第71話〜発明品整理
【放課後:部室】
「…ヒマだな。」
「……そう…?」
部活の時間は特にする事もなくて退屈になってしまう。
…最初の頃はよかったんだが、最近はマンガを読むのも飽きてきたしなぁ…
「……ヒマだったら読む…?」
「いや、俺はどうもそういうのは…」
「……面白いのに…」
気持ちはありがたいが、そんな文字だらけの本は俺には読めないよ。
絶対、途中で飽きる。
「キョーヤ、ヒマなの?」
「ヒマだな。」
「だったらちょっと手伝ってほしいなぁ…」
…手伝い?
「手伝いって?」
「いやぁ、そろそろ発明品の整理をしないとダメなんだよね♪」
…待て待て、その大量の機械はどこから出したんだ?
それを整理?
全部捨てた方が早いと思うよ?
「中には面白いモノも混じってると思うから、暇つぶしにはちょうどいいよ♪」
…危険物は入ってないだろうな?
「……面白そう…私も手伝っていい…?」
「いいよ〜♪」
…ま、どうせヒマだしな。
「…よし、俺もやるか。」
「やった♪それじゃあ、さっそくやろ♪」
「あ、三人とも、ケガしないようにしてくださいね?」
「言われなくても大丈夫だって♪」
…………。
…あれ?
もしかして意外と危険だったりする?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……これは…?」
「えっとね…こっちに置いといて。」
「これはそっちか?」
「そうだよ♪」
作業は思ったより順調に進んでいた。
…まぁ、大きさ別に分けるだけだからな。
仮に危険な発明品があったとしても、これくらいのことなら作動しないだろう。
「……ところで、これらって全部成功品なの…?」
「…ノーコメント♪」
「…あまり成功してるのは無いんだな?」
「ノーコメント!」
マジで捨てた方がいいんじゃないのか…?
「……これなんかよくできてると思うけど…」
そう言って澪が持ち上げたのは、クマのぬいぐるみだった。
…ってぬいぐるみ!?
「これって発明品か!?ただのぬいぐるみじゃないの!?」
「違うよ?これはね、『メッセージクマちゃん』っていう発明品♪」
…何それ?
そのクマが勝手に歩いてメッセージでも伝えてくれるのか?
「……どうやって使うの…?」
「まず、メッセージにしたい言葉を録音!これはこのボタンを押しながら話しかけて…」
…長いので省略。
簡単に言えば、録音したメッセージを設定した時間に再生してくれるぬいぐるみってことだ。
「……どんな時に使うの…?」
「目覚ましとか、伝言に使えるよ♪好きな人に告白する時、直接言うのが恥ずかしい場合はこれを使ってもいいね♪」
「……なるほど…」
「…でも、渡されたぬいぐるみがいきなりしゃべったら怖くないか?」
「それに途中で電池が切れたり、再生する時間にぬいぐるみのそばにいなかったら意味ないよね♪」
あ、自分たちでちゃんと欠点わかってるんだ?
「……どんなモノにも欠点はあるからね…」
「欠点と言えば、こんなのもあるよ?」
欠点のあるモノは紹介しなくてもいいよ!?
「……カード…?」
「薄いでしょ?でも、これはカードじゃないよ♪さぁ何でしょう?」
…欠陥品。
「……ボタンみたいなのがついてる…それに画面みたいなのも…もしかして…」
「正解は『ケータイ』でした♪」
ケータイ!?
いや、薄さは完全にカードだぞ!?
薄すぎだろ!?
「……答え言うの早い…」
「ゴメンゴメン♪これはね、『メルフォン』って言うメール専用のケータイなの♪必要最低限の機能だけだからこの薄さに!」
「……最低限の機能だけでも、ここまで薄くなるかなぁ…?」
「細かい事は気にしちゃダメ!」
…メール専用か。
確かに、電話よりメールの方が多いからな。
そういう人にはちょうどいいかも。
…でも欠点があるんだろ?
「これの欠点って何だ?」
「薄すぎて壊れやすいし、電池が少ししかない♪」
ダメじゃん!?
「まぁ、これは形を変えればいいから何とかなるんだけど…もう一つ重大な事が…」
「……何…?」
「これって無許可で勝手に造って使ったら違法になるのかな…って。」
そっちの問題!?
でも、確かにそれはダメだろうなぁ…
「……そんなこと気にしてたら何も造れないんじゃ…」
「それもそうだね♪」
いや!
それは気にしないとダメだって!
「……これは何…?」
…今度は大きいな。
見た目はプリンターみたいだけど…?
「それは『ホワイトペーパー』って言って、環境に優しい発明品なんだよ♪」
「『ホワイトペーパー』って…白い紙?」
「うん♪ほら、学校からプリントもらうけど、それってゴミになるでしょ?でも、これを使うとそのプリントを白紙に戻せるの♪」
「……リサイクル…確かに環境にはいいかもね…」
「何でこれが欠陥品なんだ?」
「欠陥品なんて言ってないよ!?」
「違うのか?」
「違うもん!」
へぇ、ちゃんとしたのもあるんだ?
意外…
「…でも、ヒカリに使ったらダメって言われてるの。」
「……何で…?」
「…私が返却されたテストも白紙にしちゃうからって。」
それはダメだろ!
ヒカリが正しい!
「……このペンは何…?」
「それ?それは…そこのメガネとセットの発明品だよ♪名前は『シークレットペン』♪」
メガネとペン…?
そのメガネをかけないと見えない字を書くペンとか?
「……なんとなくわかったから、説明はいいや…」
「説明したかったのに〜!」
自分たちの発明品の自慢はいいから。
十分自慢しただろ?
「これはねぇ…」
「……説明はいらないって言ったのに…」
「どうせ、そのメガネをかけないと見えない字を書くペンだろ?」
「え!?何でわかったの!?」
その組み合わせで他の使い方って思いつくか?
てか、名前からもわかるだろ。
「……欠点はメガネを無くしたら自分にもわからないとか…?」
「うっ!?」
…そのまんまだな。
「…つ、次に行こ!次!」
いや、紹介より整理だろ。
このペースじゃ終わらないぞ?
「ほら!これなんかスゴいんだから!」
「…カゲリちゃん?さっきから作業が進んでないように見えるんですが…?」
「ヒカリ!?そ、そんな事ないよ!?ちゃんとやってるから安心して!」
「…ならいいんですけど。」
ほら、ヒカリにも怒られた。
もう説明はいいから、ちゃんと作業しないと。
「…で、この発明品はね…」
いいから作業しろ!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…ふぅ、やっと終わったか。」
「お疲れ〜♪」
「……お疲れ…」
…危険物が無くってよかった。
それにしても、けっこうな量だよな…
いつの間にかこんなに造ってたんだ…
…使えるのは少ないけど。
「また明日もよろしくね♪」
…はい?
「…え?もしかして他にもまだあるの?」
「うん♪」
「…どれくらい?」
「たくさん♪」
…アバウトだな。
造りすぎだろ…
…っていうかさぁ……
「…そんなにあるんだったら、次はヒカリにも手伝わさせたら?」
「いやぁ、私がやらなきゃダメなんだよねぇ〜…」
「……なんで…?」
別に誰がやってもいいんじゃないのか?
カゲリだったらヒカリに任せると思ったのに…
「ヒカリに宿題見せてもらえないから♪」
それが目的か!?
今回は久々に発明品を出してみましたが…これらのモノって実在してないですよね? …まぁ、もし実在してても、気にしないでください(苦笑)。 とりあえず、今回はこの辺で。 感想・評価・質問・要望・助言など、お待ちしています!