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第105話〜スイレンにマッサージ♪

 




【日曜日:スイレンの家】



「いらっしゃ〜い♪ボクの家にようこそ♪」


「…本当は来たくなかったけどな。」




この前、ゲーム大会をやった時にスイレンにマッサージしてやる約束したからな…


長居する必要も無いからさっさと終わらせて帰るとするか。


スイレンの格好も、シャツにジャージという『まさに休日』的な格好だからすぐにマッサージを始めれるし。


…いつも制服かパジャマの姿しか見てないから、何だか新鮮な感じがするな…




「そうそう、ちゃんとキミの部屋も用意してあるから泊まりたくなったら言ってね。」


「あ、それは絶対あり得ないから。」




ここに泊まったらお前の世話が大変だろ!


誰が好き好んでそんな面倒なことするか!




「とりあえず上がらせてもらうぞ?」


「どうぞどうぞ♪一名様ご案内〜♪」




…珍しく朝なのにテンション高いな。


昨日は早めに寝たのかな…?










============


【スイレンの部屋】



「…相変わらず眠くなりそうな部屋だな。」




フカフカのベッド…


フカフカの絨毯…


そして柔らかそうなぬいぐるみ…


お香でも焚いてるのか、ほのかな香りも眠気を誘ってくる……




「眠たくなったら寝てもいいよ。…あ、マッサージ中に寝るのはダメだからね?」 


「だから寝ないって。…ちょっと自信無くなってきたけど。」


「この部屋は眠りやすさを追求した部屋だからね。このお香にはリラックス効果があって、気持ちよく寝れるんだよ♪」




つまり最初から寝る気マンマンってこと!?


何でそんな部屋でマッサージしてやんなくちゃいけないんだよ!?




「先に言っておくけど、お前が寝たら俺は帰るからな?」


「えっ!?何で!?」




だって、お前が寝たらすること無いんだから帰るに決まってるじゃん。




「せっかくなんだからゆっくりしていってよ!自分の家みたいにくつろいでていいからさ!」 


「何でそんなに俺を引き止めようとするんだよ…。…お前、もしかして夕飯も俺に作らせようとしてるのか?」


「そんなことないよ。…っていうか、ボクの家じゃ料理できないじゃん?」




わかってるなら調理器具くらい買っておけ!!


そして少しは料理を覚えろ!!




「ただ、起きた時に誰もいないのって寂しいでしょ?」


「一人暮らしなんだから当たり前だろ?」


「だから、たまには『おはよう』って言ってくれる人がいたら嬉しいんだけど……ダメ?」




…ここで断ったら俺が冷たい人間みたいになっちゃうな。




「仕方ないな…」


「さすが♪話がわかるね♪」 


「明日、学校で会ったらちゃんと『おはよう』って言ってやるよ。」


「あれ!?わかってない!?」




だって、お前の場合一度寝たらなかなか起きないだろ?


お前が起きるまでの間、俺はすることが無いんだもん。


お前の顔に落書きして暇つぶししていいなら残っててもいいけど、それはダメだろ?




「あ!キミに首輪つけて帰れなくしたら…」


「そんな事したら二度とご飯作ってやらないからな?」


「…やめとく。」


「ほら、いいから諦めてうつ伏せになれ。」


「え〜?もうマッサージ始めるの?もうちょっとゆっくりしようよ。」 




いや、俺はそのためだけに来たんだから。


あまりこの部屋に長居してたら眠くなるし…


っていうかすでに眠くなってきた…



…………。



…はっ!?


まさかそれが狙いか!?


この部屋に長居させることによって俺の眠気を増長させ、最終的に俺が眠っちゃうようにする作戦か!?


そうだとしたら本当に早くマッサージを終わらせないと…!


(※考えすぎです)




「いいから早くうつ伏せになれ!さっさと始めるぞ!」


「きゃ〜♪襲われる〜♪」




誰が襲うか!


俺は早く終わらせたいだけだ!




「…あ、マッサージしてもらう前にキミに言っておきたいことがあるんだけど。」


「…何だ?」 


「ボクがかわいいからってセクハラ行為しちゃダメだからね?…あ、でも少しだけなら…」


「帰る!」


「わ〜!?冗談!冗談だって!!」




くだらないこと言ってんじゃねぇよ!


笑えねぇんだよ!






「ほら、始めるぞ。痛かったら言えよ?」


「は〜い♪」




まずは…肩から始めるか…



《…プニッ》




「…おい?全然こってないぞ?」


「当たり前じゃん?肩がこるようなことしてないもん。」




それならなぜマッサージを頼んだ!?


必要ねぇじゃん!?




「肩より腰の方をやってもらいたいな〜♪」 


「わかった。…一応言っておくけどマッサージだからな?セクハラとか言ったら帰るからな?」


「わかってるって。」




…本当にわかってるのかよ?


あとで変なこと言うなよ?




「…よいしょ。」



《…グッ!…グッ!》



「あ〜♪ちょうどいい力加減だね〜♪」


「…ん?このくらいの力でいいのか?」


「うん。このくらいがちょうどいいよ。いや〜、キミってマッサージ上手いね。すごく気持ちいいよ♪」




…ほとんど力入れてないんだけどな。


やっぱり全然こってないんじゃねぇか…




《…グッ!…グッ!》




「…それにしても…」


「…ん〜?どうかした〜?」 


「…お前ってやっぱり女の子なんだな?」


「…それってどういう意味さ?」


「いや、普段のお前って女の子っぽくないだろ?でも、やっぱりこうやってると女の子なんだなって思って…」




意外と体も小さいし…


男の体と違って、柔らかいし…


全くこってないっていうのもあるだろうけど…




「失礼な!ボクはいつも女の子っぽいよ!」




…どこが?




「っていうか、今頃ボクの魅力に気づいたの?そうだなぁ…キミが土下座して頼むんだったら付き合ってあげてもいいよ?」


「え?お前に魅力なんかあったの?」


「あるよ!失礼だなぁ…。あんまりそういうこと言ったら泣いちゃうよ?」


「どうぞどうぞ。」


「…冷たいなぁ。」




何を言う。


俺より冷たいヤツはたくさんいるだろ。


そいつらと比べたら氷とドライアイスくらい差があると思わないか?


…冷たいことに変わりはないけどな。






「…あっ!ス、ストップ!」


「ん…?どうした?」


「そ、そこからそーっと手を離して!」


「…?何で?」


「い、いいから!そーっとだよ!?絶対に指を動かさないでね!?」




…………。



…ははーん。


なるほどね〜。


そういうことか〜。






「…スイレン…」


「な、何…?」


「お前の弱点は……ここか!」 



《こちょこちょ…》



「に゛ゃーっ!!?や、やめて〜っ!?こちょこちょはダメ〜っ!!」




お〜、効いてる効いてる。


面白いほど効果ばつぐんだな。


なるほど、スイレンはわき腹の辺りが弱いんだな…



……………。



…よし、わきの下はどれくらい効果があるか実験してみよう♪ 




「く、くくく…!や、やめてよ〜!ボク、こういうの…弱いんだから〜!!」


「じゃわき腹はやめてわきの下をやるか。」


「そ、そういう問題じゃ……あ〜っはっはっは!!ス、ストップ〜!もう許して〜!ごめんなしゃい〜!」


「そうだなぁ…。中途半端にやめたら後で仕返しされそうだから、完全に疲れきったところでやめてやるよ。」


「そ、そんなぁ〜!ひ…ひひひ…!も、もう限界だってば!や、約束するから!絶対仕返ししないって約束するから〜!!だから許して〜!!」




…もしかして本当に限界?


演技には見えないし…


コイツってこんなに弱いの?


仕方ない、そろそろやめてやるか。



…でもその前に…




「…じゃあ、お前の一番の弱点はどこだ?教えてくれたらやめてやるから。」


「う、うそだっ!!絶対ボクにトドメをさすつも…りっ!?くぅ…くく!!」


「トドメをさすつもりは無いって。ただ、どんな反応するのか気になっただけだ。」


「や、やっぱり教えたらくすぐる気じゃん!?これ以上やられたら死んじゃうって!笑い死んじゃう…きゃ〜はははっ!!」


「教えてくれないならあちこちくすぐって探すしかないな。」


「お、鬼!!悪魔!!」




それはいつものお前らのことだろ。


俺はまだかなり優しい方だぞ?




「まずは…背中をつーっと…」



《つー……っ》



「ひゃうっ!?くぅ〜…っ!」


「う〜ん、いまいちだな。次は…」


「ま、待った!本当に全部試すつもりなの!?」


「弱点を見つけるまではな。」


「マッサージは!?」


「これもマッサージの一つだ。笑うことによってストレス解消に……」


「そんなマッサージいらない〜!!」


「ほらほら、早く自白しないと…」


「ふにゃっ!?き、きゃはははは…!!わ、わきっ!!わきダメっ!!弱点わきなのっ!!言ったんだから早くやめて〜!!」


「本当か?もしうそついてたらくすぐり延長するからな?」


「え゛っ!?そ、それは…!?」


「もう1回聞くぞ?どこが弱点だ?」


「…………。」











「…あ、足の…裏…」


「なるほど。ではさっそく…あっ!こら!暴れるな!」


「ヤダヤダヤダ!!足の裏だけは絶対ダメっ!!本当に弱いんだって!!」


「それはいけないな。その弱点を克服する手伝いをしてやろうじゃないか。」


「お願いっ!!ダメっ!!ダメなんだって!!そこだけはやめ……っ!!」



《こちょこちょ…》



「わきゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!?」




うおっ!?


耳が…!


どうやら本当に足の裏が弱点みたいだな…




「お〜い?気分はどうだ?」


「…〜〜〜っ!!〜〜…っ〜〜っっ!!〜…〜〜っ!…〜〜…〜〜っ!!」




…声にならないくらい喜んでるって解釈してもいい?


…うん、そういうことにしておこう。


さっきから床をバンバン叩いてるけど、それは嬉しさを体現しているってことで。



…というわけでもう少し続行♪


日頃の恨みじゃ〜♪













〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【数分後…】



「…ひ…ひぃ…」


「…少しやりすぎたかな?」




息も絶え絶えだし、体もピクピクしてるし…


予想以上にくすぐり弱いんだな…




「どうだ?ストレス解消に効果ありだろ?」




主に俺のストレス解消にだけど。




「…ど…どこが!?…辛いだけだよ…!!」


「そうか…。ほら、笑い疲れただろ?ベッドに寝かせてやるからさっさと寝ろ。」


「あ、どうも…。ってボクが寝たら帰るつもりでしょ!?」




あ、バレた。


笑い疲れた今の状況だったらすぐに寝てくれるだろうと思ったんだけどな。


まぁ、あれくらいやっておけば俺にヒドいことしないだろうからもう少し居てもいいけど…




「…まったく、途中で睡眠薬入りのジュースを飲ませてイタズラしようとしたのに…こんなに疲れてたらそんなことする気力もないよ。」




とんでもない計画してやがった!?


ちょっとしたイタズラのつもりでやった行為のおかげで助かった!?




「…お前が回復する前に帰った方がよさそうだな。」


「大丈夫だって。しばらく動けそうにないし、それに…だんだん…眠く……………ぐぅ…」




あれ!?


しゃべりながら寝た!?


そんなに笑い疲れてたのか!?




「ス、スイレン…?本当に寝たのか…?」


「……すぅ…すぅ…」


「…落書きしちゃうぞ〜?」


「……すぅ…すぅ…」




…どうやら本気で寝ちゃったみたいです。


お前に寝られたら俺は一体どうしたらいいんだよ…?


本当に帰っちゃっていいのか?




「…帰ってもいいのか〜?」


「……ぐぅ…」




…OK?


面倒だからそういうことにするか。




「仕方ない、俺も帰って寝るか。」








「………恭也……」


「…え?」




もしかしてまだ起きてる…?




「スイレン…?」


「……すぅ…すぅ…」




寝てる…よな?


寝言…?


…まさか夢の中でまで俺をイジメてるんじゃないだろうな?




「………恭也……」


「また俺の名前…。俺がどうしたんだよ?」










「………すき……」


「!?」











「………すき焼きが…食べたいよ…」


「知るかっ!!食いたきゃ勝手に食ってろ!!」




夢の中でまで俺に料理させようとするな!!


夢も現実も大して変わらないじゃねぇか!!


しかも紛らわしいんだよ!!


一瞬、別の言葉と勘違いしたじゃねぇか!!




「…とりあえず俺は帰るからな?後は夢の中の俺と遊んでろよ?」


「……ぐぅ…」




…夢の中の俺がどんな目にあってるか気になるけど、このままこの部屋にいたら俺まで寝ちゃいそうだからな。


今日はもうこれで退散することにしよう。



幸いにも、今日はスイレンにイジメられなかったしな…


ていうか、逆にスイレンをイジメてストレス解消になったし♪


今日はいい日だったかもしれない♪


毎日がこんなに平和だったらいいのになぁ…






…きっと無理なんだろうけど。














〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【数日後…】



「いやぁ〜…、何だか最近疲れてるなぁ…。悪いけど、またボクにマッサージしてくれない?」




少しは懲りろ!!

今回は珍しく恭也がスイレンをイジメる話にしました。


…当初の予定では恋愛的な流れにするつもりだったんですけど、いつの間にかそういう話に変わってしまいました。


計画はしっかり立てないとダメですね…。



それでは今回はこの辺で。


感想・意見・質問・リクエスト・メッセージ・アドバイスなど、お待ちしています!!

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