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アリサさんに一刻も早く会いたい気持ちを抑えて北へとリサを走らせた。
そわそわしながら牧場へ近づくにつれてモヤモヤとした気持ちが沸いて来て徐々に気分が下がって行く。
会ったとしても直ぐに帰らなくちゃいけないんだよな・・・・・
それでその後は如何する?
告白したとしてそれに彼女が応えてくれるのか?
今の僕では彼女に相応しくないと言う結論は出ていて、一人前になるまで待ってくれるとしてそれは何時になる?
僕は年下だし、その頃には彼女が待ちきれなくて相手が出来てしまったら?
そもそも彼女は一人娘で牧場の跡取りらしいし僕も一人息子な訳で、それらを理由に彼女と僕の両親に反対されたら?
頭の中でぐるぐると嫌な疑問が沸いては消えていく。
断られたら・・・その時僕は―――
解らない、自分自身の事なのに自分がどうなってしまうのかが解らない。
それが怖くて、苦しくて・・・僕はスロットルを緩めて路肩にリサを止めた。
人を、異性を好きになると言う事がこれ程辛いなんて思いもしなかった。
僕は暫くの間その場で泣き続け、ヘルメットを脱いで袖口で涙を拭い両手で頬を叩いてヘルメットを被り直して走り出した。
馬鹿か僕は。まだ何も決まっていないのに悪い結果を想像して泣くなんて本当に情けない。
泣いている暇が有ったら努力するんだ。彼女に、アリサさんに相応しい男になるための努力をだ。
先ずはこの気持ちが本物かどうかを確認する。
そして本物ならば彼女に気持ちを伝えて今出来る限りの誠意をみせる。
それしかないと彼女の待つモルクレイ牧場へとリサを走らせた。
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何時もの様に起きて、何時もの様に家畜達の世話をして、何時もの様に朝食を食べてから売店に立つ。
何時も来てくれるお客さんの相手をしながらそわそわと昼食の準備をした。
オルト君喜んでくれるかな―――
うちは今は亡き祖父母の時代まで左程大きな牧場じゃなかった。
戦争が終わって食料の需要が一気に伸びた時にゴタード商会の偉い人がうちに来て支援を申し出てくれたお陰で今がある。
ミルクセーキもその人が教えてくれたのだと父に聞いた。
父と母の馴れ初めもミルクセーキが切っ掛けだと母に聞いた時はなんとも思わなかったけど・・・・・
そして私も―――
オルト君は今まで出会った男の人とは違って自分を客観的に見る目を持っていてそこが好感を持てる。
それに私の歳とか見た目も気にしてなかったみたいだし、何より落ち込んだ私を元気付けるために一生懸命言葉を紡いでくれた。
好き・・・だけど―――
オルト君はかっこいいから他の人と結婚しちゃうかもしれない・・・・・
女性とあまり話した事無いって言ってたけど本当かなぁ・・・嘘を吐いているようには見えなかったけど・・・・・
それに王都でやりたい事が有るって言ってたし、次は何時会えるか、そもそもまた会う事が出来るのかも解からない。
私はここから余り長い間離れる事が出来ないから王都には行けないしなぁ―――
だから私を覚えていてくれるように、またここに来てくれるように精一杯のおもてなしをと昼食の準備を頑張った。
お庭で採れた野菜とうちの自慢のお肉と卵とミルクで作ったシチューとサラダに焼き立てのパン。
漁師町では魚貝類とお米ばかりだったからきっと喜んでくれると思う。
魔導オーブンから焼き上がったパンを出し、吹き零れない様にシチューの鍋をかき混ぜていると普段聞きなれない甲高い音が近づいて来て心臓が高鳴った。
きっとオルト君の魔導二輪の音だ―――
私は魔導コンロの火を止めて彼の下へと駆け出した。
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モルクレイ牧場が近付くにつれ鼓動が早くなって行く。
うぅ・・・緊張し過ぎて吐きそうだ・・・・・
学園の入試の時なんて目じゃない程に緊張していて動悸だけでなく眩暈までしてきて思考も覚束なくなってきた。
伝えなきゃ・・・・・アリサさんに・・・彼女に会って気持ちを―――
何とか売店の横にリサを止めて降りようとしたが足が上がりきらず、地面に着いた左足にも力が入らなくなってシートからずるりと滑るように落ちて仰向けに地面に転がった。
イヤアアアァァァァァ!!
そして激しい頭痛や耳鳴りと悲痛な叫び声の中、視界が暗転して僕は意識を手放した。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




