第24話〜勉強会
【悠希の部屋】
…数年ぶりにコイツの部屋に来たが…
相変わらず散らかった部屋のままだった。
床にはマンガや衣類が散乱していて、それを悠希が急いで部屋の隅へとどけて勉強できるスペースを作った。
「よし、それじゃ早速勉強会始めよー!」
いつも最初の内だけは威勢がいいんだけど…
さて、どのくらいそのやる気がもつかな?
〜30分後〜
「………だからここがこうなって……」
「あぁ、そういうことか。」
「全然わかんないよぉ〜…」
悠希がテーブルに突っ伏して完全にダウン状態になっている。
まだ始めてから30分しか経ってないぞ?
普段から勉強してないからこういう時に困るんだからこれを機会に毎日勉強するんだな。
「あ〜あ、あの時先生に見つからなかったら今頃楽できたのに…」
お前はまだそんな事言ってんのか!
仮に黒城が没収しなくても俺が没収してるわ!
…ちなみに今俺たちは数学に取り組んでいる。
黒城の性格からしてマトモな問題は出ないと思うが、基礎さえしっかり出来てたら0点は無いだろう…ってことだ。
そして澪が俺と悠希を、ヒカリがカゲリに教えていて、大地はそこら辺で一人で本を読んでくつろいでいる。
…何で来たのお前?
「ねぇ、キョーヤ?どうせ勉強したところで将来こんなもの使わないんだから勉強する意味ないじゃと思わない?」
元も子もないこと言うな!
黙って勉強しろ!
「疲れた〜…もうやりたくないよ〜…」
何で一番頭が悪いお前らが一番やる気ないの?
いや、やる気がないから頭悪いのか?
「……恭也君…この人たちどうやったら勉強するかな…?…このままだと2人ともバカのままだよ…?」
…相変わらず澪は言う事がキツいな。う〜ん…
やっぱりここは何かモノでつらないとダメか?
「よし、そこの2人!もし全部のテストで赤点を免れたら何かおごってやる!」
「「そんなのにつられるわけないじゃん。」」
くっ…生意気な!
「おごってくれなくていいから何か一つだけお願いを聞いてくれるってのは?」
「あっ!それいいね♪それなら私も頑張れるよ!」
…よくあるパターンだなオイ。
ま、でもそれでやる気が出るなら仕方ないか…
「それなら私も参加したいです!」
「……私も…」
「俺も!」
待て待て待て!?
「お前ら普通に頭いいだろ!?」
「でもその2人に褒美があって私たちに無いのは不公平だと思いますよ?」
「……それともその2人は恭也君にとって特別ってこと…?」
いや、そういうわけでは無いけど…
それにそもそも俺はその条件にまだOK出してないし!
「恭也、ここまで来たらお前に拒否権は無いだろ?」
この野郎!
他人事だと思いやがって!
いや実際他人事なんだけどさぁ…
…だか確かにこんな状況でNOと言えばまたあの2人はやる気を無くすだろうし、YESと言ったら他の3人も参加してくるし……
…それならこうするしかないだろ。
「わかった。ただし少しルールを変えさせてもらう。」
「キョーヤ、それってどんなルール?」
今から説明するから落ち着けって。
「まず悠希とカゲリ。お前らはさっき言った通りに全教科で赤点を免れたら何でも言うことを聞いてやる。ただし一つだけな。」
「よーし、それなら頑張るぞー☆」
「……で、私たちの方は…?」
「そこの3人は…そうだな……」
全教科90点以上とか言ってもその条件は簡単にクリアしちゃいそうだからな…
少し厳しいと思うがこれしかないか…
「お前らは学年で一位を取れたらだ。」
「「「……え…?」」」
おぉ、全員澪と同じしゃべり方になった。
「恭也さん、それって…私たち3人の内1人だけってことですか?」
まぁ、一位になるって事はそういう事だな。
「俺たちだけ条件厳しすぎないか!?」
いや、あの2人も勉強の進み具合を見たら同じようなものだと思うぞ?
2人とも中学の復習から始めてるし。
「……頑張るしかないか…」
そう、澪の言う通り。
「よーし、それじゃみんなキョーヤにお願いを聞いてもらえるようにガンバロー!!」
「オーッ!!」×澪以外
「…………」
さすがに澪はこのノリについていけないか。
「…その前にお前ら、まだ話は終わってないぞ?」
「え?」
「まだ何かあるんですか?」
冷静に話を分析したらわかることだろう?
「この条件だと俺1人だけが何のメリットも無いことになる。」
「別にいいんじゃない?恭也だし。」
良くないわ!!
何『恭也だし』って!?
「とにかくお前らもメリットを求めるくらいだからリスクも覚悟の上だよな?」
「「いや、全然。」」
そこのバカコンビ!!
お前らは自分さえ良ければそれでいいのか!?
「……それでリスクって何…?」
「簡単な事だ。そこの2人は2教科以上赤点を取ったら、他の3人はその中で一番点数の低いヤツが俺考案の罰ゲームを受けてもらう。」
「えーっ!?」×澪以外
「…………」
ま、俺もそんなに酷くはないから簡単な罰ゲームで済ませるつもりだけどな。
「…ますます勉強しなくてはいけない状況になりましたね!」
「……負けない…」
「恭也に日頃の恨みを晴らす為に絶対に一位になってやる!」
「赤点どころか100点を取れるように頑張るんだから!!」
「キョーヤにお願いを聞いてもらえるんならこんなテストくらい簡単に解いてやる!」
それぞれ意気込んでいる所悪いが…
「大地…俺、お前に何かしたか?」
「…?いや、別に?」
じゃ何で『日頃の恨みを晴らす為に』とか言ってんだよ!!
「別に俺は『コイツがいなかったら俺のモテモテライフが邪魔されることなんてなかったのに!この野郎!』とか思ってないから。」
ほほぅ…お前はそんな事考えてたのか。
だが仮に俺がいなくてもお前がモテモテになることは絶対に無いと思うぞ?
「…ま、理由はどうであれやる気があるのはいいことだ。その調子で各自頑張れよ。」
言うまでもなくみんなはすでに各々の勉強をやっていた。
これでみんな勉強に集中できるな。
…あれ?
俺はここである失敗に気がついた。
…頭いいヤツらまで自分の勉強に集中しちゃったら分かんない所聞けなくない?
「な、なぁ澪…?」
「……後で…」
「…じゃヒカ…」
「今集中してるので話しかけないで下さい。せっかく覚えた公式を忘れちゃいますし。」
「…仕方ない、ここは大地に…」
「男には教えん!」
……………。
…大地は完全に論外だが……
変な条件出さなきゃよかった…(泣)
ようやく10話です。 …え、ようやく? ………ま、それは置いといて………って今回はあまり書く事が無いですね…(苦笑) …とりあえずこの辺で(逃)