第74話〜スイレンのお泊まり
「いただきま〜す♪」
「いただきます。」
夕飯を作ってやったら機嫌がよくなったみたいだな。
…単純なヤツ。
それよりも…
さっき言ったことは本気なのか…?
「…なぁ、お前本気で俺の家に泊まってく気か?」
「当たり前でしょ!あんなの見たら1人になれないよ!」
いや、まぁ…気持ちはわかるが…
それにはいろいろと問題が…
「俺の家にはベッド一つしかないんだけど…」
「一緒に寝ようよ。その方が安心だし。」
当然却下だ!
…仕方ない、今日は床で寝るか。
「…で、着替えなんだけど……」
まさか着替えないままなんて言わないよな?
「それなら大丈夫だよ。」
「…?」
「こんな事もあろうかと、前に来た時にこっそり隠しといたから♪」
いつの間に!?
勝手な事してんじゃねぇよ!
…全然気づかなかった俺も問題だけど。
「まだ問題ある?」
「う〜ん…」
「考えるってことは無いんだね?じゃあ決まりだ♪」
勝手に決めんな!
確かに今は思い浮かばないが、絶対に後で問題が出るはずだ!
「あまり細かいこと気にしたら長生きできないよ?」
「いや、まぁ…確かにそうかもしれんが……」
「それとも、そんなにボクと一緒にいるのがイヤなの?」
「そんなことはないけど…」
お前の事がイヤってわけじゃないが、イヤな予感はするな。
「イヤじゃないならいいでしょ?こんな美少女と一日中一緒にいられるんだから嬉しいと思わなきゃ。」
「美少女…?」
「美少女♪」
…………。
「…ツッコミが欲しいのか?」
「うん。」
「じゃあ、ここはあえてスルーで。」
「えぇ!?」
何にでもツッコミをいれると思うなよ?
「せっかくボケてあげたのに…」
「ボケる必要性がないだろ?」
「キミからツッコミを取ったらキミには何の特徴も無くなっちゃうじゃん!」
「やかましい!」
俺の存在価値はツッコミだけか!?
「それならキミがツッコミをいれたくなるようなボケを……」
「わかったわかった!ツッコんでやるから変な事をするな!」
ツッコミだって疲れるんだから休ませろよ…
…ボケは疲れないの?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……さて…………
予想通り、やっぱり問題が発生したか……
「ねぇ!お願いだから!一人じゃ怖いんだって!」
「バカかお前は!?幽霊なんかいないから安心しろ!」
どんだけ怖がりなんだよ!?
まさかこんな事で問題が起きるとは…!
「髪を洗ってる時って無防備じゃん!その時に視線を感じたりしても逃げれないでしょ!?」
「だから幽霊なんかいないって!視線を感じたらそれは覗きだ!」
まさかあんな映画を見ただけで一人で風呂にも入れなくなるなんて…
お前、一人暮らしやめた方がいいんじゃない?
「一生のお願いだから!」
「こんな事に一生のお願いを使うな!お前の一生はそんなに安っぽいモノなのか!?」
「なんでそんなにイヤがるのさ!?」
当たり前だろ!?
少しは冷静に考えろ!
「女の子と一緒にお風呂入るのって、男の子には夢のような状況じゃん!」
周りからは確実に反感を買うぞ!?
「いいじゃん!別に見られたからって減るモノじゃないんだからさ!」
それは覗いた時に言うセリフじゃないの!?
自分から言うな!
「…どうしても一人じゃイヤなのか?」
「うん!」
「はぁ…仕方ない…」
「え!?いいの!?」
こうなったら………
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『…ねぇ、ちゃんとそこにいる?』
「いるって。安心して入ってろ。」
当然一緒に入るなんて事をするわけがない。
風呂場のドア一枚隔てた所にいるだけでも少しはマシだろ。
…それでもさっきから何回も話しかけられてるけど。
そんなに怖いか…?
『…本当は一緒に入ってくれた方が嬉しかったんだけどなぁ…』
「ん?今何か言ったか?」
『…いや、何でもないよ。』
「…?」
『それよりさぁ…キミがお風呂に入ってる時はボクどうしてたらいいの?』
…あ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…さて、後は寝るだけだな。」
「え〜?もう寝るの?まだ眠くないよ?」
…夜更かしするから寝てばっかりなんだぞ?
あ、そうそう。
俺もちゃんと風呂には入ったからな?
無理やりスイレンを説得して、さっきの逆の状況になってもらうことで了承を得た。
…落ち着いて入れなかったけど。
「一応聞いておくが、ベッドはお前が使うんだな?」
「え?一緒に寝るんじゃないの?」
そんなわけないだろ!
「だってさ、ボクがベッドで寝たらキミの寝る場所が無いじゃん。」
「俺は床で寝るよ。毛布を一枚分けてくれればいいから。」
「え〜…」
…なんでお前が不満そうなんだよ?
不満なのは俺の方じゃない?
「この際ハッキリ言うけど、ボクはキミと一緒に寝てみたい!」
「何故!?」
ハッキリ言うことじゃないだろ!?
そんな事を望む理由がわからんぞ!?
「多分キミと一緒に寝たら最高に寝心地がいいと思うんだ♪」
…俺はお前の安眠グッズか?
「…もしかしたらボク、キミの事を好きになっちゃったかもね?」
「はぁ!?」
何をいきなり!?
「ははは♪そんなに驚かないでよ。冗談だから。ただ、キミと一緒にいると楽しいのは本当だよ。」
…オモチャみたいな感覚?
それだと悲しいぞ?
「さて、とりあえずその話は置いといて…結局、キミは一緒に寝てくれないの?」
「だから寝ないって。気にしないでベッドで寝ろよ。」
「…つまんないの。じゃ、おやすみ〜。」
《パチッ》
「…ってちょっと待て!勝手に電気を消すな!それにまだ毛布もらってないぞ!?」
「欲しかったら奪い取るがいい!ただし、ボクに触ったらセクハラとしてみんなに言いふらしてやる!さぁ、この暗い中ボクに触れずに毛布を取ることができるかな?」
「何考えてんのお前!?俺に風邪をひかせるつもりか!?」
「大丈夫だよ。バカは風邪ひかないから。」
「じゃあ交代しろ!」
「…もしかしてボクをバカ扱いしてる?」
「違うのか?」
「…………。」
「少しは否定しろ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【翌日】
「…さて、そろそろ帰るかな?」
「…え?もう帰るのか?」
意外だな…
夕飯を食ってから帰ると思ってたのに…
…昼食は食ったけど。
「あまり長居しても迷惑だしね。キミに嫌われたらご飯食べさせてもらえなくなるもん。」
「別に迷惑じゃないし、嫌いになることもないと思うが…」
…大人しくしていればの話だけど。
「まぁ、本音で言えば本当はここに住み着きたいくらいだけどね。」
「それは困る!」
「わかってるよ。…でも、隣に引っ越してくるかもよ?」
…冗談だよな?
もしそんな事になったら俺の休息時間が…!
「それじゃあね。」
「ちょっと待て!今言ったのは冗談だよな!?お前があの家からこんな所に引っ越すわけないもんな!?」
「…さぁね♪」
「いつもなら冗談って言うじゃねぇか!頼むから冗談って言ってくれよ!!」
「ははは♪来週も遊んでくれるなら言ってあげるよ♪」
…………。
「…いや、多分冗談だろうからそこまでして言ってほしいと思わない。」
「あれ!?意外と冷静だった!?」
そんな手に引っかかるか!
俺を甘く見るな!
「ちょっと残念かな…?まぁいいや。それじゃ、また明日。」
「おう。じゃあな。」
…夕飯を食べに来るって意味じゃないよな?
…さて……
とりあえず今回の教訓は『スイレンにホラー映画は見せちゃダメ!』ってことだな。
覚えておかないと…
でも、脅しに使えるかも…?
オチを書くのが相変わらず苦手です。 毎回中途半端のような… 今回の話は恋愛よりもコメディを優先したような話になっています。 スイレンは恋愛って性格じゃないので。 とりあえず今回はこの辺で。 感想・評価・要望・助言・質問などお待ちしています!