ウーパールーパーによろしく
全くモテない。
誰からも話し掛けられない。
視線も何も感じない。
女子と話をするなんて夢の夢かもしれない。
「ねえねえ」
食堂でうどんを啜っていると、先輩らしき女性に話し掛けられた。
「あなたの友達に聞いたんだけど、ウーパールーパーを飼ってるんだって?」
「はい」
「私、ウーパールーパーが世界で一番好きなの」
「そうなんですか」
「まだ、飼えてはいないんだけど、いつか飼えたらなって思ってるの」
「とても可愛いですよ。写真見ますか?」
「うん。わあ、可愛い。今度、ウーパールーパーを家に見に行ってもいい?」
「あ、はい」
こうして、夢のような時間は過ぎた。
「ウーパールーパーによろしく伝えておいてね」
そう言ったときの女性の優しい笑顔に、僕はあっという間に恋をしていた。