第四章:欠けた月と、琥珀の女王
夕暮れだった。
まだ素肌には寒いからと、セリーヌは薄い上衣のみを与えられて裸でルークの腰を跨いでいた。ベッドの上のルークもまた裸だ。
薄灰色の髪を描き上げて素顔を露にすると、ルークの顔はまたビクトルとは正反対に歳を重ねた静の美しさがある。幼い頃から今まで、セリーヌには両親よりも親しかった相手。
ルークの右の額の上から左頬までを、今ではそれと分からぬほどに薄く傷跡が這っていた。その昔、そこを毒を持った怪魚に傷つけられてルークは後遺症を負った。左の腕を半分なくし、左下半身には麻痺が残った。
「今日の……ビクトル様へのなさりようはあんまりでは?」
「彼の前であなたにキスしたこと?」
くすりと笑って、セリーヌは額をルークへと軽く擦り付ける。
それから、昼間とは打って変わった濃密なキスをする。舌を絡ませ、唾液をすすり、何度も舌を往復させる。
するとルークの大きな手はセリーヌの腕から脇、小ぶりだが奇麗なお椀型の乳房をゆっくりと揉みしだき、尖りきった先端を押し潰すように捏ねてくる。やがて芯を持った赤く色づいた乳首は彼の唇に含まれ舌先で遊ばれる。
「あ……ルーク、もっと…強…く」
「……こう、ですか?」
セリーヌも、ルークの中心へと手を伸ばしゆっくりと扱き始める。腰を揺らしてルークの太ももへ濡れ始めた脚の付け根を擦り付けながら、彼自身を何度も撫で上げる。けれど其処は、僅かに先端が膨らむだけで勃ち上がりはしない。これも、怪魚の後遺症だった。
息を荒げながら、ルークが背を反らす。夕闇が迫る中、セリーヌの手に自身の手を添えて止めようとする。
「セリーヌ、様……そこは、私は結構ですと何度も申し上げて」
「分かってるわ。けど……こうするのは、気持ち良いでしょう?」
「ええ……はい。しかし、いくら触られても私では貴女様を満足させられない……」
「いいから。ねぇ、ルーク……いつもの……」
「……はい」
静かに答えると、ルークは身をベッドの上で反転させる。セリーヌに自身の顔を跨がせて腰を引き寄せ、ゆっくりと足の間へと顔を沈めてゆく。舌先がくちゅりとセリーヌの中へと侵入すると、初めてセリーヌの口から明確な喘ぎが漏れた。
「んっ……ぁ、ルーク……っ」
「セリーヌ様……」
「駄目、んあ、……そんな……あ、指が、はぁ、ン……」
ルークはセリーヌの潤った粘膜を拡げると、奥深くへとその長い指を挿入する。根元まで埋めた指を増やし、中を掻いて、ゆっくりと優しく刺激する。セリーヌはルーク自身へ頬を擦り付けると、舌で柔らかく舐め上げながら根元から大きく何度も扱き上げた。
「ああ、セリーヌ様……っ」
「あ、は……んンっ……ルーク、ルーク……!」
「セリーヌ、さま」
ルークが指を大きく動かしながらセリーヌの名を呼ぶ。手首を返して濡れた中をぐちゅぐちゅと穿つ。
「ああ、あなた様の中にこのまま入っていけたら……どんなにか……っ」
「……んふ、ぁ……は、そんなこと、言わ、ないで……今すごく、あなたを感じてる……ぁ、あぁ、ルーク!」
「セリーヌ様……っ!」
ルークが自身から透明な液体を僅かに放出し、セリーヌが自身の奥深くでルークの指を締め上げたのはほとんど同時だった。セリーヌの身体が緊張から弛緩へと変わって、ゆっくりとルークの体の上に身を横たえる。ルークも大きく数度息を吐くと、ベッドの上を這うようにして身体の向きを変え、自身の女王のために長い腕を差し出した。
「……愛してるわ、ルーク」
その腕に顔を寄せながらセリーヌが微笑む。ルークの長い指がセリーヌの頬にかかる金髪を搔き上げた。
「よく……存じ上げております、セリーヌ様」
「ビクトルと仲良くね……?」
「セリーヌ様の子種になるかもしれぬお方だ……努力はいたしますよ」
ルークは愛しげに、短い右腕の先でセリーヌの下腹を撫でる。二人は秘密を分かち合うかのように笑い合った。




