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 夕食はアリサさんの事を知らないお店にして、二人で楽しく食事をして宿に戻った。


「あ、遅かったじゃない!私夕食食べないで待ってたのよ!」


「すみません、僕達もう食べて来ちゃったんです・・・・・」

「ごめ~ん、偶には知らないお店で食べるのも良いかなって・・・・・」


「ええ~!そんなぁ・・・・・」


 項垂れるケリーさんを尻目にカウンターで部屋の鍵を受け取りアリサさんと階段を昇りながら顔を見合わせニヤリと笑った。


「予想通りだったわね~」


「ええ、多分僕が絡まれたでしょうから助かりました」


「まぁケリーの気持ちも解からなくはないのよね~」


「え?ケリーさんはもう結婚相手を探してるんですか?」


 ケリーさんの見た目は二十歳前後だ。今時二十代後半でも珍しくないのに、この辺では違うのかな?


「違う違う、あの子はこの町を出て行く理由が欲しいだけなの~」


「ん~?都会に憧れてるとかですか?」


「そうですよ~」


「はぁ、都会暮らしなんてそんないいもんじゃないですけどね」


 確かに色々便利かもしれないけど、人が多いって事はそれなりに嫌な奴も居るし観光目的で他国から来た人が問題を起こす事も少なくない。

 何より貴族家が多い。中には貴族家に仕えていると言うだけで商店に迷惑を掛ける使用人も居る位なのだ。


「・・・じゃ、じゃぁ・・・その、こっちに引っ越して来ない?」


「う~ん・・・悪くない提案なんだけど王都で就職が決まってるんですよね」


「そ、そっか・・・それじゃあ無理ですねぇ~」


「ええ、就職先は魔導車の整備場なんですけど、少なくとも自分で魔導二輪の整備が出来るようになるまでは転職とかその先の事は考えられませんね」


「ふ~ん・・・そっか、それじゃおやすみ~」


「はい、おやすみなさい」


 アリサさんと部屋の前で別れて早めに眠りに就いた。出来れば日の出を見に行きたいし、最悪でもアリサさんの見送りはしたいな。


*


*


*


 ゴタード商会本部の会議室で俺とアマンダはデクスと秘密の会議を行っていた。


「ふぅ~ん・・・こんなんで本当に飛べんのか?」


 デクスは俺の渡した草案を読んで眉を顰めて俺に質問を投げかけた。


「ああ、多少の調整は必要になるだろうけどそこは試作を繰り返すしかないが確実に飛べる」


 デクスの問いに答えると、デクスは呆れ顔で更に問いかけて来た。


「魔導車の時も言ったけどよ・・・お前、こんな技術と言うか知識、何処で手に入れたんだ?お前が考えたもんじゃねぇんだろ?」


 その問いに俺は以前と同じ答えを返した。


「それを知る事はお前にとって必要か?」


「はぁ・・・必要じゃない。だが気にはなる」


「俺とアマンダは〝神〟だって教えたろ?それで納得しとけ」


 俺が別世界からの転生者だって事はアマンダにすら教えていない。


「へいへい・・・DOHCV10の20000ccを10000RPMでか・・・・・まぁなんだ、確かにこいつは俺にしか出来そうにねぇよなぁ・・・クックックッ・・・・・」


 草案を眺めるデクスの横顔は歓喜に歪んでいた。


「ああ、お前にしか出来ないと俺は信じてる。世界初となる有人飛翔体試験機DG-00、通称『零式』の開発開始だ!」


「はいはい、よっこらせっと・・・俺は暫く鍛冶場に籠るから開拓地の準備が整ったら教えてくれ」


「取り敢えず最低限の設備が整うのに三ヶ月ってとこだからそれまでにエンジンだけでも完成させといてくれよ」


「ハッ!舐めんな、そんなにかかりゃしねぇよ。既に設計図は頭ん中で出来上がってんだ」


「は、こいつは頼もしいこって。それじゃ」


「ああ、任せとけ、必ず半年以内に飛行実験まで漕ぎつけてやる」


 デクスと顔を突き合わせて笑みを零してアマンダと自宅へと向かった。

 少々自信過剰ともとれるがこいつは出来ない事は言わない。

 実際魔導車の時もその後の重機開発時にも自分で言った期限よりも早く試作機を作り上げて来たのだ、今回も必ず成し遂げてくれるだろう。


 自宅、と言っても直ぐ裏の同じ敷地内にある離れみたいな家の扉の前に立ち、ズボンのポケットから鍵を取り出した次の瞬間に背後から強い衝撃を受けて扉に頭を打ち付けた。


「・・・ツー・・・なん、何すんだよアマン、ダ?」


 振り返るとアマンダが俺に背を向け、仁王立ちで何処か遠くの闇を睨んでいた。


「・・・・・私に気配を感じさせないとは相当な手練れみたいね」


 そう言ったアマンダの右手には真っ黒く塗られた矢が握られていた。

 まぁ当たったとしても死にはしないが『人』でない事がバレるのはちょっと拙いんだよな。


「・・・・・正直身に覚えがあり過ぎて何処のどいつの手の者かわかんねぇな」


「何処の手の者かは解らないけど、これを撃って来た奴の事なら解るわ」


「・・・・・何もんだ?」


 俺の問いに警戒を解かずに俺に背を向けたままアマンダは答えた。


「エルフよ。この闇の中で殺意の届かない長距離から狙った獲物に当てるなんて芸当は他の種族に出来やしないわ」


「成程、確かに他の種族にゃ無理な話か」


 エルフの部族に狙われる覚えはないが・・・雇われたとかか?


「取り敢えず室内に入りましょう。多分今夜はもう襲撃は無いわ」


「へいへい・・・今夜は、ね」


 アマンダが言うなら大丈夫だろうと扉の鍵を開けて室内に入り夜を明かした。


 はてさて何処のどいつが下らない真似してくれたのかねぇ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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