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第78話〜ドッジボール対決!

 




「くぅ〜…!やっぱり普通の授業はつまらないわよね。」


「…かと言って黒城みたいな授業もイヤだけどな。」




悠希が伸びをしながら俺に言ってくるが、俺としてはその言葉に半分しか同意できない。


確かに授業はつまらないが、大変な授業を受けるよりはマシだからな。



…まぁ、次の授業が一番マシな授業だろう。






「さて、次はお待ちかねの体育ね。早く着替えに行かなくちゃ。」




そう!

次の授業は体育!


退屈する事もなければ、大変な目に会うこともない、最高の授業!


恐らく、『好きな授業は?』と聞かれたら間違いなく『体育です!』と答えるだろう。




…別に勉強が苦手だからって理由じゃないからな?


他にもこういう人っているだろ?


ってか多いんじゃないか?


…そんなことない?




まぁ、とりあえずその話は置いておこう。


その最高の授業である体育だが…もちろん欠点もある。


それは……










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【グラウンド】



「…A組もB組も全員揃ったか!じゃ、各自適当にペアになってストレッチ開始!」




…先生の今の言葉でわかっただろう。


この体育の授業はA組とB組が一緒にやる。


…つまり……




「恭也、ボクとペア組んでくれない?」




…スイレンもこの授業にいるし……




「兄貴、一緒に組まないッスか?」


「…ああ。」




…赤樹や千秋もいるということだ。


何で女子も混合でやるんだろう…


まぁ、今までの授業は体力テストやマラソンの練習ばかりだったから何の問題も無かったんだけど…


そろそろ何か起きそうだな…




「…スイレンちゃん?恭也はいつも俺と組んでるんだけど?」


「てか、お前いつもは体育の時いないんじゃないの?」


「失礼な!毎回出てるよ!…睡魔に負けてるから魂は抜けた状態だけど。」




今までその状態で体育に出てたの!?


よくマラソンとかできたな!?




「そんな状態だからペアなんか作ってなくてさ。」


「…いや、だからってすでにペア作ってるところに無理やり入るなよ。そもそも、偶数のはずなんだから余ってるヤツがいるだろ。」


「ボク人見知り激しいから♪」




ウソつけ!




「…まぁいいや。これはキミに近づく口実だから。ちょっと警告したらすぐにいなくなるよ。」


「…警告?」






「今日の授業…今まで通りだと思わないでよ?きっと面白い事が起こるから…」




…へ!?




「じゃあね♪」


「ちょっと待て!?どういう意味だ!?不吉な事言って逃げんな!」




何だ!?

何が起こるんだ!?


今まで平和だったこの授業も最悪なモノへと変わっていくのか!?










============



「…さて、今までマラソンの練習ばかりでみんな飽きてきたと思う。」




…!?

これか!?

スイレンが言ってたのはこの事なのか!?


だとしたら、とんでもない競技をやらされるんじゃ…!?






「そこで!今日はちょっと遊ぼうと思う!」




…遊ぶ?




「種目は『ドッジボール』!A、B組の対抗戦!どうだ!燃えるだろう!」




…ドッジボール?


それなら別に大変じゃないし、むしろ楽しそうじゃないか?


スイレンの予想が外れたのか?




「こういうのを待ってたのよ!やるからには負けないわよ!」


「しゃあ!女子にかっこいい所を見せてやるぜ!」




…こういうバカを抑えるのは大変そうだけど。




「…まぁ、こういう時くらいはいいか。久しぶりに楽しい授業に……」


「……なると思ってる…?」




…悪魔の忠告が来た…


いや、俺も心のどこかでイヤな予感はしているんだよ。


ただ、今のところ理由がわからないから認めなかっただけで…


澪が来たって事でそれは間違いじゃないって事が確定しちまった…




「……ドッジボール…一見、楽しそうに見えるそれは実はかなりの危険も含んでいる…」


「…澪、どういう意味だ?わかりやすく言ってくれ。」


「……対戦相手を見たらわかる…」


「…なるほど、そういうことか。」




見るまでもなくわかるな…


A組にはあの三人がいたんだった…




「絶対にB組には負けないよ!キミたちも協力してね!」


「…全員始末したらいいんだろ?ちょっとした暇つぶしにはなるか…」


「兄貴がいたら負ける可能性なんか無いッスよ!」




赤樹!

お前は黙ってサボってろ!


こんなモノにやる気出さなくてもいいから!


お前の場合、破壊力が高そうなんだよ!




「A組…相手に不足はないわね!」


「A組の女子には悪いが、俺たちが勝ってみせる!」




お前ら、こういう時は頼もしいな…


…ただ、相手を怒らすような事はしないでね?


大抵、俺に八つ当たりが来るから。




「……適度に頑張ろう…」


「…澪、お前くらいの気持ちがちょうどいいよ。」




そうだよ。

そんなに頑張らなくてもいいじゃん。


勝ち負けにはこだわらなくてもさぁ……




「……勝つのはB組だけど…」




あれ!?

意外とやる気あり!? 




「恭也、アンタも本気でやりなさいよ!」


「…わかったよ。」




あくまで遊びなのに…


ケガしない程度にがんばるか…







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「よし!早速ルールを説明するぞ!まず、……………」




長くなりそうなので省略。


ただ、今回は時間短縮の為にルールが追加されている。




・ボールを持った人は五秒以内に投げること。

五秒以内に投げなかった場合は相手のチームに渡す。


・一度外野に出てしまったら内野に戻れない。

(ちなみに、最初の外野は三人。)




後は多分普通のドッジボールと同じルールだと思う。


…と言っても細かいルールは違うかもしれないけど。



あ、ちなみに顔に当たった場合はアウトにならない。


…顔を狙われたら間違いなく保健室行きになっちゃうから…?




「内野に戻れないってのが厳しいわね…」


「時間短縮の為だから仕方ないだろ?人数も多いんだし。」




それに条件は相手も同じだ。


あの三人を早く倒してしまえば後は簡単に…



…ってわけじゃないんだよなぁ。


結局は外野から狙われるんだから。




「恭也、アンタは逃げる事に専念しなさい。」


「言われなくてもわかってるよ!俺はまだ死にたくない!」


「澪、アンタは外野に…」


「……ヤダ…」




ヤダ!?


内野にいたらケガ…いや、澪ならケガじゃ済まないような…


大丈夫なのか!?




「……私には策があるから…」




策…?


当てられない策なら俺にも伝授してくれない?




「アンタがそう言うならいいけど…」


「安心しろ!俺が女子のみんなを守りきってやるから!」


「そうね。アンタはおとなしく盾になってなさい。」




…大地には適役かも?







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「両チームとも準備はいいか!始めるぞ!」 




とりあえず悠希に言われた通りに逃げるか。


人数が多い内は人の陰に隠れていればいいし…


おかげでゆっくり実況できるよ。




「さぁ!行くわよ!」




最初にボールを手にしたのは悠希。


…いや、正確には、最初にジャンプしてボール取るやつ(名前知らない…)で弾いたボールを拾った他の人から強引に奪い取ったんだけど……


まぁ、味方だから別にいいだろ。


悠希が投げた方が威力も高いだろうし。




「えい!!」


《バシッ!》


『アウト!』




まずは一人!


でも…




「よーし!リベンジ行くよ!」




相手にボールを拾われちゃうんだよな…


よりによってスイレンかよ…




「とりゃあ!!」


《バシッ!》


『アウト!』




そしてそのボールをまた悠希が拾って…




「やったわね!」


「そっちこそ!」




…え〜、人数が減るまで実況を中継させてもらいます。


悠希とスイレンが交互に相手の人数を減らしてるだけだから実況してもつまらないだろう。


てか、逃げる事に専念しないと俺も危ないし!!










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



…この2人が投げ合ったおかげで、人数は相当減ってしまった。


両チームとも10人くらいかな…?




「…ふぅ、疲れたわね。はい、恭也。」


「…へ?」




え?

何で俺にボールを?




「ほら、早く投げないと相手のボールになるわよ?」


「ちょ…え?…あ……と、とりあえずわかった!」




いきなり渡されてどうしたらいいかわからなかったが、相手にボールを渡すわけにもいかないからな。


とりあえず投げることにした。




「おらぁ!!」




俺が狙ったのは端にいるメガネをかけた男子。


理由?

単純に弱そうだったから。


…最低とか言わないでね?




「う、うわぁ〜!?」



《バシッ!》




ほら、簡単にアウトになっ………




「…………。」


「…え?あ、赤樹…君…?」




…あれ?


何でお前がメガネ君の前にいるの?


そして何で俺が思いっきり投げたボールを片手で持ってるの?




「…ふん。威力はないな…。手加減でもしたのか?」




…お前、俺の事を過大評価してるだろ?


わざわざ威力を確かめなくたって、お前には適わないよ。




「…スイレン、お前が投げろ。」


「あれ?キミは投げないの?」


「神堂だけになったら投げる。後の雑魚共はお前にやる。」




処刑宣言!?


俺はトドメ!?




「……雑魚だって…」


「ずいぶんとナメられてるわね。」




おお!

燃えてる!


ある意味ナイスかも!






「…恭也、余所見は危ないよ?ボクはキミを狙わないとは言ってないからね?」


「…え?」




振り返った頃には遅かった…


すでにボールはスイレンの手から離れ、まっすぐに……




…悠希の方に飛んでいく。




フェイントか!?


そう思っても今さら声を出しても間に合わなく……




《バシッ!》




聞こえてきたのはボールが誰かに当たって地面に落ちる音……


そして、地面に倒れ込む音……




「お、おい!?大丈夫か!?」


「う…き、恭也…」


「しっかりしろ!」


「……ヒドい…」


「ヒドい事しやがって…!」







「そうよ!スイレン!大地に謝りなさい!」


「お前だ!!お前が大地に謝れ!!」




スイレンが投げたボールはまっすぐに悠希に向かっていった。


すると悠希は、すぐ近くにいた大地を盾にしたのだ!


そしてボールは大地に直撃!


…しかも顔面。




「顔に当たったんだからセーフよね?」


「少しは心配しろよ!?死にかけてるんだぞ!?」


「大丈夫よ。すぐに復活するから。まだまだ盾に使えるわよ。」


「だから盾にするなって!」




ほら!

他のクラスメートもお前から離れだしたじゃないか!




「そんな事よりボールは?」




『そんな事』で終わらせやがった!?




「あ、ボールは俺が拾っておいたよ。」


「どうも。クラスメートA。」


「まだその呼び名!?いい加減に名前を覚えてくれない!?」




…あれ?


そういえば、お前の本名って何だっけ…?


今まで『クラスメートA』って呼んでたから忘れた…


…まぁ、いいか。 




「大地のカタキは私が討つわ!」




じゃ自滅しろ!



…いや!

やっぱりヤメロ!


お前がいなくなったら勝ち目が無くなる!




「行くわよ!必殺!『分身魔球』!!」


「ウソ!?キミ、そんなの投げれるの!?」




…いや、常識的にムリだろ。


どうせハッタリに決まってるさ。




「とりゃあっ!!」




悠希の手を離れた影は2つ…


…あれ!?


マジで分裂!?



そして、2つに分かれたボールはそれぞれ別の人にぶつかった…




「やったわ!一度に2人もアウトよ!」




確かに2人に当たったんだから2人ともアウトだよな…




…ボールに当たったならの話だけど。




「…ちょっと待ってよ!!片方は明らかにボールじゃないでしょ!?」


「ボールよ。」


「…悠希、これは騙せるわけないだろ。」




丸くもなく、緑色で、歩き回る…



…どう見てもイグにしか見えないんだけど!?


っていうか、今までイグはどこにいた!?


そして毎回言うが、ペットを投げるな!!




『ボールに当たった方はアウト!もう一人はセーフ!』


「え!?何で!?」




当たり前の結果だ!


意外に思ってるのはお前だけだぞ!?






「…とんでもない人ッスね。まずはあの人をアウトにした方がいいみたいッスね。」




げっ!?


千秋がボールを拾ったのか!?




「千秋か…どのくらい強いのかまだわからないわね…」


「そういえば…カゲリはライバル視していたみたいだけど…」


「ふん…千秋の力を見せつけてやるッスよ!」




さぁどうする!?


確かカゲリは『チアキはとりあえず速い!』って言ってたよな…


速いヤツって攻撃力は低いはず…


赤樹やスイレンにボールをぶつけられるよりはコイツにぶつけられた方がダメージは少ないってことか…



…あ、ぶつけられる事を前提にしたらダメか。


そもそも、本当に攻撃力が低いのかどうかもわからないし。






「……私に任せて…」


「…澪?」




任せてって…


何をするつもり…?




「…ん?何スか?わざわざ目の前に出てくるなんて…当てちゃうッスよ?」


「……私にぶつけるの…?」


「え!?そ、そりゃ…そういうゲームなんスから…」


「……無防備な私にぶつけるの…?」


「…う!?」


「……千秋君はそんなヒドい事…しないよね…?」


「あ…いや……」


「……千秋君…」


「うぅ…!」






《ピーッ!!》


『五秒以上ボールを持っていたから、相手チームにボールを!』


「…し、しまったッス!!」


「……作戦成功…」




おお!

さすが澪!


心理戦で勝つとは…



でも、ドッジボールに心理戦って……




「…何やってんだ、お前?」


「あ、兄貴!?ご…ごめんなさいッス!」


「謝る前に敵を見ろ。また厄介な手を使ってくる可能性もある。」


「は、はいッス!」




…ちっ、油断してくれないか…


このままアウトにできたらよかったんだけど…




「……恭也君…あげる…」


「あ、どうも。」




…………ん?




「…ってなぜ俺にボールを渡す!?」




俺より悠希に渡せよ!


アイツの方がアウトにする確率高いぞ!?




「……悠希さんならまた反則行為する…」


「…なるほど。」


「も、もうやらないわよ!勝手に決めつけないで!」




いや、お前ならやりそう。 




「……早く投げないと相手のボールになる…」


「おっと!とりあえず投げるか!」









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



…あの後は特に卑怯な手を使うこともなく、両チームともに人数は減っていった。



残り人数は……




A組:3人


B組:5人




…なぜか知らないが勝っている。


誰が生き残っているかは…言わなくてもきっとわかるだろう。




「…なんでアンタも残っているのよ?名前も無いくせに。」


「はは…は…、まさか俺も残っていられるとは思わなかったよ。…ちなみに、一応名前はあるからね?呼ばれてないだけで。」




まさかクラスメートAも残っているとは…


つまり、コイツにはまだ利用価値があるということか?




「赤樹!そろそろ本気でやってよ!このままじゃ負けちゃうよ!」


「…負けるのは気に入らないな。仕方ない、ボールをよこせ。」




…あれ?

最悪のパターンきた?




「マズいわ!恭也!下がって!」


「いや、お前らに当てる可能性もあるから、俺が……」


「……邪魔…」




…今までで一番のダメージなんですけど。


言葉ってある意味最強の武器だよね。



…とりあえず下がっとくか。




「…いいのか?俺は相手が女子でも手加減しねぇぞ?」


「わかってるわよ。」


「……私たちの方が男子よりマシ…」




…澪?

味方を傷つける言い方やめてくれない?


完全に俺らが無能みたいな言い方じゃないか。


…否定はあまりできないような気がするけど。




「…ケガしても知らねぇからな?」




え…?

いや、ちょっ…お前…




「…消えろ!」



《ビシュッ!!》




マジで投げた!?


ちょっ…手加減くらいしようよ!?



…しかも、ボール俺に向かってきてない!?


完全に俺狙い!?




「行くわよ!澪!」


「……うん…」




おい、お前ら!?


なぜわざわざ俺の前に来る!?


何をするつもり!?







「秘技!!『大地ブロック』!!」


「……アンド『C.Aブロック』…」


「「えぇぇぇぇぇ!!!?」」




何その秘技!?


明らかに仲間を捨てる行為だろ!?



…俺としては助かるけど。



あ、ちなみに『C.A』って『クラスメートA』の略だと思う。


澪がクラスメートAを盾にしてるから多分間違いないだろう。




《ドスッ!!》


「ごふっ!?」




ボールはクラスメートAの腹部に命中…


わぁ、痛そう…




「ダメよ、澪。ちゃんと顔に当たるようにしないと盾として使えないでしょ?」


「……失敗…」




その戦法ってヒドすぎない!?


お前らは悪魔か!?




「大丈夫か!?」


「う…うぅ…俺はもう…ダメ…だ……」


「しっかりしろ!」


「…できれば…もう二度と…巻き込まれたく…ない…」




あ、それはムリだわ。


同じクラスである以上、利用されるから。




「よし!まず1人!この調子でやっちゃえ!」


「…ふん。」




「…アイツむかつくわね。アイツからアウトにするわよ。」




アイツって…もしかして赤樹!?


アウトにできるの!?




「澪、ボールを貸して。」


「……はい…」


「どうも。…さてと、……赤樹!アンタ恭也の球を片手で捕っていたわよね?」


「…あ?だからどうした?お前の球も片手で捕れって言うのか?」


「その通りよ!まさかムリなんて言わないわよね?」


「…やってやろうじゃねぇか。」




…そんなに簡単に誘いに乗っていいのか?


悠希が卑怯な手を使うという可能性は考えてないのか?




「行くわよ!それぇっ!!」



《ビシュッ!》




悠希の投げたボールは真っ直ぐに……







…赤樹の足元に向かっていった。




「さぁ!片手で捕れるものなら捕ってみなさい!」




卑怯すぎない!?


そんなの捕れるわけないだろ!?


さすがにこれは赤樹も捕ろうとするわけ……






「…くっ!」


「兄貴!千秋が協力するッス!」


「ちょっ…!?2人とも何やってんの!?」




うわ…

予想以上に単純なヤツだった…


プライドか?

プライドなのか?


しかも、千秋まで…




《バシッ!》






「………ちっ。」


「あ…す、すいません…ッス…」


「バカ〜!!2人で捕ろうとするなんて…逆に捕りにくいに決まってるでしょ!」




結局、ボールは赤樹の手ではなく、地面に転がることになった。


しかも……




「今、2人ともボールに触ったわよね?つまり、2人ともアウトってこと?」


「……ルール上はそのはず…」


『そこの2人!アウト!』


「バカ〜!」




…希望が見えてきた!


残りがスイレン1人なら、勝てる可能性も…!




「ほら!キミたちのくだらないプライドのせいでピンチになったじゃん!どうしてくれるの!」


「…とりあえず病院にでも送ってやるか?」


「丁重にお断りさせていただきます!!」




あ、さすがに赤樹は怖いんだ?


態度の変化の速さでよくわかる。




「千秋たちを罵るより…ボールを拾わなくてもいいんスか?」


「あ!?」




スイレンが気づいた時には遅く、ボールはすでに俺たちの所に転がってきていた。 




「もっと早く言ってよ!」


「ほら、よそ見は厳禁ッスよ。」


「…え!?」




くっ…!

気づかれたか!




「食らえっ!」



《ビシュッ!》



「うわぁ!?」




ちっ…油断していたのによけられるなんて…






《ゴンッ!》


「痛っ…!?」




な、何!?


何でいきなり頭を叩かれた!?




「何やってんのよ、このバカ!」


「お前が何やってんだよ!?俺はただ投げただけだろ!」


「アンタが投げても当てれるわけないじゃない!アンタは黙って私に渡せばいいのよ!」




そこまで言う!?


俺にも活躍させてくれよ!




「……恭也君、気にしなくてもいいよ…最近、恭也君に構ってもらえなくて拗ねてるだけだから…」


「…そうなのか?」


「す、拗ねてないわよ!別に恭也なんかに構ってもらわなくても寂しくなんかないんだから!」


「……ツンデレ…」


「だ、誰がツンデレよ!」


「まぁまぁ…ほら、外野からボール来たぞ?」


「もういいわよ!アンタが投げればいいでしょ!」




…ボールGET!




「さて、覚悟しろ!スイレン!」


「覚悟ねぇ…ボクがキミの球でアウトになるわけないじゃん?」


「言ったな?それなら俺の球、捕れるものなら捕ってみろ!」




最後は俺が決めてやるよ!




《ビシュッ!》




俺が投げた球はスイレンの右側(俺から見て)に飛んでいく。



…少し言い方を間違えた。


スイレンから外れ、大きく右側に逸れた。


この球なら、スイレンから飛びつかない限り当たることはないだろう…


予想通り、スイレンはただボールを見送るだけだった…




「…さっきの作戦のパクリ?」


「悪かったな!俺はお前らみたく百発百中じゃないんだよ!たまにはミスもする!」


「とりあえず、ボクはあの二人とは違うからね。捕れない球は捕らないよ。」




…そんな事言ったら、後で赤樹に呼び出されるんじゃない?


殺気みたいなのを感じるよ?



それに……




「スイレン…前から思っていたが、今確信した。」


「何?ボクが魅力的だって?そんなの前からわかってるよ。」


「…お前バカだろ?」


「失礼な!?ボクはバカなんかじゃないもん!」




いや、バカだよ。


今のセリフもそうだし、いつもの行動もそうだし……







《バシッ!》


「…え?」




…外野の事も忘れて、呑気に喋ってるし。




《ピーーッ!!》


『A組全員アウト!よって、今回のドッジボール対決はB組の勝ち!!』



「え…えぇぇ!?ちょっと待ってよ!納得いかないよ!普通はもっと白熱して終わるでしょ!?何で最後に知らない人にアウトにされなきゃならないのさ!?」


「油断したお前が悪い。」


「いやいやいや!確かにそうかもしれないけど、最低な終わりだと思わない!?」



《ガシッ》



「…へ?あ、赤樹!?」


「…その最低な終わりにした原因はお前なんだから、しっかり責任は取れよ?」


「…!?ヤ、ヤダ〜!!恭也!助けて〜!」




俺が助けを求めた時に助けてくれるなら助けてやるよ。


…いや、相手が赤樹なら助けれないな。






「…いまいち嬉しくない勝ち方ね?」


「恭也、最後くらい当てろよ。」


「……情けない…」




文句言うな!


勝ちは勝ちだ!


一応、正々堂々勝ったんだからいいだろ!




「このまま終わりってのも物足りないわね…あ、いい事思いついた!」




あ、悪い事思いつかれた。




「先生!まだ時間ありますよね?残った4人で決戦ってどうですか?男子VS女子で。」


『ふむ、人数的にはちょうどいいな…よし!やるか!』




…はい?


ちょっと待って?


それって俺たちを処刑するって意味に解釈してもいい?


せっかく生き残ったのに処刑されるの?


俺、それなりに頑張ったよ?




「ほら、ボーっとしてたら当てるわよ?」


「待て悠希!わかった!これからはちゃんと構ってやるから!いつまでも拗ねてないで……!」


「なっ…!?ち、違うって言ったでしょ!!このバカ!!死ねぇ!!」



《バキィッ!!》



「ぶっ!?」




た…ただのボールなのに、何で人を吹っ飛ばすくらいの威力が…?


しかも、顔を狙うって…………


…あぁ、俺はこのまま気絶してしまうのか…




…………。




…薄れゆく意識の中、俺は思った……




『…あれ?前回も似たような終わり方じゃなかったっけ?』と……

初めて体育の授業を書いてみました。       …動きのあるものって書くの大変ですね。     上手く表現できませんでした。          まだまだ精進しなくちゃいけませんね。                  …とりあえず、今回はこの辺で。         感想・評価・意見・要望・助言・質問など、お待ちしています!

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