08
サルバトールの報告書には大陸北東の宗教国家アルビエル聖皇国で聖騎士団の結成式が行われた事と魔術師を大量募集している事、そして南のラマード王国との同盟等の天神教の復権を狙っている旨が書かれていた。
「あれから何年経ってたっけ?」
「あれって言うのが天空神を倒した事を言ってるのなら千五百年だか二千年位になるかしらね?」
「もうそんなになるのか・・・こっちに帰って来てから忙し過ぎて忘れてたぜ」
聖騎士団に眷属の竜だけでなく天空神を倒した上に天神教のシンボルとも言える天空城を破壊した事で天神教とアルビエル聖皇国の影響力を削いで衰退させたし、ゴタードを使って様々な魔導具を普及させて魔術師と言うか魔法事態を過去の物だと言うイメージを植え付けたんだがな。
喉元過ぎれば熱さ忘れるってか。
「何言ってるのよ、自分から忙しくしてる癖に」
「まぁな。サルバトール、こいつは貰って行って構わないか?」
「勿論で御座います。引き続き聖皇国の動向は追っておりますので何か有りましたら直ぐにお知らせ致します」
「宜しく頼む。特に武力侵攻の予兆が見られたら大至急で頼むよ」
「はい、お任せ下さい」
「もうニールが大陸統一しちゃった方が早いんじゃない?」
「冗談言うな。そんな事したらあちこち走り回る時間が減るじゃねぇか」
東のダビラ王国との戦争終結から百二十年か・・・どいつもこいつもなんで戦争なんてしたがるんだか理解出来ねぇな。
仕方ねぇちょいとばかり計画を前倒しするとしますかね。
王城を後にした俺達は北へ、マモン領都マグラスへと向かった。
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ツォアル出立時に南門で止められ、一、二時間程先で開拓工事をしているので気を付けるようにと言われた。
何でも最終的にはゲベルまでの間の街道沿いの全てを農村とかにするとかで、その中継地点を作るのだとか。
いや、凄いとか通り超えてヤバ過ぎだろ。
どんな考え方をしたらそう言う答えが出るのか理解に苦しみ頭を押さえながら南へと進んだ。
「・・・なにあれ・・・・・」
暫くすると街道の先に奇妙な物と言うか巨大な何かが見えて来た。
魔導車なのか?四輪じゃないけど二輪とも言えないような?
困惑しながらも近付いて来たその奇妙な物を観察しながら追い越した。
分類的には二輪・・・になるんだと思われるそれは前輪と後輪に当たる部分が巨大な金属の筒状の物で大きさは軽く3mは超えていた。
車体は箱状でその上部に四輪のような運転席が設けられていてその後部から延びる二本の排気管から轟音と煙を吐き出していた。
困惑しながらそれの前に出て何のための物かを理解した。
街道が未整備の、でこぼこした砂地のままだったんだ。
あの巨大な車輪で街道を踏みしめて平らにする。そのための専用の魔導車なんだと納得した。
けど・・・アレを考えた人の事は理解出来そうになかった。
まぁこの先で見た物に比べればまだ理解出来るんだけどね・・・・・
更に少し進んだ先で見た物は巨大な腕の生えた巨大な魔導四輪だった。
何を言っているのか解らないかもしれないが本当に腕の生えた四輪としか言いようがない。
腕の先に二本の爪の付いた魔導車がその爪で木を掴み、腕の先に回転する丸い鋸の付いた魔導車が木を切っていく。
爪の付いた魔導車は木を掴んだまま移動して大型の魔導車の荷台に木を乗せた。
残った根の部分は大きなスコップのような物が付いた魔導車が周囲の土ごと根を掘り返して爪の付いた魔導車が根を掴んで運んでいく・・・・・
なにこれ?僕の知ってる開拓と全然違うんだけど?
路肩にスレイプニールを止めて呆然とその光景を眺めていると、後ろからさっき追い抜いた巨大な魔導二輪?が近付いてきて慌てて走り出した。
困惑したまま暫く進むと街道が少し狭くなり、整備された街道が続いた。
近い内にこの先も向こうと同じ広さの街道になるのだろう。
それにしてもあの数々の魔導車を考案した発想力や想像力には驚かされた。
考案者の事は理解出来そうに無いけど一度会って魔導車について話をしてみたいとそう思った。
まぁ既に会って話していた訳だけど。
そうこうしている内に街道脇から木々が減り、雑木林が農地へと変わっていった。
「・・・・・ぉ・・・おおぉぉぉ!!すげぇ!本当に見える範囲の全てが畑だ!!はは・・・ははははは!!」
噂に聞いた通り遥か彼方まで畑が続いる景色を見て妙な高揚感に支配されて叫び声を上げ大笑いした。
「なんだこれ?!すげぇ!すげぇとしか言えねぇよ!!ははははは!!」
所々に倉庫のような建物が見える以外は全てが畑と言う景色が突然途切れると今度は牧場が延々と続いてまた大笑いした。
「国民の食料の殆どを作ったうえに周辺国に輸出してんだもんな!そりゃあ想像を超えて来るわ!!ははははは!!」
確かに噂で聞いていたが、実際に目にすると想像を遥かに超えていて旅に出て良かったと改めて感じたのだった。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




