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19/20

19.温泉にて④

甘かった・・・


甘すぎた。食堂に入ると、奥に子供二人を連れた夫婦が食事をしていた。


少し、離れているので、はっきりとはわからないが、あの後ろ姿は多分、寺山さん。

ただ、それが幸いして、さくらも寺山さんとは、気づいていないようだ。


僕は、できるだけ、寺山さんが目につかない場所に二人を誘導しようとする。


「涼ちゃん、あっちの方が、眺めよさそうだよ」


その方向には、寺山さんファミリーがいる。

こら、しおり、余計ないこと言うじゃないと、僕は内心思っていた。


「あっ、でもこっちの方が、飲み物も取りやすいし。ここ飲み物はセルフサービスみたい」


さくらは、僕の顔を見つめる。


「さすが、涼、よくわかってる。お酒が取りやすいポジションがベスト!」

「でしょ!」


こうして、無事、寺山一家から、かなり離れた位置に座ることができた。


彼らは、夕食は終えているようだし、お酒を取りに来ることはないだろう。


僕は、立ち上がり、冷蔵庫からビール2本と、ハイボールの缶を取り出し、テーブルに置く。

そして、すかさず二人に注いだ。


「じゃあ、3次会を始めようか。かんぱーい」

「かんぱーい」


しばらくして、料理が運ばれてきた。

前菜、刺身、てんぷら、固形燃料で温めるタイプの鉄板には、牛肉が置かれている。


「おいしそう。さくらさん、めちゃくちゃおいしそうですね!」

「うん。ちょっと、上のランクのコースを発注しおきました!」

「さすが、さくらさん。ゴチになります」

「どうぞ、どうぞ。たーんと召し上がれ」


僕たちが、夕食に舌鼓をうっているとき、寺山ファミリーが席を立った。


それに合わせて、僕は立ち上がり、壁になるように、さくらにハイボールを注ぐ。


「さくら、今日はありがとう。こんな良いところに泊まれて、おいしい料理をご馳走になって。ホントにありがとう」

「どういたしまして。私の実力、少しはわかったでしょ?」


さくらは、またもやドヤ顔で僕を見ている。


「うん。ちょっと見直した」

「ちょっと?」

「いや、かなり。尊敬します。さくらさん」


この作戦が功を奏し、さくらに気づかれることなく寺山ファミリーは食堂から、出ていった。


そうして、無事夕食を終えた僕らは、部屋に戻ることになった。


食堂をでて、自動販売機コーナーに差し掛かった時、一人の男性が、自動販売機でビールを買っていた。


「まさか。。。」


僕はつぶやく。

食堂での危機を回避して、僕は完全に油断していた。


自動販売機から、ビールを取り出し、振り向いたその男性は、やはり寺山さんだった。


一瞬、さくらと寺山さんの目が合ったように感じたが、二人は何事もなかったかのようにやり過ごした。


僕は寺山さんとすれ違う時、軽く会釈をした。その様子をさくらは、見ていたようだった。


部屋に戻った僕たちは、再び宴会を始めた。

さくらは、何事もなかったかのように、しおりとじゃれながら、お酒を飲んでいる。


僕は、今さくらがどんな気持ちでいるか、全く想像できなかった。


しばらくして、しおりが、居眠りをし始めた。

僕はそれを見て、布団を3組敷いた。


「おい、しおり、そろそろ寝ようか?」

「うーん、涼ちゃん、一緒に寝よう」


しおりが、甘えた声で、抱きついてきた。


「はいはい。また今度ね。早く布団に行ったら」

「はーい」


そういうと、しおりは布団に入っていった。

それを見届け、僕は洗面所に行って、トイレをし歯磨きをした。


部屋に戻ると、電気が消えていた。


「なんだ、さくらも寝たのか」


と布団をみるが、さくらの姿はなかった。

関東地方は、今日も雨。

梅雨明けは、まだ先になりそうです。


気分は、晴れませんが、引き続き投稿頑張ります。


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