表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/147

第70話〜あの子の名前

 




《ザー……》



…雨か……


雨の日ってやだな…


薄暗いし、ジメジメしてるし、服が濡れたら気持ち悪いし……






「恭也、今日も私の部活休みだからそっちの部に遊びに行くから。」




…悠希が来るし……



最近休み多くない?


そんなんで大会とか大丈夫なの?



…ま、悠希なら大丈夫だろ。


かわいそうなのは他の部員だな。



…俺には関係ないけどな。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【放課後:部室】



「さて、今日もいつも通りに部活をしましょうか。」




その声で俺たちは勝手に行動を始める。


緋乃姉妹はわけのわからない機械を造り、澪は読書(小説)、俺はマンガを読んでいる。




「…相変わらず自由な部活ね。」


「残念ながら、ここにいても面白いことは無いぞ?」


「いいわよ。KYO-YAで遊ぶから。」


『遊ぶな!』




…よかったな。


最近出番増えてきたじゃん。




「…ところで、今日は大地さんはいないんですか?」


「あれ…そういえばいないな?」


「……休んでないはずだけど…」


「大地なら保健室に送ったわよ?」




お前の仕業!?


何やってんの!?




「…悠希さん?また子どもになりたいんですか?」


「ち、違うわよ!大地が女の子に話しかけてたから…」


「あ、それならいいです。」




いいの!?


え!?

つまり大地は女子に話しかけた時点で保健室に送られるってこと!?



…まぁ、同情はしないけど。






《…コンコン》



「…ん?誰かノックしてないか?」




珍しいな…


部活時間に誰か来るなんて…




「入ってもいい?」


「はい、どうぞ。」




待てヒカリ!


今の声は…!




《ガラッ》



「お邪魔しまーす。」




やっぱりスイレンか…




「お前、部活は?」


「まぁまぁ、細かい事は気にしない♪」




…細かい事か?


そもそも、お前は何部なの?




「それより…ボクは大事な話があるから来たんだよ。」


「…大事な話?」






「悠希!澪!キミたちのせいでボクは大変な目に会ってるんだよ!」


「……私たち…?」


「何の話よ?心当たりないんだけど?」




悠希と澪…?


この2人がスイレンにやったこと…?




「ボクが人に情報を売ってるのは知ってるでしょ?」


「……うん…」


「私は常連だしね。」


「最近、『《?ちゃん》の本名は何ですか?』とか『《?ちゃん》は何組の人ですか?』とか、《?ちゃん》に関する質問が多いんだよ!どうしてくれんのさ!?」




…あぁ、《?ちゃん》ね。


まだ人気あるんだ?




「別にいいんじゃない?」


「……望壮高校のアイドル…」


「うるさい!ボクはもう忘れたいの!」 




お前が忘れたくても、周りが忘れさせてくれないだろ。


忘れたかったら、ファンクラブを潰さなきゃ。




「…そういえば、いつまで《?ちゃん》って名前なの?」


「カゲリの言うとおりね。そろそろ名前つけてもいいんじゃない?」


「二度と登場しないのに名前つけてどうするの!?ボクはもう絶対にあんな事しないよ!?」


「……名前をつけることによって、ファンクラブは一層活発化…また出番あるかも…?」


「だからボクはヤダって!…あれ?キミって再登場に反対してなかったっけ?」


「……また見たくなった…」


「なんて自分勝手な理由!?」




…文句言いに来て、逆に悪化したな。


黙ってればこんなことにはならなかったのに…




「じゃあ、みんなで《?ちゃん》の名前考えようよ♪」


「いいわね。」


「……賛成…」


「反対!ヒカリも反対だよね!?」


「私はどちらでもいいですよ。」


「じゃヒカリも賛成ってことで。」


「わかりました。」


「ちょっと!?」




残念だったな。


ここまで来たら多数決でもどうにもならないだろ。




「…恭也、キミはボクの味方だよね?」


「俺は人数の多い方に行くタイプだから。」


「自分の意思を持ってよ!?1人にしないで!?」




仮に2人になってもどうしようもないって。


諦めろ。







============



「え〜、それでは、《?ちゃん》の新たな名前をつける会議を始めたいと思います。」


「本人の了承なしにやらないでよ!」




そんな事言ってたら話が進まないだろ。


人生にはイヤな事だってあるんだからガマンしないと。




「…ところで、何でボクはイスに縛りつけられてるの?」


「騒がしいからじゃないか?」


「当たり前でしょ!?イヤな事を黙って見過ごすわけ…」


「うるさいと口もふさぐわよ?」


「えぇぇ!?そんなぁ…!」




さて、静かになったし、さっさと始めるか。







「まずはKYO-YAからね。」


『俺!?』




…今回はもう出番ないと思ってたのに。




『ようやく俺も仲間と認めて……』


「いや、こういうのって一番最初の意見って却下されやすいじゃない?だからよ。」


『…そうかよ。』




…利用価値があってよかったな。




『…って言っても、俺は何の話かよくわからないんだけど?』


「あ、そっか。アンタ《?ちゃん》知らないもんね。じゃ今回のアンタの出番はもう無しね。」


『え!?マジで!?』




…利用価値がなくなったな。


また次の機会を楽しみにしてろ。






「ヒカリ、何かいいのある?」


「え!?ん〜…」




…一番最初の意見って却下されやすいんじゃなかった?


いいの?




「そうですね…スイレンさんの名字って《枕谷》でしたよね?」


「ん?そうだけど?」


「なら、《マクラちゃん》ってのはどうでしょうか?」


「正体バレるって!?」




…あれ?




「そういえば、何人かにはバレてるんじゃないのか?ほら、席とかでわかるだろ?」


「あぁ、それなら大丈夫だよ。なんとかごまかしたから。」


「…どうごまかしたか気になるんだけど?」


「それはヒミツって事で♪」




ごまかしきれるものなのかなぁ…?






「カゲリは?いい意見ある?」


「えっとね…《スイちゃん》ってのは?」


「だからボクの名前から取らないでってば!」


「いっそのこと、《スイレンちゃん》でもいいんじゃないかしら…?」


「それ思いっきりボクじゃん!?ダメに決まってるでしょ!?」




だんだん手抜きになってるような…




「恭也は?」


「俺?そうだな…」




名前から取っちゃダメなら…


…外見か?


あの時はメイド姿だったから…






「メイドから取って、《メイちゃん》ってのはどうだ?」


「普通すぎ。却下。」




…………。




「キ、キミ!落ち込まないでよ!?今までの中で一番マシな名前だったから!」


「…どうせ面白くもない名前しか考えつかないからな…」


「ボクはその方が助かるんだけど…?」




でもそういうのは却下されるけどな… 






「じゃ、最後は澪ね。何がいい?」


「あれ?悠希は言わないのか?」


「もう言ったじゃない。《スイレンちゃん》って。」


「だからそれはダメだって!!」




仮にそれに決まったら、正体バレるよな…


でも、誰も同一人物だとは思わないんじゃ…


キャラ違いすぎるからな…




「……実はずっと前から考えてたんだけど…」


「ずっとって…そんなの考えなくていいよ!」




でも、時間をかけて考えたならいい名前が…


…いや、変な名前つけそう。






「……《カレンちゃん》がいいと思う…」




…あれ?


意外だな…




「…案外普通ね。」


「レイなら意外なの言ってくるかと思った…」


「てかなんで《カレンちゃん》なの?」


「あの時のアンタが可憐だったからじゃないの?」


「うるさい!」


「澪さん、名前の由来はなんですか?」




…適当につけたとか言わないよな?


いや、それはないか。




「……悠希さんの言ったのも理由の一つだけど…」




あ、やっぱり?




「……スイレンさんの《スイ》って漢字にしたら《水》にもなるから…《水》に対して《火》ってことで…」




なるほどね…


考えたな…




…俺にはムダな時間にしか思えないが…




「なかなか深いわね…これならアンタも文句ないでしょ?」


「いや、でも《レン》が一緒なんじゃ…」


「名前の後ろの方なんか誰も気にしないから大丈夫よ。」


「いやいやいや!気づく人は気づくって!」


「気づいても『名前が似てるね』って言われるだけだと思うよ?」


「……カゲリさんの言うとおり…正体まではバレない…」


「いや…でも…」


「それとも他の名前がいいわけ?」


「だから名前なんか…!」


「いいから早く決めなさいよ!」


「うぅ…!」







「恭也〜…悠希がイジメる〜…」


「…お前はそんなキャラじゃないだろ。」


「冷たっ!?慰めてくれてもいいじゃん!?」




あいにく、この状況でお前を慰めると俺にも被害が来そうだからな。


そんなのはゴメンだ。 






「…とりあえず、名前は《カレンちゃん》に決定でいいわね?」


「だから…」


「はい決定〜♪」


「結局無視じゃん!!」




スイレン、こういう時は諦めるしかないんだ…




「安心しなさい。ファンからの熱い要望が来るまでは出番ないから。」


「安心できないよ!一生出番なしでいい!」




いや、名前を付けたからには最低でも一回は出ると思う。


出たくなかったら、悠希や澪に弱みを握られないようにな。






「…とりあえずさぁ、もう話し合いも終わったんだからこの縄ほどいてよ。」


「恭也!日頃の恨みを晴らすチャンスよ!」


「ちょっとちょっと!?何言ってんの!?」




いや、確かにチャンスだが…


…俺としてはお前にも恨みを晴らしたいんだけど?




「恭也…キミはそんな事するような人じゃないよね?」


「スイレン…」






「…そんな目をしても意味ないから。」


「…ダメ?」


「ダメ。」


「効かないか…」




大地なら効果ありかもな。



…実際俺もちょっと…


いや、何でもない!




「……スイレンさん、今のウルウルした瞳の上目遣いを撮らせてくれたら助けてあげる…」


「…いや、それは遠慮しとくよ。」




…澪にも効いたな。




「…まぁ、俺もそこまでヒドい男じゃないからな。今回は見逃してやるよ。」


「キミ…」






 




「…この後『べ、別にお前の為なんて思ってないからな!』とか言わないよね?」


「…デコピンくらいならいいかな?いや、ゲンコツでも…」


「ゴメンゴメン!許して〜!」


「……男のツンデレ…アリかな…?」




澪!?









「…で、結局ボクはいつまで縛られてるの?」


「あぁ、もう一つの会議が終わったら解放してあげるわよ。」


「もう一つの会議…?何それ?まだあるの?」 




あるみたいだな…


何の話し合いをするつもりなんだ?









「…さて、次はどんなコスプレさせる?」


「……次は…」


「ストーップ!そんな会議やらなくていいから!」




…災難だな。

男のツンデレって存在するんでしょうか?     ちょっと見てみたい気がしますね。        …ゴツい男だったら見たくありませんが。                 それでは、短いですが今回はこの辺で。      感想・評価・質問・要望・助言などお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ