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第14話〜合流、誤解

 

【校内北側】



「ふぅっ…危なかったな…」


まさか大地の野郎にあれだけの攻撃力があるとは…

とにかく、悠希が来なかったらヤバかったな…


…そういえばいつの間に悠希がいたんだ?

アイツも俺を捕まえようとしてんのか…?


……仕方ない…

アイツには手を下したくはないんだが…



俺の事を知ったやつは全員殺してやる!!










【図書室】


〈恭也視点〉


「おい!大地!起きろコラ!!」


「う〜ん…」


…ダメだ。

全然起きねぇ……

このままじゃ小織さんが…


《ドーーーン!!》


な、何だ!?

入り口の方からか!?


「みんな、大丈夫!?」

「助太刀に来ました!!」


この声は緋乃姉妹か!

よかった!

これで助かる!


「おーい!こっちだ!早く助けてくれ!」 


「キョーヤ!?」

「本物ですか!?」


ニセモノならこんなことしてないって!


「とりあえず早く小織さんを…!」


「わかりました!カゲリちゃん…!」


「任せて♪」


さすが双子!!

意志が疎通しているだけあって行動が速い!

ヒカリが小織さんの上にある邪魔な本をどかして、カゲリが小織さんを引っ張る。

その作業もすぐに終わり、残りは俺が支えている本棚だけになった。


「みんな、離れてろ!!」


俺はみんなが離れたのを確認すると本棚から手を離し、その場から瞬時に退いた。


《ズズゥーン…!!》


本棚は大きな音を立てて完全に倒れた。


…あ〜、ようやく解放された〜♪


「キョーヤ!!」


「ごふっ!?」


解放されたことにより安堵の息を吐いた瞬間、油断していた俺にカゲリのタックルが見事に決まった!!

そしてそのまま締め付けられる…


く…苦し…い……!!


「お、おい!!カゲリ、ちょっと離れ…」


苦しさから逃れようとして、離れてくれるように言おうとカゲリの方を見てみると…


(…震えて…る……?)


「…カゲリ……?」


「……よかった………無事…で…ぐすっ……本当に………よかった……ぐすっ…」 


(泣いてる…のか?)


いきなり泣きつかれても俺はどう対応していいかわからない。

とりあえずこういう場合は本人が落ち着くまでこうしておいた方がいいのかな…? 


「女の子の泣き声がする!?」


[大地が復活した。]


テメェ!!俺が何回呼んでも起きなかったじゃねぇか!!何で女の子の事になると復活するんだよ!?


…あれ?待てよ…


…この状況ヤバいんじゃないのか…?

うわっ!大地がメッチャこっち見てる!!


「…………。」


「…………。」


「恭也、殺!!!」


「いやいやいや!!待て!!ここは冷静に話せばわか…」


「問答無用!!」 


…予想はしてたけどね……


「お前が本物の恭也だろうがニセモノだろうが関係ねぇ!!相手が誰であろうが女の子を泣かすやつは俺が殺す!!」


思いっきり誤解してんじゃねぇか!!

っていうかお前、中学生の頃おとなしい子にしつこくつきまとっては泣かせてたじゃねぇか!?


…とにかくこの状況はマズい!!

カゲリのせいで逃げることもできねぇ!! 


「…カゲリ、ちょっと離れてくれないか?」


「……あと少しだけ」


その間に俺が殺されるわ!!


「…さて、覚悟はいいか?」


「いや、ダメです!!」


「問答無用!!」


「じゃ聞くな!!」


「死ねーー!!!」


ヤバいヤバいヤバい!!

大地がこっちに向かってきた!!

…こうなったらやむを得ない!!

恥とかそんなこと言ってられねぇ!!


「ヒカリ、大地を止めてくれ!!」


「え!?私ですか!?そんな事いきなり言われても…一体何をしたらいいんですか?」


「大地に何か甘い言葉をかけてやったら多分またおとなしく…」

「イヤです!!」


即答!?

そんなにイヤな事か!?


「そこを何とか頼む!!」


「私、男の人に甘い言葉って…カゲリちゃんなら言えると思うんですけど…」 


カゲリは今泣いてるから無理だろ!!

うわっ!!そうこうしている内に大地が…


「頼むヒカリ!!後で何でも言うこと聞いてやるから!!」


「…本当ですね?わかりました。やれるだけやってみます。」 


…あれ?

俺今ヤバいこと言っちゃったか…?

………………。

えぇい!言っちまったものは仕方ない!!

なるようになれだ!!


「だ、大地さん…」


 

「ん?悪い、ヒカリちゃん!話はコイツを殺した後で!」


「じ、実は私、だ、大地さんのことが…」


「えっ!!?」


よし、大地の動きが止まった!!

この調子で頑張って説得してくれ、ヒカリ!!


「…えと、その、あの………これ以上はさすがに…」


「いいさ、ヒカリちゃん!!それ以上言わなくても俺にはわかるさ!!」


よし、完璧に怒りは消えたみたいだな。後はこの話をどうやって無かったことにするかだな。

『ウソでした』なんて言ったら暴走しかねないからな…


「キャーッ!!」


!?

何だ!?


「いや、ほら、俺たち両想いなんだからキスくらいさ…」


バカかテメェは!? 


「やめてください!!」


「いいじゃがふっ!!?」


…あ……


「………うるさい……」


そういえば小織さんのことすっかり忘れてた。

それにしてもいきなり大地の後頭部を広辞苑で殴りつけるなんて…小織さんも意外と過激派?


「ありがとうございます。澪さん。」


「……別に…大したことはしてない……それより神堂君は……?」


「恭也さんならあそこですよ。」


ヒカリが俺の方を指差して小織さんに位置を教える。

…また話がこじれるような……


「……………………………へぇ…………そんな関係だったんだ……?」


やっぱりですか…(泣)










【校内東側】


〈悠希視点〉 


……見失った…(泣)

全く大地ったら、私と話なんかする前にアイツの電源くらい切っときなさいよね(怒)

でも…もし私があの場に来なかったらもう終わってたのかなぁ…?


………………。


……ってことはアイツが逃げたのはもしかして私のせい!?

いや、それはない!!

あれは絶対に大地のせいなんだから!!


…それにしても、ツッコミが周りに誰もいないってなんか虚しい…。

……ニセモノの恭也もツッコミするのかな? 

だとしたら早く会わないと!!

このままじゃ私、さみしくて死んじゃう!!


……………。


あぁ、虚しい…。 


《ガタンッ》


…え?

何?今の音?

……この教室から…? 

もしかしてここにアイツが…?

ど、どうしよう!?


……えぇい!!

悩んでても仕方ない!!

ここはとりあえず…




乗り込むしかないね♪


「うぉりゃあぁぁ!!!」


私はドアを蹴破り、その教室の中へ入っていった。…まぁ、蹴破る必要は全くないんだけどね♪


「さぁ、もう逃げられないわよ!!覚悟しなさい…ってあれ?」


教室内を見渡してもそこには人影なんか無かった。あるのは机と椅子、後はピアノくらいかな?

ピアノがあるってことはここは音楽室だな。

…それはさておき、さっきの物音は一体……


《ピロンポロン♪》


…え?

ピアノの…音?

私はピアノの方を恐る恐る見てみる。

さっき見た感じだと誰もいなかったはずなんだけど…


…やっぱり誰もいない………

じゃあ、何でピアノが勝手に鳴るの?


…………………。


き、聞き間違いよね!?

うん、きっとそう!!

そうに違いな……


《ピロンポロン♪》


「いやぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!」


私は全速力でその場から逃げた!!

誰もいないのに勝手にピアノが鳴りだすなんて…これじゃ夜眠れないじゃない!!?


《ドンッ!!》


「キャッ!?」

「うわっ!?」 


廊下に出た所で私は誰かとぶつかってしりもちをついてしまった。

…痛い。


「大丈夫か?ほら、立てるか?」


私にぶつかったその人は私に手を差し伸ばしてくれた。

今の衝撃で暗視メガネがどこかに飛んでっちゃって相手の顔は見えないけど、私はすぐに誰かわかった。

…そう、私とアイツは長い付き合いだからね。


「ありがとう、私は大丈夫だよ♪そっちこそ大丈夫?恭也?」 


「俺は大丈夫だ。」


…やっぱり本物の恭也だよね?

雰囲気だけじゃなく声まで同じだし…

それともニセモノはそこまで本物の恭也に似てるのかな?


「それより何でいきなり飛び出してきたんだ?この教室にアイツがいたのか?」


そうだ!!

そういえば幽霊が出たんだ!!

恭也に会えた嬉しさでつい忘れちゃってた!!


私は恭也に教室で起こったことを伝えた。


「……そうか。とりあえずニセモノの俺がいないならこの教室は入らなくてもいいな?」


「え!?音の正体は!?」


気になって寝れなくなるじゃん!!


「気のせいってことにしておけ。」


無理!!気になる!!


「ちょっと、恭也が調べてきてよ!!」


「やだ!!」


…もしかして……


「恭也も…怖いの…?」


「……………。」


えっ!?恭也も幽霊とか苦手だったんだ!?

知らなかったぁ…。


「それより悠希、他のみんな知らないか?途中ではぐれちまってさ。」


「いや、知らないけど…それより大地はともかく小織ちゃんともはぐれたの?」 


「あぁ、はぐれた。」


「…ふ〜ん、それじゃ今私たち2人っきりってことかぁ…」


それならこの際言いたいことはハッキリ言っておいた方がいいね!


「ねぇ恭也、今だから言うけどさ…」


「ん?何だ悠希?」


「あんまり言いたくはないんだけど、私、恭也のこと……」


「え!?」




 

「見損なったわぁ!!!!」

「ごぶぁっ!!?」


ふっ、決まった!!

女の子を一人ぼっちにさせたり、ましてや大地と一緒にさせるなんてとんでもないことしたんだから、これくらいは仕方ないよね?

さすがの恭也も私の正拳を鳩尾(みぞおち)に受けたらしばらくは立てないはず…


「くそっ…やりやがったな!?」


「…え?」


……ウソ?

立った!?


「…なんで俺がニセモノとバレたかは知らねぇが、残念ながら俺は痛みを感じないんでな。そんなパンチは効かない。」


…………。

ニセモノだったの!!?

てっきり本物かと思ってた!?


 


「…フ、フフフ!それくらい私にはお見通しよ!!アンタは本物と全然違うんだから!!」


…わかってたってことにしとこう(苦笑)


「出来るならお前は殺したくなかった…だが、正体を知られた以上はお前にも死んでもらう。」 


「…ふん、アンタが私に勝てると思ってるの?返り討ちにしてあげるんだから!!」


…とは言ったものの、痛みを感じないとかズルくない!?

私、コイツに勝てるかな…?

いや、勝つしかない!!

本物の恭也の為にも!!










【状況整理】


〈緋乃姉妹&恭也ペア&大地〉

現在地:図書室

大地は気絶中、小織さんが目を覚まし、恭也は誤解を解く為に説明中、ヒカリはその様子を眺め、カゲリはまだ恭也にしがみついて泣いている。


〈ニセ恭也&悠希〉

現在地:音楽室前廊下

『戦闘開始!!』

読んでくださってありがとうございます。  更新が遅くなってしまい、すいませんでした。  …このシリーズも結構続いちゃってますね。予定していない話も混ぜちゃってるのでこんなに長くなってしまいました。…私の悪いクセです。  それでは今回はこの辺で。

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