第73話〜デートごっこ…?
《キーンコーンカーンコーン…》
…やっと今日も授業が終わったか。
今日は金曜日だから、後は部活さえ乗り切れば二連休…
数少ない休息の時間まであと少し…!
よし!
頑張れ、俺!
たとえ辛くても、休みはある!
いざ、部室へ!
「あ、待ってたよ。キミ明日ヒマ?」
…いや、正直誰かが俺の休日を奪いに来ると思ったよ。
わざわざ教室の前で待ち伏せしなくても…
「…悪いけど明日は大事な用事が……」
「ウソはダメだよ。キミのスケジュールは事前にチェックしてあるから。」
俺のプライバシーは!?
てか、わかってるなら聞くな!
「…何の用だよ?」
「ヒマならボクと遊ぼうよ♪」
…はぁ?
「遊ぶって…お前休みの日は寝てるんじゃないの?」
「さすがに昼には起きるよ。休みの日ってする事なくてヒマだからさ…たまにはいいと思わない?」
…確かに、たまにはそういうのもいいな。
「わかった。何時にどこで待ってればいい?」
「やった♪とりあえず昼過ぎにキミの家に行くから待ってて。」
ま、遊びに行くだけならそんなに辛い目に会わないだろ。
それに休みはもう1日ある。
大丈夫なはずだ!
…多分。
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【土曜日:昼過ぎ(?)】
…そういえば、どれくらいの時間までを昼過ぎって言うんだ?
今の時刻は2時なんだけど…
明らかに遅すぎない?
《ピーンポーン》
お?
やっと来たか?
「いやぁ、ゴメン♪寝過ごしちゃった♪」
「…この時間まで寝てるのもある意味すごいよな。」
「そうかなぁ?まぁ、とりあえず早く行こうよ。遊ぶ時間が無くなっちゃう!」
俺は別にそれでもいいけどな。
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【ゲーセン】
「やっぱり遊ぶと言ったらここでしょ♪」
俺たちが来たのは、俺たちが住んでる所の近くにあるゲーセン。
そんなに大きくはないが、それなりにゲームもある。
そして、あまり人もいない…
「ここには2、3回来たことがあるけど…相変わらず人がいないな。」
「だからこそいいじゃん。ここならいくら騒いでも迷惑じゃないでしょ?」
…店員には迷惑なんじゃないの?
「…さて、キミはゲームに自信があるかな?」
「な、何だよ突然?」
「この格闘ゲームでボクと勝負だ!」
「やだ。」
「何で!?」
お前の考えそうなことはわかってるさ…
「お前、実はこのゲーム得意なんだろ?それで、『負けた方が勝った方の言うことを聞く』とかそういうのをやらせようとしてるんじゃないのか?」
「な、なぜバレた!?」
単純というか…
お前のやりそうな事を予想しただけだ。
「こっちのパズルゲームなら対戦してもいいぞ?」
「パズルは苦手なんだよなぁ…」
自分の得意ジャンル以外はやる気なしかよ!?
「あ!あっちにUFOキャッチャーがある!」
「逃げた!?」
…アイツが勝負を挑んできた場合はよく考えるとしよう。
アイツ、自分が勝てるモノ以外で勝負する気ないみたいだからな…
「ねぇねぇ!あのぬいぐるみ、かわいいと思わない?」
「あのウサギのヤツか?」
「違うよ。あのクマのヤツだよ。」
ああ、あれか。
確かにかわいいかも。
こういうのを欲しがるなんて、スイレンにも女の子っぽい所があるんだな。
「どれ、俺が取ってやるよ。」
「え?いいの?」
ふっ…
こういうのは昔から得意だからな。
五回以内に取ってみせる!!
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【数分後】
「わ〜い♪ありがとう♪」
「…喜んでもらって嬉しいよ。」
…12回もやってしまった……
こんなはずでは…!
「コレ、大事にするよ♪」
…そんなにそのぬいぐるみが気に入ったのか?
「お前が安眠グッズ以外のモノを気に入るなんて珍しいな?」
「失礼な!安眠グッズ以外にもお気に入りはたくさんあるんだから!」
「ほう?例えば?」
「…え?あ〜…えっと……」
無いんじゃねぇか!!
「…あ!あったあった!ボクの一番のお気に入り!」
「…何だよ?」
くだらないモノじゃないだろうな…?
「キミだよ!キミ!」
…俺?
それとも卵の方?
「キミっていい人だし、一緒にいると楽しいし、そして何よりからかいがいがあるもん!」
「…最後のが無ければほめ言葉として受け取るんだけどな。」
「ははは、最後のが一番の理由だからね。ほめる気なんか無いし。」
…この野郎!
「そうだなぁ…せっかくだから今日はデートって事にしようか?」
「はぁ!?」
何だよいきなり!?
どういう話の流れ!?
「意味がわかんねぇよ!?」
「いいじゃん。本気で付き合うわけじゃないんだからさ。練習…いや、『デートごっこ』って感じかな?」
「だから何でそんなことをやるんだよ!?」
「何となく。」
「…………。」
…何考えてんのか全然わからねぇ…
「デートって言うからにはそれっぽいことしたいよね。映画でも観に行く?」
「…好きにしろ。ただし寝るなよ?」
「…絶対って保証はできないけど、できるだけ頑張るよ。」
少しでも寝る可能性があるなら行くな!
もし寝たら置いてくからな!?
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【映画館】
「…ねぇ、やっぱり観るのやめない?」
「お前が観たいって言ったんだろ?今さら何を言ってんだよ?」
「だ、だってさぁ…」
コイツにとってこれは予想外だったんだろう。
さっきまでと違い、相当消極的になっている。
「…観ないで寝てたらダメ?」
「そんな事したら置いてくからな。」
「そんなぁ〜…」
コイツがこんなにイヤがる理由…
それは単純にこれから観るのがホラー映画だからだ。
「ボクは怖いの苦手なんだって!夜寝れなくなったらどうすんのさ!?」
「安心しろ。お前の安眠グッズならすぐに寝れるさ。」
「そういう問題じゃないよ!」
心配しなくても、お前なら一分もしない内に寝れるだろ?
…悪夢を見る可能性もあるけど。
「ほら、早くしないと始まっちゃうぞ?」
「う〜…!寝れなくなったらキミに八つ当たりしてやる…!」
やれるもんならやってみろ!
睡眠不足のお前は怖くない!
もし八つ当たりしてきたら、またホラー映画見せてやる!
う〜ん…
…完全に悪役気分。
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【恭也の家】
「いやぁ、あの映画はすごかったな!」
「え、映画の話はもうやめてよ!!」
あの後、映画館から出た俺たちは特に行く所もないし、俺の家に戻ってきた。
…まぁ、スイレンが『もう帰ろうよ!』と言ったのも理由の一つだ。
暗くなる前に帰りたいのはわかるが、なぜコイツは俺の家に来たんだろう…
実際に体験したわけではないから、俺は『少し怖かった』くらいにしか思わなかったが、コイツは相当怖かったようだ。
ぬいぐるみを抱きしめて布団の中に隠れているのがその証拠。
「…そんなに怖かったか?」
「怖いよ!あれを見て怖がらない方がおかしいよ!」
「…そこまで怖がるヤツもいないだろうけどな。」
「うるさぁい!!」
ま、日頃の恨みを晴らすのはこのくらいにしておくとして…
この状況はなんとなくイヤな予感がするんだよな…
「…一応聞くけどさ、まさかお前、今日の夕飯はここで食う気か?」
「それくらいはしてもらわないと今日の事は許してあげないよ!」
俺は別に悪いことやってないぞ!?
もともとお前が言い出したことだろ!?
「…まぁいい。夕飯を食い終わったらちゃんと帰…」
「やだ!!」
…は?
今コイツ何て言った?
まさか…『やだ』って言った?
それって……
「今日はキミの家に泊まる!!」
…マジで!?
遅くなりましたが、リクエスト作品です。 短いし、次話に続いちゃってますが、こんな感じで許してください。 とりあえず今回はこの辺で。 感想・評価・要望・助言・質問など、お待ちしています!