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 食後のお茶を頂いているとゴードンさんの表情が真面目な物に変わり、いよいよかと姿勢を正した。


「ははは、そう固くならんでいいぞ。先ずは君とご両親の事なんかを聞かせて貰えるか?」


「は、はい!え~っと、僕は今十八で王都の王立学園の生徒になります。今年いっぱいで卒業で、来年からはゴタード商会の整備場で就職が決まっています。父は別の商会の経理主任で母は専業主婦になります。後は・・・ああ、家は王都の南地区のほぼ中央で土地と家屋の名義は父だったと思います」


「はっ!王都の地区中央っていいとこの坊ちゃんかよ。いいのか?こんな田舎で牧場やってる所の娘なんて反対されるんじゃねぇの?」


「いえ、祖父母の時代から住んでただけで・・・ん?あれ?・・・その、僕の両親さえよければアリサさんとの結婚を認めてくれるって事ですか?」


「ああ、そうだが?」


「「えっ?!」」


「何だお前等、俺達が反対すると思ってたのかよ」


 あれ?僕まだ求婚とかしてないんだけど・・・いや、嬉しいよ、嬉しいけどなんか釈然としないって言うかなんというか・・・・・


「ええ、まあ・・・その、アリサさんが跡継ぎだって聞いてましたし僕も一人息子ですし・・・てっきり反対されると思ってました」


「ああ、その辺は心配すんな、ここはゴタード商会に譲渡する事に決めたからよ」


「「ええっ?!」」

「お父さん!如何言う事!私そんな話聞いた事無いよ!」


 え?アリサさんも聞いて無いって如何言う事?


「そりゃそうだ、ついさっき決めたばかりだし、なぁ」

「ええ、その後私達は私の実家、ゲベルのお肉屋さんを継ぐ事にしたわ」

「ミザリーの両親、お前の祖父母ももういい歳だし、後五年位で店を畳もうかって話を聞いててな。アリサの相手が見つかった事だし、いい機会だから後はゴタードに任せちまおうってな」


「そ、そんなぁ・・・・・」


「そう悲しそうな顔すんな、これも時の流れって奴だ。今のままの家族経営じゃ需要に対して供給が追い付いてねぇんだよ。ここはゲベルに近いからゴタードも押さえておきてぇから数年前から話だけはされてたんだ」


「そうなんだ・・・・・」


 事情は解かったけど僕のせいでこの牧場が無くなるのは・・・いや、無くなりはしないのか?経営がゴタードに移るだけ・・・それでもなんか悲しいなぁ・・・・・


「まぁそう言う事だから取り敢えず俺達は反対する気はねぇんだが・・・・・」


「えっと、何か懸念が有ると言う事ですか?」


「ん~、おめえさんエルフの血が入ってんだろ?」


「え?!そんな話聞いた事ありませんけど・・・・・」


「おそらくだが一応理由がある。先ずは見た目、金髪に青い目なんてのはエルフの象徴みたいなもんだし、次に家名の『フィールズ』ってのが父方なのか母方なのかは解んねぇが前か後ろに元々は部族名が付いていた筈だ。例えば『アクア』とか『フレア』なんかの四大属性の精霊名がな」


「そ、そうなんですか・・・・・」


 僕にエルフの血が混じっているのは解ったけど、それが何の障害になるのかが解らないんだよなぁ・・・王都じゃ混血なんて珍しくも無いし。


「そこを踏まえた上でだ・・・少し昔話をしようか」


「昔話・・・ですか?」


「ああ、今から二万とか三万年とか正確な年数なんかは失伝しちまったから解からねぇが、うちに口伝のみで伝わってる本当の歴史って奴だ」


「本当の?・・・大陸史なら学園で習いましたけど・・・・・」


「王立の、だろ?いいか、権力者の絡んだ歴史ってのはそいつらの都合のいいように改竄されている事が殆どだ。だから俺の知っている歴史を教えてやるから聞いとけ」


「は、はい」


「よし、先ず俺のご先祖様は大陸北東部の生まれだ」


「北東部って言うとアルビエル聖皇国ですか?」


「い~や、聖皇国が出来る前からの話になる。天神教が生まれた経緯は知っているか?」


 そんなに前の話か・・・・・


「ええっと・・・確か三万年以上前に魔王を倒した天空神が自分の生まれた北東の地を聖地と定めて天空城を建てたのが始まりですよね?」


「そう言われているが実は違う。天空神は魔王が住んでいた大陸西部の美しい湖の上に城を建てるつもりだったが魔王とその眷属達を倒した際に亡骸が塩に変わり湖とその周辺が塩害により不毛の地となったために次に美しいと感じた北東の地に城を立て、周辺の人族達に自分を祀らせて他種族を使って城下町、アルビエル聖皇国を作らせたのが始まりだ」


 アラバ塩湖が普通の湖だったのは知ってたけど・・・・・


「ん?と言う事は先住民から聖皇国民になったと言う事ですか?」


「それも違う・・・うちのご先祖様はな・・・・・ドワーフなんだよ。アリサは先祖返りって奴らしい」


「えっ?!と、と言う事は・・・・・」




 ああ、ご先祖様は奴隷として鉱山で働かされていたのさ―――




 本来なら隠して置きたかった筈の事実を聞かされて僕は困惑し息を飲んだ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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