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第17話〜VSニセ恭也

 

【玄関前】


「くそっ、あの野郎…!よくも!!」


痛みを感じない体とはいえ、あまり激しい衝撃を喰らい続けると体が壊れてしまう可能性がある。今の落下は何とか受け身を取ることが出来たが、それでも完全にダメージを受け流せたわけではない。多少なりともこの体にもダメージが蓄積されているはずだ。 


「さっきの記憶が何だかわからないが、悠希を殺すのは最後だな…」


アイツを殺そうとすると体が動かなくなってしまう。ならば邪魔者さえいなくなってしまえば後は簡単だ。直接手を下さなくても屋上から突き落とすなどの方法なら体が動かなくなっても関係ない。



「…さて、そうと決まったら誰から殺すかだな。」


ちょうど玄関ホールに着き、どの方向へ行こうか考えている時だった。


「そんなこと考える必要は無い。お前は俺がここで止めるからな。」


「…!?」 


玄関ホールに着いたところでそこに人影があることに気がついた。

…一番厄介な相手だ。 


「…よぉ、オリジナルの俺じゃねぇか?」


「言ったはずだ。お前と俺は違う、と。だからその呼び方をやめろ。機械野郎。」


話しながら少しずつ距離を詰めてくる。

普段のコイツならこんな事はしないはずだ。

何か策があるのだろうがコイツが考えそうな事は俺も考える事、大方物陰に誰か別のヤツが隠れていてオリジナルの俺が気をそらせている内にソイツが奇襲をかけるってとこか?


「はんっ、だったらどう呼んで欲しいって言うんだ?」


ここは敢えて気づいていないふりをして奇襲をかけてきたやつからぶっ倒すとするか。


「…いや、もうお前が俺の名を呼ぶ事は無いよ。」


オリジナルの俺の視線が俺の背後を向いた!

今だ!!


「バレバレなんだよ!」


即座に振り向き、そのまま正拳を繰り出す。


「…何!?」


しかしそこには誰もいない。

…しまった!!これは…


「何がバレバレなんだ?敵の前で背中を見せちゃいけないだろ?」


「うわっ!?」


鈍い音が響き渡る。

そして俺は床に叩きつけられた。だが、こんなもの痛くも痒くもねぇ。俺は再び起き上がり、オリジナルの俺に一発くれてやろうとした。


「させねぇよ。」 


しかし、俺はアイツに頭を踏みつけられ、起き上がることができなくなった。


「…くそっ!」


「そう怒るなって。ほら、プレゼントやるから。」


「…なっ!?」


倒れている俺の上に何かが乗せられた。


(…何だ一体?)


うつ伏せに倒れているためそれが何かまではわからない。

だが、それが何であろうと起き上がるのに邪魔になるわけではない。

…オリジナルの俺は一体何をする気なんだ…? 


「…ところで、感覚が無いってのは便利だと思うか?」


「…?」


何だ、いきなり…


「俺は不便だと思うな。今のお前みたいにくだらないトラップにも引っかかったりするしな。」


…確かに、もし俺が普通の肉体を持っていたら気配を感知して敵の有無もわかったはずだ。

…だけど、それがどうした?痛みを感じないならいくら攻撃を受けようとも関係ない。


「そうそう、お前は知らないだろうから教えてやるが実は悠希がペットを飼い始めてな。またコイツが頭のいいヤツなんだよ。人の言葉も多少は理解できるらしい。」


「…お前が言いたいことは何だ?」 


一体何を企んでやがるんだ…?


「だから感覚が無いって不便だな、って話だよ。ほら、だって『背中でソイツが動き回ってること』に気がついてないんだろ?」


何だと!?

そうか!コイツの目的は…!


「やれ!イグ!!」 


「ヤメロォーーッ!!」










【校内東側】 


「みなさん、もうすぐ発信源の場所に着きますよ!」


廊下を走りながらヒカリがみんなに告げる。


「そこにキョーヤかユウキのどっちかがいるんでしょ?」


「……発信源が二つに分かれているってことはそうでしょうね…」


「俺としては君達がいればあの二人は別にどうでも…よくありませんよね?すみません!」


前方を走る三人に同時に睨まれ大地は即座に謝った。


「まったく、あんまりふざけたこと言ってるとぶっ殺すよ?」


「……いや、どうせ殺すなら保険金をかけてからの方が……もしくは、何か弱みを握って貢がせ続けるってのも……人身売買ってのもアリか…」


「いやいやいや!!何普通に怖いこと言っちゃってるの!?」


「ナイスアイディア♪」


「いや、全然ナイスじゃないよ!?」


「……そうね。こんなの売っても金にならないか…」


「そういう問題!?」


この時、大地はあることを考えだした。

『俺ってツッコミ担当だっけ?』…と。


「あのう…みなさんがボケている間に着いたんですけど?」


ただ一人、みんなより前の方を走っていて会話に参加していなかったヒカリがある教室の前で立ち止まっていた。 


「ここって…音楽室?」


「よし、それじゃさっさと中に入っちまおうぜ?」


しかし、大地以外はみんな音楽室のドアを見つめるだけで中に入ろうとしない。


「…ヒカリ、ここってあの……」


「た、多分…」


「…………………。」


「ん?この教室がどうかしたのか?」


大地が頭に疑問符を浮かべながら三人に聞く。


「…実はこの音楽室、幽霊が出るって噂なんですよ。」


「へぇ、幽霊ね…」


「そうだ!ダイチが先になって中に入ってよ!」


「断固拒否致します!!」


「ハァ!?」 


「俺幽霊って苦手なんだよね〜♪」


大地のあまりにウザい発言に三人は大地を睨むが、本人はどうやら気がついてないようだ。


「えぇい!こうなったら私が先頭になって行ってやる!」


「カゲリちゃん、大丈夫なの?」


「ふん、私に怖いものなんか幽霊以外何も無いんだから!!」


「ダメじゃん!?」


「いいの!覚悟決めたんだから行くよ!!」


そうしてカゲリが音楽室のドアに近づいていく。そしてそれに反比例して他の三人はドアから遠ざかる。


「…ってチョット!何遠ざかってるの!?まさか私一人だけで行けって言うの!?」 


「いや、私は足が遅いから何かあった時にすぐに逃げられるように…」


「……私も…」


「俺カゲリちゃんに近づくと怒られるし…」


三人がそれぞれの理由を答えるとカゲリの体がプルプルと震えてきた。


「もういいよ!!こうなったら一人で行って一人で幽霊にとり憑かれてやる!!それでもし死んだらあんたら全員呪ってやるんだから!!」


「カゲリちゃん!!落ち着いてよ!!」


「……死んでも呪えるとは限らないし…」


「いや、そういう問題じゃないでしょ!?」


『うるさーーーい!!』


カゲリ達が言い争っていると突然音楽室のドアが勢いよく開き、そこから大声が響き渡った。


「キャーーッ!!?」×2

「……………!!?」

「ギャーーッ!!?」 


あまりに突然の事なので、四人は逃げることも忘れてただ叫んだ。

そしてドアの方を恐る恐る見てみる。


「全く…人が気持ち良く寝ているのに廊下でギャーギャー騒いで、おかげで目が覚めちゃったじゃない!!」


そこにいたのは目をこすりながら立っている悠希だった。 


「あ、なんだぁ…ユウキかぁ…あ〜、ビックリした〜。」


「驚かせないで下さいよ〜!」


「ビックリし過ぎて死ぬかと思った!」


「……死ねば良かったのに……」


「ヒドッ!?」


幽霊ではなく、悠希が現れた事によって四人の緊張も解けた。 


「…ってホッとしている場合じゃありませんよ!」


ここでヒカリは思い出した。自分たちが探しているのは悠希だけではない。


「早く恭也さんも探さないと!」


「その心配はいらないと思うぞ?」


大地の発言にヒカリが睨むが、珍しく大地は怯むことなく続けた。


「だってほら、あそこを見てみな。」


大地が指差す方向は廊下の向こう。そこに一つの人影があった。


「あっ…!」

「……もしかしてあれって…」

「キョーヤ!?」


みんなの視線がそこに集まる。

そしてその人影が近づくにつれ、その姿もハッキリと見えてくる。


「おっ、これで全員集合か?」


その人影はみんなに話しかける。間違いなく恭也の声だ。


「キョーヤ!!」

「待って、カゲリちゃん!」


カゲリが彼のもとに駆け出そうとしたが、ヒカリがそれを止める。 


「まだ本物の恭也さんとは限りません。もしかしたらニセモノの方かも…」


「…ふぅ、少しは恭也を信じなさいよ。もちろん本物の方をね。」


そう言って悠希が恭也の方へと歩いていく。

他のみんなは警戒しているためか近づこうとしない。


「…おかえり、恭也。アイツはどうしたの?」


悠希が恭也の顔を見上げると恭也は悠希の頭に手を乗せながら答えた。


「安心しろ。ちゃんと倒して…いや、電源消してきたから。」


「そう…」




「…ねぇ、何かあの二人いい感じになってない?」

「そうですね…。これは妨害するべきですかね?」

「……邪魔するのは良くないと…」

「「いいの!!」」


二人の息の合ったタイミングに少したじろぐ。


「…あ!」

「え…?」×3


大地の声に三人が話しを止めて二人の方を見てみると…


何と二人はキスを…!



…何てことは無かったが、見てみると悠希の肘が恭也の顔面にめり込んでいた。


「ちょっと、ユウキ!?」

「一体何を!?」 


ヒカリとカゲリが悠希に詰め寄る。

…だが悠希は二人の方を全く見ずに黙って恭也の方を見ている。


「…アンタ、ニセモノの方ね?」


突然悠希が喋ったかと思うとそれは驚くべき内容だった。


「…お、おい悠希?いきなり殴って俺をニセモノ扱いかよ!?俺は本物の方…」

「本物の恭也ならこのピアスを持っているはずよ。」 


悠希は先程から手に握っていたピアスを見せつける。

…悠希が気を失っている時に恭也が悠希に返したピアスだ。


「このピアスは二つで一組、もう片方は多分本物の恭也が持っているはずよ。」


「…それはニセモノの俺と闘っている時に落として…」


「いや、やっぱりお前がニセモノだ。本物の恭也はニセモノの事を自分とは違うと否定していた。だが、今お前は『ニセモノの俺』と言ったな?本物ならそんな事は言わないはずだ。」


「悠希さんだけでなく大地さんまでもがこの恭也さんをニセモノって言うことは…」

「まさか、本当に…」


「……フッ…ハハハ!」 


突然恭也が狂ったかのように笑い始めた。

その不気味な笑いに五人は後ずさる。


「このまま騙せてたら楽にお前らを始末できたんだがな…そうだよ!俺がニセモノだ!!」


「本物の恭也はどうしたの…?アンタを追っていったはずよ。」


「さぁな、どこかでくたばってるんじゃないのか?お前のペットと一緒にな。」


「…まさかイグまで!?許さない!」


悠希がニセモノの恭也に殴りかかる…がその一撃は軽く避けられ隙だらけの腹部に反撃される。


「ぐっ!?」


強烈な痛みが全身に広がり、そのまま床に倒れ込んだ。




…大地が。



「ふん、いくら熱くなっていても同じような手は効かないわよ!アンタの攻撃はカウンターがメインだからね。それに注意していれば怖くないのよ!今みたいに身代わりになるものを使えばいいだけなんだから!」


悠希がすぐにニセモノから距離をとり、指差しながら宣言する。


「…面白い。それだけで俺に勝てると思ってるのか?」


「確かに私一人じゃ勝てない。でもね…」

「二対一ならどうなるのかな?」


悠希の近くにカゲリが寄る。カゲリも運動神経はいい方…いや、常人よりもかなり上の方だ。 


「ここは私たち二人で何とかするから…」

「ヒカリとレイは本物の恭也を探してきて!」


「わかりました!」

「……がんばって…」


そして二人は廊下の向こうへと駆けていった。

…無事かどうかわからない恭也を探しに……


「それじゃそろそろやるか…お前らを潰すためにな!」


「やれるもんならやってみなさいよ!」

「返り討ちにしてやるんだから!」


そして、廊下では再び戦闘が始まった。










【状況整理】


〈音楽室前〉

悠希&カゲリVSニセ恭也

(大地気絶)


〈廊下〉

ヒカリ&小織⇒恭也捜索中


〈玄関ホール〉

恭也&イグ⇒???

更新遅れてすみません!  普段は勉強なんてしないんですが、さすがにやらなきゃヤバくなってきました。  なのでこれからも遅くなることが多いと思いますが、よく考えたら普段から更新が遅いのであまり気にする事でもありませんね(笑)  …それでは今回はこの辺で

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