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第34話〜明日に訪れる恐怖

 

「…あ、忘れてた。」


授業が終わり、みんなが部活や帰宅の為に荷物を片付け始めた頃にいきなり黒城が切り出した。

…全ては黒城のこの言葉から始まったのだ。


…ってまだ何も始まっちゃいないか。

でも何か起きそうな気がするね。

そうじゃなかったらコイツが何かを思い出した所で生徒に伝えるだろうか?

いや、そんな事は絶対にない!

また大変な事に巻き込まれちゃうのか?

少しは幸せな学校生活を送れないかなぁ…?


「お前ら、明日ジャージ持ってこいよ。」


…え?それだけ?

予想が外れたな…

てっきりもっととんでもない事を言い出すかと思ったのに…

…………。

…何か裏があるに違いない!

絶対そうだ!


「先生!何でジャージを…ぐはっ!!?」


「誰が勝手に喋っていいって言った?質問がある時は挙手しやがれ!全部却下だけどな!」


そのくらいでチョーク投げるなよ!

それに質問を却下するくらいなら挙手しろって言うな!

意味ないから!

それから…



黒城のチョークを喰らった回数、記録更新おめでとう…クラスメートAよ。







 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お前らどう思う?」


部活の時間、黒城の連絡事項が気になっていた俺は同じクラスである大地、澪に聞いてみた。

ヒカリとカゲリはまだ部室には来ていない。 


「どう思うって言われても…とりあえず明日は何かがあるとしか思えないよな。」


大地、そんな事は俺も分かってるよ?

俺はその何かの部分が何であるかを聞いているんだが?


「……まさか体育祭じゃないよね…?」


やっぱりその可能性が一番高いよな…

他にジャージを持ってくるような行事は球技大会くらいか?

 

…でもこの学校の場合、普通の行事だけじゃなくて変な行事も混ざってそうだけどな…


「とりあえず明日になったら分かるんだからいいんじゃないか?仮に明日何をやるかわかった所でどうしようもないんだから。」


…確かにそうだな。

例えイヤな事だろうと、中止になることはまずないだろうからな。

……明日雨でも降んないかな?


「……運動系は好きじゃないんだけどな…」


澪はそういうタイプじゃないからな。 

逆にこの性格でスポーツ万能だったらビックリしちゃうから。


あ〜あ、こういう時に悠希がいたら明日何をやるかがわかるんだろうけどなぁ…

最近忘れられてるだろうけど、あいつは情報収集力がすごいからきっと知ってるだろうな…

何であいつ陸上部にいるんだろう?

…あ!

スポーツ推薦で入学したからか!

すっかり忘れてた。 


「……ところでヒカリさんとカゲリさん…遅すぎると思わない…?」


澪に突然聞かれて思考がそっちに移る。

言われてみれば、確かに来るのが遅すぎる。

いつもなら一番最初に来て何かの発明の準備をしているはずなのに…


「それを言うなら…外を見てみな。」


…外?

俺と澪は大地に言われた通りに外の様子を見てみた。

そこから見える景色…つまりグラウンドには数多くの部活がそれぞれ一生懸命部活動に励んでいた。

…グラウンドを使っている部活の数が多すぎないか?

けっこう広いはずのグラウンドがめちゃくちゃ狭く見えるんだけど?


…………。


…?

これ、どこかに違和感があるか?

普通に見えるけど…


「気づいたか?」


いや、全くわかりません。


「……もったいぶってないで早く説明してくれない…?」


澪もわからないみたいだな…

…てか機嫌悪くない?

もしかして大地の態度にイラついてる?

確かにバカにされてる感じはするけど…


「え?2人とも分からないの?」


うん。

完全に俺たちをバカにしてるね。

うわぁ、澪が完全に怒っている…ような気がする。

見た目はいつもと変わらないからわからないけど、何て言うか…澪の体からオーラが見えるような…


「……そうそう恭也君、この前の放課後、面白い事が………」

「待て待て待て!!俺が悪かった!!だからその話はやめろ!」


…何かあったのか?

この前の放課後って…俺が悠希たちと校長室の謎を探ってた時か?

う〜ん…気になる。


「と、とりあえず!外で部活をやっているヤツらを見て見ろよ!ほら、よく見たら俺たちのクラス以外の一年生がいないだろ?」


あ〜、確かに…ってわかるか!!!

ここから一人一人の顔を見分けるのも大変だし、その上他のクラスのヤツらの顔まで覚えてないから二、三年生との区別が出来ないよ!


「……一年生の顔全員覚えてるの…?」


「女子だけな♪」


親指立てて言うな!

キモイから!


「……この事をあの人に教えたらきっと悲しむだろうな…」

「脅迫!?まだ何か要求する気!?」


…どんな弱み握られてんだよ?

っていうか澪って意外と怖いな。

俺も弱みを握られないように気をつけとこう。


「…で、何で俺らのクラス以外の一年生がいないんだ?」


「さぁ?考えられるとしたら…明日の事に関係してるとか?」


「……作戦でも練ってるのかな…」


「…………。」×3







 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【E組前廊下】


明日何があるかはわからないが、その事について話し合っているなら何かしらの情報は得られるはずだ。

…と言うわけで、俺たち三人はコッソリ他のクラスの話を盗み聞きすることにした。

まずはE組からだ。


「……聞こえる…?」


「女子の声だけなら聞こえるぞ?」


お前はもう変態を通り越して超人か?


「…どうやらこのクラスは明日楽しめればそれでいいみたいだな。…あまり女子が話さないから内容はよく分かんないけどな。」


…それじゃ明日何やるかはわからないな…

よし!次行くか!




【D組前廊下】


「……どう…?」


「…ダメだ。女子の発言が全くない。このクラスの女子は大人しい子が多いからな…」


もう役立たずかよ!?

あまり期待はしてなかったけど… 

とりあえず俺も聞いてみようかな?

もしかしたら聞こえるかもしれないし。

そう思って俺もドアに耳を当ててみた。


『…とりあえず明日は一番になれなくてもいいからみんな楽しんでやりましょう!』


普通に聞こえるじゃねぇか!!

いや、確かに女子の声は聞こえないけど…問題はそこじゃねぇだろ!


「……恭也君…どうだった…?…何かわかった…?」


「とりあえず大地の頭の中がおかしいって事はわかったかな?」


「…ひどくね?」


「……それはもうすでにわかってた事じゃないの…?」


「確かにそうだな。」


「俺泣くよ?」


まぁ、冗談は置いといて…この話だけじゃ全く分かんないよな。

仕方ない、次のクラスに行くか。




【C組前廊下】


…C組か。

確か緋乃姉妹がこのクラスだったよな。 

多分こういう話し合いの時は…


『いや、私は一番手強いのはB組だと思うよ?だから一番最初に潰しておいた方がいいと思うな〜。』


…やっぱりカゲリが積極的に参加してるな。

ってか声デカッ!

普通に聞こえてるし!

…とりあえずカゲリの声だけ聞こえても意味ないからとりあえずドアに耳を当てておくか。


『ふむ。拙者もB組は注意しておいた方がいいと思う。だがA組も危険な事には変わりない。』


このクラスの担任は佐村か…

話し方で誰かわかるヤツって便利だよな。

説明の手間が省ける。


『なら、この二クラスは最後に相手した方がいいですね。その二クラスが互いに戦って弱りきった所を私達が潰す…ってことで。』


さすがヒカリだな。

見事な作戦だ。

その作戦が成功したらほぼ確実にコイツらのクラスが勝つだろう。


…ん?あれ?

さっきカゲリと佐村は何て言ってたっけ?

B組とA組が…とか言ってたような…

それってつまり…

ターゲットは俺らのクラス!?

え!?うちらのクラスってそんなに手強いか!?

…ていうかそもそも何の話し合いだよ?

潰すとかって…

クラス対抗の何かか?


「……どうする…?…このままじゃ私たち勝てないよ…?…何をするか知らないけど……」


う〜ん…運動神経抜群のカゲリと頭脳派のヒカリが組むと厄介だな…


『え〜?ここは正々堂々と正面から戦って倒そうよ。そうじゃないと面白くないじゃん?』


『…まぁ、絶対に勝たなきゃいけないって訳でもありませんからね。』


いや、全然厄介じゃなかったな。

カゲリ、ナイスだ!


…で、結局明日何をやるの?

クラスで競い合って、勝敗はあまり関係ない?

そんな行事あるか?

どの行事も他のクラスに負けないように熱くなるものじゃないのか?


「……これ以上聞いてても意味なさそうだね…次行く…?」


そうだな。

もう何か別の話し合いしてるし…

これ以上収穫はないだろうな。

次はA組か…


「…!!」


…何だ!?

急に寒気が…?


「どうかしたか?」


「…いや、何でもない。ただちょっと寒気がしただけだ。」


「……悪い予感ってやつ…?」


…澪の言う通りかもしれないな。

だけど、どうせ明日になったらA組と対峙する事になるんだ。

それならA組がどんなクラスか知っていた方が対策が練れる。


「…よし、行くか!」


俺は覚悟を決めてA組へと向かった。




【A組前廊下】


『それじゃ、他のクラスは全部殲滅って事で♪多分B組は手強いだろうからそこは主力部隊で即抹殺よ♪』


悪寒の正体はこれか!?

A組の担任が加賀先生だったとは…!

思いっきり物騒な事言ってるし、ターゲット俺らだし…


「……うちのクラス人気あるね…」


これを人気と言っていいのか?

っていうかこんな人気はいらんわ!

覚悟してないやつは明日心に深い傷を負うことになるぞ!?


『一クラスくらいなら兄貴一人ですぐにぶっ潰せるッスよ!』


…聞き覚えのある声だな?


「……あ…千秋君ってA組だったんだ…」


千秋?

それって…

そうだ!確か赤樹と一緒にいた帽子被った小さいやつだ!

…ってことは?


『…めんどくせぇ、俺なんかが出るまでもないだろ。お前ら、俺に殺されたくなけりゃ死ぬ気で他のクラスを狩ってこい。俺の手間を増やすなよ?』


やっぱりいたよ…

しかも自分のクラスのヤツらまで脅してるよ…

A組にいるヤツらがかわいそうだな… 


『ただし、神堂とか言うヤツは俺が始末するから倒すんじゃねぇぞ?お前らはその他の雑魚を潰しておけ。』


あぁ、この前のことまだ根に持ってるんだ…

ふざけんな!

誰がお前なんかと戦うか!


『ダメよ!彼は私の大切な実験素材なんだから!彼は私が生け捕りにするの!』


もう一人いたよ!?

まだ俺を狙ってたの!?

他のヤツにターゲット変えてくれない!?


「よっ!人気者!」


他人事だと思いやがって…!

お前を囮にして逃げようかな。


『あん?だったら俺がアイツを半殺しにしてお前に渡せばいいんじゃねぇか?』


『それならOK♪』


OKするんじゃねぇ!!

人を何だと思ってやがる!?

…あ、さっき実験素材とか言ってたっけ?


『…それより、さっき私に向かって何て言ったのかなぁ?お前とか言ってたように聞こえたんだけど?』


…あれ?


『確かにそう言った。聞き取れなかったのか?ったく、これだから年をとったヤツは…』


『私はまだ23だから。…それにしてもあんた口悪すぎよ?私が教育し直してあげようか?』


『お前にできるもんならな。逆に返り討ちにしてやるよ。』


これって…マズいパターンじゃない?


「……私、帰るね…」


あ、逃げた…

…じゃなくて!

俺も早く逃げないと!


「大地!早く逃げ…ってもういねぇ!?」


あの野郎!

後で覚えてやがれ!


そして俺は全速力でA組から逃げた。

…結局明日何をやるかはわからないままだ。

今はもうどうでもいいけどね。

明日の俺の生存確率は恐らく今までで一番低いだろう…


……………。


…明日風邪ひかないかなぁ?









【A組】


「…どうやらスパイはもうどこかに行ったみたいね?赤樹君、ナイス演技♪」


加賀が親指を立てながらそう言うと、赤樹はため息をついた。


「ったく、くだらない事に付き合わせやがって…聞かれても別に問題ないだろうが?」


「ふふ♪念には念をってね♪それに…私のクラスの切り札は隠しておきたいからね♪」


加賀の視線が赤樹から他の人に移る。

その人物は先程から机に突っ伏してイビキをかいている。


「確かこの子もあの少年の事を気にかけてたみたいだし…これは早い者勝ちになりそうね?」


「…邪魔するヤツは全員ぶっ潰すだけだ。」 


「ふふ♪明日は楽しくなりそうね♪」


教室中に加賀の笑い声が響き渡る中、帽子を深く被った人物がため息混じりに呟いた。


「…明日本当に『学年レク』なんスよね?さっきからすごい物騒な話なんスけど…これじゃ交流も何もないような…」




明日は他のクラスとの交流を深める為の学年レクリエーション。

これが良き思い出になるか、トラウマになるかはその人の行動次第だ。 


だが…


少なくとも一人は絶対に良き思い出にすることはできないはずだ。

…最近ノリで書く事が多くなってきました。    本当に新キャラを出してもよかったのかなぁ…?  …とりあえず今回から少しの間『学年レク編』を始めたいと思います。    2、3話で終わるかもしれませんし、もしかしたら長くなるかもしれません。 そこはやっぱりノリ次第って事で(苦笑)                 それでは今回はこの辺で。感想等お待ちしています。

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