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II - ii:努力


それから、アメリアは1日1日を大切に過ごした。



朝早く起きて復習や読書


朝食を取り、歴史の勉強


昼食前にレイフェルに会いに執務室へ


昼食を取り、庭に行きダル爺の相手をしたり、図書館に行ったり


マナーなどの勉強


そして、2度目のレイフェルに会いに執務室へ


夕食後には、部屋でその日を振り返る




そんな1日を過ごしていた。




・・・・勉強では・・・・


・・歴史・・・・


「アメリア様。---昨日の小テストよくできていましたよ。」


「本当ですか?!」


初めて誉めてもらい嬉しく感じるアメリア。


「・・しかし、昨日の小テストはひどいものでした。」


打って変わって怖い顔、低い声で言うマリーネにアメリアは落ち込む。


最初に誉められたのもあり、上げて下げられたのでそのショックは大きい。


「どうやら、アメリア様は得意な範囲と苦手な範囲がはっきりと別れているようですね。」


確かに、ミラウディア国自体の歴史--創立からの国の歩みや歴代の王族のことなど--は学んでいて楽しい。


しかし、周辺諸国などが関わってくること、特に貿易や戦争などは苦手だった。

もともと要領が良くないアメリアは勉強して楽しいものの覚えはいいが、逆は頭に入らなかった。


でも、そのままにしてはいけないことなどわかっている。



もっと苦手なところを重点的に勉強しなければと考えていると、



「それでは、これからは苦手そうな周辺諸国との関わりの範囲はしっかりとやっていきましょう。」


そう言うマリーネの言葉にハッと顔を上げる。




「・・・・アメリア様が一生懸命勉強なさっているのはわかっていますから。」


少し気まずそうにマリーネは言う。


「ありがとうございます!より一層頑張ります。」


なんだか、マリーネに認められたみたいで嬉しい。

確かに、マリーネは厳しかったがわからないところは分かりやすく説明してくれる。

先ほどは誉めてくれた。


だからこそ頑張ろうと思える。


少しずつ、認められマリーネとの勉強は楽しくなってきた。





・・マナーなど・・・・


「アメリア様。また間違っております。

これはこのようにーーーーーーーーーーーー。」



こちらは、マリーネとの歴史の勉強よりも苦戦していた。


当たり前だが、母国とは違う慣習も多い。

そして、理解できても実際に実践するのはとても難しかった。


挨拶は時間がかかりながらも何とかオラリネからオッケーがでるようになった。


しかしそれは序の口でまだまだ覚えて実際に違和感なく行動に移せるようになるには全然足りない。


それだけでなく他にもたくさんある。

どれだけ頑張ろうとしても直ぐにできるようになるものではないことはわかっていても歯がゆく感じる。




「それでは、一度休憩をいれましょう。

ただ根をつめてやっても意味がありませんからね。」


オラリネはいつもちょうど集中力がきれるくらいに休憩をはさんでくれる。

そして、その時には決まって興味深い話をしてくれるのだ。


アメリアはそんなオラリネをとても話しやすく感じていた。


だから最近では、考えてわからないことがあれば相談にものってもらっている。

実践の難しさにやきもきしながらも、オラリネと自分に必要不可欠なマナーを学び、相談もする、という時間を過ごしていた。





・・・・昼食後の空き時間・・・・


・・庭にて・・・・


「こんにちは。ダル爺様。今日は何をいたしましょうか?」


ここに来ることが日課になってきたアメリアはダル爺を見つけ話しかける。何日か接しているうちにわかったのだが、どうやら彼はとても物知りらしい。この庭のことだけでなく城のことにも詳しい。


「おお!こんにちは。今日も来てくれてありがとう。

今日はな、ここに花の種を植えようと思っていたのだ。手伝ってくれるかい?」


目の前の何も植えられていない花壇を見ながら、ダル爺は言う。


「いいんですか?ぜひお手伝いしたいです。どんな花の種なのですか?」


アメリアはワクワクしながらダル爺に言う。

花の種を植えるという大切なことを手伝うことができて嬉しいアメリアは目を輝かせる。


「それは・・・・花が咲いてからのお楽しみだよ。」


そう楽しそうにダル爺は言う。

教えてもらえないのは残念だが、今からどんな花が咲くのかとても楽しみになってきた。


ーーいったいどんな花が咲くのかしら?



そんな風に思いながら、アメリアはダル爺と一緒に種を植えていく。

誰かとこんな感じに花の世話をしたり、ましては種を植えたりしたことがなかったアメリアにとってはとても楽しい時間になった。




そしてその後、リーナが呼びに来るまで時間を忘れてーーもうこれも日課になりつつあるがーーダル爺と花壇を見ながら話し込んだ。


好きな花に囲まれて、ダル爺の手伝いをしながら過ごす時間はアメリアにとって頑張る糧となっていた。



・・図書館では・・・・


本も好きであるアメリアは庭に行くことの許可と同様に図書館へ行くことの許可も得ていた。


当初の予定では日課として庭に行った後、本を借りに図書館に行こうと思っていたが、思いの外ダル爺との時間は楽しくて時間を忘れてしまうため毎日図書館に通うのは断念した。




しかし、図書館にも興味があるアメリアは週に一度金曜日の夕食後の時間に図書館に本を借りに行くことに決めた。


最初は足りないのではと思っていたが、他にもたくさんやらねばならないこと--主にその日の勉強やマナーの復習だが--があったので週に一度一冊程度借りるのがちょうどよかった。


城内案内後、初めて自分で来たときは改めてその広さと本の多さに驚きを隠せなかった。

この図書館には多くのジャンルの書物が保管されていて国内最大の規模を誇るらしい。

最初はその広さと本の多さに戸惑っていたが、最近では少しずつ慣れてきた。



興味をそそられる本をじっくりと探す。


そんな時間もアメリアはとても楽しく感じていた。



興味深い本を見つけ、読むのを楽しみにしながら部屋に戻る。


そして、空いている時間ーー朝早くや夕食後などーーに少しずつ読む。

そんな時間も大切な時間だった。


アメリアはだんだんと慣れて充実した穏やかな毎日を過ごしていた。





レイフェルとの時間を除いて・・・・・・・・。





自分でもわかっていたことだが、アメリアにとって一番重要で、そして一番の難所であったのがレイフェルとの時間だった。


あの勝負をした日から2週間が経とうとしているのに、いまだに彼との関係が変わるどころか、会話が成り立つこともない。


1日に2度も会って、話しかけているが進展もない。

彼との会話できたのはあの勝負を決めたときだけだった。


それからもアメリアは毎日欠かさずレイフェルに会いに行き、何度も話しかけ続けていた。




・・昼前・・・・・・


─────────・・・・・・


「おはようございます。」


「・・・・・・・・。」


「おはようございます、アメリア様。」


挨拶を返したのはギルバートのみで、レイフェルは顔を上げずに書類を見ている。


「レイフェル様、昨日は図書館に行って本を借りてきました。とても広くて、たくさんの書物が置いてあり驚きました。」


「・・・・・・・・。」


話しかけても反応はない。


「殿下もよくご存知ですよね。読書が好きで何度も行っていますし。」


そうレイフェルの代わりに応えるギルバートをレイフェルは睨み、アメリアは顔を輝かせる。


「そうなのですか?

どんな本をお読みになるのですか?

どれくらいの頻度で行かれるのですか?

何かお薦めはありますか?」


同じ読書愛好家と知り、つい嬉しくてアメリアは目をキラキラさせて、たくさんの質問をする。


「・・・・・・・・。」


しかし、レイフェルは応えない。

無反応で話を聞いているのかさえわからない。


「・・・・殿下はよく経済や国土の本をお読みになっていますね。」


レイフェルは、応えるギルバートを、なぜ応えるのか?とでも言うように怪訝な顔をして見つめいている。



それからも、アメリアはレイフェルに話しかけたが、レイフェルは反応することなく、何とか沈黙にはならないようにギルバートが応えるということが続いた。



────────・・・・・・


「おはようございます。」


「・・・・・・・・。」


「おはようございます、アメリア様。」


「この国の気候は穏やかですね。それほど暑いわけでもなく、でも寒いこともない。」


「・・・・・・・・。」


「そうですか?確かに、それほど極端に暑くなったり、寒くなったりはしませんね。しかし、天気が崩れやすい季節もあるのですよ。例えば・・ーーーーーー。」



─────────・・・・・・・・


「おはようございます。レイフェル様、ギルバートさん。」


「・・・・・・・・。」


「おはようございます、アメリア様。」


「今日の勉強はこの国ができたときのことをしました。もともとこの国の周辺は戦乱ばかりであって、後の初代ミラウディア国王であるディアスがそれを抑え建国した、と学びました。すごい方なのですね。」


「・・・・・・・・。」


「・・そうですね。今でも初代国王の武勇伝は多く語り継がれていますよ。かくいう殿下も憧れていますし、たくさん初代国王の話をご存知ですよね。」


レイフェルが初代国王の話が出た時に少し反応していたことに気がついていたギルバートは書類を見ている彼に目を向け、アメリアもじっとレイフェルを見つめる。


しかし、返答はないままこの日もその場にはレイフェル、アメリア、ギルバートの3人がいるはずなのに、会話をしているのはアメリアとギルバートだけだった。


昼前のレイフェルの元への訪問はギルバートがいることから、アメリアが一人で話しているということはなかった。それにより部屋の中が沈黙になることはなく、少しの気まずさのみの空間であった。





しかし、問題は夕方の訪問だった。



・・夕方・・・・・・


──────────・・・・・・・・


「こんにちは、レイフェル様、ギルバートさん。」


「・・・・・・・・・・。」


「こんにちは。アメリア様。それでは、お二人でごゆっくり。」


アメリアの挨拶か終わると早々に、ギルバートは二人に気を使って部屋を出ていった。

アメリアはいつものようにソファに座り、レイフェルの方を向き話し始める。


「レイフェル様。今日は色とりどりに咲くたくさんのジニアを見ながら庭でダル爺様とお話してきました。」


ニコニコと話すアメリアの声が聞こえていないのかレイフェルの反応はない。


「初めて見たのですが、ジニアはとてもかわいい花ですね。様々な色もあって見ていて楽しかったです。それに、ダル爺様がいろいろなことを話してくださいました。例えば・・ーーーーーー。」


出来るだけ分かりやすく、身ぶり手振りを入れて一生懸命話すアメリア。


「・・・・・・・・・・。」


しかし、やはり返答どころか、視線さえも合わない。


・・・・



コン、コン。


「失礼します。お時間です。」


そして、その日も一度もアメリアはレイフェルと話すことなく、時間を終えてしまった。



───────・・・・・・・・


「こんにちは。レイフェル様。ギルバートさん。」


「・・・・・・。」


「今日は何について話しましょうか。

そうだわ!レイフェル様は何か好きな食べ物がありますか?何でもいいです。教えてください。」


「・・・・・・。」


「わたし、こう見えて料理が得意なんです!特にお菓子作りは好きですよ。」


「・・・・・・・・。」


「例えばクッキーなどは作るのも食べるのも好きです。クッキーと言ってもいろんな種類があってーーーー。」



───────・・・・・・・・


「こんにちは。レイフェル様。」


「・・・・・・・・。」


「今日はギルバートさんはいらっしゃらないのですか?」


「・・・・・・・・。」


「あっ!聞いてください!今日初めて、花の種を蒔きました。

どんな花が咲くのか今からとても楽しみです。」


「・・・・・・・・。」


「花が咲くまで待ち遠しいです。もし、花が咲いたら一緒に見に行きましょうね。

それまで、頑張ってお世話します!!」


そう本当に楽しみで仕方がないと言うような表情でレイフェルに話しかけるアメリア。

レイフェルはチラッとアメリアに視線を向けると、そのキラキラした笑顔に思わず見とれてしまった。


「レイフェル様?どうかなされましたか?」


きょとんとした顔で尋ねるアメリアにハッと気づいてあわてて視線を書類に戻した。


その様子を不思議に思いながらもアメリアは話を続けた。

あの勝負を宣言してからアメリアはレイフェルの態度にめげることなく毎日レイフェルの元へ通い続け、そして話しかけ続けた。




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