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第108話〜虫歯の女の子

 




【昼休み:廊下】



…ふぅ、今回も昼休みまで生き延びられたか…


最近、授業中に保健室送りになることは無くなったな…


いいことだ。



…まぁ、早くトイレに行って戻ってこないと悠希あたりに始末されそうだけどな…


とりあえず急ぐか…









《タッタッタッ…》




…ん?


前から誰か走って…?




「…あっ!恭也さんじゃないですか!」


「よぉ、ヒカリ。珍しいな?お前が廊下を走るなんて…」




いつものお前ならそんなことはしないのに…


何かあったのか?




「恭也さん!カゲリちゃんを見ませんでしたか!?」


「カゲリ?いや、見てないけど?」


「そうですか…。もし見つけたら教えてくださいね。それでは!」



《タッタッタッ…》




行っちゃった…


せめてカゲリが何をしたのか教えてくれてもよかったのに…


まさか俺が巻き添えになるようなことは無いよな…?



…心配してもしょうがないか…


とりあえず早くトイレに……








《タッタッタッ…》



…あれ?


また前から…ヒカリ?




「…あっ!恭也さんじゃないですか!」


「え…?ヒ、ヒカリ…?お前さっき…?」


「もしかして私に会ったんですか!?」


「あ、あぁ…」


「バッカモ〜ン!そいつがカゲリだ〜!追え〜っ!!」




なっ…!?


あ、あっちがカゲリだと…!?









「…って騙されるわけないだろうが!!お前がカゲリだっ!」


「バ、バレた!?何で!?全てにおいて完璧だったはずなのに…!?」


「後半のセリフ!ヒカリが『バッカモ〜ン!』とかそういうこと言うわけないだろ!!」


「あ…!」




まったく、くだらないイタズラ考えやがって…




「…で?ヒカリもグルなのか?」


「ううん。ヒカリが私を追いかけて来てるから遊んでるだけ♪」




ずいぶん余裕だな?


確かにカゲリとヒカリの運動神経を考えたら余裕そうだけど…




「じゃあ、何でお前はヒカリに追われてるんだ?」


「え…えっと……あ〜……わ、わかんない…」




ウソつくなっ!!


何かやったんだろ!?




「ほら、アメ玉やるから白状しろ。」


「子どもじゃないんだからアメ玉で白状するわけないじゃん!?」


「…なら、その手は何だ?」


「…や、やっぱりアメ玉は欲しいかな…?」




冗談で言っただけなのにな…


まさか効果ありだとは……




「欲しかったら何があったか言え。」


「食べさせてくれたら言う♪」




食べさせたら絶対言う気無いだろ!!



…いや、でもカゲリは意外と素直な性格だし…


…一か八かやってみるか…




「…仕方ないな。やるからちゃんと説明しろよ?」


「わ〜い♪」




…やっぱり子どもじゃん。




《ぱくっ♪》



「ん〜♪おい…し………………」


「…ん?」




………?


カゲリの動きが止まった…?


何かあったのか…?




「どうした?まさかそういうアメは嫌いか?」




ちなみに俺が渡したのはソーダ味のシュワシュワするアメ。


偶然ポケットにあったから渡したんだけど…




「…んんん〜〜〜〜〜っっ!!!!」


「なっ!?何だ!?大丈夫か!?ほ、ほら!ティッシュ!」



《…ぺっ!》



「はぅ〜……」




…ん?


何で右のほっぺを押さえて…?



……………。



ま、まさか…?




「…カゲリ?」


「…ほぇ?」


「お前もしかして…虫歯なのか?」


「……!?」




…どうやら正解のようだな。


そんな状態でアメを欲しがるなよ…




「…どれ、ちょっと見せてみろ。」


「…え?あっ!?ちょっ…!?顔…近っ…!?」


「ほら、口開けて。」


「…あ、あ〜ん…」




…うわぁ、これはヒドいな。


歯医者に行かないとダメだな…




「…そ、そんなにジロジロ見ないでよぉ…」


「ん…?あぁ、すまん。…あれ?顔赤いけど、熱もあるのか?」


「う、ううん!!これは…その…す、すぐに治るから大丈夫!」




…?


まぁ、それならいいけど…




「ヒカリに追われていた理由はこれか…」


 

「だ、だって〜…ヒカリ、発明品で何とかしようとするんだよ?まだ実験もしてないモノなのに…」




…それは怖いな…




「それなら歯医者に行くって言えばいいだろ。そうしたらわざわざ発明品を使おうとしないだろうし。」


「歯医者ヤダ!!」




だから子どもみたいなこと言ってんじゃねぇ!!


発明品でやられるよりはマシだろ!!




「だって歯医者って…ギュイ〜ンなんだよ?」


「いや、まぁ…確かにギュイ〜ンだけど…ドドドドよりはいいだろ?」


「う〜ん…。どっちもヤダ…」




…何この会話?


周りから見たらバカみたいじゃん…




「でも虫歯は放置したらヒドいことになるぞ?しばらくオヤツも食べれないぞ?それでもいいのか?」


「それは困るけど…」


「それなら歯医者に行かないと…」


「ヤダ!!」




…話が進まねぇ!!


誰か俺の代わりにコイツを説得してくれ!!









「……私の出番…?」


「うぉっ!?れ、澪!?」




いつもいつも…!


心臓に悪いって言ってるじゃねぇか!




「……話は聞いてた…説得は私に任せて…」


「…大丈夫なのか?」 


「……大丈夫…」




…まぁ、澪なら何とかしてくれるか。


説得するのうまそうだし…




「……カゲリさん…」


「な、何!?歯医者は絶対イヤだからね!?」




さぁ、一体どうやって説得を…?










「……今歯医者さんに行くと、この『恭也君ぬいぐるみ』をプレゼント…」


「…あっ!?キョーヤのぬいぐるみ!?」




ちょっと待てぇ!?


何だそれは!?




「何それっ!?何で俺のぬいぐるみが!?」


「……頑張って作った…私やカゲリさんのぬいぐるみもあるよ…」


「勝手に作るなっ!!」 


「……何で…?」


「いや、何でって…」


「それ欲しい〜♪」


「……じゃあ、歯医者に行く…?」


「う…。…う、うん!頑張る!」


「……説得成功…」




…もういいよ…


…勝手にしてくれ…


別に俺に害があるわけじゃないし…




「……ぬいぐるみ代は恭也君が払ってね…」


「えっ!?金取るの!?てか、何で俺!?」


「……困ってそうだったから説得するの手伝ったのに…じゃあ、ぬいぐるみは没収…自分で説得してね…」


「わ、わかった!払うからそのぬいぐるみを渡せ!!」


「……まいど…」




まさか俺に害があるとは…


変なフラグ立てなきゃよかったな…



…ってか、自分のぬいぐるみなのに金を払わなくちゃいけないっておかしくない!?




「ありがと♪宝物にするね♪」




いや、そんなに大事にしてくれなくても…


なんか自分のぬいぐるみがそんなに大事にされると照れくさい…




「…それあげたんだから、ちゃんと約束は守って歯医者に行けよ?もし行ってないようだったら、そのぬいぐるみ没収するからな?」


「わ、わかってるって!約束はちゃんと守るもん!」




…ふぅ、何はともあれ今回はこれで一件落着かな…?


何事も無くてよかった…… 














「歯医者なんてダメですよ!!」


「どわぁっ!?ヒ、ヒカリ!?」




いつの間に戻ってきたんだ!?


てか、澪みたいにいきなり登場するなって!!


寿命が縮む!!




「……歯医者がダメ…?」


「そうですよ!歯医者なんて怖いじゃないですか!そんな所にカゲリちゃんを行かせられるわけないじゃないですよ!!」




妹思いなのはいいが、歯医者くらい行かせてもいいだろ!?


そんなんじゃカゲリがいつまでたっても自立できないぞ!?




「ヒカリ…?私は別に歯医者に行っても……」


「いいんですか!?歯医者はギュイ〜ンなんですよ!?」


「ドドドドよりはいいもん!」




…あれ?


これと似た会話、さっき聞いたよ?




「…まぁまぁ、落ち着け。ヒカリ、歯医者はダメだって言うけど、他にカゲリの虫歯を治す方法はあるのか?」


「『小さなお医者さん(歯医者ver.)』っていう発明品があります。…まだ人で試してませんけど。」




どう考えてもそっちの方が危ないだろ!?


機械より本職を頼れ!!




「どうやらヒカリも説得する必要があるみたいだな…」


「……何で私を見て言うの…?」


「…あれ?説得手伝ってくれないの?」


「……これ以上ぬいぐるみ減らしたくない…」




お前の説得方法はぬいぐるみしかないのか!?


口で説得しろって言ってんだよ!








「…ぬいぐるみ?」




…ん!?


反応した!?




「そうだよ。ほら、このキョーヤぬいぐるみ、レイが作ったんだって。いいでしょ?」


「…もしかして他にも種類があるんですか?」


「……たくさんある…私たちはもちろん、先生方や幽霊さん…KYO-YAにカレンちゃん…さらにイグとミョージン…ついでに笑顔、泣き、怒りなどの表情違いも作った…」




頑張りすぎじゃない!?


全何種類!?




「…私とカゲリちゃんのぬいぐるみもあるんですか?」


「……もちろん…」


「ください!!笑顔バージョンで!!」




あれ!?

説得成功!?


カゲリと同じパターンじゃねぇか!?




「……ヤダ…」




そしてまさかの拒否!?




「澪!?何であげないの!?」


「……さっきも言った…これ以上ぬいぐるみ減らしたくない…」




そういうこと言ってる場合じゃないから!


ヒカリにぬいぐるみあげたら丸く収まるんだから!




「……まぁ、恭也君がどうしてもって言うなら…」


「お?くれるのか?」


「……コスプレ1回で手を打つ…」




却下だっ!!


そういうのはスイレンにやれ!!




「キョーヤ!お願い!私を守るために頑張って!」


「いや…!いくら何でもコスプレは…!」


「カゲリちゃんを助けたいと思わないんですか!?」




お前が原因だろ!!


お前がカゲリを歯医者に行かせることを認めれば解決するんだよ!!




「……恭也君がちょっと我慢したらいいだけなのに…」


「…お前がぬいぐるみを無償でプレゼントしたらいいだけなのに…」


「……世の中そんなに甘くない…」


「…わかったよ。やればいいんだろ。」




このままじゃいつまで経っても解決しなさそうだし…



…てか、俺はもうトイレに行きたい。


早くしないと昼休み終わっちゃうって…




「……交渉成立…はい、ぬいぐるみ…」


「わぁ♪ありがとうございます♪」




…何はともあれ、これで解決だな?




「これでカゲリを歯医者に行かせてもいいんだな?」


「それとこれとは話が別です。」




あれ!?


予想外の反応!?


確かにカゲリを歯医者に行かせてもいいなんて一言も言ってなかったけど…


ぬいぐるみを渡した意味は!?






「……仕方ない、せっかく恭也君がコスプレしてくれるんだから私が一肌脱ぐ…」


「…澪?」




どうせならコスプレを無しにしてもらえるとありがたいんだけど…?




「……カゲリさん…」


「…ん?何?」



《…ゴニョゴニョ…》



「…え〜?それでうまくいくの?」


「……きっとうまくいく…」




…?


何かいい作戦でもあるのか?




「何を考えているかわかりませんが、カゲリちゃんを危険な目にあわせるわけには……」














「『お姉ちゃん』、お願い!私を歯医者に行かせて!」


「はい!いいです!!」




あっさり許可した!?


ヒカリ、『お姉ちゃん』って言葉に弱すぎないか!?




「……作戦成功…」




最初からその作戦でいけよ!!


コスプレする約束してまでぬいぐるみをあげた意味無かったじゃん!!






「…まぁ、とりあえずこれで歯医者に行けるな。」


「…ゴメンね。私のせいでキョーヤが恥ずかしい思いをしなくちゃいけなくなって…」




いいさ…


どうせいつものことだもん…




「今度、何かお礼するね。」


「いや、別にお礼なんて…」


「遠慮しないでいいよ♪期待して待ってて♪それじゃあ♪」




…空回りして事故につながらないようにな…











「…さて、これで今度こそ解決だな?」


「……お疲れ…」




…お前が変な条件を出さなければもっと楽だったんだけどな。


まぁ、済んだことはもういい。


後はさっさとトイレ行って、教室に戻るだけ…


これで後は放課後まで何も無いだろ……



……………。



…次から昼休みも変なことに巻き込まれないように気をつけるようにしよう。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【教室】



「…恭也、アンタずい分遅かったじゃない?私は早く戻ってくるように言ったわよね?何があったのかじっくり聞かせてもらおうじゃない…!」




一難去ってまた一難!?


今度は悠希の説得!?

歯医者って小さい頃にしか行ったことがありませんが、やっぱりイヤな所ですよね。


歯医者を好きな人っているんでしょうか?


もしいらっしゃいましたら、歯医者のどの部分が好きなのか教えてくださいね。



それでは今回はこの辺で。


感想・意見・質問・要望・助言・メッセージなど、お待ちしています!!

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