第58話〜発明品会議
勉強は大事だと思う。
大人になって『あの時もっと勉強していれば…』なんて言う人たちもいるし。
世界には勉強したくてもできない人もいるんだから、私たちはまだ勉強できるだけ幸せなんだ。
…でも、勉強が嫌いだという子供は多い。
その気持ちはよくわかる。
だけど、最初に言った通り勉強は大事。
一体どうしたら子供が勉強を好きになるのか…
「…ってなわけで子供たちが勉強を好きになるような発明品を造りたいと思うんですけど、いい案ありませんか?」
「その問題って発明品で何とかなるもの!?」
しかも勉強を好きになるような発明品ってどんなのだよ…
あ、それを今から考えるのか?
「……今日の部活のテーマはそれ…?」
「そうですね。」
今まで部活にテーマなんかあったっけ?
「私みたいな人も楽しく勉強できるようなのがいいな♪」
…ってか今回はお前や悠希のために企画されたんじゃないの?
悠希なんか前回授業放棄したもんな。
…その後はちょっと語れないが……
「そういうのってやっぱり難しいよな…でもカゲリちゃんの頭をよくしたいなら俺が教えてあげるよ?」
「ダイチに教わるくらいならヒカリとかレイに教わった方がいい。」
「…何気に俺ってみんなから嫌われてない?」
今さら気づいたの?
「……ちなみにその発明品ってどのくらいの年齢を対象にするの…?」
「特に決めてませんので、何でもいいから思いついたら言ってください。」
実際そういうのを発明品でどうこうするのって難しくないか?
それは本人のやる気の問題なんだし。
「……『勉強しなかったらだんだん締まるハチマキ』…とか…?」
どこかで聞いたような話だな!?
ってかそれどんな造りだよ!?
「でもそれって本人が頭につけないとダメだから、本人が勉強やりたくないと思ったらつけなきゃいいだけじゃないですか?」
「……あ、そうか…」
「ってかそれって強制的じゃん!?私はもっと楽しく勉強したいんだけど!」
それが一番難しいんだよ!
強制的に勉強させる発明品なら今の澪みたいにアイデアはでてくるんだけど…
「……『やる気を出させる薬』…?」
「栄養ドリンクじゃないんだから!」
「……じゃ『頭がよくなる薬』…」
「もはや勉強するためのモノじゃなくね!?」
ってか薬って何だよ!?
薬って名前をつけとけば何でもできると思うなよ!?
「…ねぇヒカリ?『頭がよくなる薬』、造ってみない?」
「ダメですよ!その前にそんなもの造れるわけないじゃないですか!」
…『子供になる薬』も普通は造れないんじゃないか?
とりあえず何でも造れるってわけじゃなくてほっとしたけど。
「『好きな人の声で勉強を教えてくれるロボット』なんてのは?」
「確かにそれならやる気も出るかもしれませんね。」
大地にしちゃなかなかいい意見だな。
…単純に自分が欲しいから言ったわけじゃないよな?
「音声を造るのが難しいですが、それなら頑張れば造れるかもしれません。」
「しゃあ!俺の声ならいつでも録音していいぞ?」
調子に乗るな!!
「……でも優しく教えてもらいたくてわざと間違ったり、その声に聞き入って集中力がなくなるんじゃ…」
「…あ。」
そういえばその可能性もあるよな。
「……………。」
「そ、そんなにショックを受けないでください!ちゃんとメモには載せておきますから!」
つまり保留ってこと?
ま、しょせん大地の意見だしな。
「そうかぁ…私もそうなっちゃうもんなぁ…」
「…?どうしたカゲリ?何か言ったか?」
「あ!いや、何でもないよ!ハハハ…!」
…?
ま、いいや。
「……音楽にのせて勉強するってのは…?」
「発明品関係ないんじゃないですか?」
「……頭のいい人に教わる…」
「人の話聞いてますか!?」
いや、でも実際なかなかアイデアはでないよ。
…ってかさぁ…
「一度にたくさん勉強しなくちゃいけないから楽しくないし、やる気もでないんじゃないか?授業をマジメに受けて、その復習を少しの時間でもやってたらそんな苦労はしないんじゃ……」
「その少しの時間も合計すると膨大な時間になるんだよ!?そんな時間を無駄にするくらいなら遊ぶもん!ね、みんな?」
どこまで遊びたがりなんだよ!?
「私も恭也さんの意見には賛成ですけどね。」
「…え?」
「……発明品に頼るのが間違ってる…」
「えぇ!?」
…そういえばこの部室にはお前の味方はいないんじゃないか?
「ダ、ダイチは私の味方だもんね!?」
「俺は全ての女性の味方だよ。だからちゃんと勉強教えてあげるよ。」
「味方じゃないじゃん!?結局は普通に勉強させるんでしょ!?発明品で楽に勉強する方がいいよ〜!」
もともとお前のための発明品造りの話じゃないよな?
とりあえずお前はマジメに勉強したら?
「なぁヒカリ?このまま勉強のための発明品を造ったら絶対カゲリも使うだろうから造るのやめたら?そもそも勉強は苦労して身につけなくちゃいけないものだし。」
「そうですね。今日の話は無かったことにしましょう。」
「そんなぁ…」
…正直に言うと、俺も勉強はしたくないんだけどな…
でも発明品に頼るのは間違っている!
ちゃんと自分で理解してやるのが勉強なんだ!
例え成績が悪くても、一生懸命勉強したならばそんなに恥じる事でもない!
大事なのは努力するという事なんだから!
「ねぇ、造ろうよ〜!もうすぐテストなんだから!」
…はい?
「……そういえばもうそんな時期…?」
「季節感ないから忘れてましたね…今何月なんでしょうか?」
「……さぁ…?…季節はないって事でいいんじゃない…?」
「…いいんでしょうかね?」
…………。
「「ねぇ、造ろうよ〜!」」
「あれ!?1人増えてませんか!?」
前言撤回!
やっぱり成績は気になるもんだよ。
例え最低の主人公と言われても関係ねぇ!
「もうすぐって言ってもテストまではまだまだ日数があるんですから今から勉強すれば……」
「「勉強やだ〜!」」
「お前さっき言った事は!?」
「俺は何も言ってない!」
「最低だな…」
お前に言われたくないが、否定はしない。
「……どうする…?」
「…無視しておきましょう。」
「「そんなぁ〜…」」
…その後、俺とカゲリの2人は必死で説得したが、結局ダメだった。
せめて悠希がいれば…
テストまではまだ日数があるから今から勉強するしかないか……
テストの存在意味について疑問を感じる今日この頃…
今までで最速のスピードで完成させたものなので、ちょっと雑かもしれません。 短いですが、書くこともないので今回はこの辺で。 感想等お待ちしています。