第123話〜勉強嫌い同盟
【昼休み】
「…恭也、ちょっと付き合いなさい。」
…え?
弁当食べ終わってすぐに拉致?
もう少しゆっくりさせてくれてもいいんじゃ…
「ほら、早くしないと保健室に送るわよ。」
ゆっくりできねぇ!?
すぐに暴力に頼るのはやめてくれない!?
「…ていうか、どこに何しに行くんだよ?」
「C組よ。行けばわかるわ。」
…C組?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【C組教室】
「…というわけで、私たち『勉強嫌い同盟』がアンタに苦情を訴えに来たわよ。」
「そうだそうだ!勉強なんかさせるな〜!」
「…え?な、なんですかいきなり…?恭也さんにカゲリちゃんまで…」
本当にいきなり何やってんの!?
ヒカリが困ってるじゃないか!
というか俺を勝手に変な同盟に加えるな!!
…確かに勉強嫌いだけどさ。
「聞いた話だとアンタ、カゲリに無理やり勉強させてるそうじゃない。かわいそうだと思わないの?」
「そうだそうだ〜!」
それで抗議!?
しかも3対1で!?
俺いらないだろ!
「ゆ、悠希さんたちには関係ないじゃないですか!」
「同盟を組んでる以上、仲間のピンチには駆けつけるのが当然よ。」
俺、加盟してないのに無理やり連れてこられたんだけど!?
いつ加盟したことになったの!?
「…恭也さんも私に苦情を言いに来たんですか?」
「いや、俺は……」
「アンタは黙ってなさい!」
「…はい。」
…ヒカリ、ごめん。
俺に発言する権利は無いみたい…
「…恭也さんは私の味方だと思っていたんですけどね。」
「コイツが?そんなわけないじゃない。コイツも私たちと同じで勉強嫌いなんだから。」
否定はしないけど一緒にしてほしくない。
「そんなことありませんよ。この前カゲリちゃん用に問題集くれたんですから。」(前話)
「…アンタそんなことしたの?」
「ま、まぁ…」
…本当はお前からもらったモノなんだけどな。
いらなかったからあげたって言ったら怒るかな…?
「もしそれが本当ならアンタは裏切り者ってことね…。これはお仕置きが必要かなぁ…?」
言わなくてもピンチ!!
「ま、待った!!そもそも俺はそんな同盟に加わった覚えは…!!」
「あ!コラ!!余計なことを…!」
「ほら、やっぱり恭也さんは無関係だったじゃないですか。」
「あらら、バレちゃったね…。」
「このバカ…!」
…俺別に間違ったことは言ってないよ?
「てか、交渉ならお前ら2人で十分だろ。なんで俺まで巻き込んだんだよ?」
「アンタ、言い訳するの得意でしょ?」
得意じゃねぇよ!!
勝手なこと言うな!!
「それでわざわざ恭也さんを巻き込んで交渉しようとしていたんですか?ひどいですね…。恭也さんに嫌われてしまいますよ?」
「う、うるさいわね!!仕方ないじゃない!」
「三人寄れば文殊の知恵だもん!!」
…三人集まった結果が自然壊滅だよ?
「こうなったら新しい3人目を連れてくるから待ってなさい!!」
「いや、だからお前ら2人でいいだろ!?なぜ3人にこだわる!?」
「…カゲリが上手く交渉できると思う?」
「…ちょっとした誘惑で妥協しそうだな。」
「あれ…?もしかして私、ひどいこと言われてる?」
軽くアホの子扱いされてるね。
「だからもう1人くらいはうまく交渉できる人を探して来なくちゃいけないのよ。」
「…そこまでしなくちゃいけない問題なんですか?悠希さんには何のメリットも無いようなんですが…」
「あぁ、私はただの暇つぶしよ。」
暇つぶしに俺たちを巻き込むな!!
迷惑すぎるわ!!
「というわけで待ってなさい!!今すぐ3人目を…!!」
「先に言っておくけど、スイレンはまだ充電(睡眠)中だぞ?」
「…マジ?」
昨日は夜遅くまでノラネコとゲームしてたからなぁ…
今ごろはまだ教室で寝てると思うよ?
「…詰んだわね。」
「あれ!?ユーキ!?諦めるの早くない!?」
「だって他に勉強嫌いで説得上手い人なんていないじゃない。」
「た、確かにそうだけど…」
そうだそうだ。
大人しく諦めろ。
「…というわけで、実力行使ね。」
どういうわけで!?
「ちょっと待て!?それはさすがにおかしいだろ!?」
「暴力では何も解決しませんよ!?」
「…うるさいわね。言葉でどうにもならないなら暴力に頼るしかないんだから仕方ないじゃない。」
いや、その理論はおかしいから!!
「ユ、ユーキ…?それはさすがにやりすぎな気が…」
「アンタは気にしなくてもいいわよ。単純に暴れたいだけだから。」
『暴れたいだけ』!?
もはや目的関係なし!?
「えっと…?た、確か俺たちは同盟を組んでたんだよな…?」
「さっき自分で同盟に加わった覚えは無いって言ってたじゃない。」
「あ…!い、いや…!でも…!そ、それなら俺は無関係だよな!?どっちの味方でも無いんだから!」
「恭也さん!?1人だけ逃げるつもりですか!?」
いや、だって俺もともと関係ないもん!
こんなわけわかんない騒動に巻き込まれたくないんだよ!!
「確かにそうね。…でもさぁ、アンタ確かヒカリに問題集あげたんでしょ?それって多分私があげたやつよね?せっかく私があげたモノを誰かにあげちゃうなんて…。お仕置きが必要でしょ?」
…あ、バレてる。
どう足掻いても巻き込まれちゃうのか…
…だけどまだ希望はある!!
「こうなったら仕方ない!ヒカリ!発明品で応戦だ!!」
「なっ…!?道具に頼るなんて卑怯よ!?」
話し合いなのに暴力に頼るのも卑怯だろうが!!
それに生き延びるためには手段は選ばん!!
「あ、あの…」
「どうしたヒカリ!早く…!」
「えっと…その……」
「…本当に使っていいんですね?」
…へ?
それどういう意味…?
「これはあまり使いたくなかったんですが…仕方ないですよね。悠希さん、恨まないでください。」
《…カチャッ》
「…え?なっ!?ち、ちょっと待って!?アンタそれ…!?拳銃!?」
なんかヤバそうなの出てきた!?
確か前にもこんなことあったよな!?
まさかまた子供にする気!?
「それでは…覚悟してください!」
「ま、待ちなさい!そんなの使うのはズルい…!」
《パァンッ!》
「きゃぁっ!?」
マジで撃ったーっ!?
また子供状態の悠希の世話はイヤだぞ!?
…ってあれ?
「…あ、あれ?痛くない…?…って何よこれっ!?」
《べちゃ〜…》
銃弾で撃たれたと思った悠希の体には………何だろうアレ?
半透明な緑色のドロドロした何か…そんな変なモノにまみれていた。
「…ヒカリ?何あれ?あれが発明品?」
「はい。見ての通り、『スライム』です。あ、動いたり有害な物質だったりはしないから大丈夫ですよ。単純に相手の動きを止めるだけです。」
…それにしてもずいぶん気持ち悪いモノ造ったな。
動きを止めるだけなら他のモノでもいいだろ。
「うぅ〜…!ベタベタして気持ち悪い…!カゲリ!剥がすの手伝いなさい!!」
「あ…!ダ、ダメ!!それに触っちゃ…!!」
「…へ?」
「あぁ、説明が遅れましたね。それは最初はドロドロしてますけど、空気中の酸素と結合して固まる性質を持っているんですよ。時間が経てば完全にカチカチになっちゃいます。…だから、そうやって固まる前に手で触ったりすると……」
「…!?て、手が離れない!?」
「このように完全に身動きがとれなくなっちゃうんです♪手が動いたならまだ何とかなったかもしれませんけどそうなってはどうしようもありませんね♪」
お〜、これは今までの中では比較的使える発明品かも?
危害を加えないで足止めできるんだもんな。
加賀に追われた時に使えるかも。
「うっ…!!くそ〜!とれない〜!」
「そう簡単にはとれませんよ。しばらくはそのままです♪」
「なっ…!?そんな…!カ、カゲリ!コレ何とかできないの!?」
「い、一応それを溶かす薬品もあるんだけど…それはヒカリが…」
「ふふふ…♪そうですよ。助かりたかったら私に許しを請わなくちゃいけませんね…♪」
「…くっ!」
ヒカリが黒くなった!?
「さぁ、まずは私たちを攻撃しようとしたことを詫びてもらいましょうか…?」
「う、うぅ…!」
いや、こんなのヒカリじゃないよ!!
ウソだと言ってくれ!!
「お、おい。これはいくら何でもやりすぎじゃ…?」
「あら?そうですか?でもこれくらいやらないときっとまた同じことをすると思いますよ?」
「いや、まぁ確かにそうかもしれないけど…」
ここが教室の中だってこと忘れてない?
お前のクラスの連中がこっち見てすごくひいてるけどいいの?
お前の今までのイメージ崩れるよ?
…あ、手遅れか。
「…キョーヤ、今の内に教室に戻ってた方がいいと思うよ?この先はきっと見てられないと思う…」
「み、見てられないって…一体何をするつもりなんだよ…?」
「そうですね…。まずは謝る気が無いみたいですから少しお仕置きを…。そして二度とこんなことをしないように軽くトラウマになるようなことを…♪」
そ、想像するだけで怖い…!!
これはマジで見ない方がいいかも…
「じ、じゃあ俺は帰らせてもらうわ。」
「わ、私も怖いからキョーヤたちのところに行ってるね。」
「ちょっとアンタたち!?助けなさいよ!ねぇ!?聞こえてるんでしょ!?返事くらいしなさいよ!ねぇってば!」
「…ふふふ♪いつもの強気はどうしちゃったんですか?」
「くっ…!う、うるさいわね!!私にこんなことして…いつか仕返ししてやるから覚えてなさいよ!!」
「それは怖いですね。…では仕返しなんか考えられないようにしてあげますね。」
「ひっ…!?な、何よそれ…!?そんなの一体どこから…!?ま、まさかそれを使って…!?」
「さぁ、覚悟しちゃってください♪」
「あ…ぁ…!ウ、ウソよね…?冗談…でしょ?ア、アンタはそんなことするような子じゃないはずよね…?」
「安心してください…。ちゃんと手加減はしますから…」
「い、いやぁーーーーーーーっっ!!!」
…悠希の悲鳴を聞くなんていつ以来だろうか。
とりあえずご愁傷様…
今回だけはお前に同情するよ…
…てかヒカリ怖すぎるわ!!
アイツが一番マトモだと思っていたのに…
なんだか裏切られた気分…
…とりあえず今度からヒカリは怒らせないようにしないとな…
何をされてるかはわからないけど、悠希がビビるような恐ろしい目にはあいたくない……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【翌日】
「さぁ、恭也!!ヒカリにリベンジしに行くわよ!!」
…ヒカリ、次はもっと厳しくしてもいいかもしれない。
タイトルと内容が合ってないような気がしますが、いつものことなので見逃してください。
黒い状態のヒカリは書いていて楽しいのですが、ヒカリはこういうイメージのキャラじゃないんですよね…(どっちかというと加賀?)
なのでなるべく控えるようにはしたいと思います。
ちなみに今回カゲリはお咎めなしです。
まぁ、カゲリは特に何もしてませんからね。
それでは今回はこの辺で。
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