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第126話〜放課後、屋上にて(前編)

 




【放課後:屋上】



「………。」


「…急に呼び出してごめんなさい。迷惑だったかな…?でも…もう限界なの…。私があなたに対して抱いてきたこの想い…もう抑えつけておくことなんてできない…。」




…俺に対して抱いてきた想い…?




「…もう我慢できないの。この気持ち………そう………」




 




 




「あなたを実験体にしたいという欲望が!!」




やっぱりそういう邪な気持ちか!!


加賀先生に呼び出された時点でイヤな予感はしたんだけど、まさかまたこのパターンとは…!


てか、まだ俺を狙ってたの!?




「というわけで、今日こそあなたを捕まえてあげるわ♪」


「…そう簡単に捕まりませんよ。今日もまた逃げさせてもらいます。だからいい加減諦めてください。」




いつもは職員室に呼び出されたり、廊下ですれ違った時に襲ってきたり……


でも今回はなぜか屋上に呼び出されている…


もしかしたら何か策があるのか…?


本当なら今すぐにでも逃げ出したいんだけど…少し様子を見た方がいいかな…?




「ふふふ♪そんなに嫌がらなくてもいいじゃない♪ちょっと身体を見せてもらうだけなんだから…♪」




信用できねぇよ!!


アンタの場合、解剖とか改造とかしてきそうだから怖いんだよ!!


それにさっき普通に『実験体にしたい』とか言ってたじゃねぇか!!




「まぁ…嫌がっても無理やり捕まえちゃえばいいんだけどね♪」



《…バッ!》



「…!」




纏っている白衣の内側から、薬品が入っている試験管を取り出す…


それも一本や二本なんかじゃない…


指と指の間に一本ずつ…つまり片手に四本、両手で八本…



…………。



…あれ?


いつもより多くない?


いつもなら片手に一本ずつだったよね?


…その代わり、試験管じゃなくてフラスコだったけど。




「…いつもは狭い校内だったから手加減していたけど、ここなら少しくらい本気をだしても大丈夫よね♪」


「え…?」


「…直撃しないように気をつけてね♪」



《…ヒュッ!》



「…!?」




右手に持っていた試験管が空高く放り投げられる…


当然、俺の視線も上に………




「あら?よそ見しちゃダメじゃない。」


「…!!しまっ…!」




気づいた時には加賀の左手にあった試験管は俺の足下に落ちるところだった……




《…ボンッ!!》



「…さすがに避けれなかったみたいね?でも少量しか入ってないから大丈夫でしょ?これで気絶しててくれたら楽なんだけど……」


「…げほっ!ごほっ…!」


「…やっぱりそういうわけにはいかないわよね。」




ヤバい…!


今回は本当に本気みたいだ…!


これは急いで逃げないと…!!



また今度会った時に制服の弁償してもらうからな!!


覚えてろ!!




「…くっ!」


「あら、逃げる気?…でも、何か忘れてないかしら?」


「…!!」




…そうだ!!


さっき空に投げた試験管…!




「…今さら気づいても手遅れよ♪」




この体じゃとても避けきれない…!


…くそっ!!


ここまでか…!




 




 




 



「…あれ?」


「…あら?」




爆発の衝撃に身構えていても、その衝撃はいつまで経っても訪れない…


…不発?


でも試験管が落ちた音もしなかったよな…?


じゃあ何で…?



 



 



 



「…神堂、こんなところで何をやってるんスか?」


「…!?ち、千秋!?」




俺から少し離れた位置、いつの間にかそこに千秋がいた。


そしてその手にはそれぞれ二本ずつ試験管が握られている…




「まったく…、千秋が来なかったら危ないところだったじゃないッスか。」


「…も、もしかして助けてくれたのか?」


「…そうッスね。一応兄貴に認められた男なんスから、もっとちゃんとしてくれッス。」




そんなのは知らんが、とりあえずありがとう!!


お前は命の恩人だよ!!


今のお前は最高にかっこいいぞ!!



…あ、コイツ女の子だったっけ?




「…あなたは確か私のクラスの……」


「…春日千秋ッス。教師ともあろう人が生徒相手に何をやってるんスか?」


「私だって人間なんだから自分の欲求に素直になったっていいじゃない♪」




素直すぎるわ!!


こんな危険な欲求は一生抑えつけとけ!! 




「…とりあえず神堂は逃げてくれッス。勝てるかどうかはともかく、足止めくらいはできるッスから。」


「い、いや…お前を置いて1人だけ逃げるなんて…!」


「足手まといになるって言ってるんスよ?」


「…ごめん。」




確かに役に立てそうにないけど、そこまでハッキリ言わなくても……


…泣いちゃうよ?




「…さっきのあなたの身のこなし…小さい割になかなかいい動きするわね。…いや、小さいからこそ素早いのかしら?」


「小さいって言うなッス!!」


「あら、気にしてたの?ごめんなさいね。…それなら私が身長を伸ばしてあげようかしら?」




…そのかわり、体の半分くらいが機械になりそうだな。




「…遠慮しておくッス。」


「そう…とりあえず、邪魔をするならあなたも実験体にしてあげる♪」


「千秋は一筋縄じゃいかないッスよ!!」




千秋が手に持っていた試験管を投げ捨て、加賀に突っ込んでいく…


…相変わらず千秋のスピードは早い。


加賀との距離をあっという間に詰める…




「…くっ!?」



《…ヒュッ!》



「…へぇ、意外と動きもいいんスね。白衣を着ているような人はみんな動きが鈍いと思っていたんスけどね。」


「…人は見かけで判断しちゃいけないのよ?」


「そうッスか…。それなら次は本気でいいッスね?」




え?


今のも本気じゃなかったの?




「…面白いわね。いいわ。私も本気で相手してあげる…♪さぁ…かかってきなさい!!」


「望むところッス!!」




ま、まさかこの2人の本気の戦いを見られるなんて…!!


この戦い…一体どうなるんだ!?




 




 




 



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「…という夢を見たんだが。」


「だからどうしたんスか!?何で夢の話をわざわざ千秋に!?てか、長すぎるッスよ!?」




いや〜、もし実際にこんなことになったら本当に助けてくれるのかなぁって思ってさ。


最近仲良くなってきたけど、千秋は赤樹の弟子だからな…


俺、赤樹とは仲良くないからちょっと不安なんだよね。 




「珍しく昼休みにA組に来たと思ったらこんな用事ッスか…千秋だってヒマじゃないんスよ?」


「でも赤樹は今1人で上級生とケンカしてんだろ?ならお前はヒマなんじゃないの?」


「な、なんで知ってるんスか!?」




スイレンから聞いたから。


アイツ、こういう時だけは役に立つからね。


もし赤樹がいたらここになんか来ないさ。




「…もしかしてわざわざ兄貴がいないタイミングを狙ったんスか?」


「まぁな。」


「まぁなって…。そんなに兄貴のことが嫌いなんスか?」


「嫌いというより、アイツ怖いもん。」


「…怖いッスか?」




だってさ、初対面の時に無理やり戦わせられて保健室送りにされたんだぞ?


軽くトラウマになってもいいと思わない?


あれ以来なぜか敵対視されてるし…




「てか、アイツもいい加減に俺が弱いヤツだって気づいてくれないかな?」


「そうッスね…。なんで兄貴は未だに神堂を気にしてるんスかね?」




…あれ?


弱いってとこ否定してくれないの?


『そんなことないよ』って言われたかったんだけど…




「女子にイジメられるような男なのに、なぜか兄貴は神堂のことを認めてるんスよね…」




さりげなくヒドいこと言ってない!?


俺ってそんなに情けない男!?




「…でも赤樹に認められても嬉しくないな…」


「加賀先生にも気に入られてるじゃないッスか。」




お前はさっきの夢の話を聞いてなかったのか!?


あんな人に気に入られたら命に関わるんだよ!!


嫌われた方がマシだ!!




 




「…ところで、お前はどうなの?」


「何がッスか?」


「お前は俺のことどう思ってるの?」


「情けない男だと思ってるッス。」




即答!?


てか、やっぱりそう思ってたの!?


どうりでさっきからヒドいわけだ!


確かに女子にイジメられるのは情けないと思うけど、アイツらが相手なら仕方ないじゃん!?




「…そうだ!せっかくだから神堂も千秋と一緒に特訓しないッスか?」


「…特訓?」


「そうしたら少しは強い男になるかもしれないッスよ?」




別に強くならなくてもいいんだけど…



…………。



…でも、もし強くなったらイジメられなくなるかも…?




「…せっかくだし、やってみようかな?」


「やるッスか?それじゃ、いつも千秋が特訓している公園に朝4時に集合ッス。」


「了解…ってちょっと待て!?」




朝4時!?


いくらなんでも早すぎないか!?


いつもなら後3時間は余裕で寝てるよ!?




「お前、そんな朝早くから特訓してんの!?」


「当然ッス。これくらいやらなくてどうするんスか?…あ、ちなみに休日はもう少し遅めッスよ。」




頑張りすぎじゃない!?


お前、もしかしてもう赤樹より強くなっちゃってんじゃないの!?




「…やっぱりパス。」


「…情けない男ッスね。」




いや、俺が情けないんじゃなくてお前が頑張りすぎなだけだから!


そんな朝早くから特訓してる学生なんか聞いたこともないよ!?


スイレンに見習わせたいくらいだ!




「神堂の周りには危険な人たちがたくさんいるんスから、鍛えておいた方がいいッスよ?」




それはそうなんだけどさぁ……



…………。




 




「…そうだ!お前が俺を守ってくれたらいいんだ!」


「…は?」




それなら俺も助かる!


今の時代は男より女の方が強いんだから男が女に守ってもらうのもありのはずだ!!



…ありだよね?




「ち、ちょっと待つッス!!な、なんで千秋がそんなことしなくちゃいけないんスか!?」


「これも特訓だと思ってさ。」


「何の特訓になるって言うんスか!!」


「ボディーガードの特訓に……」


「そんな特訓は必要ないッス!!」




…ダメ?


名案だと思ったんだけどなぁ… 






「…でも、神堂にはいろいろと世話になってるッスから…ど、どうしてもって言うなら考えてやってもいいッスよ…?」




あれ!?

デレた!?


お前、そういうキャラじゃねぇだろ!?


…俺としてはありがたいから別にいいんだけどね。




「それじゃよろしく頼むな。」


「…気が向いた時だけッスよ?」


「大丈夫、最近はあまり攻撃されたりしなくなってきたから。」




…イタズラなら毎日やられてるけどね。


たまにイタズラのレベルを超えてる時もあるけど…




「それなら一安心ッスね。神堂も知ってるだろうけど、千秋はバイトもしてるから忙しいんスよ…。」


「それに赤樹がいる時は無理だもんな。」


「…兄貴も、話せばわかってくれると思うんスけどね…」




いや、アイツはそういうタイプじゃないから。


話すだけ無駄だと思うよ。




「…てか、それだと助けてもらえるのって赤樹がいない時の昼休みだけじゃないか?」


「言われてみればそうッスね。休み時間は兄貴もいるから…」




…できれば放課後も助けてほしかったんだけどなぁ…


バイトがあるなら仕方ないか…



…………。



…でもあの店ってバイトの意味あるの?


客いないよ?


店長の話し相手のバイト?




「放課後がダメってのは不安だな…。もしあの夢が正夢になったら…」


「なるわけないじゃないッスか。」


「だといいんだけどさぁ…」




 




 



「…あら♪銀髪君、こんな所にいたのね?探したわよ?」


「!?」


「…ウワサをすればッスね。」




いやいやいや!?


夢の話しかしてないから!!


直接加賀先生の話してたわけじゃないから!!


しかも今はまだ昼休みだよ!?


夢の話は放課後!!


間違いなので帰ってください!!




「な、なな…何の用ですか…?」


「…神堂、震えてるッスよ?」




だって怖いもん!!


命の危機だよ!?


これでビビらないヤツなんかいないって!!




「大丈夫ッスよ。こんな人がたくさんいるような場所で暴れるわけがないッスから。」




…あの人、人がたくさんいる遊園地で暴れた前例があるんですけど?

(第27話)




 




「…それにここには千秋がいるんスよ?」




…え?




「約束ッスからね…ちゃんと守ってやるから安心しろッス!」




ち、千秋…!


今のお前は最高にカッコいいぞ!!


性別が逆だったら間違いなく惚れてるね!!




「あらあら?ずいぶん警戒されてるわね?ちょっとショックかも…?」


「…日頃から警戒されるようなことをしてるからッスよ。」


「ふふふ♪それは否定できないわね。でも安心しなさい?今回はただ忘れ物を届けに来てあげただけだから。」




…え?


忘れ物…?




「ほら、この教科書アナタのでしょ?理科室に置き忘れてたわよ?」


「あ!」




そういえば前の授業って化学だった…


そして教科書を持ち帰った記憶もない…




「どうやら私は信用されてないみたいだからこの机に置いとくわね。それじゃあ、次は忘れ物しないようにするのよ?」



《スタスタスタ…》




…行っちゃった。




「…意外ッスね。こんなにあっさり退くなんて…」


「忘れ物を届けてくれるなんて…あの先生にもいい所あるのか…?」




常に危険な先生だと思ってたけど…


そういうわけでもないのか…?



…………。



…今度からはもう少し信用してあげてもいいのかな…?




「それにしても…教科書を置き忘れるなんて間抜けッスね。」


「やかましい!!…ったく!まさかと思うけど、誰かに落書きとかされてないよな…?」


「それはそれで面白いんスけどね。」




面白くない!!


他人事だと思って…!




「…一応チェックしてみるか…」




《…パラ…パラ…パラ……パサッ……》



「…ん?」




何だ…?


何か落ちた…?




「神堂、手紙みたいなのが落ちたッスよ…?」




手紙…?


何でそんなのが俺の教科書に挟まってるんだ?




「…とりあえず読んでみるか。」



《…パラッ》



「えっと…なになに…?」


「千秋にも見せてくれッス。」




……………。




 




 




 



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


突然だけどアナタに伝えたいことがあるの…


今日の放課後、屋上に来てくれないかしら?


もし来なかった場合、明日私が直接アナタの所に行ってあげる♪


部活の後でもいいから来てね♪


待ってます♪



加賀 久遠


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「…………。」


「…ラ、ラブレターッスか?」




んなわけねぇだろうがっ!!


ラブレターより果たし状の方が意味的に近いわっ!!




「これ、完全に正夢になる流れじゃねぇか!?」




ど、どうしよう…!?


行かなかったら行かなかったで、明日ピンチだし…!


でも行ったら夢の通りになりそうだし…!




「…大丈夫ッスよ。正夢になんかならないッスから。」


「千秋…?」


「だって……」




もしかして今から何か対策を…!?


そうだよな…!


この先どうなるかわかってるんなら運命も変えられるはず…!!




 




 




「…だって千秋はバイトがあるから助けにいけないッスもん。」




ダメな方向に運命が変わってる!?


よりピンチになってんじゃねぇか!!




「お前、俺を見捨ててバイトに行く気!?」 


「仕方ないじゃないッスか。悪いけど今回は諦めてくれッス。」


「いや…ちょっと!?そんなあっさり見捨てないでってば!!」




《キーンコーンカーンコーン…》




「あ、チャイムが鳴ったッスよ?ほら、早く教室に戻らないとダメなんじゃないッスか?」




え!?


ち、ちょっと…!?


本気で見捨てるの…!?


そ、そんなわけないよな…!?


そういうこと言ってるけど、実際にピンチになったら助けに来てくれるんだろ…?


そ、そうだよね…?


そうなんだろ…!?




…………。




 




 




 



頼むからそうだと言ってくれーーーっ!!



【つづく…?】

…今回はけっこうどうでもいい話でしたね。


当初の予定とは内容を大きく変えたのが悪かったんでしょうか…?


…もともと悪かったのかもしれませんが、そこは見逃していただくということで。



内容を変えた理由なんですが…実は携帯に保存していた文章(約2000字)を誤って消してしまいました…


今回の話は約6000字なので、3分の1くらい消しちゃいましたね…


その場のノリで書くことが多いので内容も覚えてなく、また、同じことを再び書くのはモチベーションが上がらないので内容を変えることにしました。


ちなみに、データ紛失は過去にも何回かやっちゃってます。


…ドジっこ?


そんなの目指してないんですけど…




とりあえず今回はこの辺で。


次回はかなり前から保留にしていた話を書く予定です。


あまり期待しないでお待ちください。



それではまた次回!!


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