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第53話〜お泊まり会(2)

 




【近所のスーパー】




…さて、とりあえず店に着いたのはいいが……




「…澪?夕飯は何がいいと思う?」


「……恭也君に任せる…」




…さっきからずっとこんな感じだもんな。


ま、つまり何を買えばいいのかまだ決まってない状態だ。


正直、困った…


とりあえずアイツらへの嫌がらせとしてピーマンを使う事は決定しているんだが…



…あれ?


そういえば澪って好き嫌いないのか?




「澪は何か嫌いなモノあるのか?」


「……クモ…」




いや、そういうのじゃなくて!




「食べ物は?」


「……好き嫌いはよくないんだよ…」


「ってことは嫌いなモノは無いんだな?」


「……キノコ類キライ…」




あるんじゃねぇか!




「……あんな菌でできたモノなんて食べられるわけない…」


「…それを言ったらパンも納豆もダメじゃないのか?」


「……あ…」




…もしかして今気づいた?


菌でできた食べ物って意外とあるぞ?




「……あ、あれは…人工的に作られたモノだから…自然にできたモノとは違う…」


「菌には変わりないよな?」


「……う…」




…困ってる澪を見るのは珍しいな。


貴重な瞬間かもしれない…




「……そういう恭也君は…?」


「ん?」


「……嫌いなモノ無いの…?」




う〜ん…


あまり思い浮かばないなぁ…




「…強いて言うならタマネギかな?」


「……何で…?」


「別に食べるのが嫌いってわけじゃないんだけど、あれって調理する時に目が痛くなったりするだろ?」


「……そういうのじゃなくて、食べる事に関しては…?」


「ない。」


「……本当に…?」


「本当に。」


「………つまんないの…」




今小声で何か言わなかったか!?


もしかしてコッソリ料理に入れようとした!?




「ま、まぁとりあえずキノコを使わなくて、なおかつピーマンを使う料理を作らないと。何がいいと思う?」


「……あの二人に対して嫌がらせする気…?」


「ダメか?」


「……おもしろそうだからOK…」




仲間GET!


いつの間にか機嫌もよくなったみたいだし、よかったよかった。






「……恭也君の嫌いなモノも入れればカンペキだったんだけど…」




…まだ機嫌よくなってなかったみたい。







「……あ…!」


「ん?どうした?」


「……千秋君見つけた…」




千秋!?


アイツが何でこんな所に!?


…いや、スーパーなんだからいても別に問題ないんだけど。


とりあえず赤樹がいないならいいけど…




「…あれ?澪さんに神堂じゃないッスか?」




…呼び方に差があるのは性別のせい?


多分俺はコイツには嫌われてると思うけど。




「二人して買い物…もしかして同棲ッスか?」


「んなわけねぇだろうが!」


「……そういう風に見える…?」


「付き合ってるようには見えるッスね。誤解されたくないならもう少し離れたらどうッスか?」




言われてみれば、そういう風に見られなくもないような…




「……付き合ってるわけじゃなくて一緒に買い物に来てるだけだけどね…千秋君も買い物…?」


「そうッスよ。今日は珍しく兄貴が学校サボったから修行に付き合わなくってよかったッスから。」




…サボリ?


単純に風邪ひいたとかそんな理由じゃないの?


カッコ悪いからサボリって言ってるだけで。




「今日は久しぶりに料理できるッスから嬉しくて。」


「……料理好きなの…?」


「好きッス。どうアレンジすればよりおいしくなるか研究してるんスから。」




料理好きか…


これはちょうどいいかもな。




「そんなに料理好きなら俺たちと一緒に作らないか?今日スイレンの家で作るんだけど。」


「スイレンはイヤッス!」




即答!?


相当嫌われてるなアイツ…




「だいたいスイレンって自分で料理しないんじゃなかったッスか?そんな家に調理器具あるんスか?」


「「……………。」」




…嫌な予感……






============


プルルル…プルルル…



『もしも〜し?恭也君?何か用?』


「…お前の家って調理器具あるのか?」


『…………』


「…………」 


『…ハハハ、何バカな事言ってんのさ?』


「そ、そうだよな。いくら何でも調理器具がないなんて………」




『料理なんかしないんだからそんなもん無いに決まってるでしょ?ハハハハハ………どうしようか…?』


「知るか!!」



プツッ!


ツー…ツー…ツー…


============



…まさかマジでなかったとは…




「……どうしようか…?」


「カップ麺かコンビニ弁当しかないよな…」


「ほら、スイレンと関わるといいことないじゃないッスか。」




…正しい。




「……だとしたらコンビニに行った方がいいよね…?」


「そうだな。その前にここでスイレンの分の夕飯だけでも買っていくか。」


「……何を…?」


「ピーマン。」


「…カンペキに嫌がらせッスよね。」




否定はしない。


むしろ正解だな。 




「……怒るんじゃない…?」


「いいんだよ。これくらいの嫌がらせ、アイツが俺にする嫌がらせに比べたらたいしたことない。」


「……ふーん…」




ついでに悠希の分も買っておきたいが、アイツはからかわれてる事で少しは俺の気持ちがわかっただろうから勘弁しといてやろう。


…わかっててもやめる気はないだろうけど。




「千秋はもうすぐ始まるタイムセールでお肉を手に入れなくちゃいけないッスから。」


「そうか。それじゃ俺たちはコンビニに行くよ。また今度な。」


「……それじゃ…」


「バイバイッス。」




…今さらだけど、千秋って意外と普通なヤツ?


赤樹と一緒にいるからアイツも不良みたいなヤツかと思ってたが…


いつの間にか澪と結構仲良くなってるみたいだし。




「……そういえば恭也君が赤樹君がいない時に千秋君と会うのって初めてだっけ…?」


「いや、焼き肉の時に会ってるけどあまり話さなかったからな…アイツ普段あんな感じなの?」


「……そうみたい…かわいいでしょ…?」




…正直返事に困る質問するなよ。


男が男の事をかわいいって言ったら気持ち悪いだろ?


かと言ってかわいくないとか言ったら怒るだろうし…




「ま、まぁいいヤツなんじゃないか?」


「……返事になってない…」




…勘弁してください。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「…ただいま。」


「おかえり〜♪」




結局コンビニ弁当を買って帰ってくると、いきなり悠希が飛びついてきた。


…ご主人の帰りを待っていた犬?


それとも父親の帰りを待っていた娘?


…犬って考えは失礼だから娘って事にしておくか。


どっちにしても完全に高校生のする行動じゃない。


もともとの性格が子供だからな…


今の姿になったせいで本当に子供の性格になっちゃったか?




「……よしよし、いい子にしてた…?」


「うん♪」




それ完全に親子の会話だろ!?


お前さっき子供扱いするなって言ってたろ!




「どう?今の悠希を見てかわいいなぁとか思った?」


「…なるほど。お前の入れ知恵か?」


「うん♪せっかく子供の姿なんだから子供のかわいさをアピールしたらって勧めてみた♪」


「…俺は子供が嫌いだから。」


「な〜んだ?ロリコンじゃないんだ?」


「んなわけねぇだろうが!」




コイツ俺をバカにして楽しんでるな!




「それで夕飯はどうしたの?」


「…『俺たちは』コンビニ弁当。」


「…『俺たちは』?ボクは?」


「お前はコレだ。」


「ピーマン一個のみ!?嫌がらせ!?」




他にどういう意味に解釈できると思う?




「でも残念でした♪実はボクはピーマン嫌いじゃないもん♪キミがボクの嫌いなモノを買ってくる事くらいわかってるよ♪」


「…ほう、さすがにピーマンだけじゃかわいそうだと思ってお前の分の弁当も買ってあったんだが、どうやらいらないみたいだな?」


「いや、さすがにピーマン一個じゃキツいでしょ!あるならちょうだい!今までの事全部謝るから!」




さすがに夕飯をピーマンのみにされるのはキツいみたいだな。


…勝利!




後で何かしらの復讐がありそうだけどな…


そう…夕飯を食べ終わったら後は何をされるかわからない。




夜が怖い…(泣)

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