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第101話〜病院はお静かに

 




【朝のHR前:教室】


《悠希視点》



「…あ〜、なんか朝から頭痛い…」




なんか体のあちこちにかすり傷みたいなのもあるし…


私…昨日何かしたかな…?


昨日のこと、あまり覚えてない…




「……おはよう…」


「…おはよう。ねぇ、昨日何かあった?」


「……覚えてないの…?」


「途中までは覚えてるんだけど…加賀先生からもらったジュースを飲んだあたりから記憶が曖昧なのよ…」


「……それお酒…」


「…え?」




お酒…?


私が飲んだあのジュースが…?




「うそっ!?うそよね!?私まだ未成年なのよ!?」


「……そこは気にするんだ…?」


「ってことはこの頭痛は二日酔い!?」


「……お酒弱いんだね…」




わ、私としたことが…


お酒は二十歳まで飲むつもりは無かったのに…




「わ、私酔っ払って変なことしてない!?」


「………。」


「ち、ちょっと…?黙ってないで何か言いなさいよ…?」


「…………………………………(クスッ)…」


「あーっ!?今笑った!?笑ったわね!?やっぱり私何かやったの!?やったのね!?一体何をやったのよ!?教えなさい!!」



《ガクガクガク……》



「…おーい?あまり揺らしすぎると澪ちゃんが倒れちゃうよ?」


「大地は黙ってなさい!!」


「…へーい。」


「ほら、早く言いなさいよ!!言わないと止めないわよ!!」


「……と、止めてくれなくちゃ話せない…」




…あ、それもそうか。




「ほら止めたわよ!止めたんだから話しなさい!」


「……恭也君に聞いてみたら…?」


「…!もしかして私、恭也に何かしたの!?」


「……さぁ…?」




くっ…!


あくまで何も教えるつもりは無いわけね…!?



仕方ない、直接本人に聞くしかないか……




「……それにしても…慌ててる悠希さんってかわいい…」


「か、かわいい…!?わ、私が…!?」


「……あ、嬉しいの…?」


「う、嬉しくなんかないわよ!」


「……素直になればいいのに…」


「うるさいわね!それより恭也はまだ来ないの!?もうすぐHRが始まっちゃうじゃない!」


「……………。」






「……今日は来ないよ…?」


「…は?」




恭也が来ない…?


何で…?




「……だって恭也君は今…」















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【病院】


《恭也視点》



「…ん〜〜…」




あ〜、久しぶりにグッスリ眠れた〜♪


時間も気にせずに寝れるのっていいね♪


最近は休みの日にも邪魔なヤツが来るようになったからな…


これが怪我の功名ってやつかな…?


ちょっと意味が違うような気がするけど気にしないでおこう。



…さて、せっかくなんだから二度寝でもするかな♪


おやすみ〜♪









《ドタドタドタ…!》



…ん?


誰か廊下を走ってるのか…?


ここは病院なんだから静かにしろよ… 


ま、俺には関係ない。


さっさと寝ちゃおう。








《…バァンッ!!》



「!!?」




な、何だ!?


もう一度言うけど、ここは病院だぞ!?


誰の見舞いか知らないけど、もっと静かにしろよ…!






「…見つけた!!恭也っ!!大丈夫!?」




…俺の見舞いみたい。




「ゆ、悠希!?な、何でお前がここに…!?」


「ア、アンタが入院したっていうから…!」


医者A:

『あっ!この病室にいたぞ!!』


医者B:

『病院では静かにしろっつってんだろうが!!』


「やばっ!?見つかっちゃった!?」




あれだけうるさかったんだから見つかって当然だろ!!


てか医者の方もうるせぇ!!




「仕方ない…!少し気絶しててもらうわよ!」


医者B:

『医者を甘く見んなぁ!!』




何だこの流れ!?


何度でも言うがここは病院だぞ!?


何で戦おうとしてるわけ!?


てか、お前は本当に医者か!?






医者A:

『今だっ!!』


看護婦:

『は〜い♪ちょっとチクってしますよ〜♪』



《…チクっ》



「痛っ…!?ち、注射…!?一体何を注射したのよ!?」


看護婦:

『大丈夫♪ちょっと眠くなるだけですよ♪』


「そんな…の……」



《…バタッ》



医者A:

『ふぅ…不審者を捕獲完了。』


医者B:

『よし、寝てる間に警察に突き出そう!』


看護婦:

『お疲れ様で〜す♪』




いやいやいや…!?


展開が早すぎて頭の整理が追いつかねぇよ!


何回も言ったけど、確認するよ!?


ここは病院だよね!?


うちの学校並におかしいんだけど!?


ここの医者と看護婦は何者なんだ!?



…………。



…と、とりあえず悠希は引き取っておくか…















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「うぅ〜…油断したわ…!でも次はこうはいかないわよ!!」


「…お前は医者と戦うために来たのか?」




さっきまでは平和だったのに…


お前が来てから一気にカオスになった気がするんだけど…?


とりあえず俺の二度寝の時間を返せ。




「だいたい、今日は普通に登校日だろ?学校はどうしたんだよ?」


「サボリよ。」


「サボリって…。黒城に怒られるんじゃないのか?」


「大丈夫よ。ちゃんと代役いるから。」


「…代役?」








============


【同時刻:学校】



「…イグアナ女はどうした?」


「……『今日はこの子が私の代わりよ!』って言ってどこかに行っちゃいました…」


「…そのイグアナを置いて?」


「……はい…」


「…とりあえず欠席っと。もし戻ってきたら職員室に来るように言っておけ。」


「……はい…」



============







「まぁ、心配してくれるのは嬉しいけどもう少し静かに来れない?一応ここは病院なんだし。」




さっきの騒ぎのせいで他の患者さんにチラチラ見られてるじゃん…


あ、ちなみにこの病室にいる患者は俺も含めて六人ね。




「べ、別に心配なんかしてないわよ!ただ、澪から聞いたんだけど…私が悪いみたいだから…」




元凶は酒を飲ませた加賀だけどな。


でも悠希が反省するなんて珍しいからそういうことにしておこう。




「だから今日は私が看病してあげるわ!ありがたく思いなさい!」


「ありがたく思いたくないから帰ってください。」


「なっ…!?あ、ありがたく思わなくてもいいから看病させなさい!!」


「…はいはい。」




…完全に立場逆転!


けっこう罪悪感あるみたいだな?


普段なら『それならいいわよ!』とか言って帰るのに…


けっこういい気分♪




「まずはそうね…。飲み物でも買ってくる?」


「じゃお願いしようかな?えっと…財布は確か……」


「そのくらい私が払うわよ。アンタは気にしないで寝てなさい。」


「…お前、熱でもあるのか?」


「…それってどういう意味よ?」




いや…今日は異常に優しいような気が…?


いつもの悠希ならそこまでしてくらないような気がしたから…



…こうして考えてみると、俺の悠希のイメージってけっこうヒドいな…




「…別に優しくしてあげてるわけじゃないわよ?お見舞いに来たのに何も持ってこなかったからよ。そこは勘違いしないでね。」


「あぁ、そういうことか。別に気をつかわなくてもいいんだぞ?俺とお前の仲なんだからさ。」


「…えっ!?あ…あぁ!お、幼なじみだもんね!そ、そうよね!」




…何で慌てる?


幼なじみって恥ずかしいことか?




「…そ、それじゃ飲み物買ってくるわね!」


「あっ!おい!」 




…飲みたいジュースまだ言ってないのに…


そんなに急いで行かなくてもいいんだけどなぁ……















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「…で、買ってきた飲み物がこれか?」


「それを飲めば元気になるわよ。」




これは正直予想外だった…


飲み物=ジュースだと思ってたのに……






…まさか栄養ドリンクを買ってくるなんて…




「…返品可能?」


「わがまま言わないで飲みなさい。」


「…ってお前は何を飲んでんだよ!?」


「ん?アップルジュースだけど?」


「そっちを俺によこせ!」


「イヤよ。これは私のなんだから。…そ、それにもう私が飲んでるんだから…これをアンタにあげたら……か、間接…ス……になっちゃうじゃない…!!」


「…?聞こえないぞ?何て言ったんだ?」


「…!!だからあげないって言ってるのよ!!」


「…お、おう…」




怖ぇ…!


優しくなったり急に怖くなったり…


今日の悠希はよくわかんないな…




「…とりあえず飲み物は置いといて、他にも何か買ってきたのか?」


「あ、うん。えっと…アンタが読みそうな雑誌とお菓子、それにプリンも買ってきたわよ。」




おぉ、意外と気が利くな。


飲み物が栄養ドリンクじゃなかったら完璧だったのに…




「…でもさぁ、これって全部お前が好きなお菓子じゃないの?」


「そうよ。悪い?」


「悪くはないんだけど…勝手に自分一人で全部食うなよ?」


「そ、そんなことするわけないじゃない!」




お前ならやりかねないんだよ。




「…あ、そういえばアンタ、プリンを食べる時にスプーンとか使えるの?」


「使えるよ。両手は軽傷だから。ほら、両手には包帯無いだろ?」


「…全体的に包帯少ないじゃない。アンタ、何で入院してるの?」




包帯が少なくても一応ケガ人だからね!?


パジャマ着てるからわからないだろうけど、体中痣だらけだからね!?




「まぁいいわ。せっかくだから私が食べさせてあげるわよ。」


「え!?それって…!?」


「ほら…あ、あーんしなさいよ…」




やっぱりそういうことですか!?


周りには他の患者もいるんだぞ!?


ここでそんな事をするのは恥ずかしいというか…!



…ってか、お前も顔真っ赤じゃん!!


恥ずかしいならやるなよ!!




「…どうしたのよ?食べないの?」


「いや…他の患者さんが見てるんだけど…」


「き、気にしちゃダメよ!」




いや、そんなこと言われても……






…ヒソヒソ

(最近の若い子は人前でも関係なくイチャイチャするねぇ…)


…ヒソヒソ

(恥ずかしくないのかねぇ?)


…ヒソヒソ

(あ〜、俺もあんな彼女欲しいなぁ…)






…みなさん、ヒソヒソと何か言ってるんですが……


あれも気にするなと?




「…………。」



《…スッ》



「…?ゆ、悠希…?」




何で立ち上がって…?






「…くだらないこと言ったヤツは私の前に立ちなさい!!退院できない体にしてあげるわ!!」




やめんかい!!


またあの変な医者たちが来るぞ!?




…ヒソヒソ

(こっわ〜…!)


…ヒソヒソ

(最近の若い子は物騒だねぇ…)


…ヒソヒソ

(あんな怖い子よりもっと大人しい子の方が好みなんだけどなぁ…)



「…今しゃべった人!出てきなさい!特に三番目!!」


「…あ〜、関係ない人は早く避難した方がいいですよ?コイツ、しゃべった人を探し出すために全員に暴力を振るう可能性がありますから。」


「ち、ちょっと…!?変なこと言わないでよ!?」




事実だろ?


起こりうる事件は未然に防がないと。




《ドドドド…!》



「あっ!ほら、全員逃げちゃったじゃない!どうしてくれんのよ!?」


「静かになったんだからいいじゃん。」


「ま、まぁそうだけど……ってちょっと!?何で勝手にプリン食べてるのよ!?」


「ん?だってこれ俺のだろ?」


「私が食べさせてあげるって言ったじゃない!ほら、貸しなさい!!」


「…はいはい。」




…単純なやつ。


とりあえずこれで騒動は回避できたか…



…………。



…何で病院でまでこんなに苦労しなくちゃいけないんだろう…?















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 



「…それじゃ、そろそろ帰るわね。」


「…え?もう?」




いつもなら俺が『帰れっ!』って言っても帰らないのに…




「気をつかわなくてもいいんだぞ…?」


「別に気をつかってるわけじゃないわよ。でも、私がいたらアンタ寝ないじゃない。」




そりゃ何をされるかわからないし…じゃなくて、せっかくお見舞いに来てくれたんだから起きてなきゃ失礼だろ。




「アンタが寝るまでいてあげようと思ったけど、このままじゃ寝そうにないし…。そして何よりイグが心配だし。」




そっちが本音!?


俺よりイグの心配!?






「…最後に、何か頼みたいことがあったら聞いてあげるわよ?」


「…死ぬ前みたいな言い方やめてくれない?」


「別にいいじゃない。無いなら帰るわよ?」




うーん…


まぁ、特に無いんだけど…


…そうだなぁ……






「…それじゃ、ちょっとこっちに来てくれ。」


「…?何よ?」


「いいから。…あ、先に言っとくけど殴るなよ?」


「…変なことしなかったらね。」













《…ぽふっ》



「………?」


「…わざわざお見舞いに来てくれてありがとう。嬉しかったよ。」



《なでなで…》



「…〜〜〜〜っっっ!!!!!!!?」




おおっ?


一瞬で顔が真っ赤に…




「なっ…!?なななな…っ!な、何してんのよっ!?」


「何って…お前、頭なでられるの好きじゃなかった?」


「〜っ!!き、嫌いじゃないけど…!!も、もう高校生なんだから子供扱いしないでよっ!」


「わかったよ…」



《スッ…》



「あ…」


「…ん?どうした?」


「い、いや…何でもないっ!」




…こうやって頭なでてる時は普通の女の子なんだけどなぁ。


普段からこんな調子だったらなぁ…



…みんながいる前で頭なでたら殴られるし…




「ほ、他に用が無いなら帰るわよ!?」


「まぁ、特に用は無いな。」


「…無いの?」




…何で残念そうにしてるの?




「…あった方がいいの?」


「そ、そんなこと無いわよ!!じゃ、私帰る!」


「ああ。ありがとうな。」


「…ふん!」



《スタスタスタ…》




…本当はもう少しいたかったのかな?


まぁ、俺としてもアイツがいた方が退屈しないんだけど…



…アイツがいると他の患者に迷惑がかかるんだよなぁ…


さっき悠希が追い出した人たち、未だに戻って来てないし…



…後で俺に嫌がらせとかしてこないよな?
















「…そうそう。」


「うわっ!?お前まだいたの!?」


「…いたら悪い?」


「悪くはないけど…ビックリしたよ。…で、何の用だ?」


「明日もまた来てあげるわ。何か持ってきてほしいモノある?」




学校は!?


てか、お前が来たらまた医者と戦うことになりそうだからもう来るな!!













…でも、もし来るならケーキが欲しいです。

せっかくなので、入院させてみました。


次回には退院していると思います。


…次回までにまた入院ネタを思いついたら退院が延期しますけど。



それでは、書くこともあまり無いので今回はこの辺で。


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