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メモ7  作者: クル
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原初の世界

遥か昔のこと。それは、もはや誰の記憶にもない。

全てが始まる前、原初の世界には混沌のみが広がっているだけだった。


この世界に、いつからか秩序がもたらされ、五人の巨人が生まれた。定まった形を持たない彼らは、時に交わり、時に反発しあい、いつしか大地、天、光、闇、時を生み、天地が誕生した。


ある時、兄弟たちに意思が、それぞれ理性、欲望、怒り、愛、希望が芽生えた。

ただ漂うことに満足できなくなっていく大地と欲望の巨人は、どんどんとその体を大きくし、世界を覆いつくす勢いだった。

これを見た天と理性の巨人は、これに罰を与えるために、他の巨人たちの力を借りて、三つの武器を生み出した。『宇宙をも破壊する雷霆』『大海と大地を操り、全てを支える矛』『何者も逃げ出すことのできない奈落』です。

これらの武器を駆使し、十年に及ぶ戦争は、欲望の巨人の敗北で幕を下ろした。不死だった欲望の巨人は、大地の下、奈落の底にある深淵に封印されます。そうして四人の巨人によって丸く押し込まれた大地と欲望の巨人は地球となった。


混沌を生む欲望の巨人が去ったことで、理性の巨人を主導に、地上に秩序のある世界を形作っていく。

太陽と月が誕生し、昼と夜が生まれ、更に記憶と運命と予言が現れた。


深淵に封印された欲望の巨人は、その光景に嫉妬するも、ただ見守ることしかできなかった。しかし、その止めどなく溢れる欲望は歯止めが効かず、誰の目も届かぬ場所で、ただ蓄積していった。

時が流れると、その欲が遂には奈落から溢れ出し、地上へと流れていき、いつしか『悪魔』となった。

悪魔は身の回りのもの全てを自在に操ることができ、火や水、あるいは木や土といった自然、牛や羊などの動物であっても、意のままに操ることができた。

彼らが生まれてすぐに、どこからか現れたその悪魔を見た巨人たちが、それをマネて同じ姿をした『人間』をつくった。

欲を満たすために暴力の限りを尽くす悪魔とは反対に、人間は欲を嫌悪し柔和で賢き者たちとなった。


悪魔達は力があれど、知恵を使った人間たちにしだいに大陸を侵略されてしまい、いつしか世界の端へと追いやられてしまう。

それを見た欲望の巨人は、また同じ境遇となってしまうことを危惧し、深淵から愛の巨人をそそのかし、理性の巨人から知恵を与えるように仕向け、憐れんだ理性の巨人は悪魔にある条件と引き換えに知恵を授ける。

悪魔達は、その助言に従い、万物の根源にあり、この世の全てに通ずる力『魔法』と呼ばれる力を駆使し、その強大な力で人間の力が及ぶことのない塔を創った。引き換えに、その踏破不能の塔の頂点に辿り着けた者には、魔法を継承することを約束した。

しかし魔を司る法則''魔法''は、自分たちのものである、としてその力を人間に渡すことを嫌い、千にも重なる一層一層に凶悪な罠、呪いを仕掛け、人間の力では絶対に塔を登れないようにした。


時代の転換期は、ある一人の人間によって始まる。塔を制覇し、唯一の継承者となったヴィブニー・ノイマンの登場だった。


この冒険家が遺した書物によれば、伝説の塔は一つではなく連なる百の塔であることと、その全てを解き明かし、頂上へと登りつめたならば、伝説の通りに、全てを手に入れられると記されている。




その言葉を信じ、無限の力を求めるもの、永遠に遊んで暮らせる富を求めるもの、強大な帝国を求めるもの、全世界の人々は、各々の願いを胸に再び塔へと足を踏み入れる。








そのうち人々は畏敬の念をこめ、全ての塔を登った者のことをこう呼んだーーー
















''デモンズロード''と。

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