第36話〜開会式、そして始まり
「本日は晴天に恵まれ………」
…思ったんだけど、校長先生からの話って必要なモノなのかな?
だってマジメに聞くヤツっていなくね?
しかもこの学校の場合校長じゃなくて教頭の話だし。
いつになったら校長出てくるんだろう?
「恭也?何ボーっとしてるの?」
「ん?あぁ、ちょっとこの話の必要性についてを考えてたんだ。」
「あんたもヒマね。こんなのに意味があるわけないでしょ?」
やっぱり?
強いて言うなら、こういう時以外に校長が生徒と触れ合う機会が無いからか?
でもうちの校長は触れ合ってないよなぁ…
う〜ん…
「…まだ悩んでるの?時間の無駄ね。」
「どうせヒマだろ?そういうお前は何してるんだ?」
今まで悠希の方を見ずに話しをしていたが、ここで俺は悠希の方…つまり後方を見てみた。
ちなみに俺の近くの並び順は…
・澪
・俺
・悠希
・大地
…の順だ。
もちろんこの前後には他の人が並んでいる。
位置的には全体の真ん中より少し後ろってところかな?
「私?私はちょっとある作戦を考えてるところよ。ふふふふ…♪」
…皆殺し計画ですか?
それ以外にあのリュックの中身の説明が出来ないんだが…
ここで読者の皆さんに説明しよう!
このまま話を進めては、『あれ?前回殺されかけたんじゃないの?』って思うだろうからな。
実はあの時………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ゆ…悠希!?まさかその鈍器で俺の事を!?」
悠希は背中に背負っていたリュックの中からハンマーを出していた。
もちろん鉄製。
大きさもそれなり。
…そんなもの何で持ってきたの?
重くないの?
「…私が恭也を傷つけるわけないでしょ?…だって私は恭也を………」
急に悠希は顔を俯け、いつもとは違い小さい声で何かを呟いた。
あまりの声の小ささに俺は上手く聞き取れなかった。
気のせいだろうか、顔が赤くなっている気がする。
…そんなに怒ってるのか?
でも澪だけほめて、自分はほめられなかったからってそこまで怒るか?
「と…とにかく!あんたには大事な話があるのよ!その為に怒ったふりをしてあんたをここまで連れて来たんだから!」
…怒ったふり?
その割にはすごい殺気だったんだけど?
それにその鈍器は何の為に出したんだ?
「これが今日のあんたの武器よ!」
「…はぁ?」
こんなもの使ったら刑務所行きだよ?
「もちろん直接人を傷つけたらダメよ?」
当たり前だ!
やれって言われても拒否するわ!
「多分あんたは多くの人に狙われる。それもみんな得意の武器を使ってね。だからあんたはそれでみんなの武器を壊しちゃいなさい!」
その為のハンマーか…
確かにこれなら赤樹の木刀も折れるし、緋乃姉妹の発明品だって故障させれるかもしれない。
…成功したらな。
そもそも赤樹のあの速さにどうやってハンマーで追いつけるんだよ?
重い分、こっちが不利じゃん!
それに緋乃姉妹の発明品だって飛び道具だったら近寄る事すら出来ないじゃん!
さらに加賀の爆薬は明らかに相性が悪いじゃねぇか!
「ふふふ、その顔はいかにもツッコミたいって顔ね?」
…どんな顔だ?
当たってるけど…
「何の為に私たちがいると思ってるのよ!あんただけで戦わせるわけないでしょ?私たちが協力しあえば無敵なんだから!」
…それってお前らも何かしらの武器を使って相手を戦闘不能にするって事か?
「詳しい打ち合わせは後で…っていうかまだ考えてる最中なんだけど…とにかく開始の合図と同時に校舎裏の森に隠れるわよ。そこで作戦会議をするから。」
こいつなりにいろいろ考えてるんだな…
確かに一人では勝てなくてもみんなで協力すれば強い相手にも勝てる。
最初はすごく不安だったがこれなら俺らのクラスでも勝てるかもしれない!
「目指すは優勝よ!」
「そうだな!…ところで悠希、お前の武器は一体何だ?」
「……………。」
「……………?」
「ひ・み・つ♪」
絶対危険物だ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…ってな事があった。
予想外の展開に驚いてしまってこれならいけそうだ!って思ってしまったけど…
逆に不安要素を増やす事になっちゃったね。
これはもう学年レクじゃなくて戦争が勃発しちゃうね。
これをきっかけに仲良くなるやつなんかいるのか?
いるとしたらそいつらは『戦友』だな。
少なくとも普通の友達にはならないな。
「……今日何度目の溜め息…?」
いつの間にか俺は溜め息を吐いていたらしい。
前に立っている澪が振り向いて聞いてきた。
その背中には悠希の物とよく似ているリュックが…
もしかして…
「…澪?そのリュックもしかして…」
「…?……私物だけど…?」
…てっきり悠希から渡されたモノかと思ったけど、どうやら違ったみたいだ。
そうそう、ちなみに俺の武器は、悠希からもらった小さいリュックに入っている。
だから澪も悠希にリュックごともらったと思ったんだけどな…
「……ただ、さっき悠希さんが何か入れてたみたいだけど…」
やっぱりか!?
しかも無断でかよ!?
一体澪にはどんな武器を渡したんだ…
『ガサガサ』
「…澪?何か動いてないか?」
「……気のせいじゃない…?」
俺は慌てて後ろを見てみた。
…どうやらイグではないみたいだ。
イグは悠希の肩の上で寝ているからな。
だったら今のは…?
「と…とりあえず中身を確認してみたら?」
「……そんなに私のリュックの中が気になるの…?」
「いや、そういうわけじゃ…」
「……だったら気にしないで…」
…怪しい。
中身を見るのを拒否するなんて…
…もしかして澪も何か見られたくないモノを持ってきてるのか!?
最近の澪はキャラがわからなくなってきているからありえるぞ!
「……それより恭也君…これ…」
あ、話を逸らされた。
澪から手渡されたのは数枚のプリント。
どうやら前から回ってきたようだ。
俺は一枚だけ取って残りを悠希に渡した。
…どうやら黒城の作ったプリントらしい。
何でわかるかって?
だって一番最初に『ハゲの話長いからその間にこれ読んどけ。』って書いてるから。
ってか先生以外のやつがプリントを回すって事はまず無いよな。
ま、そんなどうでもいい話はいいからさっさと読んじゃうか。
え〜と…
『恐らくどこかのバカな化学教師が開始直後に爆薬を投げてくると思うから、死にたくないやつは開始の合図と同時に伏せろ。』
…間違いなく加賀先生の事だよな。
あの人ならやりかねないからなぁ…
…ってか伏せるだけで大丈夫なのか?
『攻撃が止んだら一斉に散らばれ。最初は逃げまくって人数が減るのを待ってろ。人数が減ってきたら一人ずつ確実に仕留めていけ。』
…なんか意外とマトモな内容だな。
…そういえば、あの黒城がこんなプリントを作ってみんなに配るなんておかしくないか?
黒城がここまで勝ちにこだわるなんて…
考えられるのは……
1.本当は熱血
2.負けず嫌い
3.実は別の誰かの作ったプリント
4.…賭け?
なんか4番がめちゃくちゃ可能性が高くね!?
いや、でもそうと決まったわけじゃ…
『…最後に、やるからには絶対に優勝を狙え!うちのクラスが一番になったら焼き肉食いに連れて行ってやる!予算は心配するな。ちゃんと臨時収入が入るから。』
もしかして予想的中!?
この臨時収入って多分賭けに勝った時の儲けの事だよな!?
行事で賭けしてんじゃねぇよ!!
生徒の頑張りを何だと思ってやがるんだ!
…焼き肉はちょっとうれしいけどな。
『…もし負けたら、次の数学のテストの難易度が一気に上がるからな。それじゃ優勝目指して頑張ってくれ。』
どんな脅しだよ!?
職権乱用じゃね!?
…これはもう負けるわけにはいかなくなったな…!
「……他のクラスにとっては迷惑なんじゃない…?」
確かに!
俺たちの巻き添えでテストの難易度が上がっちゃうなんて…
「でも加賀先生もA組で似たような事言ってたみたいだよ?だからどっちにしてもテストの難易度は上がっちゃう事になっちゃうね。」
今すぐあの教師たちを止めろ!!
自分の都合だけで生徒を困らせるな!!
「でも優勝すると焼き肉だよ♪これはもう頑張るしかないでしょ!」
おぉ!
悠希が燃えている!
…こういう時『だけ』は頼もしいな。
「……私はどっちかと言うと焼き肉よりお寿司の方が…」
澪、そんな事誰も聞いてないよ!?
「それを言うならバイキングもアリでしょ♪色んなモノが食べれるしね♪」
…何の話してんだよ?
お前はさっきまで燃えてただろ?
もう鎮火したのか?
「…なぁ、恭也?」
「…どうした?」
悠希が澪と話をするために前に出たから俺の後ろには今大地がいる。
「俺さぁ、今回出番少なくない?」
またかよ!?
前も似たような事言ってなかったか!?
そんなに出番欲しかったらもっと強力なキャラに変われ!
最近みんな変化激しいからバレないぞ?
「…………長かったですが、以上で私からの話を終わりにしたいと思います。」
おっ、ようやく教頭先生の話が終わったか。
…ってか長いって自覚してるんならもっと短くしろよ!
「……やっと終わったね…」
「ちょうど結論も出たし、タイミング良かったね。」
…結論?
何が食べたいかの話をしてたんじゃなかったのか?
「やっぱり一番は『お袋の味』だよね♪」
「……うん…」
そこに行き着いちゃったら結局は優勝しても何も褒美が無くなっちゃうだろ!?
家でいつも通りにご飯食べるだけじゃん!?
「……だからご飯を作ってくれる親に感謝しないとね…」
『焼き肉』から『親への感謝』に話の内容が変わっちゃったよ!?
お前らは最終的にどこまで行けば満足するんだよ!?
「そうだよね〜。最近の若い人たちは感謝の気持ちを忘れているからね。だから……」
もういいわ!!
永遠に続ける気か!?
「なぁ、恭也。いっそのこと髪切ったらどうだと思う?イメージ変わるかな?」
どうでもいいわ!!
それに髪切っても意味がないから!
ここは文字の世界であって、絵なんか無いんだから!
「大地さんはそのままでもいいですよ!」
「そうか?ヒカリがそう言うならこのままでもいいかな?」
「そうですよ。無理して変わる事は無いんですから。」
…なんでヒカリがここにいる?
「ヒカリ、ちゃんと自分のクラスの所にいないとダメなんじゃないのか?」
「何でですか?」
「いや、ほら、まだ開会式の途中だし…」
「もう開会式は終わりましたよ?」
……へ?
「…もしかして始まった事に気づいて無かったんですか?」
気づいて…無かった。
周りを見渡すとみんなすでにあちこちへと走り回っている。
そんな中、うちのクラスだけが地面に伏せている。
うちのクラスで伏せていないのは、俺と大地、澪、そして悠希だけだ。
そして地面を見てみると小さな影がたくさん…
上を見ると小さなビンがたくさん……
「キョーヤ?ボーっとしてたらハチマキ捕っちゃ……」
「全員伏せろぉー!!」
「ふぇっ!?」
俺は近くに来たカゲリを抱き寄せて伏せた。
爆風から守るためだ。
「ヒカリ!!」
「え!?大地さん!?」
大地も同様にヒカリを守るように伏せる。
「危ない!!」
悠希もちゃんと守ったようだ。
…イグを。
じゃ澪は!?
「……………!!」
ダメだ!
今から立ち上がっても間に合わない!
このままじゃ……!
「………………うそ…………!」
ズドォーンっ!!!
…グラウンド中に爆音が響いた。
辺りには砂埃が舞っている。
そのせいで視界は悪くなってしまい、周りの様子を知る事ができない。
…澪は?
最悪な視界の中、人影を探す。
すると、砂埃の中を誰かが歩いているのがわかった。
「…さすが黒城先生の生徒、これくらいじゃ誰も失格にはならないみたいね?」
そこにいたのはこの砂埃を巻き上げた元凶、加賀先生だった。
幸い、まだこっちには気づいてないみたいだ。
「おいおい、加賀。前もってガキ共には忠告しといたから良かったが、もし忠告しなかったら半分以上が脱落しちまうじゃねぇか。」
その影の近くにもう一つの影が近寄ってきた。
話し方から、黒城って事がわかる。
「あら?半分どころか三分の二くらいは脱落させるように爆薬を調節したんだけど?」
何気に怖い事を言いながらも、その声はいつもと全く変わらない口調のままだ。
それが余計に怖く感じさせる。
「どうでもいい。お前の狙いはどうせ俺だろ?めんどくせぇけどやってやるよ。」
「あらそう?なら…始めましょうか♪」
…!
今ここで始める気か!?
急いでここから離れないと巻き込まれちまう!
「恭也!カゲリ!こっちよ!急いで!」
立ち上がった瞬間、背後からいきなり誰かに腕を掴まれてそのままどこかへと引っ張られる。
砂埃のせいで顔が見えなくても声で悠希だって事がわかる。
隣にはカゲリの姿が見えた。
多分俺と同じように誰かに引っ張られているんだろう。
「大地!何してるの!?あんたも早く来なさいよ!」
「わかってるよ!ただ、ヒカリが気を失っちゃって…!」
「女の子の一人くらい、おんぶとかお姫様抱っこで運びなさいよ!」
あんな怖い目に合ったらやっぱり気を失っちゃうよな。
これがトラウマにならなきゃいいけど…
「ねぇユーキ!レイは!?無事なの!?」
「…………。」
カゲリの質問に答える事もなく、悠希はただ俺たちの手を引っ張って走りつづけている。
後ろからは多分大地だと思われる足音、さらにその後方からは再び爆音が響き渡っていた…
【状況整理】
恭也&大地&悠希&ヒカリ&カゲリ⇒移動中
澪⇒???
黒城&加賀⇒戦闘中
【残り人数】
(一クラス40人+先生)
A組⇒41/41
B組⇒39/41
C組⇒41/41
D組⇒40/41
E組⇒41/41
今回は少し適当な感じがしてしまってすみませんでした。 とりあえず、これからは気をつけながら頑張っていきたいと思います。 短いですが、今回はこの辺で。 感想等待ってます。