第130話〜オリジナルゲーム第3弾!
【放課後:部室】
「カゲリ&ヒカリ作!手作りゲーム第3弾!ついに完成〜!!」
いきなり何!?
お前ら、また変なゲーム作っちゃったの!?
「……ヒカリさん…またゲーム…?」
「…カゲリちゃんがどうしても作りたいって言うので…」
…相変わらずカゲリに甘いな。
「…ていうか第3弾?俺たち、まだ1作しかプレイしてないぞ?」
ほら、この前トーナメントやった格闘ゲーム。
(第103〜104話)
あれしかやってない気がするんだけど…
「あ、言ってなかったですね。実は以前話し合ったRPGの方も完成していたんですよ。」
(第67話)
「でもさすがにあの内容はマズいかなぁって思って…闇に葬っちゃった♪」
あのゲームを作ったのかよ!?
それは確かにまともなプレイできなさそうだしな…
…前回の格闘ゲームもマトモじゃなかったけどな。
「…で、今回のジャンルは?」
「えっとね♪今回は……!」
「なんと『恋愛シミュレーション』!!」
「はぁっ!?恋愛!?」
「……意外…」
「…カゲリちゃんの意見です。私は関係ありません…」
「しゃあ!!恋愛なら俺に任せとけっ!!」
なんか1人だけ異様にテンション上がってるバカがいるけど…
なんで恋愛ゲーム!?
「……面白そう…」
「でしょ♪さらに主人公は男でも女でもどっちでもできるの♪」
「…マトモなゲームなんだろうな?」
「…そ、その…私からはなんとも…カゲリちゃんのアイデアですから……」
…またカオスなゲームなんだな?
「それじゃあキョーヤ、さっそくプレイしてみて♪」
「俺!?」
「カゲリちゃん!恋愛なら俺もやりたい!」
「……私も…」
「ダメ!これはキョーヤにやらせたくて作ったゲームなんだから!」
いや、何で俺!?
俺、恋愛系のゲームってやったことないよ!?
「……なるほど、カゲリさんの意図がわかった…」
「…あ、わかっちゃった?」
「…意図?」
「キ、キョーヤは気にしなくていいの!ほら、早くプレイして!」
「あれ!?いつの間にゲーム機が!?しかもすでに起動してる!?」
「スタートっ!!」
強制しやがった!?
この野郎…もし変な目的があるなら後で懲らしめるからな…!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
※ゲーム中の会話は次のように表示されます。
恭也:
『〜〜〜〜〜。』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…ん?もう始まってんのか?」
画面にはただ直線的な道が映ってるだけなんだけど…
「うん。もう動けるよ。」
「あ、ホントだ…。って動くの!?」
恋愛ゲームって会話とか選択肢とかだけじゃなかった!?
「どう?主人公視点の行動型恋愛ゲーム♪面白いでしょ?」
「……オープニングとかは…?」
「面倒だから省略♪あ、プロフィールはキョーヤのものにしてあるから大丈夫だよ♪」
勝手にプロフィール設定すんな!!
…時間短縮にはなるけど。
「とりあえず道なりに歩いていけばいいのかな?」
「はい。学校までの道は上の方に矢印が出るのでそれの通りに進んでください。」
「……登校中だったんだ…?」
「登校中と言えば、曲がり角で女の子とぶつかるのが王道だよな。」
「ははは、何言ってんだ大地。そんなベタな展開、このゲームにあるわけないだろ。」
「そうだよ。私たちが作ったゲームにそんな使い古されたネタがあるわけないじゃん。」
「…た、多分ね…あ、あはは…」
あるのかよ!?
なんてベタな!?
「…なんか曲がり角に行きたくなくなってきた。」
「何でだよ?1人目のヒロインの登場だろ?」
…コイツらが作ったゲームだよ?
マトモなキャラが出るわけないじゃん…
「……そういえばこれってオリジナルのキャラとか出るの…?」
「ん〜ん。だいたいいつものメンバーしか出ないよ?」
余計やりたくなくなってきた!!
…かと言って進めないわけにもいかないか…
「…仕方ない、行くか。」
「……最初に登場するの誰なんだろ…?」
…マトモな展開を希望します。
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《…テクテク…》
《タッタッタッ…ドンッ!!》
恭也:
『うわっ!?』
???:
『いたた…。ご、ごめん。急いでたから…』
恭也:
『いや、こっちこそ…ってあれ?お前は…』
大地:
『…お?恭也じゃないか。お前も遅刻か?』
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「何でここでお前が出てくるんだよ!?」
「俺に言われても困るんだけど!?」
「……しかも好感度上がってるよ…?」
ちょっと待て!?
もしかして大地も恋愛対象に入るのか!?
「あちゃ〜、最初に出てくるキャラはランダムだったからなぁ…」
「…リセットしていいか?」
「してもいいけど、時間がもったいないよ?」
「ぅ…!ま、まぁ…まだ最初の方だから何とかなるか…」
「……このまま大地君ルートにするのはやめてね…」
当たり前だ!!
そんなの全力で回避するわ!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【数分後…】
「…開始数分で知り合い全員出たんだけど?」
学校に着いた途端、全員と会話イベントがあるとか…
展開が早すぎるだろ…
「……でもノラネコさんがいないよ…?」
「このゲームはけっこう前から作っていたので間に合わなかったんです…」
…変人が1人減ったところであまり変化は無いけどな。
「…さぁ、ここからが大事だよ♪誰をターゲットにしたいかを考えながら選択肢を選んでね♪」
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休み時間だ。
どこに行こう…?
→・A組教室
・B組教室
・C組教室
・職員室
・屋上
・部室
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「…もしかして先生方も対象なの?」
「うん♪」
…それ、意味あるの?
先生方を選ぶわけないじゃん…
「屋上は多分赤樹と千秋だろうな…」
「……部室は…?」
「カゲリちゃんとか、部員の誰かと会うんじゃないのか?」
「大地さん残念。部室に私たちは出ません。」
「じゃあ誰がいるんだ…?」
「……イグやミョージンがいるとか…?」
「あ、よくわかりましたね。」
ちょっと待てっ!?
そいつら人間じゃないよ!?
「それもう恋愛でも何でも無いじゃねぇか!!」
「大丈夫です。他にもいますから。」
「……他…?」
「はい。ほら、この部室にはKYO-YAさんもいるじゃないですか。」
「もしかしてユリちゃんも出るの…?」
「大地さん、意外と鋭いですね。もちろん出ます。」
だから何でそういうヤツらが恋愛対象に入るんだよ!!
相手は動物に機械に幽霊だぞ!?
ユリはともかく、残りは完全に除外だろ!!
「ついでに低確率でカレンちゃんも出るよ♪」
「うそっ!?恭也!部室に行こうぜ!!」
「大地さん…」
絶対行かねぇよ!!
結局はスイレンなんだから!
「さぁ、キョーヤ。誰に会いに行く?」
(キョーヤは誰が好きなのかなぁ…♪わくわく♪)
(……カゲリさんの目が輝いてる…やっぱり恭也君の好きな人を知ることが目的だったんだ…)
「う〜ん…、どうしようかなぁ…」
ゲームとはいえ、実在する人たちが相手だからな…
適当に選んでもいいんだけどなぁ…
…………。
…待てよ?
もしこのゲームが現実に忠実だとしたら……
…………。
「…よし、決めた!」
「…(どきどき♪)」
「……(ちょっと期待)…」
「どこに行くんですか?」
「俺が行く場所は………………」
「…A組教室だ!!」
「え…!?」
「……スイレンさんのところ…?」
「お前、スイレンちゃんのことが好きだったのか?」
…お前は何を勘違いしているんだ?
「バカ。そんなわけないだろ。」
「じゃあ何でA組なんですか?」
何でって……
そんなの決まりきってるじゃないか。
「スイレンって午前中は寝てるだろ?だからこっそり落書きするとかのミニゲームがあるんじゃないかな〜っていう予想…というより希望!!」
「そんな理由で選んだんですか!?恋愛関係ないですよ!?」
どうせゲームだもん。
それに俺は恋愛ってどういうものなのかよくわからないし。
…というか、恋愛に関係ない要素がたくさんあるこのゲームを作った人に言われたくない。
…主犯はカゲリだろうけど…
「……本当にスイレンさん狙いじゃないんだよね…?」
「当たり前だ。ミニゲーム目的だ。」
「恋愛そっちのけ…。私の計画が〜…!」
…計画?
ミニゲーム狙ったらダメだったの?
何を企んでたか知らないけど、これでよかったのかな?
「……恭也君にこういうのは向いてないみたい…知りたいなら違う方法でやるしかない…」
「…そうだね。」
「…何の話?」
「いいからキョーヤはゲームに集中!」
「お、おう…」
…怒られた。
そんなにミニゲームやったらダメなのかな…?
…まぁいいや。
とりあえず進めるか…
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【A組教室】
スイレン:
『…あれ?キミがこっちに来るなんて珍しいじゃん?ボクから会いに行こうとしてたのに…。もしかしてキミも早くボクに会いたかったのかな?あはっ♪』
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「…おい?何でスイレンが起きてるんだ?」
「いや、さすがに寝てたらゲームにならないじゃないですか…」
「それじゃミニゲームは……」
「そんなものはありません。」
「…………。」
…サギだっ!!
俺の期待を返せ!!
「く〜…!!せっかく現実にやったら本気で怒られるような落書き考えたのに…!!」
「…キョーヤも意外とイタズラ好きだよね。」
「……子どもっぽくてかわいい…」
子どもっぽいとか言うな!!
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恭也:
『…いや、暇つぶしに来ただけだよ。別にお前に会いに来たわけじゃないから。』
スイレン:
『ホントかな〜?まぁ仮にそうだとしてもボクは嬉しいよ♪』
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「……好感度が急上昇した…」
「ミニゲーム…」
「…まだそんなこと言ってるんですか。」
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スイレン:
『ついでに夕飯作ってもらえたらもっと嬉しいんだけどな〜。』
恭也:
『…仕方ないな。今日だけだぞ。』
スイレン:
『やった♪キミのそういうところ好きだよ♪』
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「…拒否権は?」
「無いよ。」
「こういうイベントですから。」
…何でゲームでまでアイツに夕飯作ってやんなくちゃいけないんだよ…
思いっきり選択肢間違えたな…
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恭也:
『一応聞くけど、何が食べたい?』
スイレン:
『ん〜、そうだな〜………よし、決めた!親子丼で♪』
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「…それは先週作ったろ。」
「キョーヤ、ゲームにそんなこと言っても…」
いや、なんとなく。
無言でプレイしててもつまらないし。
「ちなみに今はオムライスが食べたいなぁ〜」
「それもつい最近作ってやった……」
…………。
「…ちょっと待て!?何でスイレンがここにいるんだ!?」
「……あ、本当だ…」
「いや〜、廊下を歩いてたら楽しそうな声が聞こえたからさ〜♪」
お前、自分の部活は!?
いつものごとく放置!?
「…それよりさぁ、さっき『落書きが…』とか聞こえたんだけど…どういうことなのかな…?」
「(ギクッ!)…い、いや…それは…その…」
聞かれてた!?
お前、いつからいたんだよ!?
「最近はおとなしくしてたつもりだったんだけど…キミがそういうことを考えてるならボクもそれなりに接してあげようかな〜?」
「わ、悪かった!!もう変なことしようとしないから!!」
「…今日の夕飯、オムライスで手を打ってあげる。」
「く…っ!わ、わかった!それでいい!」
「やったね♪」
オムライスで被害を抑えることが出来るなら安いもんだ…!
…あれ?
でもそれって今晩俺の所に来るってことだよね…?
…………。
また泊まるって騒がれそうな予感…
結局はめんどうなことになるのか……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【2時間後…】
「…なぁ、このゲームまだ終わらないの?」
あれからしばらく続けてんだけど…まだ終わりそうにないな……
…なぜか大地の好感度が一番高いし…
…思いっきり選択肢ミスしまくってるな。
「でもまだ半分もいってないよ?」
「あれだけやってまだ半分いってないの!?」
全部終わんのってどれくらいかかるんだよ!?
少なくとも今日1日じゃ終わらないだろ!!
「…もうギブアップしていい?」
「うん、いいよ。」
…あれ?
意外と素直…
てっきり『せっかく作ったんだから最後までやって〜!』って言われるかと……
「…キョーヤには恋愛ゲーム向いてないってわかったから。」
「し、失礼な!!」
「……でも女の子で好感度高い人いない…」
「男性キャラと非人間キャラの好感度が高いですもんね。」
「…お前、そっちの趣味でもあんのか?」
んなわけあるか!!
たまたま選択肢をミスっただけだ!
なるべく選ばないようにしてても、なぜかそっちルートになっちゃうんだよ!!
だから俺は悪くない!!
「なるほど、だからボクやノラネコさんが近くにいても何もしてこないんだ?」
「妙な納得すんな!!ていうか、お前まだいたのかよ!?」
「…キミ、本当に男なの?」
うるせぇっ!!
正真正銘男だ!!
悪いかっ!!
「えぇいっ!!恋愛ゲームなんか二度とやるもんか!!」
「……恋愛ゲームを途中で投げ出す人って初めて見たかも…」
だからそれは緋乃姉妹が作ったゲームだからだって!
普通のゲームだったらこうはいかないはず!!
…多分。
「…仕方ない。俺がお前に恋愛について教えてや……」
「…お前は調子のんな。」
「俺に対してだけ厳しい!?」
「……でもさっきのゲームを見てるとツンデレにしか見えない…」
「ぜ、絶対デレるなよ!?男にデレられたら気持ち悪い!!」
…もういい。
これ以上何か言ってもからかわれるだけだ…
もう黙ってよう…
…………。
…俺、そんなに恋愛向いてないのかなぁ…
「次はどんなゲームを作ろうかな〜♪」
頼むからこれ以上変なゲーム作んなっ!!
緋乃姉妹作ゲーム第3弾は『恋愛』でしたね。
カゲリがメインに制作していましたが、イベント自体は割と普通だったりします。
(登場キャラや恋愛対象はともかく…)
…つまり、あんな結果になったのは単純に恭也が恋愛に向いてないだけです。
…主人公がこれでいいものなのか疑問です…
話は変わりますが、ゲームを作るゲームがあるという話を聞きました。
…もしかしたら誰かが緋乃姉妹作のゲームを作ってくれたり……?
…少し期待。
…とりあえず今回の内容に関してはこんな感じで。
感想などなど、お待ちしています!!
それでは。