくれ!!」


「……え…?…もしかして…本当に幽霊…?」


「だからそうだって!!冗談でこんな事するわけないだろ!!」




もしかして信じてなかったの!?


だからマジメに取り合ってくれなかったのか!?




「……てっきり日頃の恨みとして私を驚かせようとしているかと…」


「そんなことしないから!!とりあえず早く助け…!!」







《…クスクス…》




…え?




『……残念…もうアナタの体は私の教室に入ってる…』


「…なっ!?」



《…バンッ!!》




俺の目の前で勢いよくドアが閉まる…


俺の視界にいた澪は消え、代わりに映るのは普段見慣れている教室のドア……


ただ…このドアは俺たちの教室のように簡単に開いてくれそうになさそうだ…




『……クスクス…さぁ、たっぷりお喋りしましょう…?』




…俺、まさかこのままずっとここに…!?




       《つづく》

実際の7不思議って怪談話が多いですよね。    怪談=7不思議なんでしょうか?         だとしたら、全部『学校の怪談』としてもいいと思うんですが…       23不思議は変なのと怪談の集合ですけどね。                とりあえず今回はこの辺で。           感想・評価・意見・質問・要望など、お待ちしています。

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