表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/147

第13話〜救世主登場?

 

【校内北側(図書室)】




「全く…くだらないことを……」


俺は俺の目の前に倒れている物を見てため息をつく。


「…つい、キレちまったな……」


ま、でもこれくらいならコイツはくたばりはしないだろう。


「それじゃ…トドメといくか。」


今が絶好のチャンスだしな。

俺は少しずつソイツとの距離を縮めていく。


一歩…また一歩と…










【校内西側】



「…う…うぅん……」


…あれ?ここは?


「ヒ、ヒカリーー!!」


「えっ!?ちょっ、カゲリちゃん!?」


目を覚ますなりいきなりカゲリが私に抱きついてきた。

…そうか、確か私ニセ恭也さんを追っているうちに壁にぶつかって……


「私はもう大丈夫だから、そんなに心配しなくても…」


「ヒカリィ…どうしよう…みんなが……!」


カゲリの目には涙が浮かんでいた…

まさか…


「落ち着いて、カゲリちゃん!!何があったの!?」


「み…みんな、無線に連絡がないの…!!どうしよう!?」


連絡が無い!?

そんなバカな…!?

だって時計を見るかぎりじゃ私が気絶してからそんなに時間は経ってないはず…! 


「カゲリちゃん…ちょっとその腕時計貸してくれない?」


「…え?」


こんな短時間に全滅なんてことはありえない!

…となると可能性としては……

私はカゲリちゃんから腕時計を借りてそれを調べてみる。



……やっぱり!


「…カゲリちゃん、安心して。みんな多分無事だよ。」


「でも…連絡が……」


私はカゲリちゃんに腕時計を見せて言う。


「ほら、よく見て。単純に電池切れになってるだけだから。」


「…あ」


腕時計なんて小さい物に機能を詰め込み過ぎたからね…すぐに電池切れになっちゃうみたい。

今度改良しないと。


「どうやら私のはまだ使えるみたい。でも無線は使わない方がいいね。すぐに電池が切れちゃうから。」


「でも、それじゃみんなの場所が…」


…そうか、それじゃ仕方ないな…


「無線じゃ場所を聞く前に切れちゃう可能性があるからこっちの機能を使おうか?」


「あ、そういえばそんな機能あったっけ。」


そう、最初に説明した通りこの腕時計には『発信機』の機能もある。


「なるべく電池の消費を抑えたいから一瞬で場所を覚えてね。」


「OK♪」


カゲリちゃんも元気を取り戻したみたい。

良かった。 


よし!

今度こそリベンジしてやる!!


「やっぱり北側校舎にいるみたい!ちょっと地図ある?」


「えっと…あ!あそこの壁にかかってるよ!」


「大体このくらいだから…図書室くらいだと思う!」


さすがカゲリちゃん!

一瞬で場所を把握するなんて!

方向音痴の私とは全然ちがう。


「よし!ヒカリ、行こ!今度こそ私たち『二人』の強さを見せつけよう!」


「うん、そうだね!」


そう…

私たちは一人じゃほとんど何も出来ない。

だけど…二人なら!!


「それじゃ…」


「「Let's go♪」」


待ってて下さいね、みなさん…!






あ、クツ替えないと…










【校内北側(廊下)】



「イグ〜〜…(泣)」


どこ行ったんだろう…

この暗い中一人ぼっちで寂しい思いしてないだろうか…


あれ?

私も一人じゃん?


………………。


寂しいよぉ〜〜…(泣) 


「と、とりあえず早くイグを探さないと…」


でも、どこを探せば…

…ん?


「ここ…何か怪しいなぁ…」


さっきから何か物音してるし、ドアも少し開いてるし…


「もしかして…ここにイグが…?」


うん!きっとそうだ!

そうとわかったら…


「突撃〜〜!!」


私はドアを蹴破って中に入った。

その中は本がたくさんあって、退屈しのぎには丁度いいように見えた。


…あ、マンガもある♪


「な、何だ!?誰か来たのか!?」


ん?誰かいるのかな?

…ってえぇ!?


「何この状況!?何でこんなことになってるの!?」


私が見たその光景は私には一瞬理解できなかった…


「…悠希、遅かったな。もう終わったよ。」


……終わった…?

何が…?


「後はトドメだけだ。」


トドメって……

まさか…恭也を…!? 


ソイツは奥の方に倒れている誰かの所に歩いていく。

奥に倒れているのは…


やっぱり恭也だ!!


それじゃコイツがニセ恭也!?


「トドメなんて…させない!!」


私はソイツとの距離を一瞬で詰める。

陸上部の脚をなめるなよ!!


「な!?オイ!」


「くたばれぇ!!ニセモノめぇ!!」


私の渾身の右ストレートが見事に決まる……はずだった…


「あっぶねぇ…!」


ソイツは私の拳を紙一重でかわし、私から距離をとる。


「落ち着け、悠希!お前何か勘違いしてないか!?」


…?

勘違い…?


「そこで倒れているのが『ニセモノ』だよ!」


…え?

嘘!?これがニセモノ!?だってコレ思いっきり本人じゃん!?


「それじゃアンタ誰よ!?暗くてよくわからないんだから名乗りなさいよ!!」


「緋乃姉妹からもらったメガネはどうしたんだよ!?」


…あ、掛けるの忘れてた。


「しかも何で恭也はわかって俺はわからないんだよ!?」


「いや、だって恭也は長年一緒にいるからなんとなく雰囲気でわかるっていうか…それより何でアンタがこんな所にいるの!?」


メガネを掛けてソイツの顔を見てみると意外なやつがそこにいた。…確かにあのとき気絶してたはずなのに…


「…忘れたのか?女の子のピンチには即座に現れ助太刀する…それがこの俺、《大空 大地》だ!!」










【数分前〜校内東側】 


…あれ?

ここはどこだ?

俺、さっきまで学校にいたよな?

それなのに目の前に川が流れてるのは何でだろ…?

あ、よく見たら川の向こうには花畑も見える…


(…おい、起きろ!)


…ん?誰の声だ?


(今ある女の子がピンチに陥っている。彼女を救うことが出来るのはお前だけだ!…あ、後男の方もな。)


何だと!?


(さぁ、早く起き上がれ!!彼女たちを助けに行くんだ!!)


言われるまでもねぇ…

全世界までは無理だが、せめて俺が守れる範囲の女の子たちには……




 

「絶対に出だしはさせねぇ!!」


…気がつくと俺は学校にいた。

……さっきまでのは夢か…?


「…あのお告げが何なのか知らないが、何か嫌な予感がする。早く探しに行かないと!」


…でも、どこを?

この広い校舎じゃ全部を探す時間はねぇ…


…………そうだ!

緋乃姉妹が言っていた『発信機』!!

あれを使えばいいんだ!!


さっそく腕時計のボタンを押して画面を見る。

画面上には白い点が4個見えた。


…4個?

一つ足りない!?

まさかすでにあのロボット野郎に…!?

おのれ、許さんぞ!!

(注:実際はカゲリの電池切れです。) 


とりあえずどこから探すかだな…

早くピンチの女の子を捜さないと…!


…待てよ?

確かあの時『男も』とか言ってたな…

だとすれば、この2つが一緒になっている点の可能性が非常に高い!!


「おし、待ってろよ!今、俺が助けに行くから!!」


俺は発信機を見ながら自分の出せる限りのスピードでその場所へ向かった。 







〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…ここか?」


俺は今図書室の前に来ている。

発信機は途中で消えちまったが恐らくここで間違いないだろう。

普通の人なら走っても2、3分はかかるはずの道のりを俺はわずか30秒でたどり着いた。


…やはり愛の力は最強だと感じる今日この頃…


(よし、待ってろよ!どんなピンチだろうが俺が必ず救ってやる!)


さすがに敵がいるかもしれない状況なので声は出せないが、心の中でそう呟き、俺は図書室のドアを開けた。


…そこは予想以上にヤバそうな状況だった。


倒れかけている本棚を必死に支えている恭也…

そしてその本棚に片足を乗せて体重をかけているもう一人の恭也… 

多分足をかけている方がニセモノだろう…

本物の恭也があんな事するはず……


…待てよ……?

あのロボットは恭也の人格を元に造られたはずじゃないのか…?

本当に暴走しているなら、『本物を殺して代わりに本物になりすます』なんてことを考えもしないんじゃないのか?

…もしかして……

悠希が言っていた『昔の恭也』に何か関係があるのか…!?


…えぇい!

うだうだ悩んでてもしょうがねぇ!!

ここからじゃ遠すぎて会話が聞き取れない。

バレないように少し距離を縮めないと…


俺はなるべく音を立てないように、身を隠しながら少しずつ距離を縮めた。


…ん?

あそこに見えるのは…


恭也(本物)の足下に、よく見ると人が倒れているのが見えた。

それを見た瞬間、俺の頭の中ではある計算がなされた。


俺たち以外の人=女子

恭也と一緒に行動している女子=澪ちゃん

よって倒れているのは澪ちゃんであることが確定!!

さらに、

倒れていて動く気配がない=気絶?=ニセ恭也にやられた?=ニセ恭也に裁きを!=殺!!


その計算が完了した時、俺はすでに駆け出していた。

それも足音など全くたてずに(本当に愛の力はすごいと思う。) 


「もういい。お前はもう『死ね』。」 


ニセ恭也は俺の事に全く気づいてないようだ。

そこに俺は全くスピードを緩めずにそのままニセ恭也の脇腹あたりに跳び蹴りをお見舞いした。


これは我ながら見事に決まったと思った。

機械で出来てるんだから重いと思う体は完全に宙に浮き、そのまま壁の所まで吹っ飛んでいった。

予想以上の威力に俺は愛の力の素晴らしさを感じた。(しつこい)


大きい音を響かせ、ニセ恭也は壁に張り付き、すぐに壁にもたれかかるかのように倒れた。 


「全く…くだらないことを……」 










【現在(図書室)】


〈悠希視点〉


「…ってわけだ。」


…改めてコイツは女の子に関してはすごいってことがわかった。

多分私が大地が通ったのに気がつかなかったのはイグを探すために他の教室とかを見ているときに通ったからだと思う。 


「俺が思うに俺が気絶していた時のあの声は神のお告げだと思うんだが…やっぱり神は俺の事をちゃんとわかっていてくれたんだな。」


…何が神だか……

私としてはあれはあんたの『本能』だと思うんだけど?


「…まぁ、大体の話は理解したけど……もう一度確認するけどあんた本当に何者!?」


何で女の子の事になるとそんなに超人的な力を得るの!?


「だから、俺は『愛の戦士』だって。」


……………。

…もういいや。

これ以上聞いてたら殴りたくなってくる。


「…さて、話も済んだ事だし、さっさとコイツのスイッチ切…」


「ん?どうしたの、大地?」


大地はニセ恭也の方を向いた瞬間、固まってしまった。


「……やば…!」


…もしかして!?


「悪い…逃げら……」

「バカーーーっ!!」

「ごぶぁっ!!」


私は大地にアッパーをお見舞いして、さっきまでニセ恭也がいた場所を見る。 

しかし、そこにはもうすでに人影はなかった。


…でもまだ遠くには行ってないはず!


「もう、役立たずはここで待ってて!私がアイツを捕まえるから!」


そして私は図書室を出て行った。










〈恭也視点〉 



…俺はまだ必死に本棚を支えている。


そしてその近くでは大地と悠希が話し合っているのだが……



…早く助けてくんないかな? 


もう結構限界ギリギリだったりするんだけど…


そんな事を考えている内に…


「バカーーーっ!!」


…悠希は大地をぶっ飛ばしてどこかへ行ってしまった。



…もしかして俺しばらくこの状態!?(泣) 










【状況整理】


〈緋乃姉妹〉

現在地:校舎北側

図書室に移動中


〈恭也ペア〉

現在地:図書室

図書室にて小織さんは気絶、恭也は本棚を支えていて行動不可能


〈大地ペア〉

現在地:校舎北側

悠希はニセ恭也を追って移動中、大地は再び気絶


〈ニセ恭也〉

現在地:校舎北側

現在移動中、大地の攻撃により少し負傷(?)

読んでくださってありがとうございます。  いつだったかこまめに更新するって言った気がしますけど、あまりに短すぎるとそれだけ話数も多くなってしまうのでこのくらいの量にしようかと思います。  …まぁ、私は不真面目な人間ですから、これもウソになる可能性もあるんですが(苦笑)  作者としては早く元のコメディに戻りたいと思うんですが、このシリーズはまだまだ続きそうです…  …やんなきゃよかったかなと後悔してももう遅いんですけどね(苦笑)  …それでは今回はこの辺で。  あとがきなんだから少しは作品のことに触れないとダメじゃん!と自分にツッコミをしている作者からでした!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ