第102話〜大食いチャレンジ!
【昼休み】
「キミたちって大食いに自信ある?」
「…は?」
いつものことだけど、いきなり変なこと言うのやめてくれない?
ワンパターンな展開はもう飽きたよ?
ちなみに、『キミたち』とはいつも一緒に昼飯を食べているメンバーのこと。
つまり、俺、大地、悠希、澪のことね。
緋乃姉妹はいつも通りC組の友達と一緒に昼飯を食べてるからここにはいない。
「いきなり何だよ…?また変なこと企んでんのか?」
「別に変なことじゃないよ。商店街の近くにラーメン屋があるんだけど、そこで今面白い企画をやってるんだ。」
「……超大盛りを食べきったら賞金とか…?」
「そうそう。そんな感じのやつ。キミたちも挑戦してみない?」
「…『キミたちも』ってことはアンタは挑戦するつもりなの?」
「もちろん♪」
「スイレンちゃんは大食いに見えないけど…大丈夫なの?」
「ボクって意外と食べるんだよ?ね♪」
…なぜ俺に聞く?
まぁ、確かにうちで飯を食べさせる時、けっこう食べてたけど…
「……私は少食だから…」
「私は挑戦してもいいわよ。ただし、賞金は私のモノだからね?」
「よし!じゃ俺も挑戦する!そして賞金をスイレンちゃんにあげる!」
「ついでに、もし失敗したら代わりにお金払ってくれない?」
「…え?あ、ああ!お、女の子のためならそれくらい…!」
ちょっと待て大地!
利用されてることに気づけ!!
そんなんじゃ将来ヤバいことになるぞ!?
「もちろんキミも挑戦するよね?」
…今さらイヤって言える空気じゃないもんね。
澪の次くらいに俺もやらないって言っておけばよかった…
「…わかったよ。そのかわり、失敗したら…」
「うん。それも彼が払ってくれるよ♪」
「また俺!?恭也の分なんか払わないよ!?」
「…ボクのお願い聞いてくれないの?」
「仕方ないなぁ♪スイレンちゃんのお願いなら払ってあげるよ♪」
「ついでに私の分も頼むわ。文句ないわね?」
「…はい。」
…泣いてない?
見なかったことにしておくべき?
「後は…一応カゲリとヒカリにも聞いておこうかな?」
「これ以上人数増やさないで!?俺の財布が空になっちゃう!」
「一人でも食べきったら賞金が出るんだから別にいいじゃない。」
「ああいうのって食べきれる人少ないんでしょ!?だったらリスクが高すぎない!?」
…まぁ、店側もそう簡単に食べきれるようなものを出すわけないしな。
俺はそこまで頑張る必要が無いからね。
多分スイレンや悠希も遊び感覚で挑戦するだけだから完食する可能性は低いと思うぞ?
賞金が欲しかったらお前が頑張れ。
…あ、賞金を手に入れてもスイレンにあげるんだっけ?
「細かいことは気にしない♪それじゃ、部活が終わったらそのラーメン屋の前に集合ね♪」
「俺の財布…」
気にするな。
お金が無くなってお前が飢え死にしても特に問題ないから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【放課後:ラーメン屋の前】
「…さて、全員そろったかな?」
今ここに集まっているのは俺、悠希、大地、スイレン、そしてカゲリの5人。
カゲリはかなり心強いかもな。
焼き肉大食い勝負の時、かなり食べてたもん。
…あ、ちなみに澪は塾、ヒカリは親から買い物を頼まれたため、先に帰っている。
「俺の財布…」
「…まだ言ってるの?いい加減あきらめなさいよ。」
「ダイチは心配性だね。私がいるんだから大丈夫だよ♪」
「キミ1人が完食しても、他の人が食べきれなかったら意味ないけどね。」
…まぁ、5人もいれば当然そうなるな。
大地…お気の毒に…
「…そういえば賞金っていくらなんだ?」
「あ、言ってなかったっけ?1万円だよ。」
1万か…
1万もあれば欲しかったCDも買えるし、食卓も少しは豪華になるな…
これはぜひとも完食しなくては…!
「そのかわり、失敗しても1万円だよ♪」
リスクも高ぇ!?
賞金と同じ額って何だよ!?
そっちはある程度安くしないと誰も挑戦しないだろ!
「…なぁ恭也?俺、やっぱり帰っていい?」
「…気持ちはわかるけど、今逃げたら悠希に殺されるぞ?」
5人で挑戦するんだから最低でも3人は完食しないと赤字だな。
…いや、賞金は完食した人のものになっちゃうから意味ないか。
…俺が払う立場じゃなくてよかった…
「それじゃ、行こうか♪」
「…もしお金が足りなかったらどうなるんだろ?」
その時は働いて返すしかないんじゃないか?
もちろん俺たちには関係ないことだけどね。
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《…ガラッ》
「らっしゃいっ!!」
…さすがに部活終わりの時間は混んでるな…
5人も座るところあるのか…?
「予約してた神堂なんだけど…席とってありますか?」(スイレン)
「あいよ!ちゃんと席はあるよ!奥の方に座って!」
ちょっと待てや!!
何で俺の名前で予約してるんだよ!?
ってことは少なくとも俺は強制参加させるつもりだったのか!?
…てかラーメン屋って予約OKなの?
「…見たところ大食いにチャレンジしてる人はいないわね。」
「そりゃリスクが高すぎるもん。普通の人はやらないよ。」
ならなぜそれを俺たちがやらなくちゃいけないんだ?
…って顔を大地がしてるぞ?
「そういえばさぁ、私たちが食べようとしてるラーメンって何味なの?私はしょうゆがいいな〜♪」
「バカね。ラーメンと言ったら味噌に決まってるじゃない。」
「いやいや、塩が一番でしょ。」
お前らなぁ…
…とんこつを忘れてもらっちゃ困るぞ?
「まぁ、その話は置いといて…これも言ってなかったっけ?この店の大食いメニューはカレーだよ?」
なぜカレー!?
ラーメン屋なんだからラーメンにしろよ!!
「…変わった店ね。」
「私、辛いの苦手なんだけどなぁ…」
「そんなに辛くないから大丈夫だよ。」
…てか、一番完食する可能性のあるカゲリが食べれなかったら大地が困るんだぞ?
せめてお前だけは頑張ってやれ。
「そこのお嬢ちゃんたち、注文は決まったかい?」
「えっと…『チャレンジカレー』5人分お願いしまーす。」
「あー、あれか…。ちょっと時間かかるから待っててくれよ?………………ぼそっ(めんどくさっ…)。」
待て待て待て!?
今あの人小声で『めんどくさっ』って言ったよな!?
俺の聞き間違いじゃないよな!?
もし聞き間違いじゃないなら一言言わせてもらう!
めんどくさいって言うくらいならメニューに載せるな!!
「…さて、ただ待つだけっていうのは退屈だからトランプでもしようか。」
そのトランプはどこから出した!?
用意周到すぎるだろ!
「せっかくだから負けたら罰ゲームっていうのもいいわね。」
…頼むからそういうのはやめて大人しく待っててくれない?
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【30分後…】
「へい、お待ちっ!」
『…………。』×5
…いや、正直甘く見てたわ。
もしかしたら俺も食いきれるかも…なんてことを思っていたさ…
でもさぁ……
…このカレー、テーブルいっぱいの大きさ+向かいに座ってる人の顔が見えないくらいの高さなんだけど…?
これは30分もかかるわけだ…
あまりのすごさにみんな無言になっちゃってるもん…
「…な、なによコレ…!?」
「いやぁ、これは予想外の大きさだね…」
「こんなの食べきれないよ〜…」
「…俺の財布…」
「こんなのがあと4皿もあんのか…?」
こんなの無理に決まってるだろ…
「あ、勘違いしないでくれよ?それが5人分の量だから。バラバラに出すの面倒だからまとめて出しただけ。」
手を抜くな!!
異常な量だと思ったらそういうわけかよ!?
…いや、でも5人分にしても多すぎない!?
1人分ってどんな量だったんだよ!?
「5人分…それならやれるかも…!よしっ!!こうなったらみんなで協力して完食するわよ!!」
「マジで言ってんの!?何時間かかると思ってるんだよ!?」
「別に制限時間は無いんだから大丈夫よ。」
「そ、そうだよ!ユーキの言う通り…!」
「…まぁ、確かに制限時間は無いんだけどさぁ…。それでも閉店時間になったら強制終了になっちゃうよ?」
「なっ…!?それを早く言いなさい!カゲリ!早く食べるわよ!」
「う、うん!!」
…よ、よく食べる気になれるな。
俺はもうこの大きさを見ただけで食欲を無くしたよ…
「…う、うぉーーーっ!!こうなったら俺もやってやる!!」
「だ、大地!?」
大地が壊れた!?
罰金を払うよりは食いきった方がいいっていうのか!?
食い過ぎで倒れても知らないぞ!?
「ちょっと待ってよ!!ボクも食べるよ!今からたくさん食べておかないと次に恭也の家で夕飯を作ってもらう日まで耐えれないもん!」
1人だけ明らかに目的違うヤツがいた!?
食い溜めするつもり!?
そんな事しなくても腹が減ったらいつでも食わせて…
…そんな事したら俺の家に住み着きかねないからやっぱりやめとこう。
「…仕方ない、俺も食うか。」
ただ見てるだけじゃダメだもんな…
どうせならいけるとこまで頑張るか…
…罰金は大地が全部払ってくれるから無理はしないけどね。
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【3時間後…】
「うぅ〜…苦しいよ〜…」
「さ、さすがに食べ過ぎたみたいね…」
「ボ、ボクももう限界…」
「お、俺の財布〜…」
…いや、正直お前らすげぇよ。
あれだけ大きかったカレーの山が、今じゃ普通のカレー2人分の量くらいしかないもん…
…まぁ、そのあと少しがキツいんだけどな…
「お嬢ちゃんたち、ギブアップかい?」
「ま、まだよ!恭也!アンタならまだいけるはずよ!」
「ムチャ言うなよ…。俺はお前らと違うんだ。もう限界だよ。」
「…キミが一番余裕ありそうに見えるんだけどね。」
「キョーヤ〜、頑張ってよ〜…」
だから俺に頼るな!!
俺だってけっこう食べたんだぞ!?
確かにお前らと比べると少ないけど…
俺にはこれが限界なんだよ!
…まぁ、まだ策はあるけどね。
「…仕方ない、こうなったら切り札を使うしかないか…」
「…切り札?何よそれ?」
それは……
「…大地、これを食いきったら女の子にモテるぞ。」
「何っ!?よ、よし!やってやるっ!!うぉーーーっ!!」
この変態バカをやる気にさせるだけ♪
コイツ、女の子が関わることなら異常な力を発揮するもん。
これを利用しない手は無いだろ。
「す、すごーい!カレーがどんどん減っていく!」
「まさかこんな策があるなんてね…。キミも意外とずる賢いね。」
お前には言われたくない。
「…後で大地が倒れても知らないわよ?」
「大地ならすぐ復活するから大丈夫だろ。」
「…とか言ってる間にもう倒れちゃったんだけど…?」
「何っ!?」
お前、もうちょっと頑張れよ!!
後一杯分じゃん!
「さすがに彼ももう限界だったみたいだね。これはもう復活しても食べれないよ。」
「え〜!?あと少しなのに〜!?」
「…安心しなさい。まだ奥の手はあるわよ。」
「え!?ユーキ、何かいい考えあるの!?」
「もちろんよ。その考えっていうのはね……」
(…チラッ)
…何で俺の方を見る?
言っとくけど、俺ももう食えないからな?
本当だぞ…?
「スイレン!恭也を抑えつけなさい!!」
「了解っ!!」
《…ガシッ!》
「お、おい…?お前ら一体何を企んで…?」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。アンタもう食べれないんでしょ?それなら私たちが食べさせてあげるわよ。」
「あ、それいい!キョーヤ、あーんして♪」
どんな理屈!?
自分で食べるか他の人に食べさせてもらうかの問題じゃないから!!
要するに無理やり食わせるってことだろ!?
それなら大地にやれ!!
「あ〜ん♪」
「ほら、口を開けなさいよ。早くしないと無理やり開けるわよ?」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……へぇ、そんなことがあったんだ…?」
「…本当に胃が破裂するかと思ったよ…」
確かにあの場で一番食べてなかったのは俺だけど、なにも無理やり食べさせなくてもいいと思わない?
もし俺も倒れちゃったら誰が大地を運ぶつもりだったんだよ?
…アイツらなら放置していくだろうな。
「……でも賞金もらえたんだからいいんじゃない…?」
「まぁな…。」
あんなに苦しい思いをするってわかっていたら例え賞金がもっと高くてもやらなかったんだけどな…
「まったく、だらしないわね…。少しは私たちを見習いなさいよ。」
いや、俺はお前らみたくなりたくないから別に見習わなくてもいいよ。
「……ところで…」
「…ん?」
「……近くのお店で『ジャンボパフェ』っていうのがあるんだけど…そこの景品のぬいぐるみがかわいくて…」
いや、そういうのはマジでもう勘弁してください!!
今回は大食いに挑戦させてみました。
私はそういうのを見たことが無いので、賞金の額などは全て想像です。
なので細かいところは気にしないでください。
できれば一度は実際に大食いしてるところを見てみたいですね。
私は食べきれる自信が無いので、見るだけで十分です。
…あ、でも『わんこそば』はちょっと挑戦してみたいですね。
…関係ない話が混ざってしまいましたが、とりあえず今回はこの辺で。
感想・意見・質問・要望など、お待ちしています!!