第5話〜入部してないのに勧誘?
俺がヒカリの指差す方を見ると…
何とそこには…!!
…まぁそこには大地と小織さんがいるんだけどさ。
俺達が何に驚いてるかっていうとだな、大地がありえない行動をとっていたからだ。
いや、別に大地が小織さんにナンパしてたりとかじゃないからな。
そんなのはよくやることだから驚かないし。
…俺達が驚いた大地の行動とは………
「…う…ぅっ……ぅっ……」
泣いてるよコイツ!!?
高校生にもなって何で泣いてんだよ!?
「…だ…大地……?」
「うわ〜〜〜〜ん!!!」
俺が声をかけると大地は泣きながら廊下を駆け抜けていった。
…今時うわ〜んって泣くやつってそうそういないだろ…
まぁ、それは置いといて一体アイツに何があったんだ…?
「…それじゃキョーヤ、後は頼んだよ。」
待てやコラ!!
「何で俺だよ!?お前らが創ろうとしている部なんだからお前らがいけよ!!」
「「だって怖いもん。」」
俺だって怖いわ!!
普段あまり話さない人だし、何考えてるかわかんない顔(=無表情)してるし、大地泣かしたし…
「それじゃ多数決で決めようか?」
「ナイス!ヒカリ!!」
「却下だコラ!!」
明らかに俺に行かせる気だろ!!
「…恭也さんのイジワル……」
「何とでも言え。」
「キョーヤの意気地なし、バカ、アホ、マヌケ、度胸なし、クズ、役立たず…」
…ちょっと言い過ぎじゃ……
「そんなにあの女が怖いの?それでも男?本当に使えないよね?そう思わない?ヒカリ?」
「え…えぇ、まぁ……」
〈プチッ〉
「そこまで言うなら行ってやろうじゃねぇか!!見てろコノヤロウ!!」
そんなボロクソに言われたら黙ってられねぇじゃねぇか!?
…あれ?俺ってこんなキャラだっけ?
「「それじゃ行ってらっしゃーい♪」」
うわぁ〜
メチャクチャ満面の笑みを浮かべてやがる。
まるで作戦成功みたいな感じじゃねぇか。
…あ、そうか成功したんだから当たり前か。
「…やっぱり3人で行かな……」
「「行ってらっしゃーい♪」」
…やっぱりダメ?
そういえば今日の占いで『物事は冷静に判断しまし、落ち着いて行動しましょう。』って言われてたっけ…
明日から占いに気をつけてみるかな…?
「キョーヤ、早くしないとあの人どっか行っちゃうよ?」
「…悪い、もうちょっと現実逃避させてくれ……」
「早く行けや」
「それじゃ行ってきます!!」
アイツも十分怖いな!!
…それにしても女に脅される俺って…(泣)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あ、あの…小織さん?ちょっといいかな?」
こうなったらなるようになれだ!!
せめて大地のような醜態は晒さないように気をつけないとな。
「…?…神堂君だっけ?私に何か用?」
近くでよく顔を見るとこの人もとても美しい顔をしている。
緋乃姉妹が『かわいい』なら小織さんは『美しい』に分類される。(ちなみに悠希は『バカ』+『かわいい』に分類)
「小織さんってもう部活どこにするか決めてたりする?」
「……まだはっきりとは決めてないけど『読書部』に入ろうかと…」
何その部!?
「…で、それがどうかしたの?」
「いや、実は……」
俺は小織さんに説明をした。
「………確かに随分楽そうな部活だけど…顧問の先生はどうするの?」
…へ?
「…いくら部長がサボっていいって言っても顧問の先生がそれを許すかどうか……」
…あ……
それもそうだ…
顧問が厳しいヤツだったらやりたくもないことをやらされなければいけないのか…
「そこは心配無用っ!!」
カゲリ!?
「予定では顧問は黒城先生にお願いするつもりです。」
「あの先生だったら細かいことは気にしなさそうだからね♪」
「……それなら結構良さそうだけど…」
「「でしょ?」」
……お前らなぁ…
「途中から補足の為に出てくるんなら最初からお前らが説明すれば良かったじゃねぇか!!」
「「だって見てたらあまり怖そうじゃなかったから」」
はっきり言うな!!
「…私が…怖そう…?」
「い、いやその…」
「さっき変な男の人を泣かしましたよね?それを見て少し怖い人なのかな…と。」
「そうそう。一体あのウザ男に何したの?」
…うわぁ〜本当に俺必要なくなっちゃった。
…っていうかお前ら初対面じゃないの?
自己紹介はいいのか?
「……何って…ただ普通に話しをしただけだけど…」
ただの会話で人が泣くか!!
「どんな会話?」
「…あの人が私に何かナンパっぽいことをしてきたから……」
あの野郎!!
勧誘しに行ったんじゃねぇのかよ!?
「…とりあえず『私はあなたの存在を受け入れるという宇宙のように広い心は持ってないの』って言っただけ……」
そんなこと言われたら充分傷つくわ!!!
「…やっぱり」
「…この人」
「「…怖いよ〜!!」」
「…そう?これでも控えめに言ったんだけど…」
何お前!?
普段地味なくせしてメチャクチャ毒舌じゃん!!
「…で、部活の話なんだけど……」
そうだった。
本題はそっちだよ。
「……私は別に入部してもいいわよ…」
「ホントに!?」
「…えぇ……」
「ヤッタ〜♪これで部になるよ、ヒカリ♪」
「そうね、カゲリちゃん♪」
そう言って2人は手を取り合ってクルクルと周り始めた。
…やってて恥ずかしくないのかな……
「…ところで神堂くん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…?」
「何?」
「……あの人達って何て名前なの…?」
「……………。」
お前ら(緋乃姉妹)自己紹介くらいしてから部活の勧誘しろ!!
〜〜翌日〜〜
「恭也、結局どの部活に入るか決めたの?」
俺が席に着くなり悠希は早速質問してきた。
「おう、ちゃんと決まったぞ。」
ま、後はアイツ等が部活の申請さえすれば大丈夫だしな。
「どうせあんたの事だから『帰宅部』に入部したんでしょ?」
……へ?
「…どういうことだ?帰宅部は存在しないんじゃなかったのか?」
「あれ?知らないの?何も部活に入ってないって意味の帰宅部じゃなくて『いかに安全かつ早く家に帰れるか』を追求する部としてちゃんと帰宅部は存在しているのよ?」
………………。
そういう事はもっと早く言ってくれ!!
読んでくださってありがとうございます。 今回はいつもより短めにしています。 またどうでもいい話なんですが作者はお喋り好きです。なのでこのような場所ではついつい喋りすぎてしまいますがあまり気にしないでください。それではあまり喋りすぎたらいけませんので今回はこの辺で。