第69話〜マウスパニック!
それは昼、授業が終わったばかりの時だった…
《グラグラグラ…!》
「じ、地震!?」
「女子のみんな!この俺が君たちを守るので安心して…」
「うるさい!」
「ごはぁっ!?」
悠希のせいで守れなくなったな…
てかそこまで大きい地震じゃないし。
これなら大した被害もないだろ………
《ズドォーーーーン!!!!》
『キャーッ!!』
『うわぁ!?』
『な、なんだ!?』
え!?
なに!?
爆発音!?
凄まじい音と振動に教室内は騒然となる…
地震で校舎が崩れたとか…?
そんなわけないか。
「…これは事件の予感ね。」
「事件?まさか爆弾テロ?」
「確かめたいと思わない?」
もし本当に事件だとしたら、俺は関わりたくない!
「……私は事件じゃないと思う…」
そりゃあ、事件の可能性は低いだろ。
地震の後に起きた爆発音なんだから。
「…まさか緋乃姉妹が!?」
アイツらなら爆発物持っている可能性も…
「……いや、あの2人は違うと思う…私は『あの人』だと…」
『あの人』…?
…あ、確かにもっと可能性高い人いたな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「フフ♪お騒がせしてゴメンナサイ♪」
「アナタは本当に反省してるんですか!?アナタのせいでこんな騒ぎになったんですよ!」
…やっぱりか。
原因はやっぱり加賀のようだ。
職員室に行ってみたら、教頭に叱られていた。
今回の地震で、加賀の保管している薬品(主に爆発物)が落下し、爆発したらしい…
…どこの教室が爆破されたかはわからないが、多分化学準備室だよな…
もし授業中に地震が起きたら、ケガ人が出たんじゃ…
「な〜んだ?もう解決?」
つまらなさそうにするな。
大惨事にならなかっただけまだいい。
「……午後の授業はどうなるのかな…?」
「中止!そうに決まってるわ!」
決まってねぇよ!
お前の願望だろ!
…可能性は高いけど。
「…あら?アナタたち、ちょうどよかった♪」
『!?』×3
見つかった!?
「な、なんですか!?」
「そんなに警戒しなくてもいいわよ。今回はアナタたちに頼み事があるだけ♪」
頼み事…!?
「どうやらさっきの爆発で、私の実験動物たちが逃げちゃったみたいなのよ。もしよかったらその子たちを捕まえてきてくれないかしら?」
実験動物!?
そんなのもいるの!?
「あ、実験動物って言っても予算の都合上、マウスが五匹だけよ?」
…イメージ的にヤバそうな生き物だと思ってました。
でも、マウスって小さいんだろ?
そんなの五匹も捕まえるなんて…
「もし全部捕まえてきたら、テストの点数あげてあげる♪」
「「捕まえてきます!」」
「……悠希さんはわかるけど…恭也君も…?」
俺だって点数あげてほしい!
澪にはわからないだろうけど、俺たちには大事な事だ!
「それじゃ頼んだわよ♪」
「「了解!」」
「…………。」
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…とは言ったものの…
「一体どこを探せばいいのか…」
よく考えたら、この学校ってけっこう広いんだよな…
無闇に歩き回っても見つからないだろうし…
「イグに探させてみる?」
「……食べちゃわない…?」
「食べないわよ!」
…てかイグに見つけられるわけないだろ。
「そうだ!スイレンに聞けば…」
「スイレンがこの昼寝にちょうどいい時間帯に起きてると思う?」
「…思わないな。」
それならどうしたら…
「……ネズミ取り…」
「…へ?」
「……校内のあちこちにネズミ取りを仕掛けたら…」
「それよ!それしかないわ!」
さすが澪!
その手があったか!
「……問題はネズミ取りが無いことなんだけど…」
「ダメじゃん!?」
…さすが澪。
問題点まで自分でわかってたか…
「……せめてチーズがあれば…」
「そういえば、なんでネズミ=チーズなの?」
知るか!
スイレンにでも聞いとけ!
…そして後で教えてくれ。
俺も知りたい。
「……とりあえず聞き込みしながら探す…?」
「そうだな。…てかそれしかないな。」
はぁ…
成績UPのためとはいえ、面倒な仕事引き受けちゃったな…
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【C組教室】
「ネズミ…ですか?」
「あぁ、見なかったか?」
まずは知り合いから。
…何となく知り合いに聞いた方が見つけやすいと思うんだよな…
…話の流れ的に…
「もしかして、この子のことですか?」
捕まえてた!?
これは予想外だった…
「ヒカリ!アンタも成績狙いなの!?」
「え!?な、何の話ですか!?」
「…いや、ヒカリは関係ないだろ。」
「私はただ、クラスの人が困っていたので捕まえただけですよ!」
…俺が困っていても助けてくれないのはなぜ?
巻き込まれたくないから?
判断としては正しいけど…
「そういえばカゲリちゃんも捕まえてましたよ?『面白いこと考えた♪』って言いながらどこかに行っちゃいましたけど…」
「面白いことって…恭也にイタズラする気なんじゃない?」
…ありえる。
てか絶対そうだ!
「……だとしたら、そのうち会えるよね…」
「…そうだな。」
カゲリは後回しにして次に行こうか。
「がんばってくださいね。」
「ああ。もし他にも見つけたら教えてくれ。」
「わかりました。」
…さて、次は……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【B組教室】
『ザワザワ……』
教室に入ってみると、なぜか人だかりが…
…何かやってるのか?
「…何の騒ぎだ?」
「…さあ?」
「……ここからじゃ見えない…」
大地に聞き込みしようとしてたんだが…
これじゃ探せないな…
「やぁ、そこの三人。どこ行ってたの?」
教室の入り口辺りで立っていた俺たちに気づいたのか、人だかりから1人の男がやってきた。
「……誰…?」
「知らなーい。転校生じゃない?」
「同じクラスだよ!?覚えてないの!?…神堂は覚えてるよね?」
…あぁ、もちろん覚えてるさ。
「クラスメートAだろ?」
「何その呼び名!?」
「あ〜、黒城先生のチョークを一番受けてる人?」
「……思い出した…」
「…俺って……」
まぁ、落ち込む気持ちはわかるよ。
でも、未だに名前ないんだもん。
ここまでしゃべったのだって初めてだし。
しょうがないさ。
「…で、あの人だかりはなんだ?」
「…あれ?人間VSネズミの様子を見てるんだよ。」
何それ!?
「…その『人間』ってもしかして……」
「大空だよ。」
やっぱりあのバカか!
ネズミ相手に何やってんだよ!?
「大空って?」
「……大地君の名字じゃなかった…?」
「そうだっけ?」
覚えてないのか…
まぁ、覚えておく意味はないけど。
「とりあえず、早く捕まえようよ?」
「……でも、どうやって…?」
この人だかりじゃとても…
「行けー!!イグ!!」
待てぃ!!!?
イグを投げるな!!
(※生き物は大切にしましょう。)
『キャー!?』
『うわぁっ!?』
うわぁ…
道はできたけど、とんでもない状態になってるな…
密集してる所にそんなことしたら当たり前か…
…ちゃんと周りのヤツらに謝っとけよ?
「ネズミGET〜!」
「ああ!俺の獲物だぞ!?」
どうせ女の子の前でカッコつけたかっただけだろ?
「…てか、なんでお前は血だらけなんだ?」
「ん?噛まれたからだけど?」
コイツは痛みを感じないのか…?
「…とりあえず保健室行ってこい。」
「なんの!俺はまだまだ…!」
「うるさい!」
「がはぁっ!?」
…またかよ。
「次行くわよ!」
「……この調子だと楽なのに…」
…大地は放置したままでいいの?
…………。
…いいか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【A組教室】
…え〜と……
「…いたな。」
「…いたわね。」
なんでこんな所に…?
でも捕まえるのは簡単そうだな。
どうやら眠ってるみたいだし…
……スイレンの頭の上で。
てか頭の上に乗ってるのに、全く気づかないで寝てるなんて…
「……写メ撮りたいな…」
「このネズミ、小さくて白いからかわいいしね。」
「かわいいって…ネズミはネズミじゃ…」
「ハムスターだと思えばかわいいでしょ?」
…まぁ、野生に比べたら確かにかわいいけど。
「あ!なんでここに神堂たちがいるんスか!?」
「いたら悪いのか?」
「いや、悪くはないッスけど…」
なら別にいいじゃん。
それよりさぁ…
「なぁ、あのネズミ…捕まえていいのか?」
「さぁ?いいんじゃないッスか?」
「……写メ撮ってもいいのかな…?」
「それは千秋に聞かれても困るッスよ。」
「……撮っちゃお…」
…ネズミを起こさないようにな。
「…そういえば、赤樹はいないのか?」
「上級生から呼び出しを受けてたみたいッスから、今ごろは校舎裏でケンカしてると思うッスよ。」
上級生から呼び出しって…
でもアイツなら勝つかも…
「……千秋君は行かないの…?」
「千秋は兄貴に邪魔って言われたッスから…」
あ、落ち込んだ。
ただでさえ小さいのに、これ以上小さくなってどうすんだよ。
「とりあえず慰める気はないから。」
「誰も慰めてもらおうなんて…!」
「……よしよし…」
「ちょっ…!何やってるんスか!バカにするなッス!」
照れてる照れてる。
コイツが俺のクラスにいてくれたら、俺がからかわれる回数減るのになぁ…
「じゃ、さっさと次にいくか。」
「……まだ写メ撮ってない…」
まだかよ!?
からかってるヒマがあるならさっさと撮れよ!
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【廊下】
「さてと…あと二匹か…」
「……一匹はカゲリさんが捕まえてるみたいだし…」
「この調子なら楽勝ね♪」
この調子で終わればいいんだけどな…
「…で、そのカゲリはどこにいるんだ?」
「そういえば、どの教室にもいなかったわよね?」
「……もしかして部室…?」
ありえるな…
まさか実験に使ってないとは思うけど…
とりあえず行ってみるか。
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【部室】
「あ!キョーヤ♪」
「…なにやってんのお前?」
部室の中には、怪しげな機械の前に座っているカゲリがいた。
…また変なことやろうとしてないだろうな?
「……それ、何の機械…?」
「アンタ、何やろうとしてるわけ?」
さすがにコイツらも不安みたいだな…
「えっとね…このネズミにキョーヤの人格を移してみようかなって…」
ふざけんな!!
「今すぐヤメロ!」
「またKYO-YAみたいなのを造るつもり!?」
「……あんなのはもういらない…」
『…本人の前でそんな事言うなよ。』
てか、お前もう完全に飽きられてるよな。
何か面白い機能付けないと出番なくなるぞ?
「面白いと思ったのになぁ…」
「とりあえずそのネズミ返してもらうわよ。」
「え!?もしかしてこのネズミって誰かのペット!?」
ペットっていうか…
加賀の所有物?
「危なかった〜!もう少しでスイッチ押すところだった〜!」
「……次からカゲリさんは誰かが見張ってた方がいいと思う…」
「「…同感。」」
ある意味危険人物だよな…
「とりあえずこれで四匹ね。」
「……あと一匹…」
「カゲリ、もう一匹を隠し持ってるとか言わないよな?」
「言わないよ!それに勝手に実験したらキョーヤに怒られるし…」
反省してるなら、次からこんなことがないようにしてくれよ?
『お前らネズミ探してんの?』
「さっきからそう言ってるだろ。」
『…俺に対して冷たくないか?』
俺はお前のこと嫌いだもん。
「……心当たりあるの…?」
『心当たりっていうか、ネズミならそこにいるぞ?』
…へ?
パソコンの画面上に出てる矢印の方向…俺の後ろの棚の上に、ネズミはいた。
…どうやって登ったんだろう?
「……高い…」
「恭也、届く?」
「イスを使えばなんとか…よっと!」
俺はイスに乗り、手を伸ばす。
…噛まれなきゃいいけど。
「ほら、こっち来い。…噛むのは禁止な。」
「ネズミに何言ってんのよ?」
「見てて面白〜い♪」
「……クス…」
『バカみてぇ。』
やかましい!
少し黙って……!
…うわぁっ!!!?
《ドスン!》
「あ、ネズミが飛び降りた。」
「しかも恭也に向かって。」
「……こっち来いって言ったから…?」
『賢いネズミだな。』
状況説明はいいから!
俺、イスから落ちたんだけど!?
誰も心配してくれないわけ!?
「……大丈夫…?」
「澪…お前だけだよ、俺のこと心配して…」
「……ネズミ…」
あ、そっち?
涙出そうなんだけど?
《スルッ》
「うわっ!?」
「…?……どうしたの…?」
「ネ、ネズミが服の中に!」
「恭也…男がそんなことやってもサービスにならないわよ?」
何の話だ!
てか、やりたくてやってるわけじゃねぇ!
「ちょ…くすぐったいって!コラ!動くな!」
「……写メ写メ…」
「いや、動画の方がいいんじゃない?」
「…アンタたち、助ける気ないの?」
『お前は?』
「私?助けるわけないじゃない。見てて面白いし。」
『…ひでぇ。』
助ける気0かよ!?
…いや、でも周りのヤツは実際どうしようもないよな。
とりあえず自分でなんとかするしか……
ちょっ…!
マジで動画撮るのやめろ!?
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【職員室】
「ちゃんと五匹いるわね。ありがとう♪」
「…どういたしまして。」
探すのは簡単だったけど、疲れた…
…特に最後の一匹。
動画を削除させるのにどれだけ苦労したか…
「……そのネズミ、実験に使うんですか…?」
「ん〜…最初はそのつもりだったんだけど、情が移っちゃってね。ペットみたいなモノよ♪」
…アナタに『情』なんてあったんですか?
「もしまた逃げられたらアナタたちにお願いするわね♪」
もう二度とそのようなことがないように祈ってますよ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【翌日】
「昨日は大変だったわね。ま、成績上げてもらえたのはラッキーだけど♪」
…そういえば本当に上げてくれたのかな?
ウソの可能性も…
「もう一回くらいそういうチャンスないかしら?」
まだ足りないのか!?
俺はもういいよ!
お前も少しは自分の力で頑張れ!
「……恭也君…」
「ん?」
「……久しぶりにミョージンを連れてきたんだけどいなくなっちゃった…探すの手伝ってくれない…?」
…………。
…もういやだ!
…予想以上に長くなってしまいました。 今回はあまり面白くないかも…? 久しぶりにクラスメートAを出してみました。 キャラを忘れたので、昔の話を見てみました。 …恥ずかしくなってマトモに読めませんでした。 昔と今じゃレギュラーメンバーもキャラが違いますね。 もう少し考えて書けばよかったかなと少し後悔しています。 とりあえず今回はこの辺で。 感想評価・質問・要望・助言などお待ちしています!