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第90話〜繋がれた2人(前編)

 




《ドドドドド…!》



「待ちなさい!!銀髪君!!」


「だから待ちませんってば!!」




…確かつい最近にも同じ事があったような……


とりあえず、俺は相変わらず大ピンチです!


何でこの人(加賀)は俺を見かけるとすぐに襲いかかってくるんだよ!?


次から休み時間に廊下に出るのはやめとくべきか!?




「廊下は走っちゃいけないのよ!」


「先生も走ってるじゃないですか!?」




てか、命に関わる問題なんだからそんなの知ったことじゃねぇよ!!


早くチャイム鳴ってくれぇーー!!!







《…ガチャン!》




…『ガチャン』?


え?何の音?


間違いなくチャイムの音じゃないよね?


俺の右手から聞こえたような……




「…って何かついてる!?」




まさかあの距離から投げて俺の右手に当てたのか!?


何というコントロール…!!



…てか何コレ?



鉄でできた丸い輪…


そこから鎖が伸び、また別な輪につながってる……



…………。



…もしかして手錠?


俺、初めて本物見たんだけど…


そして、全然外れないんだけど……


あ、手錠なんだから当たり前か?



…ピンチ?



…い、いや!


所詮はただの手錠!!


カギさえあれば開くはず!


それくらい、緋乃姉妹に頼めば……



…………。



…あれ?


この手錠、鍵穴なくね…?






「ふふふ…♪かかったわね?その手錠は特別製よ。それを外すにはこのカードキーを使わないといけないの♪…つまり、外して欲しかったら私に捕まらないといけないの♪」




何それ!!?


手錠にカードキーなんて聞いた事ねぇよ!!


てか何でお前がそんなの持ってんの!!?




「これでやっとアナタを捕まえられるわね♪この道具をくれた双子ちゃんにもお礼をしなくちゃ♪」




この手錠、緋乃姉妹が作ったモノかよ!!?


あのバカ姉妹!


加賀に変な道具を渡すな!!




「さぁ、外してほしかったら早くこっちにいらっしゃい♪」




くっ…!


このまま大人しく捕まるしか…!










…って誰が捕まるか!!




《ダッ!!》



「…!?ちょっと!?アナタ、手錠そのままでいいの!?」




当然、このままでいいはずがない…


だけど、あの姉妹が作ったって事はこれを外す事もできるはず!




「緋乃姉妹に直接取り外してもらいますから結構です!」


「…あ。」




やっぱりそこまでは考えてなかったみたいだな…!


右手が少し重いけど、反対側の輪に何もついてないだけまだいい!


あの先生が油断してくれて助かった……




「…!銀髪君!止まりなさい!!」


「イヤですよ!!先生に捕まるわけには……」










「…でも、そっちは階段よ?」


「…はい?」




…あ、浮遊感……


完全に手遅れだね。


言うのが遅いよ。


…まぁ、前方不注意だった俺も悪いけど。


せめて下に人がいないように祈るか……










「…え?き、恭也さん…?」




下に人いたぁーー!!?


しかも今の声、ヒカリか!?


相手がヒカリなら、このままぶつかったら大怪我させちゃうんじゃ…!?


こうなったら俺がヒカリを庇うしか…!




…ってそんな漫画みたいな事できるわけねぇだろ!!


もう落ちてるんだから手遅れだよ!!




「ヒカリ!避け…!!」


「キャーーーッ!!?」



《ドシーーンッ!!!》




…………。



…うぅ……


い、痛い……


加賀に捕まるよりはマシだけど、けっこうダメージが……



…ってヒカリは大丈夫なのか!?




「ヒカリ!?大丈夫か!?ケガしてないか!?」


「は、はい…。ちょっと腰をぶつけちゃいましたが、特にケガはありません。………そ、それより…そ、その手をどけて私の上から降りてもらいたいんですけど……」


「手…?………!!?あ…!ゴ、ゴメン!!」




階段から落ちたんだから、俺がヒカリの上になっているのは大体想像がつくだろう。


そのまま、俺の手がどの位置にあったかも勝手に想像してもらえるとありがたい。



…い、言っとくが決してやましい場所なんかじゃないからな!?


勘違いはしないようにしてくれ!!




「本当に悪かった!!今は加賀に追われてるからちゃんと謝れないけど、今度ちゃんと謝るから許してくれ!」


「またあの先生に追われてるんですか?恭也さんも大変ですね…。」




そう思うなら加賀に変なモノ渡すな!


この右手の手錠、お前らが作っ………!



…そうだ!!


この邪魔な手錠、今ヒカリに外してもらえばいいんだ!!




「ヒカリ!コレ、お前らが作ったモノなんだろ!?だったらコレを今すぐ外し……!」




《…ジャラ》

《…グイッ!》



「キャッ!?」




…へ?


俺、右手についてる手錠を見せるために手を出しただけだよ?


それだけなのに、何でヒカリが引っ張られるわけ?




「…あの?私の左手に何かついてるんですけど…?」




…あ、ホントだ。


それって俺の右手についてるのと似てるね?


ペアルック?


なんちゃって、ハハハ…………




…って笑い事じゃねぇよ!!


何でぶつかった拍子にヒカリの左手に繋がっちゃうんだよ!?


おかしいだろ!


普通に考えたらこんな事あり得ないから!!


神様はどれだけ俺の事を嫌いなんだよ!?




「…あら?双子ちゃんじゃない♪運悪く銀髪君と繋がっちゃったみたいね…。……こういうのを一石二鳥って言うのかしら?」


「…え?あ、あの…状況がよくわからないんですけど…?」




ま、まぁ…俺もまさかの展開にちょっと混乱してるが、今やるべき事は一つしかない……!




「ヒカリ!とりあえず走れ!逃げるぞ!!」


「え…えぇ!!?」


「待ちなさい!!」




言ったら悪いが、ヒカリの運動神経はほとんど無いに等しい!


加賀から逃げ切るにはどこかに隠れるしか…!




「な、何がどうなってるんですか!?何で私も巻き込まれてるんですか!?説明してください!」


「知るか!神様にでも聞け!とりあえず今は逃げることだけ考えろ!」




俺から言えるのは『運が悪かったね』だけだ!


諦めて生き延びる事だけを考えろ!




「と、とりあえず逃げればいいんですね!?ならば…『煙玉』!」



《ボフッ!》




おお!


一応マトモな発明品も作ってたのか!


これで逃げ切……




「甘いわよ!廊下は一直線!煙玉なんか意味無いわ!」




やばっ!?


全然効果ない!?




「お、おい!?他に使える発明品は無いのか!?」


「…大丈夫ですよ。」




いや、視界を封じたくらいじゃあの人は止まら……!






「……あ…あら…?」



《ふらふら…》

《…パタン》




…へ?


な、何だ…?


いきなり倒れた…?




「あれはただの煙玉じゃありませんよ。『催眠効果付き煙玉』です。」




おお!!


そんないいモノを作っていたなんて…!


後で何個かくれ。




「ちなみに名前は『煙くん一号』です。ほら、顔まで書いてあるんですよ♪かわいいと思いませんか?」




…あ、やっぱりいらないわ。




「…とりあえず今の内にどこかに隠れるか。」


「そうですね。効果は三分ですから。」




たった三分!?


短くない!?




「そ、それを早く言え!急いで隠れるぞ!」


「は、はい!」




この状況を他の人に見られたら何を言われるかわからないからな…


とりあえず人がいない場所へ……















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【体育倉庫】 



人が来ない場所と言えばやっぱりここしかないよな…ってわけで俺たちはこの体育倉庫に隠れる事にした。


まぁ、そこまでは問題はなかった。


まだ放課後じゃないからカギを閉められて閉じ込められるなんて事も無いだろうしな。



…問題はこの手錠…



さっそくヒカリに外してもらおうとしたんだが………






「…今何て言った?」


「ですから、私はこんな発明品を作った覚えは無いんですよ。」




…何で?


加賀は間違いなくお前らが作ったって言ってたぞ?




「本当に心当たり無いのか!?」


「はい…。多分これはカゲリちゃんが勝手に作った発明品ですね。カゲリちゃん、こういうのを作るの好きですから。」




あのバカ!


こんな変なモノを勝手に作るな!




「…まぁ、カゲリちゃんならこの手錠を外せるかもしれませんね。」


「だったら今すぐカゲリを呼んで…!」






《キーンコーンカーンコーン……》




チャイム!?


もう授業開始!?




「…………。」


「…さすがに授業が始まってしまったら呼べませんね…」




カゲリが元凶とは言え、無理やり授業をサボらせるわけにはいかないからな……


こんな事になるんだったら、加賀が寝てる間にカードキー盗っとけばよかった…




「…しかたない、一時間ガマンするか。俺たちは授業出れないからサボるしかないけど…」


「そうですね…」




次の休み時間までに加賀に見つからなければいいけど…













〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【数分後…】



「…………。」


「…………。」




…………。



うわぁ…沈黙しちゃったよ…


気まずい…


とりあえず、なんか話題を……




「…なぁ……」

「…あの……」


「あ!そっちからいいよ!」

「いえいえ!恭也さんの方からどうぞ!」


「「…………。」」




また沈黙……


だから気まずいって…


こんなベタな展開が現実に起きるなんて…


頼むから何か喋ってくれ!






「…じ、じゃあ私から言いますね。」


「…!あ、あぁ…」




本当に喋ってくれた!?


さすがヒカリ!


後はそこから話題を広げていけばいいだけ…!










「…手、握ってもいいですか?」




…はい!?


え…!?ちょっと…!?


な、何で…!?


予想外なんだけど!?




「え…!?な…!?」


「…恥ずかしい話ですが、私暗いところ苦手なんです…。」




お前、そんな弱点があったのか!?


いや、でも…手を握るのはちょっと恥ずかしいような…




「…いいですか?」


「あ…………う、うん…」




…しまったぁぁぁ!!?


流れでついオーケーしちゃった!?


まだ覚悟が……!!






《…ギュッ!》



「…!」




やっば…!


コレ、相当恥ずかしいって…!


手を握られただけなのに…!


何でだ!?


普段だったらこんなに緊張したりなんか……!



…………。



…そうか!


雰囲気のせいか!


暗い場所で二人きりだから余計にそういう雰囲気に…!




「…恭也さん?どうしたんですか?」


「…え!?あぁ、いや…何でもないよ!」


「…?」




と、とりあえず落ち着かないと!


ヒカリは気にしてないんだから、俺も気にする必要はない!


そうだ!


手を握るのは恋人に限らず、友達同士でもやること!


これは普通の行為なんだ!!


うん!


そうとわかったら手を握るくらいで緊張する必要なんか……












《…ガバッ!》




…え?


ちょっと…?


何この感触…?


いきなりすぎて頭の整理が追いつかないんだけど…


俺は今どんな状況なの…?


なんかすぐ近くからいい匂いするんだけど…



……………。



何かの間違いかな…?


それとも気のせい…?


まさか夢…?



……………。









……何でヒカリが俺に抱きついてんの?




「ヒ、ヒカリ…!?」


「…き、恭也さん…」




え…?


マジで何この状況?


何でいきなり抱きつかれてんの?


そこまで暗いところが苦手なの?


こういう時、俺はどうしたらいいの?




「…ち、ちち、ちょ…ちょっとヒカリ!?なな、何で急に……!!?」


「…はっ!!ち、違うんです!べ、別に抱きついたわけじゃ…!!」




抱きついたわけじゃないなら何なんだよ!?


ちゃんと理由を説明してもらわないと俺が困るぞ!?



…てか、お前は俺から離れる気は無いのか?






「い、今そこで何か動いたんですよ!!だから私、怖くて…!」


「……『何か動いた』?」




…何でだろう?


イヤな予感がするんだけど…?




「…どの辺りで?」


「えっと…跳び箱の近くです。」




跳び箱の近くねぇ……



……………。



……あ、本当に何かいた。


でもあれって……




「…ヒカリ、安心しろ。ただのネズミだ。」


「ネズミ…ですか?」


「ああ。」




暗くてよくわからんが、多分ネズミだろ。


何で学校にネズミが出るんだか…


ちゃんと掃除してないんじゃないのか?




「ネズミって…何だか加賀先生のマウスが逃げた時の事を思い出しますね。」


「あぁ、そういえばそんな事あったな。」


「あのマウスたち…結局加賀先生に実験されちゃったんでしょうか…」




あ、ヒカリは最後までいなかったから知らないのか。




「いや、なんか情が移ったからペットにするって言ってたぞ?」


「そうなんですか?よかった♪実験されるのはかわいそうですもんね♪……でも、何か今の話を聞いた瞬間にイヤな予感がしたんですけど…」




…ヒカリも?


俺も今の会話でイヤな予感の原因が何なのかハッキリしたよ。


まさかだけどさぁ……




…あそこにいるネズミ、加賀のペットじゃないよな?


そして、俺たちを監視してるわけじゃないよな…?



…………。



い、いや…そんなわけない!


うん、そんな事あるわけが…………






「…!!恭也さん!あのネズミ、首輪ついてます!」




あったぁーーーー!!?


このネズミ、確実に加賀のペットだ!!




「ヒカリ!今すぐ別な場所に逃げるぞ!」


「は、はい!」




加賀の事だから、あの首輪には発信機でも仕込んであるだろう…!


だとしたら、一刻も早く別な場所に逃げないと…!






《…コツコツコツ…》



「き、恭也さん!?足音が近づいてきます!」


「何!!?」




まさかの手遅れ!?




「ど、どうしましょう!?」


「お、落ち着け!何か策を考えるんだ!」




そうだ!


諦めちゃダメだ!!


何でもいいから策を考えるんだ!



…でも、体育倉庫の出入り口はここしかないし、今の状態じゃ窓から逃げるのも難しい…


つまり、逃げるのは不可能に近い…




《…コツコツコツ…》




くそっ…!!

一体どうしたら……!!

以前、ヒカリと恭也の恋愛が見たいという意見があった気がしたので、書いてみました。        リクエストしてくれた方、遅くなってしまって申し訳ありませんでした!

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