第139話〜部活対抗戦!!【第三回戦】(1)
【グラウンド】
九條:
『さぁみんな!!ついにここまで来たぞ!!まだまだ元気はあるかーっ!?』
《おぉーーっ!!》
九條:
『そしてあの悪夢の障害物競争を勝ち残った人たち!まだ生きる元気はあるかーっ!?』
《お〜……》
ノラネコ:
『…なんだ?みんな元気が無さそうだな?何かあったのか?』
九條:
『…校長先生?本気でわからないんですか?』
ノラネコ:
『…?』
スイレン:
「…本気でわかってないみたいだね。」
悠希:
「あれ、やらされる側はたまったもんじゃないわよ!」
澪:
「……飼い主さん、しつけはしっかりね…」
恭也:
「…はいはい…」
カゲリ:
「…?どうしたの?元気ないよ?」
大地:
「いつもの恭也なら『だからアイツはただの居候だ!』って言うのにな。」
スイレン:
「…そういえばキミさっきコノミに呼び出されてたよね?」
ヒカリ:
「コノミさん…?恭也さんに何かしたんですか?」
コノミ:
「別に?ただ話し合いしてただけだよ?ねぇ、神堂君?」
…話し合い?
一方的に話を聞かされただけなのに、それを話し合いと言うのか?
カゲリのかわいさがどうだの、カゲリのこういうところが萌えるだの…
それをついさっきまでずっと聞かされてたんだよ?
いや、怒られたくないからってそっちの方向に話を逸らしたのは俺なんだけどさ…
まさかこんなことになるなんて思わないよね?
これ、拷問だよね?
しかもそのせいでどの部が勝ち上がったのか見れなかったし…
…とりあえず、この人はカゲリの前だとネコ被るからできるだけカゲリの側から離れないようにしておくか…
九條:
『さて、ここで状況を整理しましょう!まずは残っている部!!数多くある部の中からここまで勝ち上がってきた8つの部を紹介していきましょう!!』
恭也:
「8つか…」
ヒカリ:
「ここまで残ってるんですから、どこも一筋縄じゃいきそうにありませんよね…」
悠希:
「まぁ、私たちが優勝するに決まってるんだけどね。」
敵地のど真ん中でそんなこと言うな!!
陸上部に追い返すぞ!!
九條:
『まずは《サッカー部》!持ち前の運動神経と人数の多さで勝ち上がって来ました!』
ノラネコ:
『次に《陸上部》、先ほどの勝負はまさに圧勝だったな。運の良さも相当だろう。』
九條:
『そして意外なところで《帰宅部》!お前らが勝ち上がってていいのか!?』
…そういえばこの学校って帰宅部が実在してたんだよな。
ここまで勝ち上がってるなんてすごいな…
ノラネコ:
『一年生だけで構成されている《発明部》も残っているな。個人的に一番応援している。』
九條:
『だからってひいきは無しですよ?一年生と言えば、《剣道部》の一年生2人組の強さもはかりしれませんよね。』
恭也:
「…やっぱり赤樹たちも残ってたか。」
大地:
「正直あそこが一番厄介だよな…」
九條:
『そして謎の集団《忍者部》!一体どんな部活なんでしょうか!?覆面で顔を隠しているのは隠密のつもりなのか!?全く意味はないけど不気味です!』
ノラネコ:
『不気味と言うなら《黒魔術部》もそうだろう?なにせここだけさっきの勝負を不戦勝で勝ち上がって来たのだから。』
マジで不気味な部じゃねぇか!!
この学校には変な部活が多いのは知ってるけど、そんな不気味な部もあったなんて…!
できるだけ関わりたくないぞ!?
九條:
『そして!!なんと!我が《放送部》もここまで残っているぞ!!お前ら、よくやった!!放送部バカにしたヤツら!ざまぁみろ!!』
《キャー!九條さーん!!》
アンタも残ってんのかよ!?
意外としぶといな!?
澪:
「……やっと読書部が消えた…」
ヒカリ:
「澪さん…?読書部と何かあったんですか?」
澪:
「……別に…」
ヒカリ:
「…?」
九條:
『ここまで残った8つの部たち…!しかし、勝者となるのはただ1つ!さぁ!一体どの部が優勝し、温泉旅行を手にするのか!?』
《わぁーーーっ!!》
そう、ここまで来てもまだ敵は多い…
しかもどの部も手ごわいだろう…
…それでも、最後まで頑張って俺たちが優勝してやる!!
そして俺たちが温泉旅行に……!
ノラネコ:
『…ちょっと待て。』
九條:
『はい…?どうかしましたか?』
ノラネコ:
『何やら勘違いがあるようなのだが…。もしかして優勝したら温泉旅行に行けると思ってないか?』
九條:
『…え?違うんですか?』
ノラネコ:
『やはり勘違いしているようだな…。』
《ざわざわ…!》
おい…?
どういうことだ…?
まさか今さら『温泉旅行は無し』とか言わないよな…?
ノラネコ:
『いいか?この際ハッキリさせておくが…………………』
ノラネコ:
『…温泉旅行には次の勝負に勝ち残った4つの部が行けるのだぞ?』
九條:
『マジですか!?それ、大チャンスじゃないですか!?』
《ウォーーーッ!!》
《校長、さすがっ!!》
《校長、愛してる!!》
マジかよ!?
じゃあわざわざ優勝する必要無いの!?
運が良ければ悠希や赤樹たちと戦わなくてもいいってこと!?
スイレン:
「これはラッキーだね。」
カゲリ:
「これに勝てば温泉旅行!?頑張らないと!!」
澪:
「……予算どうなってるのかな…?」
…細かいことは気にするな。
とにかく、ここまで来たんだから何としても勝ち残らないと…!!
九條:
『今の校長先生の発言でみんな一気にやる気が出てきたようですね。…だが、放送部も負けてられっか!!野郎ども!!死ぬ気で頑張りやがれ!!』
《おぉーーっ!!!》
《部長も頑張ってくださーい!!》
九條:
『もちろんだーっ!!』
だからそういうのやめてちゃんとまじめに司会しろって!!
九條:
『…コホン。では校長先生!最後の種目について説明をどうぞ!』
ノラネコ:
『うむ。ではルールを説明しよう。』
温泉旅行に行けるかどうかが決まる最後の勝負…!
一体どんな勝負なんだ…!?
…今までのパターンから考えるとあまりいい予感はしないけど…
ノラネコ:
『ルールは簡単だ。みんなにはこれからまた競争をしてもらう。今いるこのグラウンドがスタート、そして屋上がゴール。ルートは自由だ。ただし、条件として《部員全員》が屋上につかないとダメということにする。そしてこの勝負は今残っている全ての部活で同時に競ってもらう。先に勝ち抜いた4つの部が勝者だ。』
大地:
「…全員参加の勝負か。」
恭也:
「てか、また走る系の勝負かよ…」
澪:
「……屋上まで行くの疲れるのに…」
ヒカリ:
「同感です…」
コノミ:
「ヒカリン、私がおぶってあげようか?」
ヒカリ:
「…え、遠慮しておきます!」
運動音痴の2人は確かにおぶっていった方が早いんだけど…
…女川さんにおぶらせるのはダメだな。
この人、完全に下心あるもん。
そこら辺の男子より信用できない。
…まぁ、そんなことよりも……
恭也:
「…なぁ悠希?俺たち友だちだよな?」
悠希:
「な、なによ急に…?気持ち悪いわね…」
恭也:
「ほら、俺たちって昔から一緒にいるけどさ、修学旅行以外で旅行に行ったことないだろ?」
悠希:
「そういえば…確かに無いわね…」
恭也:
「だからさ、ここは協力して一緒に旅行に行かないか?俺もお前と一緒の方がいいし。」
悠希:
「…!?」
お前が協力してくれたら勝率も一気に上がるしな。
逆に敵になられたら厄介だから早めに仲間にしとかないと…
悠希:
「し、仕方ないわね!どうしてもって言うなら協力してあげても…」
???:
「ダメダメ。ダメだよ、悠ちゃん。」
恭也:
「…ん?」
誰だ…?
いきなり出てきたけど…悠希のことを知っているってことは陸上部の人か…?
悠希:
「…《ナツキ》?アンタいたの?」
ナツキ:
「まぁね。部長に言われてさ、悠ちゃんを探しに来たの。」
悠希:
「ふぅん…。で、何がダメなのよ?」
ナツキ:
「だってこの勝負は早い者勝ちなんだよ?もし先に3つ取られちゃったらどうする?残る1つをめぐって仲間割れしちゃうじゃん?」
悠希:
「そうなったらその時に考えればいいじゃない。」
ナツキ:
「それよりは最初から協力しない方がいいと思うけどな〜。その方が熱いし♪アタイはそっちのが好きだね。」
悠希:
「…本当にアンタって変なヤツね。」
恭也:
「…お〜い?そろそろ会話に加わってもいいか?その人はお前の知り合いなのか?」
悠希:
「あ〜、悪かったわね。コイツは……」
ナツキ:
「キミがウワサの恭也クン?はじめまして♪アタイは1−Dの《霧谷 夏樹》、なっちゃんって呼んでいいよ♪アタイは恭ちゃんって呼ばせてもらうから♪」
恭也:
「は、はぁ…」
…ウワサってどんなのだよ?
とりあえずその呼び方は絶対しないし、されたくないんだけど…
ナツキ:
「恭ちゃんには悪いけど、アタイは協力なしの熱いバトルが見たいからさ…この話は無かったことで♪」
悠希:
「ちょっとナツキ!?何勝手に決めてんのよ!?」
ナツキ:
「…あれれ〜?悠ちゃんってばそんなに恭ちゃんと一緒になりたいの〜?」
悠希:
「な…な…!?」
ナツキ:
「そういうわけじゃないんだったら別にいいじゃん?だからこの話は無しってことで。ほらほら、部長が呼んでるから早く戻ろ?」
悠希:
「う…!わ、わかったわよ…」
…え?
ちょっと…?
あれ…?
恭也:
「お、おい…?」
悠希:
「…悪いけど、アンタたちはアンタたちで頑張りなさい。協力はしないけど、邪魔はしないでおいてあげるから。」
ナツキ:
「アタイはガンガンいくからね〜♪ま、楽しくいこうよ♪」
ガンガン来られたら楽しくいけるわけないだろうが!!
とりあえず悠希が敵にならなくてよかったけど、他に敵ができちゃったら意味ないじゃん!?
スイレン:
「ちょっとキミ!説得するならちゃんとやってよ!」
澪:
「……あとちょっとで味方になりそうだったのに…」
いや、そんなこと言われても…
俺は俺なりに頑張ったよ?
あの人が来なければ多分うまくいってたはずなのに…
恭也:
「…えぇい!こうなったら俺が責任持ってあの人を返り討ちに…!」
コノミ:
「…おい?お前、まさか……」
大地:
「あの女の人に手を出すつもりじゃないよな…?」
…はい?
大地:
「もしそのつもりなら……」
コノミ:
「どうなるか…わかってんだろうな?」
いや、ちょっと待ってよ!?
それってつまり反撃とかしたらダメってこと!?
一方的にやられてろってこと!?
そんなのやだよ!?
ヒカリ:
「…恭也さんも大変ですね。」
恭也:
「…あぁ。」
ヒカリ、味方になってくれるのはお前だけだよ……
スイレン:
「まぁ、別に無理して返り討ちにする必要もないしね。キミは逃げ足だけは速いから逃げちゃえばいいんだよ。」
うるせぇ!!
言い返せないからそういうこと言うな!!
カゲリ:
「でも確かに無理して争う必要もないよね。相手が妨害してきても無視して逃げちゃえばいいんだもん。」
ヒカリ:
「それもそうですよね。」
恭也:
「…お前ら、ノラネコのことを甘く見てないか?」
カゲリ:
「…?」
アイツのことだから多分今回も普通の競争なんかじゃないはず…
きっとみんなで争わなくちゃいけないような仕掛けがあるはず…!
恭也:
「…もしかしたら最短ルートからは行かない方がいいかもな。」
澪:
「……なんで…?」
恭也:
「アイツのことだから最短ルートには罠を仕掛けてるはずだ。それなら遠回りをした方が速いだろ?それにきっとみんな最短ルートから行くからライバルも減るし。」
スイレン:
「なるほどね…」
大地:
「さすが参謀だな。」
コノミ:
「へぇ…、こういう時だけは役に立つんだ?」
『だけ』って言うな!!
九條:
『さぁ、ルール説明も終わったところでさっそく始めていきましょう!…というわけで、この勝負が終わるまで実況は中断させてもらいます。』
ノラネコ:
『うむ。一選手として頑張ってくれ。』
九條:
『わかりました。では最後に一言……』
…どうせまた『放送部なめんな!』的なことを言うんだろうなぁ…
九條:
『…一回戦で私からカードを奪ったヤツ!この勝負中に絶対復讐してやるからな!覚えとけ!!』
まだ根に持ってたのかよ!?
しつこすぎだろ!?
スイレン:
「しつこいなぁ…。ボクは争いごと嫌いなんだけど…」
うそつけ!
とりあえず、あの人はお前が責任持って対処しろ!
絶対に俺に押しつけるなよ!?
いいか!?
絶対だぞ!?
============
ノラネコ:
『…うむ。どうやらみんな準備できたようだな?』
まぁ、スタートする準備はできてるさ。
…お前がどんな罠をしかけたのかわからないから心の準備は今一つだけどな。
恭也:
「…いいか?絶対はぐれたりしないでみんなで協力して行くんだぞ?」
コノミ:
「わかってるよ。…………ヒソヒソ(…今だけだからな。)」
今だけで十分。
とりあえずこの勝負に勝てれば後は別に問題ない。
ノラネコ:
『それではさっそくスタートといこうではないか。加賀、準備はいいか?』
…は?
加賀先生…だと…?
加賀:
『は〜い♪こっちは準備オーケーですよ〜♪』
恭也:
「えっ!?ど、どこから…!?」
サッカー部部員:
「お、おい!もしかして屋上にいるのがそうじゃないか!?」
剣道部部員:
「ほ、本当だ!なんであんなところに…!?」
…なんかさぁ、あの人が出てくるとイヤな予感しかしないんだよね。
ほら、学年レクの時も開始と同時に爆薬使ってきたしさ…
…………。
…まさか…ね…
ノラネコ:
『では、開始の合図を頼むぞ。』
加賀:
『は〜い♪…それ♪』
《…バッ!》
やっぱり投げて来やがった!?
しかも何だあの数!?
どう考えてもやりすぎだろ!?
恭也:
「に、逃げるぞっ!!とにかく校舎に避難だ!!」
カゲリ:
「り、了解…!」
《…ズドォーンッ!!》
《キャーッ!?》
《ワーッ!?》
加賀:
『あははは…♪ほら、逃げ惑いなさい♪』
ノラネコ:
『やれやれ…あまりやりすぎないようにな?』
そんなこと言ってないで止めろっ!!
初っ端から地獄絵図じゃねぇか!!
しかも砂埃のせいで視界最悪だし…!
《…ズドォーンッ!》
恭也:
「のわぁっ!?」
と、とりあえず早く校舎に避難しないと…!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【玄関】
恭也:
「はぁ…!はぁ…!」
ま、まさかいきなりあんなことをしてくるなんて…!
ノラネコを甘く見すぎていた…!
多分悪気は無いんだろうけど…
…とりあえず帰ったら説教だ!
恭也:
「…ていうか、何だこれ?」
玄関まで来たのはいいけど…
ケムリがすごいんだけど…
これじゃ外と視界の悪さ変わんないじゃん…
???:
「…これは『忍者部』の煙幕ですね。いや〜、まいったまいった。」
恭也:
「煙幕か…。確かに、これじゃ仲間と合流するのも…」
…ん?
恭也:
「えっと…?この聞き覚えのある声は……」
九條:
「どもども。司会進行役でお馴染みの《九條 舞》です。…あれ?もしかして一回戦で会った人…?」
やっぱりあんたか!?
できれば関わりたくなかったよ!?
九條:
「ちょうどよかった。あなた確か私からカード奪った人の仲間でしたよね?その人、どこにいるかわかります?」
恭也:
「い、いや…はぐれちゃって…」
九條:
「…ですよね。実は私も仲間とはぐれちゃいまして…話し相手が欲しかったところなんです。」
寂しがり屋!?
てか、話し相手になるつもりはないよ!?
九條:
「というわけで、よかったら少しの間一緒に行動しませんか?」
どういうわけで!?
九條:
「このままここで仲間を待っているよりは行動した方がいいですよ?もうすでに結構な人数が屋上を目指しているみたいですし…。今回の私の狙いはあの女だけですから裏切ったりしませんし…。あなたも1人で行動するよりはいいんじゃないですか?短い付き合いですけど、あの校長の性格もわかります。多分この先1人じゃキツいですよ?」
…それは確かに。
少なくとも全く知らない人よりは信用できそうだしな…
それにスイレン以外は狙う気もないみたいだし……
恭也:
「…じゃあ少しの間だけ…」
九條:
「はい、よろしくお願いします♪」
…これで一応仲間ができたけど…
これ、スイレンと会ったらマズいことになるような…
…まぁ、アイツならなんとかしてくれるか。
…………。
…なんだかいきなり大変なことになっちゃったけど…
他のみんなは大丈夫なのかな…?
【つづく…】
第三回戦はシンプルにしてみました。
…といっても校内にはトラップがたくさん…
一体どうなるのか…
九條さんがまた恭也と接触しましたね。
彼女、今回のシリーズではもうレギュラーですね。
シリーズが終わったらどうなるかわかりませんけど…
では今回登場した新キャラを紹介しましょう。
陸上部一年、《霧谷 夏樹》(きりや なつき)さんです。
陸上部での悠希の友だちです。
誰に対しても親しみやすい態度で接してくれるような人。
当初は美術部の一員として登場する予定だったんですが、設定を考えていく内にどう考えても美術部の性格ではないので陸上部になりました。
今回は少ししか出ていませんが、三回戦の間にまた登場する予定なので細かい話はやめておきます。
…べ、別にまだ考えてないわけじゃありませんよ!?
…それでは今回はこの辺で。
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