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第32話〜ある日の放課後【in図書室】

 

《澪視点》


…今回、私視点になってるみたいだから『…』は少なめにしないと読みにくいかな…

…頑張らなきゃ。




「…恭也さんとカゲリちゃんがいないとつまんないですね。」


…ため息をつきながら言うヒカリさんは本当に退屈そうだ。

恭也君は多分悠希さんに呼ばれてたから、そっちに行ってるんだろう…

悠希さんは確か校長室を調べるって言ってたから…いるとしたらそこかな?

…私にはどうでもいいけど。


「……私、図書室に行ってくる…」


恭也君がいないだけで、部活がこんなにつまんなくなるとは思わなかった…

どうせこの部活はあまり真面目じゃないみたいだし、暇つぶしには図書室に行くのが一番いい。


「え?あ…はい、わかりました。」


…これで部室にいるのはあの2人だけになるのか…

私はそっとヒカリさんに囁いた。


「……せっかくのチャンスなんだから…この際もっと親密度上げたら…?」


それだけ言って図書室へと向かう。

多分ヒカリさんの顔は真っ赤になってるんだろうな…

………青春ね……




 

【図書室】


…さて、今日は…恋愛系の本でも読むかな…

この学校の図書室は本の種類が豊富で、私みたいな本好きや暇つぶしをする人にはうってつけ。

私も一日に一回はここに来る。


私は一番近くの棚から手頃な本を探し始めた。

…………。

…あ、これなんかいいかも…

そう思ってその本に手を伸ばす。


……………。


……届かない…


…くやしいな……

どこかから台を持ってくるかな…

そう思って周りを見渡してみると、奥の方に台を使って本を取っている人がいた。

ちょうどいいからあれを貸してもらおう。

私はその人の所まで歩いていった。


「……すいませ…ん…?…あれ…?…あなた…どこかで…」 


その人に近づいた所で、どこかで見覚えがある事に気づいた。

…どこで会ったっけ?

身長は高くなく、帽子を深く被って顔は見えない。

…顔が見えないのに顔見知りっていうのも変かな?


「ん?…ああっ!確かこの前兄貴と闘った銀髪と一緒にいたやつらの一人じゃないッスか!」


…思い出した。

この前恭也君が闘った…赤樹君…だっけ?

その人の…子分っていうのかな?

そんな感じの人だ。

確か名前は…


「……千秋君…だっけ…?」


「…『君』は付けないで欲しいんスけど?」


「……ムリ…」


別に人の事をどう呼ぼうと私の勝手。

そっちだって恭也君の事を銀髪って呼んだんだから。

…っていうか赤樹君も銀髪じゃなかったっけ?


「ムリって…まぁ、いいっちゃいいんスけどね。とりあえずちゃんと自己紹介しといた方がいいッスかね?名前は《春日 千秋》ッス。よろしくッス。」


…意外といい人?

あの赤樹君の子分だから悪い人かと思ってた…

もしかして赤樹君もいい人なのかな…?


「……私は小織 澪…よろしく…」 


「…さっきからセリフが短すぎないッスか?もしかして千秋の事嫌ってるッスか?」


あ、そうか。

いつもこんな感じだけど初めて会う人にはそんな風に見えるのか…


「……そんなことないよ…私はこれが普通だから…」


「そうなんスか?恥ずかしがり屋なんスね。千秋もけっこう恥ずかしがり屋だから気が合いそうッスね。」


…だからいつも帽子を深く被ってるんだ…

それよりも…

何だろ今の感覚…?

一瞬、千秋君が笑った時にドキッとした…

恋心とかとは違う…

なんていうか…その…千秋君が…かわいく見えた…

千秋君は背が低い方だから余計にかわいく見える。

…コスプレグッズ持ってくればよかったかな?


「ところで千秋に何か用ッスか?」


…忘れてた。

台を借りに来たんだ。


「……よかったらその台貸してくれないかな…?」


「いいッスよ。そのかわりに…ちょっと話をしないッスか?」 


…話…?


「ほら、千秋っていつも兄貴と一緒にいるじゃないッスか?兄貴って怖いイメージがあるッスから一緒にいる千秋までそんな目で見られちゃうんスよね…だから人と話す機会があまり無くて…ダメッスか?」


「…………」


「…?どうしたんスか?急に下向いて…なんかプルプルしてないッスか?」


……ダメ…

もう我慢できない!


ギュッ!


「えっ!?ちょっと何するんスか!?」


…この子…かわいすぎる!

顔は見えなくてもその微妙に震えた声や小さい体が私の母性本能をくすぐる!

…このまま私のモノにしちゃいたい!


「いつまで抱きついてるんスか!?ちょっ…どこ触って…」


「……あなたがかわいすぎるのが悪いの…フフフ…」


「さっきまでとキャラが違わないッスか!?それにかわいいって…」


その微妙に照れてる所とか…!

ダメ元でお願いしてみようかな?


「……ねぇ…私の弟にならない…?」


「…弟?ふざけるなッス!!」


キャッ!!

いきなり千秋君に突き飛ばされちゃった…

…何が気に入らなかったんだろう…


「千秋はそういう風に見られるのが嫌いなんスよ!それに…あんたがそういう人だったとは思わなかったッスよ!」


…………。


「あんただったら…千秋の事分かってくれると思っていたんスけど…どうやら違うみたいッスね…」


千秋君…


「……分かるよ…これがツンデ……」

「いや全然違うッスから。」


冗談はさておき…


「……本当は寂しいんでしょ…?」


一瞬、千秋君の体がピクッと反応した。

図星みたいね。


「……それに…今日は赤樹君と一緒にいないし…何かあったんでしょ…?」


「…う…うぅ…」


あ、震えちゃった…

…どうしよう…かわいすぎる……

またギュッてしたら怒られるかな…?


「実は……」




千秋君の話を要約すると、あの日、恭也君と闘った後から赤樹君は再び部活に参加するようになった。

…でも、それ以来千秋君にあまり構わなくなってしまったらしい…

千秋君はその事を悩んでいた…という事だ。


…千秋君ってホ○?


「…千秋は一体どうしたらいいんスかね…」


千秋君はさっきから下を向いて負のオーラを出している。

ここで私は閃いた。


「……千秋君…よかったら私たちの部活に入らない…?」


「え?」


さっきまで下を向いていた顔を上げて、驚いたような声を出した。

実際驚いたんだろうけどね。


「……それなら寂しさなんか忘れられるし…楽しいよ………………私も…あの部活に入って変わった…」


そう、私もみんなのおかげで変われた。

みんなに会わなかったらきっと図書室以外に行くこともなく、つまらない毎日を過ごす事になったんだと思う…

それは入学する前から思っていた。

中学の時も私は一人ぼっちだったから…

でも…

あの日、恭也君が話しかけてくれたその時から…私は少しずつ変わっていった。

こんな私に普通に接してくれて、部活に誘ってくれた。

ただそれだけの事で…

そして私は彼に惹かれた…

このまま彼と一緒にいたい…

その想いが日が経つにつれ強くなった。

そして彼と一緒にいる間、友達と一緒にいる間、私は今までに感じる事のなかった『楽しさ』を感じた。



「…千秋なんかが入っても大丈夫なんスか?あの恭也とかいう人は兄貴の事を嫌ってるんじゃないッスか?」


「……そんな事ない…それに千秋君が入ってくれたら………………」


「千秋が入ったら?」


……………。


「……私の弟みたいにでき…」

「それが本音じゃないッスか!!」 


…だってかわいいんだもん。


「それにさっきから弟って…この際言っとくッスけど千秋は……」

「おい千秋!お前ここで何してんだ!」


その時だった。

勢いよく図書室のドアを開く音がして、その人物が私たちの所に歩いてきた。

…赤樹君だ。


「あ…兄貴!?何でここがわかったんスか!?」


「探したに決まってんだろ!ったく、面倒な手間かけさせやがって…さっさと来い!」


私を無視して赤樹君は千秋君を見下ろすように立っている。

本人にそんなつもりは無いんだろうけど、身長が違いすぎるのでそういう風に見える。

最初、赤樹君が来た時には嬉しそうにしていた千秋君だけど…またすぐに下を向いちゃった。


「…千秋なんかと練習するより他の先輩方と練習した方がいいんじゃないスか?」


卑屈になっちゃった…

ダメだよ。そんな態度じゃ…


「バカか?あんな雑魚共と練習しても意味がねぇんだよ。どいつもこいつも一撃でくたばりやがって…残ってる部員はお前しかいないんだよ。…それにお前強くなりたいんじゃなかったのか?だから俺に弟子入りしたんだろ?」


…強くなるため?

別に千秋君はかわいいんだから強くなる必要はないと思うんだけどな…

あ、関係ないか。

逆にかわいいって言われたくないから強くなろうとしてたりして…


「そ…そうッスよね!悩んでる場合じゃないッスよね!」


赤樹君の言葉に励まされたのか、千秋君は元気を取り戻したみたい。

…あ〜あ、これじゃもう部活に誘えないか…

せっかくかわいい子を見つけたのに…残念…


「小織さん、どうもありがとうッス!早く行かないと兄貴に置いて行かれるんで…何かあったらまた相談に乗ってくれるッスか…?」


赤樹君はいつの間にかもう図書室の出口まで行っていた。

千秋君も急いで行こうとしているみたい…


それにしてもありがとうって…

私は何もやってないんだけどな…

でも…人に礼を言われるのもいいね。


「……いいよ…それから私の事は小織じゃなくて澪って呼んでいいから…お姉ちゃんでもいいけど…」


「それはパスッス。じゃ澪さん。また今度ッス。」


「……バイバイ…」


…行っちゃった。

千秋君はいい人に出会えたんだね…

確か剣道部の部室ってここから結構遠いはず。

そこからあちこち探してきてくれるなんて…

千秋君の事を大事に思ってなかったらそこまではできないよ?

あの2人はいいコンビなのかもね。


…何かもう読書する気分じゃないや。

……恭也君でも探してくるかな?


私は図書室の出口へと向かう。

思えば本を借りなかった日は今日が初めてなのかもしれない。

…本よりも夢中になれるもの…

それを見つけちゃったから…







…あ、そうだ。

後で千秋君にネコ耳付きの帽子でも渡してみるかな?

いつも帽子被ってるからアリかも…

今回は前回の話の別の人バージョンです。              ここで初めて千秋のフルネームが出ましたね。 忘れてたわけじゃありませんよ?       書く機会が無かっただけです。        …それにしても、先日話番号を整理した時に気づいたんですが澪のキャラってかなり変わっちゃってますね(苦笑)   もしかしたら今後修正するかもしれないし、このままいくかもしれないし、また別な性格になるかもしれません。    その時のノリ次第…って感じでしょうか?   なるべく気をつけますけどね。                   とりあえず今回はこの辺で。         感想・評価お待ちしています。

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