①
人生を左右する運命の日。
大袈裟と思われるかもしれないが、日本にダンジョンが出現した事により、16歳なったものはスキルの適性検査を受けなければならない。
もしもスキルの適性検査で陽性となった場合。その人は「冒険者」と登録され、今後十五年間、ダンジョンの強制参加が義務化となった。
俺もまたスキルの適性検査を受ける年になった。検査会場の列を待つ間は、ほぼ全員の顔がお通夜状態で、ため息や体調不労を訴えるものが続出する。
「次の方、どうぞ!」
検査会場のスタッフに呼ばれた俺は、スキルを判別できる特殊な機械の前に立たされると、機械の中に手を入れるように指示された。俺は言われた通り、機械の中に手を入れるとスキャンが開始され、この數十秒後に冒険者になるか、ならないかの結果が判明する。
冒険者になれる確率は千人に十人のほどで、年に一万人ほどが冒険者になる。だがいくらここで確率論を述べたとこれで、結果がどうこうするわけじゃない。
俺が出來るのはただ一つ。祈る事だけだ。
冒険者になりたくない、冒険者になりたくない、冒険者になりたくない、冒険者になりたくない、冒険者になりたくない。
「ーー神壱周さん」
俺の名前が呼ばれた。
「おめでとうございます。スキルの適性検査が陽性となりましたので、本日をもちまして、神壱周様は冒険者となられました………」
その後もスタッフは悠長に何かを話していたが、話の内容は全く聞き取れず、気付けば他のスタッフが俺の横に立っていた。
スタッフの案内で連れてこられたのは、薄暗い通路を進んだ閉ざされた扉の前で、ここから先は一人で進むようにスタッフに促された。
この扉を開けてしまえば、もう引き返せない。十五年後、俺は生きているのか?五体満足で、いられるのか?精神を蝕まれずに、いられるのか?最悪のシナリオが脳内に駆け巡り。俺は一呼吸置いてから、固く閉ざされた扉を力強く押して"絶対に生き残る"意思をまだひ弱な足に託して、その一歩を踏み出した。




