表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/147

第128話〜ノラネコの正体

 




【夜:恭也宅】



「…で、どういうことなんだ?」


「…む?何がだ?」




俺の質問に料理をしながら顔だけ向けて返事するノラネコ…


手元を見ないで野菜を切っていくのはスゴいというか怖いというか…



…てか、あんな爆弾発言した後なのにいつも通りにできるってすごいな……




「なぜ加賀までここにいるのか…ということか?」


「あら?私のこと?別に襲ったりしないから安心しなさい♪」




違うわっ!!


いや、それも気になるけど!!




「お前のことだよ!」


「私か…?だから先ほど名乗っただろう?これ以上何が聞きたい?年齢か?スリーサイズか?」


「そんな情報いらん!!そうじゃなくて………お前が校長ってどういうことだよ!?」


「ふむ、白菜はこのくらいで十分かな?」


「話を聞けぇっ!!」




マイペースすぎだっ!!


いや、料理の最中に話しかけたのが失敗か…!?


でもとりあえず空気読んでくれっ!!




「まぁまぁ、そういう話は後でもいいじゃない?それにしても…凰華さん、しばらく会わない間に変わりましたね〜♪以前はショートカットだったような…?」


「ホームレス生活をしていたら伸びてしまってな。…似合わないか?」


「いえいえ♪ポニーテールも似合ってます♪」


「そうか。それはよかった。加賀も、以前より美しくなったのではないか?」


「そんなことありませんって♪凰華さん程じゃないです♪」


「いやいや、そんなことはないぞ?」




そこっ!!


女同士でそういう会話されたら俺が会話に加われないじゃないか!!


てか、野菜切りながら会話すんな!!


見てて怖いわ!!






「…ふむ、これだけあれば十分だろう。」




…ちなみに今日のメニューは鍋。


理由は人が集まった時の定番だから…らしい…



…3人じゃ少ないと思うんだけど…




「…ってちょっと待て!?何だこの量は!?どう見ても3人分の量じゃねぇだろ!!」




ふと見てみるととんでもない量の材料…


どう見ても3人分の量じゃない…!




「何を言っている?」


「え…?何って…?」



 



「これは『6人分』だぞ?」




…は?






《…ピンポーン♪》



「ふむ。ちょうど来たようだな?」


「え…?来たって…?誰が…?」






《…ガチャ》




「開いてるから入るわよ?…全く、急に呼び出して何の用よ?助けに行かなかった愚痴なら明日でもいいじゃない。」


「ゆ、悠希…!?」


「何よ?意外と元気そうじゃない。良かったわね…ってあれ?加賀先生…?何?アンタたち、和解でもしたの?」




どういうこと!?


まさかノラネコが悠希を呼び出したの!?




「へぇ〜…ここが神堂の部屋ッスか…」


「って千秋まで!?」


「アンタの部屋の前でウロウロしてたから一緒に入ってきたのよ。」


「そ、その…ち、千秋は男子の部屋に入るのは初めてで…」


「アンタも男じゃない。」


「え…あっ!?そ、そうッスね!アハハ…!」


「…?」




…いっそのことお前も正体バラしたら?



ってそんなことより!




「ノラネコ!?どういうことだ!?」


「ふむ。どうせならみんなに教えた方がいいと思ってな。…あ、そういえば携帯を返すのを忘れていたな。」




いつ盗った!?


そしていつ連絡した!?




「話…?何よ…?」


「まぁ、慌てるな。話は後でもいいだろう?食事中にもできるしな。人数も揃ったし、まずは鍋パーティーを始めようではないか。」




…あれ?


今ここにいるのは5人だよ?


6人目は?




「そういうわけで少年、そろそろあの少女を起こしてくれ。」


「…起こす?」




…………。




……チラッ…






「……ぅ…ん……すぅ……」



《モゾモゾ》




ベッドに何かモゾモゾしてるのがいる!?


コイツ、いつからベッドで寝てた!?




「うわっ!?スイレンじゃないッスか!?」


「…にへへ…♪」


「寝ながら笑ってるわね。…なんかムカつく。私が起こしてもいい?」


「あ、あぁ…」




…知〜らないっと…




 




 




 



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「…というわけで、私が少女たちの学校の校長をやらせてもらっている皇 凰華だ。隠していて悪かったが、今後ともよろしく。」


「こ、校長…!?ノラネコさんがッスか!?」


「…恭也、これはなんの冗談?」


「冗談じゃなくて真実…らしい。」




食事を開始して数分後、ようやくノラネコは悠希たちに自分の正体を明かした。


まぁ、当然信じられないよな…






「はふっはふっ…あ〜、心も体も温まる〜♪」


「ねぇ、この家にお酒は無いのかしら?」




空気の読めない連中はさっさと帰れ!!




「スイレンは驚かないんスか!?」


「ん?そりゃ多少は驚いてるよ?校長の名前は知ってたけど、それがノラネコさんだなんて思わなかったもん。」


「…全然驚いてるように見えないわよ?」


「鍋優先♪」




…話すタイミングを間違えたな。




「まぁ、私が校長であったとしてもいつも通りにしてくれればいいさ。年齢的には少女たちと近いのだし。」


「…ていうか、凰華さんってまだ高校生じゃなかったかしら?」


『高校生!?』×3


「おぉ…!?意外な反応だな?私はそんなに老けて見えるか?」




いや、決してそういうわけじゃないけど…!!




「おいっ!?ちょっと待て!?高校生で校長ってどういうことだよ!?」


「しかも噂じゃ結構前から校長は変わってなかったはずッスよね…?」


「アンタ、どんな人生送ってんのよ!?」


「…ほら、加賀が余計なことを言うから厄介なことになったではないか。」


「あらら…ゴメンナサイ♪」




予想以上にとんでもないヤツじゃねぇか!?


高校生で校長でホームレスで…


どういうことなの!?




「まぁ、簡単に言うとだな、私の祖父が勝手に私を校長に任命しただけだ。当然、当時中学生だった私にそんなことできるはずは無い。実質は教頭がこなしていたようなものだ。…教員の選別には私も関わっていたがな。」




その結果が今の教師陣か!!


お前が元凶だったのかよ!!




「義務教育が終わり、私は正式に校長として就任したのだが…私と対等に接してくれるのは教員のみ。生徒たちはみんな私を校長として扱う…。そんなのつまらないと思わないか?同年代の友達を作ることもできないのだぞ?だから私は1日で学校から出て行った。」


「1日ッスか!?」


「どうりで見た人がほとんどいないわけね…」


「行動は早い方がいいからな。…そして後は全国を放浪していたというわけだ。」 




…とんでもないな。




「凰華さんがいなくなった時は大変だったんですよ?…全部教頭に押しつけたからよかったけど♪」




押しつけんな!!


教頭がかわいそう!!




「たまに連絡をしていたからいいではないか。こうしてちゃんと戻って来たのだし。」


「…正体を隠していたってことは本当は戻りたくなかったんじゃないッスか?」


「ていうか、アンタまだ高校生なんでしょ?校長の仕事はそのまま教頭に任せて、生徒として戻ってきたら?」


「それでは教頭がかわいそうではないか。」




最初にお前が出てった時点でかわいそうなんだよ!!


ついでに言うなら、お前が採用した教員のせいでもっとかわいそうなことになってるからな!?




「それに、私は年齢的には高3だぞ?少年たちと同じクラスになんかいけないのだぞ?」


「お前、高3だったのか…」


「別に私たちと同じクラスじゃなくてもいいじゃない。」


「それではつまらないではないか。それより、教員として戻った方が授業中でも簡単に呼び出しできるだろう?」




職権乱用すんなっ!!


でももし呼び出すとしたら数学の時にしてください!!




「そういうことで、私は校長としてあの学校に戻ることにするよ。」


「…まぁ、アンタがそれでいいならいいんだけど…」


「うむ。少女よ、わざわざ心配してくれてありがとう。」


「べ、別に心配なんかしてないわよ!!私はただ…!」


「まぁまぁ、照れなくてもいい。…それより、早く食べないと鍋が無くなるぞ?」


「え…?あっ!?ちょっとスイレン!!アンタ食べ過ぎよ!!」


「にしし♪早い者勝ちだもんね♪」


「みんなが話してる間に食べるなんてズルい子ね〜。」


「…加賀先生も食べてたじゃないッスか。」


「ほら、少年も早く食べないと。」


「あ、俺はちゃんと取り皿に取ってあるから大丈夫。」


「あっ!?ズルいわよっ!!」




そもそもこのメンバーで鍋なんかやったら取り合いになるってのはわかりきってるんだから。


これくらいのことはしておかないと。 




「ふふ…少年は意外とちゃっかりしているのだな。」




いや、お前の取り皿にも入ってるだろ…


しかも俺より多いし…




「アンタたちはこれ以上食べるの禁止!!残りは私の分だからね!!」


「えっ!?千秋は!?」


「…仕方ないわね。アンタにも少し分けてあげるわよ。」


「スキあ…!!」



《バシッ!!》



「あうっ!?」


「…スイレン?アンタはもうダメって言ったでしょ…?」


「ご、ごめんなさい…!」




ゆ、悠希が鍋の守護神と化した…!? 




「…なかなか怖い少女だな。」


「…ああなったら相手が年上だろうが先生だろうが関係なくなるからな…」


「でもあまり食べていない者にちゃんと分け与えるあたり、優しいのだな。」


「そこっ!黙りなさい!!」


「ははは、少女よ、顔が赤いぞ?」


「…〜っ!!う、うるさいっ!!」




…ノラネコ、悠希をあまりからかうと殴られる恐れがあるから気をつけろよ?




「スキあ…!!」


「うがーーっっ!!!」



《バシィッ!!》



「あうっ!?」


「アンタもさっきからうるさいのよっ!!」


「冬眠する前にはたくさん食べておかないとダメなんだもん!!」


「お前はクマかっ!!一応言っておくが泊めないからな!?」


「む?なんだ?泊まらないのか?」


「ボクは泊まりたいな〜♪」




お前は朝起こすの大変だから帰れっ!!




「…悠希、阻止するの手伝ってくれるか?」


「いいわよ。」


「快諾っ!?キミも泊まればいいのに…」


「残念ながら私はイグの世話をしなくちゃいけないのよ。」


「…残念ながら?」


「…言葉のあやよ。」


「残念だな。このままみんなでお泊まり会を開くのも楽しいと思っていたのだが…」




だからそういうことを勝手に考えんな!!


ここはもともと俺の部屋だってことを忘れんなよ!?






「仕方ない…。ではそこの2人が食べ終わったらお開きとしようではないか。もう遅い時間だからな…」


「あ、もうこんな時間だったんスか…」


「え〜!せっかくだからみんなで夜遅くまで遊ぼうよ〜!!」




お前は授業中に寝てるからいいかもしれないけど、俺たちはそういうわけにいかないんだよ!!




「加賀、悪いが悠希を送ってやってくれないか?私は千秋を送る。少年はスイレンを…」


「チェンジ。」


「チェンジ!?ボクのことキライ!?」


「キライじゃないけどイヤ。」


「ひどいっ!?」




そもそも、コイツらはわざわざ送らなくても大丈夫なんじゃないの?


全員俺より頼りになるヤツらだよ?



…べ、別に自分が情けないだなんて思ってないからな!




「…私、加賀先生と帰る方が危険だと思うんだけど。」


「大丈夫よ♪アナタは今のところターゲットじゃないから♪」




…今のところ?




「千秋は1人でも大丈夫ッスよ?」


「いやいや、夜道は危険だ。教員として、責任持って送り届けなくては。」




…歳は2つしか違わないけどな。




「…お前は1人で大丈夫だな?」


「…キミさぁ、ボクも一応女の子なんだよ?」


「俺たちは性別なんか気にしない友人なんじゃなかったっけ?」


「『友人』じゃなくて『親友』!!」


「…はいはい。」




まぁ、一応送っていくけどさ…




 




 




 



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 


【…数十分後…】




「…ただいま。」


「おかえり。ずいぶんと遅かったではないか?心配したぞ?」


「スイレンが『泊まるのがダメなら泊まってけ』ってうるさくて…」




こうなると思ってたからイヤだったんだよ…


アイツ、いつまで俺を安眠マクラ扱いするんだ…?




「ふむ。別に私に遠慮しなくてもよかったのだぞ?」


「そういうわけじゃないって。アイツ、朝起こすの大変だし…。…それにアイツの家で寝たら俺も寝坊するかもしれないし…」


「…?」




アイツの家の寝具、どれも最高に寝心地いいからな…


一度寝たら起きたくなくなる…




「…で、お前はなにしてんの?」


「明日の準備だ。」


「…明日?」


「うむ。善は急げというやつだ。」


「もしかしてお前…明日から学校に来るつもりか!?」


「当然だ。」




行動が早ぇ!?


正体を隠していたってことは行きたくなかったんじゃないのか!?




「少女たちと話していたら1日も早く行きたくなってな。今のあの学校は私がいた頃よりはるかに面白くなっているだろうしな。」


「…面白いというより、クレイジーだぞ?」


「私にはそれくらいがちょうどいいのだ。」




…うん、わかってはいたけど、やっぱりお前も変人だ。




「それに、いきなりのことで戸惑う人たちを見るのもなかなか面白いぞ?」




さらに悪質!?




 




「…ところで、少年は私のこと…怒っていないのか?」


「…?怒る?何で?」


「ほら、やっぱり正体を隠していたのは……」


「あ〜、別に正体を隠していたことについては怒ってないよ。…驚いたけど。」


「…本当か?」


「本当だって。それより、お前が校長だとしたら学校ではそれなりの対応した方がいいのか?」


「いや…今まで通りでいいが…」


「よかった。いちいち対応変えんのめんどくさいからな。」


「…本当に…私が校長だと知っても、いつも通りに接してくれるのだな……」


「まぁな。俺の中では、ノラネコはノラネコだ。校長だとか高3だとかは関係ないよ。」


「…ふふふ、そうか…やっぱり少年は少年だな…」


「…変か?」


「…そういうわけではないさ。」




まぁ、仮に変だったとしたらそれは周りのヤツに影響されたことだ。


決して俺自身は変じゃない!!




 




「…では少年よ、明日からもよろしくな。」


「あぁ、こっちこそ。校長としての仕事は大変かもしれないけど、頑張れよ。」


「うむ!」




 




…こうしてノラネコは校長として学校に戻ってくることになった。


これから学校生活がどうなっていくのかはわからないけど…


…まぁ、これ以上悪いことにはならないだろうことを祈るよ。




 




 




 



「…ついでに私の飼い主として、少年も全校生徒に紹介しようか?」




それだけは絶対にやめろっ!!!

大変お待たせしてしまい申し訳ありません!


今回は言い訳はしないで素直に謝罪させてもらいます!!



…今回の話、あまり無理してコメディ部分を入れない方がよかったかもしれませんね。


支離滅裂になってしまっているような…


…軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。



…さて、今回はみなさんに軽く質問してみたいと思います。


もちろん無視してくださっても結構です。


まず一つ目、ノラネコの呼び名は統一した方がいいでしょうか?

(ノラネコ、凰華、校長の三通りあるんですが…)


今のところは統一しない方向性なのですが、わかりにくいという意見がある時は統一させてもらいます。


二つ目に、活動報告のペースです。


現在は前話更新から20日以上経ってから報告しています。


もっとこまめに報告したり、更新のメドがついてから報告した方がいいんでしょうか?


…まぁ、無しでもいいんですが、それだと個人的に面白くないので。


意見が無い時は今まで通り、もしくは気まぐれに更新するようにしたいと思います。



とりあえず今回はこれくらいですね。


それではこれで失礼させてもらいます。


感想・評価・意見・質問・要望リクエスト・助言・メッセージなど、お待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ