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周囲を見渡せば、そこは俺と同じハズレを引いたもので溢れかえり。みんなの目線の先には、冒険者のみが見られると噂されていた、全長二十メートルの巨大な『妖艶の女神リリス』。

彼女はダンジョンと共に現れ、彼女の祝福を得たものは『スキル』と呼ばれる常人と思えない力や未知の力が使えるようになるらしい。

何のスキルを手に入れられるかは、祝福を受けるまでは分からないままで、ここでもハズレスキルを手に入れた日には、ダンジョン内で死を意味している。

何のスキルが強いのか知らないけれども、せめて、せめて俺だけダンジョン内で生き残れるスキルであってくれと、心の底から望んだ。

すると会場にアナウンスが流れ「これより皆様には、女神リリス様の祝福の儀を行わせていただきます。皆様の幸運をお祈りします」。

そして女神リリスは両手を広げ、その手のひらから光のオーブを生み出し「勇敢なる若き戦士たちに、新たな力を授けたまえ……」

と祝福の言葉を口にした。

すると浮遊していた光のオーブが弾けて、そのカケラが雪のように舞い降りてきた。

その中の一粒のカケラを手に取ると、手の甲から眩い光が放たれ、視界は一瞬にして真っ白になる。やがて光は徐々に収まり。一度手の甲を確認すると、手の甲に目のマークが描かれていた。

周りを見る限りどうやら俺だけじゃないらしく。他の人も手の甲に何らかのマークが描かれているみたいだ。

そこに助手二人を引き連れて俺たちの前に現れたのは、白衣を着たインテリ男がマイクを持って話し始めた。

「えぇ〜皆様。冒険者になられたことを。今一度、おめでとうございます。ここの責任者を務めさせていただいております。猿田(さるた)と申します……」

その後も冒険者になったことがどれだけすごい存在なのかを、永遠と聞かされるが、俺に言わせればただの金のなる木しか考えてないでしょう。ダンジョン内で取れる資源は石油以上に価値があり。それを他国に売ることで日本は莫大な利益を得ている。だからあらゆる面で冒険者は優遇され、毎月百万とボーナス支給される。その代わり最初に話したが、15年間の強制ダンジョンが待っている。

長ったらし話も助手の制止のおかげで、やっと話が進みそうだ。次に、剣・盾・短剣・魔導士・白魔道士(ヒーラー)のプラカードを持った助手が横に並び。手の甲と同じマークのところに並ぶように指示される。みんな言われた通り、同じマークのところに並ぶが、俺だけがどのマークにも当てはまらない。

「あの〜、俺はどこに並べばいいんですか?」

俺は手の甲を見せながら、スタッフを呼ぶ。それが猿田(さるた)の目に止まり、猿田はゆっくりと俺の所に近づき。俺の手首を掴むと、ジッと目のマークを見始めた。猿田の助手二人は、ものすごく驚いていた。「これは初めてみるマークだ!」「どんな能力だ!」

おい、おい。全然嬉しくないんだが。そんなに珍しいマークってことは、このスキルが何を意味しているのか誰一人理解してないって事になる。仮にこの目のマークが最強だったとして、扱っている人がゼロ人なら、事実それは詰みだ。

猿田は俺の手首を離すと「通常通り、行う」そう言って立ち去ろうとした。

当然俺も反論した。

ただ帰ってきた言葉は

「今ここで決断しろ。一生実験室で過ごすか!一五年間生き残るか選べ!」とな。

気づけよ俺、冒険者になった時点で、もう終わってんだよ。アイツらは俺が生きようが死のうがどうでもいい連中だ。

もう、諦めろよ俺……。

その後のことは何も覚えてない。気付けば俺は外にいて、手には自分の顔入りの冒険者カードを握りしめていた。

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