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第89話〜最悪な天気=最悪な日

 




【放課後:部室】



《ザァァァァァ……》



また雨か…


てるてる坊主作ったはずなんだけどなぁ…


何で雨が降るんだよ…


五個じゃ足りなかったのか…?




「雨ってイヤですよね…。帰る時までに晴れてくれるといいんですけど…」


「私は雨の日は好きだなぁ♪だってユーキが遊びに来てくれるもん♪」




俺としては、悠希が来るから雨の日は嫌いなんだけどな。




「そう言ってもらえると嬉しいわね。いっそのこと、こっちの部活に移ろうかな?」




それだけはやめろ!!


これ以上、俺の被害が増えるような事はやめてくれ!!




《ザァァァァァ……》




「……それにしても、すごい雨…」


「帰るまでにやみそうにありませんね…」


「大丈夫!たとえどんなに雨が強くても俺が……」


「うるさいわよ。」



《バキッ!!》



「ぐふっ!!?」


「大地さん!?」




ちょっと待て!?


なぜ今殴った!?


大地はただ喋っただけだぞ!?


会話くらい許してやれよ!




「ちょっと!悠希さん!何で大地さんを殴ったんですか!?」


「大地はそういう役でしょ?」




どんな役だ!?


確かに大地の扱いはヒドいが、決して殴られ役ではないぞ!?




「何を言ってるんですか!理由も無く人を殴るなんてヒドいじゃないですか!」


「理由?うざいからよ。」




最低じゃん!?


お前、そんなんだから人気ないんだぞ!?




「…少しお仕置きをする必要があるみたいですね?」


「アンタが私にお仕置き…?やれるもんならやってみなさいよ!」




何この状況!?


マズすぎるだろ!!


ヒカリがケガをするか、悠希がまた子どもになるか…!


どっちにしても最悪な事になる!




「ふ、二人とも落ち着け!!」


「何言ってるんですか?私は落ち着いてますよ。冷静に判断した結果、悠希さんにお仕置きをした方がいいという結論に至ったんです。」


「恭也、ちょっとイグを頼んだわよ。」


「頼むな!!カゲリ!澪!お前らもこの二人を止めるのを手伝え!!」




悠希はともかく、カゲリがヒカリの事を『お姉ちゃん』って呼んだらヒカリは止まるはずだ!


とりあえず片方だけでも止めれば…!






「ねぇねぇ、これって外で修行できそうじゃない♪」


「……すごい雨だもんね…」


「こっちが緊迫した状況なのに、なに和んでんだよ!?」




まずはこの二人を止めろよ!


俺には止めれないんだから、お前らが何とかして……!






《…ゴロゴロゴロ…ドォーーーン!!!》




『………!!?』×全員




…雷まで鳴り始めたか……


バトル漫画とかだと雰囲気があっていいんだが、これ以上熱くするわけには………




《…ギュッ!》



…へ?




「カ、カゲリ…?」


「…ね、ねぇ?今のって雷の音だよね…?」




ま、まぁ…


遠くだとは思うが、確かに雷の音だよな…



…………。


…もしかしてさぁ…




「…カゲリ?お前、もしかして雷が苦手なのか?」


「……………うん…」




やっぱりか!?


いや、気持ちはわかるけど…


でも抱きつくのは……




《…カッ!》




「い、今光った!?」


「…光ったな。」



《……ゴロゴロ!》



「キャーッ!!」


《ギュゥ〜!!》


「ギャーッ!?」




雷が怖いからって俺を締め付けるな!!


殺す気か!?




「いいか!?雷ってのは光ってから音が鳴るまでの時間で距離がわかるんだ!今のは音が鳴るまで時間がかかっただろ!?だから大丈夫だ!」


「…ホ、ホント?」


「ああ。だから安心して……」


「……一回目より音が鳴るまでの時間が短い…だんだん近づいてきてるかも…」


「いやーっ!!」


「ギャーッ!?」




澪!!


冷静に分析すんな!!


今の状況でそんな事言ったら締め付けられるんだから!






「…………。」



《…ガシッ》



…はい?




「…れ、澪?」


「……雷が苦手なのはカゲリさんだけじゃない…」




お前もか!?


いつもと全く様子が変わってないから気づかなかった!




「……袖を掴むだけでいいから…」


「…あぁもう!好きにしてくれ!それよりあの二人は…!?」




……………。


…あれ?


あの二人、どこに行った?




「……ヒカリさんならあそこ…」


「…へ?」




見てみると、いつの間にか復活している大地がヒカリを優しく抱きしめていた…




「あのバカ!!こんな時でも女の子に手を出すなんて…!」


「……ヒカリさんから大地君に抱きついていった…見逃してあげたら…?」




ヒカリから…?


そんなに雷が苦手なのか…?




「……ヒカリさんと大地君って仲いいみたいだしね…実は付き合ってるんじゃ…?」


「うそぉ!?」




確かに、ヒカリは大地に対して優しいけど…


でも、大地の事を好きになる人なんているわけが……



…………。



今度スイレンに調査依頼しておくか。




「…で、悠希は?」


「……教室の隅…」




あ…いた…


何であんな所に…?




「悠希…?お前、何でそんな所にいるの?」


「私がどこにいようと勝手でしょ!!」


「まぁ、確かにそうだけど…もう少し力を抜かないと、イグが苦しそうだぞ?」


「う、うるさいわね!!別にいいじゃない!」




でも、そのまま強く抱きしめ続けたら本当にイグが危ないぞ?


…っていうかさぁ……




「…お前って雷苦手だったっけ?」


「な、何バカな事言ってんのよ!?私が雷を苦手なわけないでしょ!?」


「そうだよな…」




悠希が雷を怖がるはず……




《……カッ!》




「ひ、光った!?」


「光ったけど…苦手じゃないんだよな?」


「あ、当たり前じゃない!急に光ったからちょっと驚いただけ……」




《…ゴロゴロゴロ……ドォーーーン!!!》



『キャーッ!!?』×3




…今、3人分の悲鳴があったよな?


澪は無言で抱きついてきてるから、今の声はカゲリとヒカリと………




「…悠希?本当に雷が苦手じゃないのか?」


「うっ…!?」


「本当は苦手なんじゃ…?」


「う、うるさい!!そうよ!雷なんか嫌いよ!だからなんなのよ!?何か悪いわけ!?」




逆ギレ!?


何で逆ギレされなくちゃいけないんだよ!? 




「……怖いからって恭也君に抱きついたらダメだよ…」


「そ、そんな事するわけないじゃない!!」


「もうユーキが抱きつく場所は無いよ。」


「だから私が恭也に抱きつくわけ…!!」




《…ゴロゴロゴロ…ドォーーーーン!!!》




『キャーッ!!?』


《ギュ〜ッ!!》×3


「ギャーッ!!?」




ちょっと待てお前ら!?


力入れすぎだって!!


マジで絞め殺される!?



…ってか悠希!


お前、抱きつかないんじゃなかったのかよ!?


お前が一番力入ってるからな!?




「お、お前ら!離せ!死ぬ!死んじゃう!!」


「だって怖いんだもん!!」


「……もう少しだけこのままで…」


「(き、恭也に抱きついちゃった……!?)…ア、アンタなんか死んじゃえばいいのよ!」




ちょっと待て!?


最後のセリフって処刑宣言!?


俺は何もやってないのに!?






《…カッ!》

《ゴロゴロゴロ……》




「……だんだん雷が近くなってる…」


「え…!?ま、まさか学校に落ちないよね!?」


「な…!?へ、変な事言わないでよ!そんな事あるわけないじゃない!」




…………。


もしそうなったら俺マジで絞め殺されちゃうんじゃないか…?


今も呼吸があまりできないし…


てか、お前ら何で俺に抱きつくの?


怖い者同士で抱き合えばいいじゃん。


いや、別に悪くはないんだけどさぁ…

(締めつける力を除けば)


なんか…柔らかいモノが当たってるんだけど…






《ゴロゴロゴロ…ドォーーーーン!!!!》


『キャーッ!!?』

「うわぁ!!?」




ち、ちょ…!?


今のは近くないか!?


光ってすぐに音が…!?




《…バキバキバキ!!》




…え?


何この音!?




「い、今の何!?近くなかった!?」


「……外の木に落ちたのかも…」


「…ってことは今の音は木が倒れた音!?」


「……多分…」




ちょっと待った!!


そんな事を言ったらまた…!




「キョーヤ!!怖いよ〜!」


「ちょ…!?ま、待て………ギャァァァァ!!!?」




マ、マジで絞め殺されるって!!




「澪!!こいつらを怖がらせるような事を言うな!」


「……何があったかわからない方が怖い…」


「そうかもしれないけど…!」



《…ギュッ》



「……私も怖い…優しく抱きしめて…」


「な…!?」




何言ってんのお前!?


そんな事できるわけないだろ!!




「レイ!何言ってんの!?」




そうだカゲリ!


もっと言ってやれ!!




「私がキョーヤの目の前にいるんだから、抱き締められるのは私!!」




お前も何を言ってるんだよ!?


澪の真似すんな!




「……位置は関係ない…」


「関係あるもん!」


「アンタ達さっきから何言ってるのよ!?恭也が抱きしめたいと思った人を抱きしめるに決まってるでしょ!!」




この中にマトモなヤツはいないのか!?


それとも雷の恐怖に狂ったか!?









「…いやぁ、やっぱりここは面白い事になってるね♪」




また一つ災厄が増えた……




「スイレン、何しに来た?遊びに来たんなら帰…いや、助けてくれ。」


「ヤダ♪なぜなら面白そうだから!!」




そんな理由で俺を見捨てるな!!


俺がいなくなったら飯を作ってもらえなくなるんだぞ!?


それでもいいのか!?




「それに、ボクだって遊びに来たわけじゃないよ?」


「…じゃ何しに来たんだよ?」


「いや…まぁ…その…何というか…」




…あ、やっぱり聞くのやめとけばよかった。


嫌な予感しかしないもん。


このパターンってさぁ、アレでしょ?


実はスイレンも……






《…ゴロゴロゴロ…ドォーーーーン!!!》


『キャーッ!!?』


《ギュゥ〜!!》×4


「ギャーッ!!?」




やっぱりスイレンも雷苦手なのかよ!?


てか、前後左右から締めつけられたら逃げられないって!




「えぇい!離れろ!」


「ほら!恭也が嫌がってるじゃない!早く離れなさいよ!」


「え!?ボクだけ!?」


「全員だ!全員!!」


『え〜!!?』




文句なら後で聞いてやるから、とりあえず離れろ!


早く離れてもらわないと死んじゃうから!













〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 



「…とりあえず、お前らが雷を苦手なのはわかった。…でも、だからって俺に抱きつくのはヤメロ!!俺が死んじゃうから!」


「キョーヤが死ぬのはイヤーッ!!」




お前、俺の言ってる事理解してる!?


何で飛びかかってくるの!?




「だから抱きつこうとするなって!スイレン!カゲリを押さえつけておけ!」


「面白そうだからヤダ♪」


「お前もう帰れ!!」




…いや、いっそのこと俺一人で帰ろうかな?


雷が鳴ってる中、外に出るのはコイツらだってイヤだろうし…




「……雷を何とかする発明品って無いの…?」


「そんなの作った事ないよ。」


「キミたちなら作ってると思ったんだけどなぁ…」


「今から作りなさいよ!」


「え〜!?そんなのムリだよ!?」




…雷が鳴る度に作業を中断しなくちゃいけないしな。


それに作るとしたらヒカリが設計しなくちゃいけないんだろ?



…でも、ヒカリって未だに大地に抱きついてるんだけど…?




「…あの二人は一体いつまで抱き合ってるんだ?」


「……ラブラブなんだから邪魔しちゃいけない…」




ラブラブなのか…?


まぁいいや。


とりあえずあの二人は放っとこう。




「…お前ら、雷が怖いなら耳栓して目瞑ってたら?」


「キミねぇ…そんな事したら何もできないじゃん?」




いや、お前らは別に何もしなくていいよ?


その方が安全だから。






「…ところでさぁ、キョーヤの定員って何人なの?」


「…はい?」




定員…?


何それ?


どういう意味?




「何人までならキョーヤに抱きついてもいいの?」




あぁ、そういうこと?


…俺としては誰も抱きついて欲しくないんだけどな……




「ま、まぁ…二人…かな?」


「じゃ、私がキョーヤに抱きつく!」


「ちょっと待った!ボクも彼に抱きつきたいよ!」


「……私も…」




なぜ俺に抱きつきたがる!?


さっきも言ったけど、怖がり同士で抱き合えばいいじゃん!?


何でその考えに至らないの!?




「私が最初に言ったんだから私がキョーヤに抱きつくの!」


「順番で決めるのは不公平だよ!公平にジャンケンで決めようよ!」


「……恭也君に選んでもらってもいいんじゃない…?」







「…アンタたち!さっきから何勝手な事言ってるのよ!!少しは恭也の事も考えなさいよ!」


「悠希…?」




え…?


まさか悠希は俺の味方…?



…………。



…あの悠希が!?




「……怖い時に人に抱きつくのは自然な行為でしょ…?」


「でも恭也がイヤがってるじゃない!」


「……でも2人までならいいって言ってた…」


「本心はイヤに決まってるでしょ!?」




いいぞ!


なぜ俺の味方になってくれてるかわからないけど、その調子で頑張ってくれ!


澪を説得する事ができたらあとの2人は……






「…まさかユーキが反対するなんてねぇ…」


「彼女の性格上、『私も抱きつきたい』なんて言えないから、ボクたちにも抱きつかせないようにしてるんじゃない?」


「なるほど♪」


「…お前ら、なぜ俺に抱きついてる?」




今はまだあの2人が話し合ってる最中だろ!?


それなのに何で勝手に抱きついてるんだよ!?




「ボクたちの協議の結果、キミに抱きつけるのは先着二名って事になりました♪」


「早い者勝ち〜♪」




勝手に決めんな!!


まずは、抱きつくか抱きつかないかでケンカしてるあっちの意見を優先しろよ!




「おい!そこでケンカしてる2人!ここにズルしてるヤツがいるぞ!」


「ち、ちょっとキョーヤ!?」


「チクるのは反則だよ!?」




知るか!


この状況を見られたらまず間違いなくあの2人に怒られるぞ?


たまにはお前らもお仕置きしてもらえ!!




「…!?ア、アンタたち何してるのよ!?」


「……ズルい…」


「…ふ、ふん!早い者勝ちだもん!」


「ケンカしてるキミたちが悪いんだよ!」


「…澪!奪い取るわよ!」


「……了解…」




なんかモノ扱いされてる気がするんだけど…


まぁ、この2人がお仕置きされるなら、それくらいのことは別に気にしないけど。




「く、来るなら来い!悠希はともかく、澪はケンカに向いてないでしょ!」


「レイを早めに倒して2人でユーキに挑めば……」










「食らえ!『イグミサイル』!!」


「……『英和辞典アタック』…!」


『えぇぇーーーーーーー!!?』×3




まさかの飛び道具!?


しかも澪は英和辞典!?


当たったら相当痛くない!?




「な、なんの!!こっちには盾がある!」




…盾?


なんでだろう…?


イヤな予感しかしないんだけど…?









「「秘技!『キョーヤシールド』!!!」」


「やっぱり俺か…ゴハァッ!!?」




ヒ、ヒデェ…!


俺は何も悪い事してないのに…!


てか英和辞典痛ぇ!!




「やるわね!なら次よ!!『イスロケット』!!」


「……『和英辞典スマッシュ』…!」




お前ら俺を殺す気!?


イスはいくら何でもヒドすぎるだろ!!


澪はまた辞典だし!!


てか、その技名は何だよ!?




「お前ら離せ!!アレは洒落にならないって!」


「ヤダ!今キミを離したらボクたちに当たるもん!」




そういうのを自業自得って言うんだよ!!


大人しく食らっ……!




《…バキィッ!!!》



「グハァッ!!?」




これ、もう処刑じゃねぇか!?


もう体動かないってコレ!!


もう一発食らったら意識も……




「なら次は机でも…」


「……漢和辞典あったかな…?」




やめてぇーーーーーーーーーーーー!!!?


マジで死ぬからやめてぇーーーー!!!?




「そんな攻撃、ボクたちには効かないよ!」


「どこからでもかかってこ〜い♪」




ならお前らが受けろ!!


俺を盾にするな!!



てかお前ら当初の目的忘れてない!?


一応言っとくけど、さっきから雷鳴ってるからな!?


まだ克服したわけじゃないだろ!?


誰か気づいて!!




「食らえぇーー!!」


「なんのぉーー!!」




ちょっ…!!?


待っ…!!?


イャァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーー…!!!?

雷ってイヤですよね…  恐らく、恭也も今回の件で雷はトラウマになったでしょう。         次に雷が鳴った時は恭也が誰かに抱きついたりするかもしれませんね。                とりあえず今回はこの辺で。           感想・評価・意見・リクエスト・アドバイス・質問など、お待ちしています!!

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