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第22話〜お買い物♪

 

「……これもいいし…あれもいいな…」


…どっちでもいいから早く決めてくれないかな…?

俺も買い物はどっちがいいか時間をかけて悩むタイプだが、さすがに同じ物に30分近く悩むことは無いぞ?


俺たちは今市内のデパートに来ている。

俺たちって言っても俺と小織さんだけだが…

何で二人だけで来ているかと言うと…


ま、前回の話を見ている人はもうわかっていると思うが小織さんと約束したからだ。

俺は約束は守るタイプだからな。

前回のあの授業が終わった後、俺と小織さんはコッソリと待ち合わせ場所などの打ち合わせをした。

…なぜコッソリかと言うともし他のヤツらも来ると厄介な事になると思ったからだ。

緋乃姉妹はどうか知らないが、悠希や大地はまず間違いなく厄介な事になる。

以前その二人と買い物に来た時は行った店全てに『二度と来ないで下さい!』って言われたくらいだからな。


…あの時と比べると買い物に時間がかかってる方がまだ格段にいい。

小織さんは性格からして問題は起こさないはずだし…

久しぶりに安楽の時を過ごせそうだ。 


「……神堂君はどっちがいいと思う…?」


そう言って小織さんが見せてきたのはヒツジのぬいぐるみとブタのぬいぐるみだった。

…それを選ぶ為にこんなに時間かけてたの?


「そうだな…そっちのヒツジのぬいぐるみの方が寝る時に気持ちよさそうだからな。そっちがいいと思うぞ?」


「……そう…?…ならコッチにしよ…」


「いや、そっちのブタさんのぬいぐるみも可愛いじゃん。私はそっちがいいと思うな〜♪」


…ん?

もしかしてこの声は…


「……悠希さんも来てたの…?」


「うん♪私買い物好きだから♪」


やっぱり悠希か…

イヤなヤツに会っちまったな…


「ところでアンタたちってそんな関係だったの?こんな休日に2人っきりでデートなんて…いや〜全然気がつかなかったな〜♪」 


な…何言ってんだコイツは!?


「……………私たちはそんな関係じゃない………」


小織さんも悠希の発言に不服があるのか、いつもより『…』が多い。


「またまた〜♪そんな事言っちゃって〜♪私にはわかってるんだから〜♪」


悠希はニヤニヤとしながら俺たちを見ている。

…ハッキリ言ってさっきからのコイツの態度にメチャクチャ腹が立つ!

だってコッチが否定してるのに勝手な解釈してからかってくるんだぞ?

こういうヤツって腹立たない?

少なくとも俺はこういうのは腹立つ!


「小織さん、早く買い物済ませて別な所に行こう。」


「……え?…あ…うん…わかった…」


そして小織さんはぬいぐるみを2つともレジへと持っていった。


…って2つとも買うならどっちがいいか迷うなよ!!


「いや〜まさか恭也に彼女が出来るなんてね〜…ちょっとショックかな…」


俺に彼女が出来るってことはショックを受ける程有り得ない事だって言いたいのか?


「だからさっきから言ってるが俺たちはそんな関係じゃない!」


「…ホントに?」 


疑り深いヤツだな…


「ホントだよ。」


「ふ〜ん…ま、信じてあげる。」


何様だお前は!?


「……神堂君…買ってきたよ…」


お、小織さんが戻ってきた。


「それじゃ別な所行くか。どこに行きたい?」


俺は小織さんの持っているぬいぐるみの入った袋を代わりに持ってあげながら聞いた。


「私はカラオケに行きたいな♪」


…悠希、お前に聞いた覚えは無いぞ?


「……私は本屋さんに行きたい…」


「え〜、あんなとこの何が面白いの?カラオケの方が楽しいって。」


…あれ?

悠希は元々一人で買い物に来たんだよな?

何で俺たちと一緒に行動する気満々なんだ?


「…とりあえず悠希、今日は小織さんの希望で買い物に来てるんだから小織さんの行きたい所を優先させてもらう。」


「え〜…」


「文句があるならついて来るな。」


「いや、文句なんかないよ!いや〜実は私も読みたい本があってさ〜、ちょうどよかった!」


…何でそんなに必死なの、お前? 










【本屋】


場所を移動して俺たちは小織さんの行きつけの本屋へとやって来た。

店内は本来広いのだろうが、本が所狭しと並んでいるためかなり狭く感じる。

…ここで一つ聞きたい事がある。

俺たちが住んでいるこの街はそれなりに広く、店もあちこちにたくさんある。

それなのに…


「あれ?三人とも本を買いに来たの?」

「奇遇ですね。私たちもよくここに来るんですよ。」


…本当に奇遇だな。

何でこんなに遭遇率が高いんだよ…?

これで大地が来たら全員集合じゃん。


「そうそう、店の奥にも私たちの知り合いが来てるよ♪」

「コッソリ覗いてみてはどうですか?」


…まさか本当に大地?

俺はそーっと店の奥を覗いて…


…すぐに顔を引っ込めた。

何でここでアイツが出てくるんだよ!?


「……神堂君…?…誰がいたの…?」


「……………俺たちの担任。」


そう、そこには黒城がいた。何の本かまではわからないが黙々と立ち読みしている。

…全然イメージに合わねぇ…


「小織さん…こんな強烈なキャラたちに混じってたら小織さんが目立たなくなるから場所変えない?」


「……わかった…」 


今回は小織さんがメインになる話なんだから、今回はアイツらを目立たせたらダメだ。


「悠希、お前は読みたい本があるんだろ?俺たちは移動するからお前とはここで別行動…」


「いや、別に今無理して読みたい本でもないし!私も移動しようかなって思ってたからついでに一緒に行動しよ?」


…だから何でそんなに必死なの、お前?







 

〈悠希視点〉


何よ恭也ったら!

さっきから私を置いていこうとして!

でも私はずっとついて行くよ!

さっきは否定してたけどいつアンタ方がいい関係になるかわからないんだから!

あの双子姉妹も恭也を狙ってるみたいだし…!

『あの子』も恭也を狙ってたし…!

ライバルが多いけど私頑張るんだから!!


「オーイ、置いてくぞー?」


…へ?

いつの間にあんな遠くに!?


「待ってよーー!」









〈小織視点〉


……せっかく勇気を振り絞って神堂君を買い物に誘ったのに…

……もしかして悠希さんも神堂君を…?

……もしそうだとしても私はまだ諦めない…!

……どうやら神堂君は少し(かなり?)鈍いみたいだからまだ他の人の感情に気づいてないみたいだし… 

……私にもまだチャンスはある…!

……今回、せっかくのチャンスなんだから少しでも神堂君と…


「小織さん?どうしたの?急にボーっとしちゃって…」


「……何でもない…」


「そう?それならいいけど…」


………ビックリした…

……考えすぎは良くないか…







【数時間後】


〈恭也視点〉 

今俺たちは一通りの買い物を終えて、近くの山の上にある公園に続く道を歩いている。

小織さんが言うにはそこは人が少なく休むには最適な場所らしい。

俺もそろそろ休みたいのでそこで少し休憩することにしたのだ。

だってさぁ…

小織さんが買ったモノを俺が全部持ってあげてるのだが…

…何この量? 

俺の両手いっぱいに買い物袋がぶら下がっている。

…重すぎるって。


「……神堂君…大丈夫…?」


「だ…大丈夫…!」


小織さん…心配してくれるのは嬉しいけど、それならこんなに買わないでくれ。


「全く…澪ったら恭也の事何も考えないで買いまくるんだから。恭也がかわいそうでしょ?」


…この荷物の3分の1はお前のモノじゃなかったか? 


「……悪いんだけどあと一カ所だけ付き合ってほしい場所があるんだけど…」


…もう好きにしてくれ


「私もそこに付き合ってあげる♪」 


自分で荷物を持つ気が無いならついて来るな!

俺の負担が増える!


「……ところで悠希さん…ペットはどうしたの…?」


「…ん?」


そういえばイグがいないよな…

いつもは悠希の肩に乗っているのに。


「あー!!デパートに置いて来ちゃった!!」


オイ!?


「あんなの置いてきたらパニックが起きるだろ!!早く連れてこい!!」 


「それじゃちょっと待ってて!すぐに連れてくるから!」 


そう言って悠希はデパートの方へと走っていった。

…今ごろデパートの中はちょっとした騒ぎになってるんだろうなぁ…


「……神堂君…」


「ん?どうしたの小織さ…」


呼びかけられて振り返ると俺の唇に何かが触れた…


「……今日…買い物に付き合ってくれた…お礼に……」


小織さんは顔をうつむけて小声で話した。

よくわからないが顔も赤くなってるようだ。


「……………。」


俺は少しの間何も話せなかった。 

こういう事は初めてで…どんな返事を返したらいいかわからなかったから…


「……最後に一つだけ…お願いがあるの…」 


うつむいていた顔を上げて、俺の顔を見上げながら言う。


「……もし…神堂君が良かったら………………………」









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お待たせ〜♪」


「…ずいぶん遅かったな?」


あれからけっこう経ってようやく悠希はイグを連れて帰ってきた。

…遅くなった理由は何となくわかるが一応聞いておくことにした。


「いや〜デパートに行ってみたらすごい人だかりでさ〜、そこで店員が網でイグを捕まえようとしてて…」


…やっぱりか。


「私のペットですって言ったら店員にメチャクチャ文句言われてさぁ、また『二度と来るな!!』って言われちゃった♪あ〜あ、また私の行ける店が一つ減った…」


それは自業自得じゃないか?

最初からイグを連れて行かなければ怒られないんだし。


「…あれ?澪は?」


「…もう帰ったよ。」


…あの後、携帯でどこかに連絡をしてすぐに帰ってしまった。

この後に塾があるため、親が車で迎えに来たらしい。

荷物を持っていってやると言ったが、『……私のお父さん…私の近くに男の人がいるだけで激怒するような人だから…』と言われたので待ち合わせ場所からギリギリ見えない所まで運んであげた。


「確かあと一カ所行きたい所があるって言ってなかったっけ?」


「今度また行こうってさ。」


「ふ〜ん…ところで質問ばっかで悪いんだけどさぁ?」


悪いと思うなら質問するなよ。


「何で恭也が澪が買ったはずのヒツジのぬいぐるみを持ってるの?」


「…今日のお礼にって貰った。」


あの時俺の唇に触れたのはこのぬいぐるみだ。

デパートで俺にどっちのぬいぐるみがいいか聞いたのは俺の好きな方をプレゼントする気だったからのようだ。


「…まさか私のいない間に変なことになってないでしょうね!?」


悠希が俺の服の襟の部分を掴んで揺さぶる。

く…苦しいって…!


「へ…変なことって何だよ!」


「だから…恭也と澪が…その…付き合ったり…とか…」


まだそんな事言ってんのか!?


「だから俺と澪はそんな関係じゃないって言っただろ!」


「…え?今恭也…何て言った…?」


おいおい、聞き取れなかったのか?


「だから俺と澪はそんな関係じゃないって言ったんだよ。」


「俺と…『澪』!?やっぱり何かあったんでしょ!?だってあんたずっと『小織さん』って呼んでたじゃん!」


あぁ、その事か。 


「本人にお願いされたんだよ。『……お互いに名字で呼び合うのは…何か…あまり仲が良くないように見えるから…名前で呼び合わない…?』って。」


最初にお願いって言われた時は何言われるかと思えばそんな事を言われて、そう言われれば確かにその通りってな訳で俺はすぐに了承してお互いに名前で呼ぶ事にした。


「ほら、これ以上無駄な話しないでもう帰るぞ?あ、お前の荷物は自分で持てよ?」


「え!?何で!?澪のは持ってあげたのに!?」


「一緒に買い物をした相手の荷物を持ってあげるのは別に普通の事だろ?」


「そうじゃなくて、何で私のは持ってくれないの?」


「お前は勝手について来て勝手に買い物しただけだろ?ここまで持ってやっただけありがたく思え。」


「いや、それはそうだけどさぁ…」


さっきまで元気一杯だった顔が青ざめているのがわかる。

それもそのはずだ。

コイツは澪に比べると買った量は少ないが運動器具(鉄アレイなど)を買いまくってるため相当な重量の荷物を持って帰らなければならないことになる。

…ま、これで少しは懲りてくれればいいんだけどな。 


「ちょっと恭也!?冗談でしょ!?こんな重いものをか弱い女の子に持たせようって言うの!?」


か弱い女の子はすぐ人を殴るなんてことしないと思うんだけど…? 


「じゃ頑張って帰ってくれ。次からは軽い物を買えよ。」


「え?うそ?マジで?冗談でしょ?ちょっと…恭也ー!?」


後ろから俺を呼ぶ声が聞こえるが無視。

あんなものを買うお前が悪い!!

…きっと明日には筋肉痛が襲って来るんだろうな…

今から憂鬱だ……



『…〜♪〜♪〜♪…』


…ん?

突然俺の携帯にメールが届いた。

……澪からだ。 


『……今日は買い物に付き合ってくれてありがとう…また今度一緒に行こうね…』


わざわざメールで礼を言ってくれるなんて…

手伝ってやっても何の礼も言わないどっかのバカに見習わせたいくらいだ。


…それにしても澪って……




 

…メールにも『…』使ってるんだ………

…何なんでしょうねこの終わり方は?  ついつい妥協してしまってこうなってしまったんですが…ま、いっか♪ってノリで無視します!  さて、今回は少し恋愛要素を入れようと頑張ったんですが…やっぱり私にはこういうのは向いてないみたいですね。  う〜ん…もっと腕を上げないとなぁ…  それでは今回はとりあえずこの辺で。  感想・評価お待ちしています。(あまりいい返事はできませんが…)

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