第48話〜A組3人組
【放課後・校舎裏】
…え〜と、情報によると確かこの辺に……
………あ、いたいた!
「…はぁ…はぁ…!」
「…兄貴、そろそろ休んだ方がいいんじゃないッスか…?」
「…休んでるヒマなんてねぇ!俺はもっと強くならねぇと…!」
「そうは言っても、ここんとこ毎日こんな調子に休みなしで修行してるじゃないッスか!このままじゃ兄貴の体が壊れちゃうッスよ!?」
「うるせぇ!」
…うわっ、話しかけにくいなぁ……
………よし!
ここはボクが明るいムードにしてあげよう♪
「ヤッホ〜♪ずいぶん頑張ってるね?」
「…げっ!スイレンじゃないッスか!?」
…げっ!っていうのは失礼だと思わない?
千秋はボクの事が嫌いなのかな?
「…何の用ッスか?」
「そんなに睨まないでよ。まぁ、ちっちゃい子に睨まれても怖くないけど。逆にかわいく見えるよ?」
「う…うるさいッスよ!」
怒ってる怒ってる♪
やっぱり千秋は面白いなぁ♪
…あ、だから嫌われてるんだ。
「とりあえずキミをからかうのはやめておこう。用があるのは赤樹君の方だからね。」
「…あ?」
うわぁお!
かなり不機嫌!?
やっぱりこっちに睨まれると怖いねぇ!
「見てわかんねぇか?テメェに付き合ってるヒマはねぇんだよ!」
「まぁまぁ、何でそんなに機嫌が悪いのか理由を聞きに来たんだけだから♪」
「…なんだっていいだろ。」
「学年レクの後からだって聞いたけど?」
「…しつけぇぞ。」
…なかなか教えてくれそうにないなぁ…
仕方ない、まだ未確認の情報だけど……
「黒城先生が関わってるって話は本当?」
「…!」
「危ないッス!!」
…え?
《バキッ!!》
「……ちっ…やっちまった…」
「あ…兄貴!」
「……あっぶな〜!」
いやぁ、半分予想はしていたけど、まさかこれぐらいの事で攻撃してくるなんて…
普通にビビっちゃったよ!
でも……
「忘れたの?ボクはA組の切り札って呼ばれたくらいなんだよ?確かにキミの攻撃を見切るのは難しいけど、来るタイミングがわかれば避けるのは不可能じゃない!危険な所にも己の体で情報を集めてる者の運動神経を甘く見ないでよ!ハッハッハッ♪」
「…タイミングがわかったのは千秋のおかげじゃないッスか?」
「うん♪」
「だったら威張るなッス!」
…とりあえず、さっきの赤樹君の反応からしてこの情報は本当らしいね……
だとしたら……
「何でそんなに黒城先生の事を…」
「…いい加減にしねぇと本気でテメェの口をふさぐぞ?俺は相手が女でも容赦しねぇ。」
怖っ!!
確かに男女差別はいけないけど、こういう時だけは差別してもいいんじゃない?
「…仕方ないね。それじゃあ話題を変えようか?その前に一つ言っておきたいことがあるんだけど…」
「…なんだ?」
「キミってコメディ向きのキャラじゃないよね。ボクがどんなに頑張っても空気が重いままなんだもん。」
「…うるせぇな。」
「ってなわけでこの場をもっと面白くしようよ?」
「…はぁ?」
『いいから黙って帰れよ』的な視線が突き刺さるけど、そんなのは無視して突き進むよ!
大体にキミがこの空気に馴染めないなら出番が無くなるかもしれないんだから。
「…普段は寝てばっかりのクセに、何でそんなにハイテンションなんスか?」
「もう充電が完了したから♪」
「…ある意味二重人格ッスね……」
否定はできないなぁ。
普段は寝てばっかりだからね。
「それじゃ、まずは一発芸でもやってもらお〜♪」
「何を考えてるんスか!?また攻撃されたいんスか!?」
「…とまぁ、最低でもこんな感じのツッコミくらいは出来ないとダメだよ?」
「…お前もう帰れ。」
「ダメダメ。これはキミのためでもあるんだから。90%はボクの気まぐれなんだけどね♪」
「………はぁ…」
「ため息したら幸せが逃げるよ?」
「テメェがいなくなればため息なんか出ねぇんだけどな?」
「ボクを見るとため息が出るの?まさか恋!?」
「…死にてぇのか?」
…冗談なんだからそんなに怒らなくてもいいじゃん。
短気だなぁ…
カルシウム足りてる?
…あ、カルシウムが足りてないのは千秋の方?
ちっちゃいもんね。
「そんなにイライラするのは心によくないよ?ってわけでキミにはこのリラックスグッズをプレゼント〜♪」
「…いらねぇ…」
いらない!?
せっかくボクの家にあるとっておきの睡眠グッズを持ってきたのに!?
「…ぐす…(泣)」
「…泣いちゃったッスよ?」
「無視しろ。これで静かになる。」
「…うぇーん…(泣)」
「…………。」
「エーン…(泣?)」
「…………。」
「エーン…?(嘘泣)」
「…………。」
「エー……」
「うるせぇ!!しつけぇんだよ!」
キレた!?
いつもの赤樹君とは反応が違うよ!?
ついにこの空気に慣れたか!?
「だって無視するんだもん!」
「誰が明らかに嘘泣きしてるとわかるヤツを慰めるか!」
「あ、バレた?」
「バレてねぇと思ってたのか!?」
「ってかもし本当に泣いてたら慰めてくれたんだ?見かけによらず優しいんだね?」
「……うっ…!?」
あ、照れてる?
意外な一面を見れたかも…
…もしかして……
…《ギュッ》
「なっ…!?」
「スイレン!何やってるんスか!?」
「赤樹君ってこうやって女の子に密着されるとどんな反応するかなぁって思ってさぁ。」
「離れろ!」
「ハハ♪顔赤いよ?」
「…殺す!」
「やっばぁ!マジでキレられる前に離れようっと!」
スリル満点だね。
でも面白いデータが手に入ったよ。
今度、恭也君にもやってみようかな?
本人より周りの反応の方が面白そうだけど♪
「…千秋。」
「何スか?」
「俺コイツ苦手だから後は任せた。」
「えぇ!?千秋もイヤッスよ!」
…それって本人がいる前でする会話かなぁ?
心にグサッと突き刺さってくるよ?
「そんなにボクの事嫌い?」
「嫌いっていうかウザい。」
「同感ッス。」
「普通に嫌いって言ってくれた方がよかった気がするんだけど!?」
これは傷つくなぁ…
大地君の気持ちがわかる気がする…
「…仕方ない、もう帰るか。」
「早く帰れ。」
「もう少し言い方考えてくんない!?」
「いいから帰れ。」
「少しは引き留めてくれても…」
「帰れって。」
「…………。」
「うわぁーん!覚えてろぉー!」
「…何をだよ。」
やっぱり赤樹君は冷たいよー!
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【千秋視点】
「…ふぅ、やっと静かになったか。」
「そうッスね。」
いつもは寝てばっかりのくせに、今日に限ってかなりうるさかったッスからね…
「…なんかいつもより疲れた。」
「同感ッス。」
「…確かにたまには休んだ方がいいかもな。」
…え?
それって…
「兄貴…?それってもしかして、今日はもう修行をやめるって事ッスか?」
「他にどんな意味があるんだ?ほら、さっさと帰るぞ。」
…!
まさか、スイレンはこうなることを狙って兄貴を……!?
こうして兄貴のやる気を削いで、なおかつ精神的に疲れさせないと兄貴は休んでくれそうにないッスし…
…考えすぎッスよね。
あのスイレンにそんな考えがあるとは思えないッス。
「…どうした?」
「いや、何でもないッス。」
「それじゃ帰るぞ。」
「はいッス!」
…一応、今度スイレンにお礼をしといた方がいいッスね。
結果的にはスイレンのおかげなんスから…
「…で、何してんのお前?」
「げっ!もう帰るの!?せっかく落とし穴でも作ろうとしてたのに…計画が台無しじゃないか!」
「知るか!」
…やっぱりさっきの話は無かった事にしといた方がいいッスね……
…赤樹はやっぱり書きにくいです。 なるべくイメージを崩したくないので(すでに崩れてる気も…)あまり登場はさせたくないんですよね。 逆にスイレンは書きやすいですね。 …恭也視点より書きやすいかも? とりあえず今回はこの辺で。 感想等お待ちしています。