に
んんん…
今何時だろう?
もう朝かな。朝ごはん作らなきゃ。
なんか、身体が重い。まぶたも開かない。
ズキ!
イタ!あたま…
とっさに、頭に手をやる。
あれ?布?……包帯…?
不意にトラックが迫ってきた記憶がパッと現れる。ハッとして、重かったまぶたが開いた。
ここは…?病院?個室なのかな?
右側からゆっくりと左に視線を走らせる。
『'☆♪¥$€%#!!!!』
叫ぶところだった。よく耐えた自分!
渾身の力で自分の口を塞いでいた。
隣に知らない男の人が…
いや、知ってる!よく知ってる!でも、会うのは初めましてで。まさか…そっくりさん?
そこに寝ていたのは、full moonの晴だった。
なになに?どういう状況?何かのご褒美?
事故っておかしくなっちゃったの?
あーーそっか。
夢だよ。そうだよ。こんなの現実で起こるわけないじゃん。もう一回目をつぶって眠りに落ちれば、今度こそ、ちゃんと起きられるよ。
寝よ寝よ。
……
って!!!
寝られるわけないじゃん!!
だってまだ、頭痛いし。
でも、現実じゃないよね。
落ち着け私。
だてに50年以上生きてないよ。人生の荒波に揉まれてきたんだよ。考えろ。
とりあえず、この空間は良くない。隣に晴がいるだけで、頭真っ白。薄ら聞こえる寝息が脳を停止させる。
手が何かに触れた。枕元にスマホ!!!
これで何か手掛かりが掴めるかも!
とにかく、部屋を出よう。
私はスマホを握りしめ、息をころし、気配をころし、音を立てずにその部屋を脱出した。
音を立てずに扉を閉めると、安堵するまもなく次のクエストだ。
廊下に出たはいいが、正面にドア、左にドア、右にドア。
私は『アリスか!?』
不思議な国に迷い込んでしまったようだ。
隣のドア。引き戸になってるから、ここは…
パウダールーム。その奥はお風呂だろうな。
勝手に他の部屋に入るのは、気が引けるので、ここで考えを整理してみよう。
まず、スマホ。顔認証でロックを解除。ん?
知らんトップ画面。
なんかペアリングをした男女の手の写真。
こんな指輪知らないし。私と夫の手にしては若過ぎる。
これ私の携帯?こんなカバーじゃなかったけど。
でも、顔認証したよね?
そして再び、声にならない叫び声をあげることになる。




