第33話〜ある日の放課後【恋に邪魔はつきもの?】
【ヒカリ視点】
今回は私視点なんですね。
一生懸命頑張ります!
…何をどう頑張ればいいのかわからないんですけどね(苦笑)
「…退屈ですね。」
「だな。他の人はどっか行っちまうし…」
まさかこんな事になるなんて…!
放課後の部室で2人っきりになるなんて…!
さっきの澪さんの言葉のせいでずっとドキドキしちゃってる…
何か恥ずかしい…
このまま沈黙が続いちゃダメだよね!
何か話題を作らないと…!
「…あの……」
「…なぁ……」
「「…あっ……」」
「「…………。」」
…また沈黙!?
何このベタな偶然!?
こんな偶然が現実に起きるわけないじゃないですか!?
…もしかして私って不運なんですか?
『…おい、そこのバカップル何してんの?』
…忘れてた。
コレがいる限り2人っきりじゃなかったんだっけ…
直さなきゃよかった…
「KYO-YAは黙っててくださいよ。…それから今日の事は他の人に教えないでくださいよ?」
『さて、どうしようかな〜?』
…………。
「なぁヒカリ。こいつどうやれば消える?」
「あ、そこのキーを押してですね…」
『すまん!俺が悪かった!』
弱っ。
体がないとめちゃくちゃ弱くなっちゃうんですね?
抵抗できないから当たり前なんですけど…
「とりあえずカメラとスピーカーだけでも切っとくか?」
「そうですね。」
『それって視覚と聴覚を消されるってことか!?そんな事されたら俺何も出来ないじゃねぇか!黙ってるから止めろ!』
「この時点でうるさくねぇ?」
『…………。』
「それじゃしばらくの間カメラとスピーカーを切っときますよ?」
『黙ってても結局は消されるんじゃねぇか!ふざけん…ブツッ………』
やっと静かになった。
でも静かすぎて…
何か気まずい…
「…なぁ、ヒカリ?」
そんな時、大地さんから私に話しかけてきてくれた。
その目は真っ直ぐに私の目を見ていて…
…ダメ…!
私はすぐにその視線を外した。
恥ずかしい…ただそれだけの理由で…
バカ!
そんな事をしたら相手を傷つけちゃうかもしれないのに…!
「…ヒカリ……」
ガラッ
「邪魔するぜ!」
!!!?
いきなりドアが開かれてそこから銀髪の人が現れた!
確か…赤樹さんでしたっけ…
「おっと、本当に邪魔しちまったみたいだな?悪いな。」
赤樹さんは全く悪びれた様子もなくにそう言うと部室の中を見渡した。
…一体何しに来たんでしょうか?
「赤樹、お前何しに来たんだ?」
「あん?クズが俺の事を呼び捨てにすんじゃねぇよ!ただの人捜しだ!悪いか!」
口が悪いです。
…あ、そういう話じゃないですよね。
「ちっ!ここにも居ねぇか…あの野郎どこ行きやがったんだ?」
そう言いながら赤樹さんはどこかに行ってしまった。
そして部室の中は再び沈黙が…
…重苦しい…
さっきせっかく大地さんが何か言おうとしていたのに…
本当にタイミングが悪いんですから!
…このままじゃ何もないまま終わってしまう!
多少強引でも何か話題を作ってそこから…
「…ヒカリ?どうかしたのか?さっきから深刻な顔してるけど…」
顔に出てた!?
いけないいけない!
私は何でもないよと告げてまたいつもの顔に戻した。
…多分…
意識すると普段どんな顔してるか分かんなくなっちゃうんですよね。
…しません?
「本当か?何かあったらいつでも言えよ?ヒカリはいつも一人で悩み事を抱えこんじゃうんだから。」
…それはそうなんですけど……
今はもうそんな事無いですよ。
前に励ましてもらった時から…
「大丈夫ですよ。…それよりさっき私に何か言おうとしていませんでしたか?」
「…ああ、今なら誰もいないからな…ヒカリだけに伝えておきたい事があるんだ。」
…え?
その言葉に胸がドキドキし始めた。
ま…まさか…!
ここ…こく………!!?
「…ヒカリ!俺は…」
ガラッ
「よぉ、ちゃんと部活やってるか?」
また大事な所で邪魔ですか!?
今度は…黒城先生!?
何でここに!?
いや、一応顧問なんですから当たり前の事なんですけど…でも今まで一度も部活に来たこと無かったじゃないですか!?
何でこんな時に…
「ん?人数が少なくないか?…ま、いいか。部活なんか適当にやってりゃいいんだからな。」
それって問題発言じゃないですか?
一生懸命やってる部活に対して失礼ですよ?
「ところで先生は何でここに来たんですか?今までは来たことなかったのに。」
「あん?俺が何でここに来ようが別にいいじゃねぇか?俺の勝手だ。それからお前は敬語をしっかり習え。」
…赤樹さんと似てますね。
ダメ出しを喰らった大地さんは少し落ち込んでいる。
この先生にだけは言われたくないですからね。
「まぁ、ぶっちゃけ職員室にいたらハゲがうるせぇからな。あ、ヅラって言った方がいいのか?それでとりあえず暇つぶしに校内を散歩してたわけだ。」
…きっと教頭先生の事ですね。
この先生は敬うって事を知らないんでしょうかね?
「何かここもつまんなそうだな…仕方ねぇ、屋上に行ってタバコでも吸ってるかな?」
え!?本当に教師!?
屋上でタバコって…不良じゃないですか!?
ていうか…
「…今日雨降ってますけど?」
「傘差せば問題ないだろ?」
そこまでして吸いたいんですか!?
「じゃあな。おっと、この事はヅラに言うなよ?もし言ったら…半年は入院するような怪我させてやるから。」
…それって怪我ってレベルじゃないんじゃないですか?
そんな事したらそっちも捕まりますよ?
黒城先生はそのまま部室から出て行った。
…ただ来て終わり?
こんな時に来ないでくださいよ!
「何か今日は来客が多いな…」
「そうですね。多分こうして話してる内にまた誰か来ちゃうんじゃないですか?」
そんな偶然はないか…
ガラッ
「神堂殿!神堂殿はいるか!?」
本当に来ちゃいましたよ!?
って佐村先生じゃないですか!?
また赤樹さん関係ですか!?
「恭也さんならいませんよ?」
「それはまことか?困った…実は赤樹のやつが部員を全員気絶させてどこかに行ってしまったのだ…」
そんな事でいちいち恭也さんに頼らないでくださいよ!
あなたも教師なら自分で赤樹さんを何とかしてくださいよ!
…多分あの人はどうにもならないとは思いますけどね。
「もし神堂殿が帰ってきたら伝え…」
ドカァーン!!
「ぐわぁっ!!!?」
「「!?」」
な…何ですか!?
いきなり佐村先生が爆発した!?
「佐村、邪魔よ♪ついつい爆薬投げちゃったじゃない♪この部活の人たちに迷惑じゃない?…ちょっと聞いてるの?あら?動かなくなっちゃった…ま、いいか♪」
なんですか、この白衣の先生は!?
どこからつっこんだらいいんですか!?
「か…加賀先生!?何でこんな所に!?」
加賀先生!?
この人があの!?
今じゃ校内最凶の先生として有名な先生じゃないですか!?
「銀髪少年は…いないみたいね?あら?あなたはこの前遊園地で会った銀髪少年と一緒にいた女の子じゃないの?今度はこの男の子と一緒にいるの?」
もしかしてカゲリちゃんと勘違いしてません?
そっくりだから仕方ないかな?
「私あなたとは初対面ですよ?多分それは私の双子の妹です。」
「へぇ…ここまでそっくりな双子も珍しいわね………解剖してみたいかな♪」
え!?
もしかして言っちゃいけないことを言っちゃった!?
「う…嘘ですよ?ほら、他の男の人と一緒にいるのがバレたら面倒な事になるので…」
「あら、そうなの?残念だわ…今年の一年は面白い人が多いから期待してたのにな…」
セーフ!
でもカゲリちゃんと一緒にいる所を見られたら危ないかな…
「ところで先生が受け持っている部活を放っといてもいいんですか?どの部活か知りませんが…部員が困ってるんじゃ…?」
「それもそうね。今日は銀髪少年を追うのはやめとくわ。また今度会いましょうって伝えといてね♪」
大地さんの質問にそう答えて加賀先生は部室を出て行った。
大地さん、ナイス質問です!
問題は…
「…佐村先生どうします?」
「放っといていいんじゃないか?こんなのが置いてあったら誰もこの部室に入ろうとしないだろうしな。」
そうですね。
これで今度こそ本当に2人っきり…
「…………ヒカリ、真剣に聞いてくれ…」
「……はい!」
大地さんの表情も真剣そのもの…私は大地さんのその真剣な眼差しを直接見る事は出来ないので、視線は少し下の方を向いている。
…多分顔は真っ赤なんだろうと思う。
顔が熱いから…
そんな時だった…
大地さんの手が私の手に触れ、そのまま両手で握った。
驚いて顔を上げるとそこには大地さんの顔が…
「…………ヒカリ…俺は………」
「…ちょ、ちょっと待ってください!」
私は慌てて大地さんの言葉を切った。
別にこの続きが聞きたくないわけじゃない。
むしろその逆だ。
でも…
私は気づいた…
部室の入口、そのドアの隙間からの視線に!
「そこで覗いているのは誰ですか!?」
私がその視線に向けてそう言うと、ドアは静かに開かれた。
「……残念…あと少しだったのに…」
澪さん!?
図書室に行ってたんじゃないんですか!?
「……ダメじゃない大地君…もっと早く言わないと…あ、私の事は気にしないで続きを…」
「できるか!!」
次から次へと…
何でこんなに邪魔が入っちゃうんだろう?
「図書室に行ったんじゃなかったのか?」
「……うん…でも読書する気分じゃなかったから戻ってきた…そしたらいい雰囲気だったから…ついこっそり……」
ついこっそりじゃないですよ!
そこは敢えて見過ごしといて下さいよ!
「……どうやら恭也君たちもまだ戻ってきてないみたいね…安心して…誰にも言わないから…その代わりに今度何か要求するから…じゃ私恭也君を探してくるから…」
脅迫のネタになっちゃった!?
そして澪さんは部室からマジックを持ってすぐに出て行った。
…何に使うんだろう?
私と大地さんは互いに視線を交わすと廊下を覗き込んだ。
……………。
「「…何してんの?」」
「……イタズラ…」
廊下に出ると、さっき気絶した佐村先生の顔に落書きしている澪さんがいた。
「……見なかった事にしてね…言っても信じてもらえないと思うけどね…私、そういうイメージじゃないから…」
そう言って廊下の奥へと歩いていった。
残ったのは額に肉と書かれ、瞼には目、頬には渦巻き、鼻の下にはちょび髭が書かれた佐村先生だけだ。
あれだけの間にこんなに書くなんて…もしかして慣れてる?
「…澪さんってあんなキャラでしたっけ?」
「…さぁ?俺は今まで澪はクールな毒舌キャラだと思ってたけど…最近かなり変わったな。」
…そういえば大地さんは初めて澪さんと会った時に泣かされてましたっけ。
「それを言うなら大地さんも最初は女好きのキャラでしたのに、最近はそうでもないんじゃないですか?」
あの時はまさか大地さんにこんな気持ちを抱くなんて思ってませんでしたけどね。
「俺は今でも全ての女性の味方だぞ?ただもうすでにこの学校の全ての女性に俺の事をアピールしたからな。だからもうあんなに目立つアピールはしなくなっただけ。でも…もうそんな事はしないよ。だって…」
ギュッ
…え…えぇ!?
抱きしめられた!?
「…ヒカリ…お前がいるんだからな…」
ちょっ…ちょっと待ってください!!
ここは廊下ですよ!?
こんな所誰かに見られたら…!
「澪を見て決心したよ。俺もいつまでもこのままじゃいけない。全ての女性の味方もいいが、今はそれよりもただ一人…ヒカリ、お前だけのために…」
「大地さん…」
どうしよう!?
これってもう告白ですよね!?
うわー、顔が熱い!
絶対に顔真っ赤になっちゃってますよ!
胸もさっきからドキドキしてるし…
あ、大地さんもドキドキしてるのがわかる…
そうか、密着してるから…ってそれじゃ私がドキドキしてるのも大地さんに分かっちゃってるって事!?
キャーッ!!
ヤバい!頭がパニクってきた!
「だからヒカリ、俺と…付き合っ…」
「…コホン!」
「うわっ!!?」
「キャッ!!?」
いきなりの誰かの登場に私たちは慌てて密着状態から離れた。
だ…誰ですか!?
「…いきなり拙者の前でそのような事はやめていただけないだろうか?拙者は早々に退散するので続きは後でやっていただけると助かる。」
起きたんですか!?
起きたにしても黙って気絶したふりをしていればよかったのに…少しは空気読んでくださいよ!!
そして佐村先生はヨロヨロと歩いていった。
落書きには気づいてないみたい…
ふん、知らない!
「…………。」
「…………。」
「…とりあえず部室に戻ろうか?」
「…そうですね。いつまでも廊下にいてもしょうがないですしね。」
さすがにもう邪魔するような人は…
「あ!ヒカリー!」
次は誰ですか!?
…って何があったんですか!?
私が振り返るとそこには傷だらけのカゲリちゃんと悠希さん、そしてその二人に引きずられている恭也さん、その後ろに澪さんがいた。
恭也さんは気を失ってるみたいでピクリとも動かないで引きずられている。
「ヒカリ、手伝ってよ〜!」
「一体何があったんですか!?」
「……黒城先生にやられちゃったみたい…私は見てないから知らないけどね…」
「ふん!イグをあんな目に合わせたんだから当然の報いよ!」
…?
とりあえず詳しい事情は後で聞きましょう!
私と大地さんはみんなの所に行って恭也さんを運ぶのを手伝った。
…これでもう大地さんと二人っきりになれる時間がなくなっちゃいましたね…
さっき大地さんが言おうとしていた言葉…
あの言葉に対する返事もまだしてない…
「ヒカリ…」
恭也さんを運んでいる最中、大地さんが私の耳元で囁いてきた。
「…悪いけどさっき俺が言った事は忘れてくれないか?」
……!!?
な…何でですか!?
心変わりしちゃったんですか!?
私は大きくショックを受けて下を向いてしまった。
すると、彼はその続きを囁いてきた。
「いつか…ちゃんとした時に俺の想いを伝えたいんだ。だからその時まで待ってくれ…」
私が顔を上げてみるとそこには大地さんの顔。
…誰だってこんな告白の仕方は嫌ですもんね。
彼の顔に私は大きく頷いた。
「…?何してんのあんた達?」
「何でもないよ。なぁ、ヒカリ?」
「ハイ♪」
「ヒカリがすごくご機嫌に見えるけど…ま、いいか。」
悠希さんとカゲリちゃんが再び前を向いた時に私たちは顔を見合わせて笑った。
…私の返事はもう決まっている。
だって…一番最初に大地さんと声が重なった時に私も自分の想いを伝えようとしていたんですから……
「……これで一週間くらい昼食おごってもらえるかな…?」
聞かれてた!?
これで3話続いた放課後編は終了です。 今回の話は少し時間間隔がおかしいかもしれませんが…気にしたらダメですよ? 一応確認しておきますけど、現時点ではまだ大地とヒカリは付き合っていません。 この先どうなるのか… それは話の流れ次第ですね。 『こうして欲しい』とか『こうしたらどうですか?』などの意見があったらぜひ教えてください。私は恋愛系は苦手ですので(苦笑)。 …それでは今回はこの辺で。 感想・評価等お待ちしています。