第115話〜English test
【英語の授業】
「ハーイ、みなサン元気デスか?今日モ楽しくイングリッシュの授業を始めマスよ〜♪」
…元気と言えば元気なんだけど、英語の授業でそんなにテンションを上げるなんてできません。
「…なんだかジョームズ先生の授業って久しぶりな気がするわね。」
何言ってるんだ?
昨日もやってたじゃないか。
…でも俺も久しぶりな気がするんだよな。
何でだろ…?
「…それにしても、あの英語がものすごく苦手で英検4級しか持ってないけど、漢字は超得意なジョームズ先生があんなにテンション高いなんて珍しいわね。」
「…悠希?何で説明口調?」
「何となくよ。」
「…何となくか。」
確かに言われてみればそうだよな…
いつもの授業もテンション高いけど、あそこまでテンション高くなかったような…
…というより、ほとんど授業になってないから最近は元気無くなってきてたのに…
「…サテ、今日の授業ハ、いつもとチガウことをやってミタイと思いマース。」
いつもと違うこと…?
「ワタシは最近悩んでマシタ…。ワタシの授業は黒城先生や加賀先生の授業のヨウに人気が無いコトに…」
いや、アイツらの授業が一番人気無いからね!?
どこからその間違った情報を聞いた!?
「ソコで、ワタシはその2人に相談してみまシタ!!」
相談する相手間違ってるって!!
アイツらの意見だけは参考にしちゃダメーッ!!
「…ソノ結果、抜き打ちテストをやるコトにしまシタ♪」
あ、意外と普通…
ケガ人を出すような内容じゃなくてよかった…
「よかった…。この授業まで危険になっちゃ困るもんな。」
「テストっていうのは気に食わないわね…。まぁ、この授業ならそんなに難しい問題じゃないだろうから別にいいけどね。」
ジョームズ先生自身が英語できないから、授業の内容はほとんど中学生レベルだからな。
これなら他の教科と違って抜き打ちでも問題ないだろう。
「ソレデハ、さっそく始めタイと思いマース。プリントを配られたら始めてくだサイ。」
…このテストだけは赤点とりたくないな。
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第一問
次の日本語を英語にしなさい。
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…まぁ、これは英語のテストには当たり前のように出る問題だよな。
これくらいは普通に解け………
…………あれ?
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(1)レッツゴー!
(2)ベースボール
………
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…『日本語』を英語にするんだよな?
最初から英語じゃないのコレ…?
カタカナで書いてあるけど、日本語じゃないような…?
気にしたら負けなのか…?
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【悠希視点】
何なのよこの問題!?
いくらなんでもバカにしすぎでしょ!!
最初から英語なんだからこのくらい簡単に…!
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[解答欄]
(1)LETTU GO!
(2)BE-SUBALL
………
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…………。
何か違うような…?
ま、まぁいいわ!
次の問題に行くわよ!!
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第二問
次の英語の意味を教えてください。
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…これも普通の問題に見えるけど…
…ん?
『教えて』…?
普通、『答えて』じゃない…?
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(1)KY
(2)JK
………
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これってアンタが知りたいだけじゃないの!?
しかもコレ、英語じゃないじゃない!?
…まぁいいわ。
こういう問題なら確実に点を取れるから。
ここでできるだけ点数を稼ぐわよ!
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《恭也視点》
………。
あの先生、何を考えてるんだ…?
こんな問題を出すなんて……
…まぁいいや。
さっさと解いて次の問題に……
………。
…あれ?
『KY』って空気読めるんだっけ?読めないんだっけ?
『キモイ』が気持ちいいのか悪いのか分からないみたいな気分…
それと、『JK』って『女子高生』?それとも『女子校生』?
…どっち?
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《澪視点》
…さっきから変な問題ばっかり…
ちゃんとした問題は無いのかな…?
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第三問
次の英語を漢字に直しなさい。
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ついに漢字…
…これ、本当に英語のテスト?
まぁ、私なら簡単に解けるけど……
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(1)coffee
(2)soccer
………
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…何でこんな地味に難しい問題がでるんだろう…?
確か『コーヒー』は『珈琲』で……
…………。
…『サッカー』って漢字あったかなぁ…?
…もしかして『蹴球』のこと…?
ちょっと違う気がするけど、多分これのことだよね…
…………。
…恭也君たち大丈夫かなぁ?
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《恭也視点》
…『コーヒー』…?
喫茶店とかでよく見かける字なんだけど…
確かどこかに『非』って字が入ってたような…
…もしかして緋乃姉妹の『緋』か…?
…近い気がする。
『サッカー』もサッカー部の勧誘ポスターに漢字で書いてたよな…
何だっけ…?
足を使うスポーツだからそれに近い字だったと思うんだけど…
…あっ!
あと、『球』って字があった!
…『〜球』…
…うん、こんな感じの字だったはずだ!
あとは一文字目がわかればいいのに…!
…………。
…ダメだ、思い出せない…
…仕方ない、適当に書くか。
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[解答欄]
(1)加緋
(2)足球
………
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…………。
…コレ、絶対間違ってるな。
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《悠希視点》
さっきから一体何なのよ!!
なんでこんなふざけた問題ばっかりなの!?
しかも全然わからないのが腹立つわ…!
(1)はコーヒーよね…?
コーヒーってカタカナじゃない!!
もともとカタカナなのにどうやって漢字にしろって言うのよ!!
あの先生バカなんじゃないの!?
(2)だってそうじゃない!
サッカーはサッカーじゃない!
…えぇい!
ここら辺はパスよ!
無視して進むわよ!
さぁ!
次の問題は!?
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第四問
次の文を日本語に書き直しなさい。
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…あー、私のキライな問題ね。
私は日本人なんだから英語の文章なんか読めなくて当たり前だっていうのに…
とりあえず、文章を見て適当にそれっぽいことを書いておけば……
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WATASI NO NAMAE HA……
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まさかのローマ字!?
こ、これなら私でも読める…!
…よし!
ここでも点数を稼いでおくわよ!
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《大地視点》
…あの先生、本当に英語苦手なんだなぁ…
ローマ字はさすがに予想外だったよ…
…とりあえずここまでは満点っぽいな。
この調子でいけばきっと女の子たちの注目の的…♪
よっしゃあ!!
次の問題もこの調子で解いてやるぜっ!!
どんな問題でも来いやぁっ!!
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第五問
次の人名を英語にしなさい。
(1)カーター
(2)ロドリゲス
………
(※この問題はフィクションです。実在する人物には、一切関係ありません。)
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人名!?
しかもスペルがややこしそうな名前ばかり!?
こんなの普通勉強しないよね!?
さ、さすがにここはパーフェクトとるの難しいかも…
このままじゃ女の子に注目される計画が…!
…ん?
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………
(5)フランソワ
(6)ジェシー
………
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…………。
…女性の名前なら任せておけぇ!!
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《恭也視点》
さっきからふざけた問題多すぎだろ!!
何でテスト問題にマンガとかによくありそうな注意書きが書いてあるんだよ!?
誤解される可能性があるなら問題にするな!!
…はぁ、いい加減やる気無くなってきた…
このテスト、思いつきでやってるんだからどうせほとんど成績に反映されないんだろ?
それなら本気でやる必要ないよ…
あとは間違ってもいいから適当にやっていこうかな…?
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第六問
次の空欄に当てはまる文字を書きなさい。
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…空欄補充問題か。
俺、これ苦手なんだよなぁ…
やっぱり適当に書くしかないか…
………。
…ん?
空欄に当てはまる…『文字』…?
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(1)今日
T O D( )Y
(2)机
D ( ) S K
………
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空欄って単語の!?
普通、空欄補充問題って文章中の空欄を埋める問題なんじゃないの!?
いろいろおかしくないか!?
…………。
…や、やっぱり真面目にやるか。
ここでミスするのは恥ずかしい……
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《悠希視点》
ここも何とかできそうね…
実際のテストもこんな感じだったらいいのになぁ…
…さて、テスト用紙のスペース的にもそろそろ最後の問題のはずね。
あの先生のことだから、きっと変な問題なんでしょうね…
今の問題みたいに簡単なのが出てくれたらいいんだけど…
さぁ、最後の問題は一体どんな…!?
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第七問
最近起こったことについて、英語で作文しなさい。
(最低でも五行以上は書くこと)
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何で最後だけ普通に難しい問題なのよ!?
今までのパターンは何だったの!?
最後まで変な問題で統一しなさいよ!!
っていうか、英語で文章を作るなんてこと、私にできるわけないじゃない!!
そんなことができるならテストでもっといい点とれるに決まってるじゃない!!
一体どうしろって言うのよ!!
…………。
…こうなったらあの手しかないわね…!
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《恭也視点》
作文…!?
これはまた予想外な問題が……
まぁ、そこそこ単語は知ってるから時間をかければ書けなくはないかな…?
「ハ〜イ、あと五分デスよ〜。」
時間ねぇじゃん!?
他の問題に時間かけすぎた!?
は、早く書き始めないと…!
最近起こったこと…
…………。
…ノラネコ?
…ってあんな出来事を英語で説明なんかできるわけないだろ!!
もっとシンプルなことを考えろ!
…………。
悠希にイジメられた話とか…?
情けないけど、他に書くことないし…
とりあえずこれで書くしかないか…
…………。
…あれ?
『イジメ』って英語でどう書くの?
「あと三分デ〜ス。」
じ、時間が無い…!
でも単語が思い浮かばない…!
諦めるか…!?
いや、少しでも点数を稼ぐんだ!
最後まで足掻いてやるっ!!
ぬおぉぉーーっ!!
「残り一分デ〜ス。」
…や、やっぱり思い浮かばない………
し、仕方ない…!
こうなったら奥の手だ…!!
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【授業終了後】
…はぁ、終わった…
なんとかギリギリ間に合ったな…
奥の手使ってなかったら間に合わなかったかもしれない…
「…ふざけた問題ばかりだったわね。恭也、アンタはどれくらい解けたの?」
「そこそこかな…。悠希は?」
「私もそこそこよ。…っていうか、あんな問題じゃ出来ても自慢にならないわ。」
…確かに。
簡単な問題は異常なほど簡単だったもんな。
難しい問題は難しかったけど…
「俺は自信あるぜっ!人名が全て女性の名前だったらパーフェクトだったのに…!」
「大地、アンタには聞いてないわよ。」
「てかお前、女の人名は書けて男の人名は書けなかったのかよ?」
「男の名前なんか書けるわけない!」
威張って言うな!!
「……人名はややこしいから間違っても仕方ない…」
「あら?澪、ちょうどいいところに来たわね。アンタは人名わかったの?」
「……英語の小説を読んでいればだいたいはわかる…」
澪ってそんなものまで読んでるの!?
俺にはとても真似できない…!
「さすが澪ちゃん!!」
「……私はアナタみたいに男女差別はしないから…」
「そうね。男女差別する人なんて最低よね。」
「…あれ?なんでテストやっただけで冷たい目で見られるの?」
お前が最低のヤツだからだよ。
ちなみに俺は男女平等だよ?
だってどっちもわからなかったもん。
…うん、それじゃダメだよね。
「……私としては英語の苦手な2人がどんな作文を書いたのか気になるんだけど…」
「なっ…!?そ、そんなの気にしなくていいわよ!!ちゃんと五行以上書いたから安心しなさい!」
「そ、そうだ!俺もちゃんと書いたぞ!」
「……ちゃんと英語で五行以上…?」
「あ〜…うぅ〜…」
「そ、その…あ〜…」
…………。
「「ロ、ローマ字使ったけど…」」
「「…………。」」
「「………!?」」
…えっ!?
ゆ、悠希も!?
まさか悠希と同じ発想をするなんて……!
なんという失態…!
「へぇ、お前ら2人とも同じことをやったんだ?」
「……仲良し…」
ち、違う!!
これはただの偶然だ!!
決して俺と悠希の発想力が同じってわけじゃない!!
「…恭也…」
「ゆ、悠希…?」
「………。」
「真似してるんじゃないわよっ!!」
《バキィッ!!》
「ぐはぁっ!?」
な…なんでこうなるの…?
久しぶりの授業風景ですね。
本当なら普通の授業風景を書く予定だったんですが、気がついたらテストになってました…
久しぶりの登場なのに出番が少なかったジョームズ先生には申し訳ないと思います…
でもあの先生の話し方、書く側としてはめんどくさ……いや、なんでもありません!
とりあえず、今回はこの辺で。
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