第三話
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光舞という名を聞いて
なぜかすぐ反応したんだ。
なぜなのかは自分でもわからない───・・・
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「おぃ・・・・裕。返事ぐらいしろよっ!裕─!」
「ぅん・・・・・」
「どうしたんだよ。暗いぞ?」
「ぅん・・・・・」
「・・・・・話聞いてないだろ・・・」
「ぅん・・・・・」
それを聞くと弘は怒ってほかのクラスへ走っていった。
荒木裕はため息をついて「聞いてたよ」とつぶやきながら
さっきと同じようにベランダのほうに向き直る。
座り込んで太陽に当たりながら
「あれはなんだったのだろうか」
と考えてばかりいた。
荒木裕(14)。学校一の美男子で学校一の女たらし。
今日はとても暖かい昼休みだ。
いつもこの時間は裕は約24人の彼女達といちゃついていただろう。
しかし、事の起こりは昨日の放課後だった。
親友・弘に紹介された美少女・花道光舞(15)を狙ってみせると断言し
課後に待ち伏せして彼女にしようと思っていて
そっと教室をのぞいてみると。
彼女の髪の毛は銀色に変化していたのだ。
裕は驚いてそのまま逃げてしまったのだった。
「光舞は・・・きっと化け物なんだ・・・」
そう思い込んでいた。
しかし、変化していても光舞は光舞。やはり美人だった。
「・・・・・やっぱりもう一度見てみようか・・・・」
裕はおさえきれない好奇心を弾ませながらベランダを出て、廊下を歩いた。
(あ!!!!こ、光舞!!!!)
光舞は見回りをしていた。
(化け物ではなさそうな綺麗な人だな・・・・)
裕は知らず知らずのうちに光舞に惚れていた。
そう。彼女が裕の初恋の人といえるだろう。
そのとたん、光舞と目が合った。
(やべっ)
裕はとっさに後ろを向いた。
しばらくそうしていた。
すると、さっきから髪の毛に何かの感触が当たった。
ジョキッ
「・・・・・・・・・ぇっ・・」
裕はびっくりして、後ろを振り向いた。
さっきまで20メートル先にいた光舞が裕の目の前にいる。
「ジョキッって・・・・・・・あぁ!!!!!!!!」
なんと、裕の髪の毛が切られている。
といっても、ほんの数センチだが。
「な・・・・・何をす・・・」
「荒木裕、2年4組ですね?」
「・・・(光舞がしゃべった!)・・・・は・・・ぃ・・・」
「女たらしで有名ですよね。」
「え・・・・」
「気をつけたほうがよろしくてよ。愛を軽んじてはいけないわ。」
「へ?・・・・・・ぁ、はぃ・・・・・・」
「それに、この茶髪とピアスは校則違反。」
「・・・・・」
「今度は髪の毛を切ったじゃすまないわよ?」
「・・・・・・はぃ・・・」
そう言いおわると光舞は向きを変えて歩いていった。
「・・・・・・・な・・・・なにあれ・・・・;;」
裕は心の底から驚いた。
「光舞が男の人にしゃべるのをみたのは裕が初めてだよ。
・・・・・よっぽど悪く見えたんだね・・」
弘はそういうと笑った。
「怪物だからあんなに二重人格が出来るのか・・・・?(関係ない)」
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今日の放課後も
裕は残るつもりだった
もちろん
断言したことを守るため───・・・・
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