第81話〜甘い1日♪
「ボクと部活、どっちが大事?」
「…は?」
いきなりそんな事言われても、意味がわかんないんだが…
「…その質問の意図は?」
「部活サボって一緒に買い物に行こうと思って。」
「…もしかして、今日の夕飯は…?」
「もちろんキミの家で♪」
またかよ……
最近多くないか?
まぁ、食費は払ってくれるから嬉しいけど。
「でも、それって部活終わった後でもいいんじゃないか?」
「わかってないなぁ…。時間は多い方がいいでしょ?寄り道できる時間も多くなるしね。近くにおいしいクレープを売ってるお店があるんだ♪」
それが目的か!?
その為だけに部活をサボれと言うのか!?
怒られるにきまってるだろ!!
「お前なぁ…」
「おっと!キミの言いたい事はわかるよ。」
わかってるんなら諦めろよ…
「もちろんクレープはボクのおごりだから安心してね♪」
「違ぇ!!誰もそんな心配してねぇよ!」
「だったら部活の事?どうせ何もしてないんだから出なくてもいいんじゃない?」
…否定できない。
でも、サボったら怒るだろうし…
前回みたいな事になるのはゴメンだぞ?
「…それに、すでにカゲリから許可はもらってるよ?」
「それを早く言えよ。…って、何の許可!?」
「ん?キミを買い物に連れて行ってもいいって許可だけど?」
何でアイツが勝手に決めてんの!?
「これで何の問題も無いでしょ?それとも、まだ問題ある?」
「…わかったよ。行けばいいんだろ?」
「うん♪じゃ、待ち合わせ場所は校門前で。」
カゲリから許可が出てるんなら、一度くらい部活サボってもいいか…
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【その頃…C組教室】
「そういえばヒカリ、今日の部活にキョーヤ来ないから♪」
「え!?何でですか!?」
「スイレンが用事あるんだって♪」
「そうなんですか…。でも、何でそんなに嬉しそうなんですか?てっきり悲しむと思ったんですが…」
「スイレンが代わりにキョーヤの隠し撮り写真集くれたの♪」
「…そういう事ですか……」
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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【放課後:校門前】
「遅いよ!」
「悪い悪い。これでも急いだんだけど…」
…あれ?
別に時間まで指定されてないんだから早く来る必要なくね?
「何秒待ったと思ってるのさ!」
「秒単位なら別によくない!?」
「言ってみたかっただけ♪」
…殴っていい?
「ほら、よくデートの待ち合わせとかでこういうシーンが……」
「よし、さっさと行くか。」
「スルー!?」
そんなバカな話に付き合ってられるか!
「全く、せっかちなんだから…。別に、急がないとクレープが売り切れるってわけじゃないんだから。」
「いや、そういうんじゃなくて…。単純にツッコミが面倒なだけ。」
「キミの唯一の個性なのに?」
俺ってそれ以外の個性無いの!?
ちょっと悲しいよ!?
「キミもボクみたいに個性を発揮しないと!」
「…でも、最近情報屋としての活躍は無いし、寝てばっかりってのは目立たないよな?」
「い、いいじゃん!それにボクの個性はそれだけじゃないよ!」
「あ、最近ではカレンってのも…」
「…さて、じゃあ情報屋らしくキミの恥ずかしい情報を流出しちゃおうかな?」
「スミマセン!調子に乗りすぎました!」
…てか、それは情報屋の活動か!?
単なる嫌がらせじゃない!?
「わかればいいよ。ほら、いつまでもここにいてもしょうがないし、早く行こうよ♪」
「…そうだな。」
…お前が変な事言わなければ、とっくに歩き始めてたんだけどな。
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…………。
「いらっしゃいませ。どれにします?」
「う〜ん…。悩むなぁ…。アレもいいし、コレもいいかも……ねぇ、キミはどれにするの?」
「ゴメン、展開が早すぎて全く考えてなかった。」
だって…着くの早すぎない?
確かに『近くに』とは言ってたけど、まさかこんなに早く着くとは…
ちなみに、スイレンが言ってたクレープ屋ってのは移動式の店で、つい最近ここで営業を開始したらしい。
店員は茶髪の若い男性が一人だけ。
年は…20代前半かな?
さっきから俺たちをニコニコ笑いながら眺めている。
…無愛想な人よりはいいが、そんなに見られてもなぁ…
「もう!ボクが言ったのは昼休みなんだから、考える時間くらいあったでしょ?」
いや、授業中に何を食べようか考える程クレープに飢えてないから。
「そうだなぁ…お前のオススメは?」
「ボク?わかんないなぁ…。ボクも初めてこの店に来るから。」
「ん?何を言ってるんだい?僕がここで売り始めた日から毎日来てるじゃないか?」
「あ!ダメだよ!そんな事言っちゃ!」
常連じゃねぇか!?
てか、何で隠す!?
「おっと、言っちゃいけなかったのかい?」
「ダメだよ!すでに全種類食べた事あるってバレたら『お前…食いすぎだろ…』って思われちゃうじゃん!」
いや、今自分でバラしたよな?
全種類って…1日に何個食べてるの?
「…それにしても、少しショックだなぁ。」
「え?何で?」
「君みたいなかわいい女の子が毎日買いに来てくれてたから、僕にも春が来たかなって思ってたんだけど…まさか今日は彼氏を連れてくるなんてね。」
…は?
思いっきり勘違いしてませんか?
「違うよ!ボクたちはそういう関係じゃ…!」
「そうなのかい?カップルだったら特別にタダにしてあげようかと…」
「…ほ、本当は付き合ってるんだ♪」
すぐにバレるようなウソをつくな!
「まぁ、俺たちはただの友達ですから安心してください。」
「そうか…。いいカップルだと思うんだけどなぁ…」
「だってさ♪」
…だから?
「…とりあえず、俺はバナナで。」
「おっと、注文か。もう少し話を聞きたかったけど…また今度にしよう。君は何にする?」
「じゃあ…ボクはストロベリーで。」
「了解。すぐに出来るから待っててね。」
「「は〜い。」」
…………。
「…キミって空気読める?」
「…あの流れはイヤな予感がしたから、早めに終わらせる事を優先させただけだ。」
どうせ、『じゃあ付き合っちゃおうよ♪』とか言う流れだろ?
いつものパターンだ。
当然、阻止するに決まってるだろ。
「…はい、お待ちどう。こっちがバナナで、こっちがストロベリー。」
「どうも♪」
「えっと…いくらですか?」
「え!?キミはいいよ!今日はボクがおごるって言ったじゃん!」
そういうわけにはいかないだろ。
ここはやっぱり俺が払わなきゃ。
「…いや、お金はいらないよ。今日は特別サービスさ。」
「え!?いいの!?」
「毎日来てくれてるからね。その代わり、この店の事をみんなに宣伝してね♪」
「わ〜い♪ありがとう♪」
「いいんですか…?」
「いいよ。君もよかったら買いに来てくれ。…君には普通より大きめのクレープを作ってあげるからさ♪」
「…はい!」
…いい人だ!
超いい人だ!!
もしよかったら望壮高校の教師になってみませんか?
そして、頼むから黒城の代わりに担任やってくれ!
「どうもありがとうございました!…それじゃ、俺たちはこれから買い物に行くんで。」
「そうか。またいつでもおいで。」
「はい!」
「明日も来るからね〜♪」
お前は1日くらい控えろ!
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「…いやぁ、それにしてもいい人だったな。」
「優しい店員がいて、さらにクレープもおいしい!まさに最高の店でしょ?」
…確かにおいしいな。
スイレンが気に入るのもわかる気がする。
…全種類制覇はやりすぎだと思うけど。
「う〜ん…。ストロベリーもおいしいけど、バナナもおいしいんだよなぁ…」
「ん?よかったら一口食べるか?」
「え?いいの?」
…ただし、一口で全部食べた場合はお前のクレープを没収するからな?
《パクッ♪》
《モグモグ…♪》
「…うん♪やっぱりおいしいね♪」
…そんなに幸せそうな顔して食べられたら、あの人も嬉しいだろうな。
「キミも一口食べてみる?」
「お?いいのか?」
「いいよ♪」
じゃ、お言葉に甘えて……
《パクッ》
《モグモグ…》
「…お!こっちもなかなかうまいな!」
「でしょ?…ところで、今思ったんだけどさぁ……」
…ん?
何だ…?
「これって…間接キスじゃ…?」
「…………!!!!」
い…いや!
友達同士で食べ物を分け合うのは普通の行為だろ!?
だからそんなに気にしなくてもいいよな!?
よし!
気にするな俺!!
気にしたら、またスイレンにからかわれるネタになるぞ!
「な、何バカな事を言って…!」
「あ!ちょっと動かないで!」
…え?
《ペロッ♪》
な…!?
なぁぁぁぁぁぁぁ!!!?
「ちょっ…!?い、今何を…!?」
「いや、キミのほっぺにクリームがついてたから…もらっちゃった♪」
「な…何で口で…!?」
「恋人のお約束♪」
お…お前なぁ…!
「ははは♪顔が真っ赤だよ?」
「う、うるせぇ!!」
あんな事されて赤くならないわけがないだろ!!
「本当にキミは面白い反応するね?もう一回やってあげようか?」
この野郎…!
………。
そうか!
たまには逆襲したらいいのか!
「…逆に俺がやってやろうか?」
「え…!?」
ははは!!
まさか俺がこんな事を言うとは思わなかっただろ!
さぁ、どんな反応をするかな?
「そ、それは…」
「ん?どうした?」
「キ、キミがどうしてもって言うなら…」
…へ?
「は、恥ずかしいから早く終わらせてね!」
…あの?
何その反応?
何で照れてるの?
何で目を瞑ってるの?
…え?
まさか…このパターンは…!?
…キ…キ……キス…?
「ス、スイレン…!?」
「……………。」
待ってるよ!?
うそ!?マジで!?
じ、冗談…だよな!?
…………。
…やらなきゃ…ダメ?
…………。
…そ、そうか!
気にしなければいいのか!
コイツ、俺の事は異性として見てないもんな!?
あいさつみたいなモノだと思えば…!!
…ってムリに決まってるだろぉぉぉぉぉ!!!!
そんな事できるわけがない!!
ならばどうする…!?
「…恭也?」
「…………!!」
え…えぇい!!
こうなったらなるようになれだ!!
「…スイレン…」
「………!」
俺が肩を掴むと、スイレンの体はビクッと震えた…
さすがにキスはした事は無いんだろう…
やっぱりスイレンも女の子だ…
少し不安そうなその反応を見ると、かわいいと思ってしまう…
「…………。」
「…………。」
少しの間、無言でその状態が続く…
…だが、いつまでもこのままでいるわけにはいかない…
覚悟を決めるしかない…!
「…………。」
だんだん…スイレンの顔が近くなっていく…
鼓動が早まるのが自分でもよくわかる…
…そして……
「…って、そんな事するわけねぇだろ!!!!」
《ビシッ!》
「いたっ!?」
俺がお前にキスするわけないだろ!
どういう流れだ!?
「痛いなぁ…!何するのさ!」
「お前が変な流れに持っていったからだろうが!!」
「いや、たまにはこういうシーンがあってもいいんじゃないの?」
「よくねぇよ!」
…まぁ、多少俺も乗ったけどさ…
「…とりあえず、バカな事やってないでさっさと買い物行くぞ。」
「バカな事じゃないよ!ここから2人の愛が始まるんだから!」
勝手に言ってろ!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【スーパー】
「…さて、夕飯は何が食べたい?」
「カレーがいいな♪」
それは前に食っただろうが!
却下だ!却下!!
「そうだな…卵が安いし…お?鶏肉も意外と……」
「…そのチラシはどこから?」
「ん?学校で悠希からもらった。」
チラシは毎回悠希に頼んで持ってきてもらっている。
安売りのチラシは一人暮らしの必需品とも言える物だからな。
…言わない?
《ポンッ》
「ん?」
「…キミならいいお嫁さんになれるよ。」
…イヤミか?
おばさん臭いとでも言うのか?
お前は今、一人暮らしの高校生の大半を敵に回したぞ?
「…とりあえず、卵と鶏肉で…親子丼はどうだ?」
「いいね♪おいしく作ってよ♪」
「…あれ?スイレンちゃんじゃない?」
…ん?
誰…?
三十代後半くらいの…失礼な言い方だけど、おばさんが笑顔でこっちに歩いてきた。
「あ!隣のおばちゃん!」
…なんとわかりやすい呼び名。
てか、本人の目の前でおばちゃんは失礼じゃないか?
「元気にしてた?最近、留守ばっかりだから心配したのよ?」
「大丈夫だよ。ボクはちゃんと元気だから♪」
…何でお前の周りはみんないい人ばかりなの?
ズルくない?
「…あら?そっちの男の子は…?」
「ボクの友だち♪」
「あ、どうも。はじめまして。」
「へぇ…彼氏?」
またそのパターン!?
いい加減、しつこくないか!?
「あの、俺たちは…」
「見たところ、夕飯の買い出しでしょ?ちゃんと料理できる人が彼氏になってくれてよかったわね。」
「いや、あの……」
「スイレンちゃんっていい子でしょ?性格もいいし、かわいいし…私の娘に欲しいくらいだもん。ちゃんと幸せにしてあげてね?」
人の話を聞けぇ!!
違うって言ってんだろうが!
ついでに言っとくが、コイツは性格よくないからな!?
「ところで…キスはしたの?」
「いや、まだ。さっきいい感じだったんだけどね…」
おいコラ!?
何の話をしている!?
夕飯抜きにするぞ!?
「ダメよ。夕陽が沈む頃の方がムードがあるんだから。」
「なるほど!その時間帯ならば…!」
「絶対しねぇから安心しろ。」
「あらあら?恥ずかしがり屋さんなのね?」
恥ずかしがり屋とか、そういう話じゃない!
俺たちはあくまで友だちであって…
「いい?こういう子にはこっちからアプローチしていかなくちゃダメよ?今晩辺り、無理やりにでも……♪」
「え…い、いや…それは…」
前言撤回!
この人はいい人じゃねぇ!!
悪いことしか教えてないもん!
「…すいません、俺たち急いでるんで!」
「え…あ!ま、待ってよ!」
「あら?もう行くの?また今度、ゆっくり話しましょうね?」
「あ、うん。じゃあね。」
あのままだったら間違いなく、スイレンに余計な事を言いそうだ…!
人の話を聞かないから、逃げるしか選択肢がない…!
おばちゃん…恐るべし…!
だが、もうこれで大丈夫なはず……
「…なるほど、無理やりねぇ…」
…手遅れだったかも?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【恭也の家】
「…さて、帰ってきたのはいいが……」
「まだ夕飯の時間じゃないよね?」
そうなんだよな…
スーパーの前に、別な店にでも行ってた方がよかったかな…?
「それじゃ、夕飯の時間になったら起こしてね♪」
「待てコラ!!」
寝るな!!
お前は一度寝たら起こすのが大変なんだから!
「とりあえずベッドから降りろ!」
「ヤダ!ここはボクの特等席なの!」
勝手にお前の場所にするな!
「どうしてもと言うなら、無理やり降ろすがいい!キミにそんな事ができるかな!?」
…………。
「…じゃ、いいや。」
「えぇぇぇぇぇ!!?」
こういう時は無視するのが一番。
どうせ、無理やり降ろそうとしてもムダだろうしな。
「そんなのつまんないよ!」
「悪いが、遊んでるヒマは…」
「とうっ!!」
「…なっ!?あぶ…!?」
《びたーんッ!》
「ぎゃっ!?」
こ…このバカ…!
「いたたた…」
「…大丈夫か?」
「…ちょっと!何で避けるのさ!?受け止めてくれなきゃ痛いじゃん!?」
「受け止めたら俺が痛いだろうが。」
「男なんだからそれくらいガマンしてよ!」
「お前が飛びついてこなきゃいいだけだろ!」
毎回同じパターンでピンチになんかなりたくないからな…
いつでも逃げれるように準備しておいてよかった…
ある意味カゲリのおかげかな…?
「…ムカついた。」
「ん…?」
「絶対に転ばせてやる!!覚悟しろぉ!!」
「何それ!?転ばせるのが目的!?っていうか、近所迷惑…!」
「うるさい!うるさい!うるさーい!!八つ当たりだぁーっ!!」
自分で言った!?
自覚があるならやめろよ!
迷惑以外の何でもないから!
「とりゃあ!」
「あぶな…!?」
「そりゃあ!!」
「ちょ…!ストップ…!!」
「てりゃぁぁ!!!」
「…………。」
「うりゃ…!!」
「いい加減にしろ!!」
《ゴンッ!!》
「…に゛ゃ!!?」
しつこいんだよ!
とっとと諦めろ!!
「うきゅ〜…!」
《バタンッ…!》
…え?
気絶…?
俺そんなに強く叩いてないだろ…?
「お、おい…?スイレン…?」
「…………。」
…………。
返事が無い…
ただの…………
…いやいやいや!!?
そのパターンは現実的にはマズい!
「お、おい!?しっかりしろ!」
「…………。」
え、演技…だよな…?
息は……してる。
と、とりあえずベッドに寝かせておけば…
「…よいしょ!」
ボソッ
(……よいしょとは失礼な…!)
…………。
…あれ?
今喋らなかった…?
「スイレン…?」
「…………。」
……………。
「…フ〜。」
「ひゃあ!?」
やっぱり意識あるんじゃねぇか!!
「み、耳は…ダメだよぉ…!」
「うるせぇ!冗談が悪質なんだよ!」
「…だってキミがヒドい事するから…」
お前が転ばせようとしてくるからだろうが!
「…でも、心配してくれて嬉しかったよ♪」
「…!!そ、そりゃ…あれで本当に気絶してたら俺が悪いからな。」
「ついでに…お姫様だっこしてくれてる事も嬉しいよ♪」
………あ。
そういえば、ベッドに運ぼうとしてた所なんだっけ…
「このままベッドまで運んでくれるの?」
このまま床に落としてもいいなら落とすけど?
「…寝ないなら運んでやる。」
「その前に記念写真を…」
「…よし、手を離すぞ?」
「ダ、ダメ!わかったよ!大人しくしてる!」
…もし次にふざけた事を言ったら本当に落とすからな?
「…ゆっくり降ろしてよ?」
「わかってるよ。」
《トサッ…》
…ふぅ、頼むから後は大人しくしててくれ…
…ってあれ?
「…なぁ?もう手を離してくれないか?」
「…………。」
ベッドの上に降ろしても、俺の首に回された手が離れようとしない…
…もしかしなくてもマズいパターン?
「…つかまえた♪」
すぐ近くにあるスイレンの笑顔が悪魔の笑みに見える…
これは逃げた方がいいよな…?
「コラ!離せ!!」
「ヤダ!ボクの安眠マクラ!!」
誰が安眠マクラだ!!
てか、寝るなって言っただろうが!
「お前の夕飯抜きにするぞ!?」
「え!?そ、それは困るよ!」
「だったら手を…うわっ!」
「…えっ!?」
し、しまっ…!?
足が滑っ…!?
《ドサッ!》
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「いただきま〜す♪」
「…いただきます。」
夕飯の準備を終え、テーブルの上には2人分の親子丼が乗っている。
今回の出来は、80点ってところかな?
…まぁ、そんな事はどうでもいい。
恐らく、みんなが知りたいのはあの後に何があったかだろう…
実は何にも無く、しばらくムダな会話をした後に料理を作って今に至っている。
「いやぁ♪それにしても、まさかキミがボクに『キス』してくれるなんてね♪」
…ってわけだったらよかったんだが、真実はスイレンの言った通りだ。
「だからあれは事故だって言ってんだろ!?」
「でも、唇と唇が重なったという事実に変わりはないでしょ?」
「いや、まぁ…そうかもしれないけど…」
「それが事実なんだから認めなくちゃダメだよ。」
「…っていうか、何でお前はそんなにヘラヘラしてるんだよ!?」
「…ふぇ?」
だって…お前…
「お前、さっき…初めてって言ってなかったか!?」
「うん。唇同士は初めてだよ?」
それなのに悲しくないのか!?
そういうのは普通、大切な人に……
「相手がキミだもん♪嬉しいに決まってるでしょ?」
「……!!?」
え…!?
ちょっ…!?
それってどういう…!?
「それより…早く食べないと親子丼から玉子丼になっちゃうよ?」
「…は?ってあれ!?俺の鶏肉はどこに!?」
「はっはっは!手遅れだったね!」
「…テメェ!!」
「わっ!?ぼ、暴力反対〜!」
「やかましい!!」
…スイレンには言っていないが、俺もこれが初めてのキスだった…
でも、俺もそんなに悲しいとは思わない…
それはやっぱり、今回の事は事故だったからだろうか…?
それとも……
…相手がスイレンだったから…?
…まさかな……
そんな事あるわけないだろ…
とりあえず、今回の事は忘れよう…
それが一番だ……
「これで今度から普通にキスしても問題ないね♪」
…緋乃姉妹って記憶消す道具は造ってないのかなぁ?
今回の話は、『恭也とスイレンのラブコメ的展開』というリクエストだったんですが… …ラブコメの定義ってどんなのなんでしょうか? 私のイメージは、『ラブラブ(?)なんだけど、コメディ的な展開になる』って感じなんですけど… それとも、『コメディの中に恋愛ハプニングが…』って感じなんでしょうか? もし望んでいた内容と違ったなら、また言ってください。 …リクエストしてくれた方へのメッセージみたいになってしまいましたが、とりあえず今回はこの辺で。 感想・評価・意見・要望・質問・助言など、お待ちしています!!