第55話〜お泊まり会(4)
〜〜♪〜♪
ついに私の出番が来たみたい♪
ファンのみんな、お待たせ♪
みんなのアイドル、カゲリちゃんだよ♪
…自分で言っててイタい気がする。
これ以上言うのはやめておこう。
いやぁ、まさか呼ばれるとは思わなかったな♪
でも時間は真夜中、正直眠い……
だけど、相手が寝ている時ほどイタズラしやすい瞬間はない!
ふふふ…♪
どんなイタズラをしようかな?
…え〜と、確かスイレンから教えられた住所はここだよね?
こんな家に住んでるんだ?
…一人暮らしのはずなのに?
…そういえば私あの人の事ってまだよくわからないんだよなぁ…
教えてないはずなのに私の電話番号知ってるし……
…ま、いいか。
とりあえず家に入ろうか。
いつまでも外にいてもしょうがないしね。
それじゃ、お邪魔しま〜す♪
《ガチャッ!》
…あれ?
《ガチャガチャッ!》
…カギかかってない?
人を呼んだくせに?
いや、防犯上大事な事だけどさ。
一体私にどこから入れと?
……窓?
割って入る?
…弁償させられて終わりか。
…………えぇい!
こうなったら私の器用さを生かすしかない!
確かポケットに……
あった!針金!
…なんでそんなのがあるかって?
それはモチロンこういう時のため♪
針金ってすごく便利なんだよ?
こうやってカギ穴に入れて…こうやると……
《カチャッ》
ほら、開いた♪
でもよい子も悪い子も普通の子も、ついでに大人も真似しちゃダメだからね?
私は特別だからいいけど♪
それじゃ、改めてお邪魔しま〜す…
確かみんな二階の部屋で寝てるはず。
まずはスイレンを起こして、それから二人でキョーヤに………
…何てことを私が考えると思う?
私にとっては全員がターゲット!
当然スイレンも♪
スイレン…私を呼んだのは失敗だよ!
…さて、まずはこの部屋からにしようか。
音を立てないようにそーっとドアを開けて……
…寝てるよね?
…さぁ、最初のターゲットは?
「……すぅ…すぅ…」
「……くぅ…」
2人!?
え!?何で!?
誰と誰!?
まさかキョーヤと…!?
………何だ、レイとユーキか。
よかったぁ…
もしキョーヤが他の人と寝てたらイタズラどころじゃないからね。
それよりも……
「……すぅ…すぅ…」
「……くぅ……うぅ…ん…」
…何でユーキは縛られてレイに抱きつかれてるの?
何かユーキにはもうイタズラする必要ないんじゃない?
すでに罰ゲームみたいになってるし…
うなされてる…かわいそう…
よし!
私がユーキの仇をとってやる!
…でもユーキにもイタズラするけどね♪
まずは、レイもユーキと同じように縛って…
そして、ユーキとレイの間にぬいぐるみを挟めば……
よし、これでユーキは解放された♪
でもこれだけじゃイタズラにならないよね…
顔に落書きはつまらないしなぁ…
………困った時は発明品を使おう♪
実はこんな事もあろうかと、大量のイタズラ用の発明品を持ってきたのだ!
文字しかないから持ってきたの気づかなかったでしょ?
絵があったらすぐにわかるのにね♪
大きいリュックに入れて持ってきたからね♪
…さて、どれを使おうかなぁ?
目の前に『本物そっくり!害虫セット』でも置いておこうかな?
縛ってあるから逃げられないだろうし、いいかも♪
上手くいったらレイの絶叫が聞けるかも…?
とりあえずレイはこれでいいかな?
次はユーキか……
せっかくだから目隠しを追加しておこう♪
後は……目の前に『香水』でも置いておこうかな?
『オヤジの足の臭い』だけど。
あ、それだとレイにも被害がいっちゃうね。
…だったら『個人用目覚まし時計』でもつけておこうかな?
説明しよう!
『個人用目覚まし時計』とは、簡単に言うと『目覚まし機能付きイヤホン』のこと。
当然、寝相で壊れないよう&耳を痛めないように設計されています!
周りの人に迷惑をかける事がないからすごく便利♪
ただ、毎日は使わない方がいいかも…
あまり使いすぎると耳をおかしくする可能性があるからね。
あと、大音量にするのもオススメできないね。
…でも、ユーキのは音量MAXにしておこう♪
大丈夫♪
周りに迷惑じゃない音量だから♪
…そういう問題じゃないって?
気にしない、気にしない♪
多分明日の朝はユーキの叫び声がみんなの目覚ましだね♪
それじゃあ、次の部屋へレッツゴー♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…寝てますか〜?
寝てたらイビキで返事してくださ〜い。
「……すぅ…すぅ…」
本当に返事した!?
いや、そんなわけはないんだろうけどね。
偶然とは言えビックリしちゃった…
…さぁ、この部屋で寝てるのは誰?
「……すぅ…すぅ…」
…スイレンか。
スイレンが一番どんなイタズラにするか迷うんだよなぁ…
よく知らないからどこまでを冗談として受け取ってくれるかわかんないもん。
これで怒っちゃって仲悪くなったら困るし…
…ま、性格的には私やユーキと似てるから多分大丈夫でしょ♪
きっと笑って許してくれるさ♪
さてと、そうと決まったら早くイタズラしちゃおう♪
…明日の朝はユーキの叫び声でみんな目を覚ますはず。
だったらスイレンは外見を笑えるようにしようかな?
叫び声が聞こえたら急いで行くからきっと自分がどんな姿なのか、気づかないと思うし。
うん、そうしよう♪
……まずは、どの『耳』を付けるか…
…ウサギ…ネコ…イヌ…パンダ…………………………ゾウ…!?
あれ!?
こんなのあった!?
…昔はいろんなの造ってたからなぁ、きっとコレもその中の一つだね。
とりあえずこのゾウ耳付けとこうか?
次は『鼻』…?
やっぱりゾウ耳なんだからゾウの鼻かなぁ?
でもそれだといくらなんでもすぐに気づいちゃうよね。
それじゃあ……ピエロの鼻?
…………。
あ、いいかも?
よし、次は……さっきはつまんないって言ったけど、やっぱり落書きだよね♪
とりあえずヒゲ♪
しかもチョビヒゲ&猫ヒゲ♪
まゆ毛は極太かつゲジゲジ♪
ついでに繋げとこ♪
目の周りは…パンダみたいにしておこうかな?
そしてオデコに『ニク』って書いたら完成!
…ニクってどんな漢字だっけ?
……『内』?
ビミョーに違う気がする……
ま、いいや。
とりあえずこれでいいや♪
…何コレ?
何の共通性もないから意味わかんない生き物になっちゃった…
…知〜らない♪
「……すぅ…すぅ…」
……それにしても、ここまでされてるのに起きないのはすごいね。
明日、本当にユーキの叫び声で起きてくるのかなぁ…?
……………。
考えてもこれはどうしようもないか。
さっさと次行こっか。
次はいよいよキョーヤの番なんだから…♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…お邪魔しま〜す♪
お邪魔っていうかイタズラだけど♪
「……………。」
…イビキ無し?
これじゃ起きてるか寝てるかわかんない…
…でも起きてたらドアを開けた時点で気づくよね?
って事で寝てるって事にしようっと♪
実はキョーヤにどんなイタズラをするかはもう決まってるんだ♪
まずはこれを着けて…
そーっと……
少しだけズラして……
…んしょっと!
……………。
……準備完了〜♪
後はキョーヤが起きるのを待つだけ♪
明日の朝が楽しみ♪
ふふ♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【翌朝】
《スイレン視点》
「……すぅ…すぅ…」
・
・
・
……『にぎゃあぁぁぁぁぁぁあ!!?』
…?
叫び声…?
…………あぁ、そういえば今日はあの三人が泊まりに来てたんだっけ?
この叫び声はきっと悠希だね。
『み、耳がぁぁ!!!』
…それにしても朝からうるさいなぁ。
ボクは寝起き不機嫌なんだから、もう少し静かにしてほしいよ。
近所迷惑だし。
だいたい何でそんなに騒いでんのさ?
誰かに何かされたわけじゃないだろうし………
……あれ?
そういえば昨日…カゲリにイタズラの依頼をしたような……
…………。
も、もしかしてそれが原因!?
でもカゲリにはボクも起こしてくれるように頼んだはず……!
『誰か止めて〜〜!』
と、とりあえず見に行こう!
============
《ガチャ!》
「大丈夫!?一体何が………!?」
って本当に何があったの!?
悠希は目隠し&縛られた状態でベッドの上で暴れまくってるし、澪はベッドから落ちて震えている…
しかも澪も縛られてるし……
「ぎゃぁぁあ!!耳!耳!」
「ちょ、ちょっと!落ち着いて!」
耳…?
…!!
悠希の耳に付いてるこの小さいのが原因か!?
「それ!」
《すぽっ》
「……ハァ…ハァ…や、やっと止まった…」
……悠希の耳から外したモノからはかなりの大音量が聞こえている。
確かにこんなのを耳に付けてたらヤバいね。
「ってか何で私縛られてるの!?しかも目隠しまで!」
「…知らないよ。」
とりあえず悠希はこのまま放置しておこう。
縄をほどくのめんどくさいし。
「…で、澪はどうしたの?」
「……ス…スイレンさん…?」
あぁ、眼鏡外してるから見えないのか。
「……ベ…ベッドの上に……」
ベッドの上…?
……よく見たら何か小さいのがいるような…
…ってクモにゴキに毛虫!?
何でこんなのがセットでこんな所に!?
「…ってよく見たらこれ作り物じゃん。」
「……そ…そうなの…?」
まぁ、眼鏡外してるからよく見えないからね。
間違うのもしょうがないよ。
実際よく見ないとわかんないもん。
「……ところで…何で私は縛られてるの…?」
「…さぁ?」
本当はカゲリのせいだってわかってるけど、ボクが呼んだのがバレたら厄介だからね。
言わないでおこう。
「……ほどいてくれない…?」
「いいよ。」
「ちょっと!何で私のはほどいてくれないのよ!」
「うるさいから。」
「そんなにハッキリ言うなぁ!」
…にしても何か嫌な予感がするんだよなぁ…
カゲリがこの二人だけにイタズラするとは思えない。
…もしかしたら恭也にも何かイタズラしてる可能性が…
…あれ?
ボクもイタズラされてる可能性ある?
「……ほどけた…ありがとう、スイレンさ………」
縄をほどき、眼鏡をかけた澪がボクの顔を見て固まる。
……ま、まさか…!
「…………クス……」
「ボクちょっと鏡見てくる!!!」
ボクはダッシュで洗面所へと向かった!
澪のあの反応……間違いなくボクも何かされてる!
しかも顔に!
「な、何だコレ!!?」
鏡を見ると……何て表現したらいいのかわからないような顔になってるボクの姿が映っていた。
…なぜゾウ耳?
しかも額には『内』って書いてあるし……
とりあえず悠希や恭也に見られない内にこの落書きを消さなきゃ!
〜数分後〜
「……おかえり…普通の顔に戻ったね…」
部屋に戻ると澪と悠希がボクを待っていた。
…悠希の縄もほどいてあげたんだ?
「私も見たかったのになぁ〜…」
「…なんならキミにやってあげようか?」
「やめとく。」
「……で、誰がこんなイタズラしたの…?」
…やっぱりその疑問でてくるよね。
…もう自白しちゃうしかないかな…?
「恭也じゃないの?」
「……そんなわけ…」
「だって恭也だけだよ?私があんなに騒いでたのにここに来てないのは。」
「……確かにそうだけど…」
…そういえば何で起きてこないんだろ?
もしかしてこの二人と同じように縛られてる?
「とりあえず恭也の所に行ってみようよ。」
「……寝起きの恭也君か…どんな感じなんだろ…」
…澪?
行く理由は寝顔を見るためじゃないよ?
============
《ガチャ!》
「…ちょっと!恭也まだ寝てるんだけど!」
「耳栓でもしてるのかなぁ?」
「……だとしたら本当に恭也君が…?」
こうなったら何にも知らないふりするしかないね。
今さらボクのせいって言えないもん。
「…私にあんな事しておいて自分はノンビリ寝てるなんて…起きろ!」
《バッ!》
悠希は恭也の寝ているベッドに近づくと、容赦なく布団を捲り上げた。
そしてベッドには……
「………Zzz……」
「……すぅ…♪」
……………。
「…は?」
「…あ。」
「……え…?」
数秒、みんなが固まった。
なかなかその場の状況が飲み込めない。
特に悠希と澪には全く理解できないと思う。
なぜか恭也のベッドにはカゲリも一緒に寝ていたからだ。
「………な…何で…カゲリさんがここに…?」
「…しかも幸せそうな顔で寝てるね。」
「こ…この…!起きろぉ!」
悠希が恭也の耳元で叫ぶ。
…だから近所迷惑だって。
「……起きない…」
「…ん?恭也の耳に何か付いてない?」
これ…さっき悠希が付けてたのと同じ?
へぇ、耳栓の役割もあるんだ…
「…この!だったら殴り起こすまで!」
いや、普通に取り外せばいいだけじゃない!?
「……待って、悠希さん…」
「何よ!止めないでよ!」
「……子どもの姿じゃ力出ないでしょ…?…私も手伝う…!」
あれ!?
澪ってそういうタイプじゃないんじゃないの!?
「それじゃ、せーので同時に攻撃するわよ!」
「……うん…」
…これはもう止められないなぁ。
最初から止める気はないけどね。
「…せーの!くたばれぇ!!」
《ドスッ!!》
「ぐぼぁ!?」
悠希&澪のWパンチが見事に恭也の腹部に!
冷静に考えたらカゲリが勝手に寝てただけで、恭也は何もやってないんだけどね……
ただの被害者…かわいそう…
「う…うぅ…!」
「まだ起きないの!?」
いや、腹部の痛みに呻いてるだけだから!
これ以上はやめてあげてよ!
「とりあえず恭也に付いてるイヤホン取って話し合おうよ。多分恭也は被害者……」
「問答無用でぶっ飛ばす!」
「だからストップだって!」
恭也に殴りかかろうとする悠希を何とかなだめようとするけど、なかなか怒りが収まらないみたい…
もし悠希が子どもの姿じゃなかったら絶対止められなかったね。
「…なっ、何すんだよ!」
「アンタこそ何してんのよ!?」
「…何って…寝てただけじゃねぇか!」
「……恭也君、隣…」
「隣?一体何だって…………何だこりゃぁぁあ!!?」
ナイスリアクション!
〜数分後〜
《恭也視点》
「…つまり、恭也が寝てる時にこっそりカゲリがベッドに潜り込んだってわけね?」
「冷静に考えたらそれしかないでしょ?恭也に対するイタズラっていうより、自分がやりたかったことをやっただけの気がするけど…」
「……恭也君、殴られ損…」
全くだ…
何で無実なのに殴られなきゃいけないのか…
「とりあえず…カゲリをどうする?」
「……まだ寝てる…」
「殴り起こす?」
…今回は止めない。
そいつのせいで俺は被害にあったからな。
「とりあえずボクらがやられたこと全部カゲリにやる?」
「あ、それいいね!縛って顔に落書きしてイヤホンの音量MAXにして♪」
「……目の前にさっきのクモとかも置いて…」
…コイツみんなにそんな事してたのか?
それはみんな怒るな…
「あ!口にガムテープ貼っといてね。近所迷惑になったら困るから。」
「は〜い♪」
……知〜らね。
中途半端な気がしますが、続きは次回に。 …いつになったら別の話になるのか…… 私的にはネタを考えなくていいので楽なんですけどね♪ でも読者様からしたらいい加減飽きてくるだろうと思うので、なるべくなら次回でお泊まり編を終わらせたいとは思っています。 とりあえず今回はこの辺で。 感想等お待ちしています。